ROTTEN KNIGHT 「DRAMAtical Murder」をプレイ

※ゲームの核心部分に触れています。ネタバレが嫌な人は、見ないことをお勧めします。


『ゲーム概要』
エロゲ会社「ニトロプラス」のBL部門である「ニトロプラスキラル」から2012年3月リリース。

BLゲームとしては約3年ぶりのリリースであった。

『ストーリー内容』
主人公の「瀬良垣 蒼葉」は、ジャンクショップで働くごく普通の青年であった。ある日、彼の元に一通のEメールが届いた。
そのメールが運命を狂わせるものとは知る由もなかった…。

攻略キャラ:幼馴染の髪結い師「紅雀」 電脳ゲーム"ライム"の名手「ノイズ」 元囚人の「ミンク」 謎のマスク男「クリア」 蒼葉のオールメイト「蓮」

※オールメイト:ペット型の多目的ロボット。会話ができ携帯電話やPCなどの機能を担う。


『難易度』
2択式でそれほど難しいわけでも無いが、最終区間の選択子になると急激に難しくなる。ワードクイズ形式や制限時間付きのYES NO 問題など。
それまでの内容を把握してないとグッドエンディングたどり着けない可能性がある。特に時間制限付きの問題は内容についての出題であり、
一つの問題に割ける時間が数秒しかない。最初に10問出題されるのだが、その10問を消化できなかった場合は更に10問追加される。
冗談抜きで時間との勝負になる。右クリックすればポーズ状態になるので、自信のない人はそれを活用すればいいだろう。


『操作性&仕様』
操作性はかなり良い。マウスのスクロールボタン後ろに回すと文章が進行し、その逆の操作でバックログが表示される。バックログのウインドウには
スクロールバーが付いており、かなり前まで遡れる。しかも、ロードで途中から始めてもバックログは有効。中断時に遡れた分だけ再開後も遡れる。
数日開いて再プレイした時に役立つだろう。

右クリックメニューはプレイ中の画面上に表示されるおなじみの仕様だが、ショートカットキーも表示される。ショートカットを押すと表示も連動、
自分がどのショートカットキーを押したかひと目で分かる仕様だ。

ゲーム中からの仕様&操作性は申し分ないが、唯一不満があるとすればEXTRAでの仕様だ。本来、EXTRAを何かしら選択した場合、CGやムービー、サントラなどに
移行するボタンがあるのだが本作には無い。タイトルまで戻って選び直す必要があるのだ。ゲーム中の仕様は充実してるのに、EXTRAでこのような仕様になってる
のは不思議である。

ウインドウモードは16:9のアスペクト比で、最近の流れにそった画面仕様である。


『グラフィック』
街や背景CGのクオリティは高い。プラチナ・ジェイルの建物や夜景は鮮やかで細部まで描かれており、オーバルタワーの外観と内装はSF映画の連想させるようなデザインだ。
ライム&暴露(スクラップ)に突入する際に再生される幻想てきなムービーも手が込んでいる。正直、恋愛ゲームでここまで視覚的表現に気合を入れた作品は見たことがない。

絵のタッチは、基本はクッキリとした輪郭線にベタ塗り。アニメのセル画に近い。場面によって三頭身になったり、アメコミ風になったりタッチが変わる。
キャラデザインだが、顔の面積に対して顔のパーツが小さい。(ワルガキは除く) 主要キャラの多くが20歳以上であり、「可愛らしさ」よりも「大人らしさ」を表に出したこ
とが見て取れる。それに対し、オールメイトはその真逆。実際の動物よりも目にウルウル感を加え、「可愛らしさ」をアピールしてるようだ。


『総評』

このゲームを一言に表すと、まさに「スタイリッシュ」。だが、スタイリッシュ故に欠落した部分があるのも事実。壮大な設定な為、見消化で終わってる部分も存在する。
プレイすれば分かるが、オーバルタワー破壊はテロリストによるものだとされてる。つまり、あの世界の人間からすると東江グループは被害者になっているのだ。
それを考慮すると「プラチナジュエルのタワーを破壊(一部ルートでは東江死亡)しても東江グループの野望は本当に潰えたのか?」とさえ思えてくる。
また、展開がスピーディーで、あっさりめのストーリーになっている。物足りない人も居るかもしれない。

ただ、蓮ルートのエンディングは意外性に秀でていて、個人的に気に入っている。


ストーリーで不足してる部分はあるが、ゲーム性の高い恋愛シュミレーションゲームである。島の設定からキャラの設定までかなり作り込まれており、
別ジャンルのゲームとして制作されても遜色ないレベルだ。特に視覚面の出来は良く、グラフィックの所で書いたように「恋愛ゲームなのに凝りすぎだろ!?」ってのが
正直な感想である。ライムだけスピンアウトして別ゲーにして欲しいぐらいだ。


操作性や仕様を含め、総合的には良ゲーと言えるのではないだろうか。また設定がしっかり作られてる為、スピンアウトの制作も可能。私としてはライムゲームの単品で出して欲しい。



『余談』
本作には多くパロディを採用していたと邪推する。

①オールメイト
蒼葉が蓮を抱き寄せる姿が、サトシとピカチュウに見えたのは私だけだろうか? それに喋るという部分ではデジモン。持ち主のスケジュール管理や
お世話などをする「便利な友達」という意味ではドラえもん。「ポケモン」「デジモン」「ドラえもん」のパロディがオールメイトではないかと私は考える。

②クリアのマスク
クリアルートの中盤では「シュコ~」と明らかにダース・ベイダーを意識した描写がある。

③繁華街
繁華街の夜の姿は「千と千尋の神隠し」の油屋周辺を意識してると考えられる。夜なのに黄色がかった建物はまさにそれではないだろうか?

④セイの部屋
蒼葉の双子の兄貴であるセイの部屋は、プレゼント箱が大量に積まれてた。「千と千尋の神隠し」に登場する坊の部屋もリボンの付いたプレゼント箱が大量に積んである。
(ただし、中身は違う)

⑤ミンクのバイク飛翔
ミンクと蒼葉がバイクに乗って、夜空を背景に飛ぶシーンがある。月があったら完璧にETだろう。

⑥携帯ゲーム
蒼葉の元に届いたメールにより勝手に携帯ゲームが起動する。プレイした人はピンと来たと思う。言うまでもないだろう、「ドラゴンクエスト」だ。
ドット絵の勇者が姫を助けに行く姿や、配置などまさしくドラクエ。


上記以外にも多々パロディ要素があると思うが、私が指摘できる部分はここまで。

最後に一つ言わせて欲しい。もし、ジョージ・ルーカスがBLゲームを作ったら本作のようになるだろう。なぜなら、ルーカスの代表作「スターウォーズ」は
パロディの塊みたな作品だから。
最終更新:2012年07月28日 22:01