神が存在しないことを科学で証明できない理由



今回は、科学的に存在を否定できない神様の例をあげてみよう。

「神は存在しないとしか考えられない」ように宇宙を創造した神[裏側神族]

この神が創造した宇宙は次のようなもの
  • 現在知られいている自然法則および将来発見される自然法則によって、宇宙は完全に説明がつく
  • 自然法則を逸脱した現象は存在しない
  • すべての自然法則は確率過程を含む数学によって表現できる

つまり、どこをどう見ても、宇宙は科学で説明しつくせる。自然現象の説明に神を召喚する必要性がまったくない。

このような「神は存在しないとしか考えられないように宇宙を創造した神が存在する」という主張はどうやって覆せるだろうか?

もちろん、反証することは、科学では原理的に不可能。


「135億年前にビッグバンが起きたかのように」宇宙を「2001年1月1日0時0分0秒に」創造した神[偽造神族]

この神も不在を証明できない。何故なら、2001年1月1日0時0分0秒以前にも宇宙が存在していたという証拠をどれだけ持ち出しても、それが神の偽造物でないことを、科学では証明する方法がないから。

  • 106歳の老人[2009/08/22現在]は、98歳の老人として過去の記憶とともに、2001年1月1日0時0分0秒に創造された
  • 超新星SN1987Aは存在しない。科学による観測からは、爆発したと考えるほかない光(や高エネルギー粒子など)を神は創造した。
  • というか、そもそもHubble望遠鏡も、現在の軌道上に2001年1月1日0時0分0秒に、いかにもNASAがつくって打ち上げたかのように、創造された
  • Hubble望遠鏡の設計書類や打ち上げ記録や、修理作業の記録、そのほかもろもろもすべて2001年1月1日0時0分0秒に創造された

この「過去を偽造された」宇宙も、「神は存在しないとしか考えられない」ように創造された」宇宙と同じく、観測された宇宙は科学で説明しつくせるかもしれない。その場合は、自然現象の説明に神を召喚する必要性がまったくない。


「細菌の鞭毛をデザインして、地球に配備した」鞭毛神

もともと、この鞭毛神は、インテリジェントデザイン理論家Dr. Michael Beheの主張は「鞭毛は進化論では説明できないので、デザインだ」という理由で召喚したものである。

しかし、Matzke[ 2003 ]などで、「進化論では説明できないので」の部分がこけてしまった。「鞭毛の進化」という自然現象の説明のために鞭毛神を召喚する必要性は失われている。

では、「細菌の鞭毛をデザインして、地球に配備した」鞭毛神の不在は証明されるのかと言えば、そうではない。

  • Matzke[ 2003 ]の進化経路で鞭毛は進化していた
  • しかし、進化が鞭毛にたどり着く直前に、先回りして鞭毛神が、鞭毛つき細菌を地球に配備した。

と主張されてしまうと、科学では覆せなくなる。

たとえ、鞭毛が進化可能であることを、DNAをデザインして、突然変異過程を再現することで、実験的に示せたとしても、全然この鞭毛神の存在を否定できない。
「先回りして配備した」という主張を否定したことにならないからだ。


否定できないが、相手にもできない

鞭毛神も、「神は存在しないとしか考えられないように宇宙を」創造した神も、135億年前にビッグバンが起きたかのように宇宙を2001年1月1日0時0分0秒に」創造した神も、科学的には否定できない。しかし、

  • 科学が自然現象を説明する際に、これらの神々を召喚する必要性がない。
  • 科学的には、これらの神々を検出できない

従って、これらの神々は、科学の取扱対象外になる。
あくまでも「取扱対象外」なので、存否について、科学は何も言わない。



最終更新:2009年08月22日 14:44