Claim CI301:
The cosmos is fine-tuned to permit human life. If any of several fundamental constants were only slightly different, life would be impossible. (This claim is also known as the weak anthropic principle.)
宇宙は人間が生きていけるようにファインチューニングされている。基本的な物理定数のどれかひとつが、わずかに違っているだけで、生物は存在し得ない。(この主張は"弱い人間原理"として知られる)

Source:
Ross, Hugh. 1994. Astronomical evidences for a personal, transcendent God. In: The Creation Hypothesis, J. P. Moreland, ed., Downers Grove, IL: InterVarsity Press, pp. 141-172.

Response:
  1. この主張は生物の現在の形態が所与のものと仮定している。この主張は、生物に対して適用されるものではなく、我々の既知の生物にのみて供される。生物がこの宇宙に対してファインチューニングされていても同じ結果が生じる。
    我々は、いかなる生命の存在をも不可能とする基本的条件が何なのか知らない。我々が知っていることからすると、別の宇宙には「基本定数が少し違っていれば、フリークォークが存在せず、非常に弱い重力のために生命が存在し得ない」と考える知的存在が、もしかしたら存在するかもしれないということくらいである。
    実際、多くのファインチューニングの例は、生命が宇宙に対してファインチューニングされている証拠である。それはまさに進化の過程である。
  2. もし宇宙が生命に対してファインチューニングされているとしたら、なぜ宇宙の中の非常に稀な領域にしか生命が存在しないのか?
  3. おおくのファインチューニングについての主張は、「同一オーダーの」数字に依拠しているが、この表現はもともと意味から、デザイン論を強化するように、大きく拡大されている。ときには1000倍違っていても同程度と言われる[Klee 2002]。
    ファインはどれくらいファインなのだろうか?その問に答えられるのは人間の判断を必要とする。そうなると、人間原理の論から客観性が失われる。
  4. 物理定数の幾つかが、他の定数に依存しているという事実によって、ファインチューニングの主張は弱められる。というのは、人間原理がほんとうに基本的かつ、わずかの初期条件に依存しているからだ[Kane et al. 2000]。別の初期条件であっても実質的に同様の結果をもたらすという事実によって、さらに弱められる。たとえば、恒星の初期質量と重金属の形成「Nakamura et al. 1997]や、チューニングがあまりうまくない、恒星内でのヘリウム融合のレゾナンスウィンドウ[Livio et al. 1989]など。我々が知っていることからすると、本質的に我々の宇宙と異なる宇宙はほとんどありそうにない、あるいはありえない。
  5. もし宇宙の部分が生命に適していないなら、我々はここにいて、そういうことを考えられないだろう。多宇宙の可能性を除外する理由はなにもなく、それらの大半が生命に不適かもしれない。我々はたまたま、それらの中で生命に適した宇宙にいただけである。というのは、そうでない宇宙に我々は存在しえないからだ。
  6. インテリジェントデザインはファインチューニングの論理的結論ではない。ファインチューニングは動機あるいは方法、すなわちデザインがどう定義されたかについて何も言っていない。生命が稀にしか存在していないことや、宇宙誕生から数十億年たってから生命が登場したことは、生命の存在に動機があったことを否定する論になっている。ファインチューニングがあったとしても、インテリジェントデザイン以外の別の原因があるかもしれず、何の理由も無いかもしれない[Drange 2000]。
  7. 事実として、人間原理は全能の創造主に反する論である。神が何でもできたら、生命が存在しえない条件の宇宙にも生命を創造できるだろう。

Links:
  1. Drange, Theodore M. 2000. The fine-tuning argument revisited (2000). Philo 3(2): 38-49.
  2. Stenger, Victor J. 1997. Intelligent design: Humans, cockroaches, and the laws of physics.
  3. Stenger, Victor J. 1999 (July). The anthropic coincidences: A natural explanation. The Skeptical Intelligencer 3(3): 2-17.
  4. Weinberg, Steven. 1999. A designer universe?

References:
  1. Drange, Theodore M. 2000. The fine-tuning argument revisited (2000). Philo 3(2): 38-49.
  2. Kane, G. L., M. J. Perry, and A. N. Zytkow. 2000 (28 Jan.). The beginning of the end of the anthropic principle. New Astron. 7: 45-53.
  3. Klee, Robert. 2002. The revenge of Pythagoras: How a mathematical sharp practice undermines the contemporary design argument in astrophysical cosmology. British Journal for the Philosophy of Science 53: 331-354.
  4. Livio, M., D. Hollowell, A. Weiss and J. Truran. 1989. The anthropic significance of the existence of an excited state of 12C. Nature 340: 281-284.
  5. Nakamura, Takashi, H. Uehara, and T. Chiba. 1997. The minimum mass of the first stars and the anthropic principle. Progress of Theoretical Physics 97: 169-171.

Further Reading:
  1. Goldsmith, D. 2004. The best of all possible worlds. Natural History 113(6) (July/Aug.): 44-49.



最終更新:2009年08月29日 17:09