ROTTEN KNIGHT 「裸執事」をプレイ

「ROTTEN KNIGHT 「裸執事」をプレイ」





※ゲームの核心部分に触れています。ネタバレが嫌な人は、見ないことをお勧めします。

『ゲーム概要』
BLゲームブランド「マーダー工房」から2011年9月16日発売された同人ゲーム。当該ブランドにとって
処女作になる。動画投稿サイト「ニコニコ動画」を利用したマーケティングが展開された。



『ストーリー内容』
大学生「前田智明」は、バイトをクビになり新たな収入源を探していた。ある日、日給3万円の求人を
発見。わらにもすがる思いで指定された住所へ向かうと、出迎えてくれたのは豪邸と麗しい執事達で
あった。求人内容は、「一ヶ月間その豪邸と執事の主人でいること。」
忠実な執事達を目にし、智明の欲望が動き始めた…


攻略キャラは、執事達のリーダー「佐久間恭一」、ガーデニング担当「一ノ瀬冬也」、キッチン担当
「小峰良次」、見習い執事「有里和馬」、肉体派執事「藤堂亜毅」の5人。



『難易度』
フラグ立ての難易度は一番簡単な部類に入る。エロゲの「つよきす」みたいに、攻略したいキャラを
マップで選ぶだけ。攻略したいキャラが居ない時は、可能な選択をすればいい。実にシンプルだ。

ただし…本当の難関はその先にあった

【エンディングの数】
全エンディングの種類は27。ルートに関係ない共通のエンディングもあるので、虱潰しに選択して攻略
する方法は正直オススメできない。ネタバレ覚悟で攻略サイトを見る方が懸命かもしれない。

【外道な選択肢】
文章中の選択肢には目を疑うようなも物もあるだろう。他のゲームでは即バッドエンドに直結する
ような選択肢もゴロゴロ出てくる。本作が「BLゲーム史上に残る鬼畜ゲー」であることを肝に銘じて、
プレイしなければならない。そうしないとグッドエンドにたどり着く事は無いだろう。
思考をサドに切り替え、執事たちをひたすらに虐める事を考えよう。

【幸せそうに見えるが・・・】
エンディングには、通常のゲームではグッドエンドに相当するエンディングが多数存在する。いかにも
幸せそうなのに終わって見ればバッドエンド。

エンディングナンバーを確認するまで気が抜けないだろう。



『仕様』
本作は同人制作であるが、2011年後半に発売された事と定価7140円する事を忘れないで欲しい。
なぜかって?BLゲーム史上まれに見る完成度だからだ


【実はBLゲーではなく連打ゲー?】
プレイする時は右手人差し指の筋肉痛を覚悟しよう。理由はシンプル

スクロールボタンが使えない!!!

大事だからもう一度言う スクロールボタンが使えない!!!


厳密に言うとバックログ限定ではスクロールボタンが使える。だが、考えてみてくれ。バックログでしか
使えないって事は、文章を進める際には左クリックを強いられる。毎回カチカチ左クリックをして
文章を進めてると、1ルート終わった頃には人差し指は疲労感に襲われる。そらそうだ、スクロール
ボタンでも疲れるのにクリックで行うんだからな。

これはファミコンのアクションゲームの話じゃない、BLゲームでの話だ。


【豪邸が舞台だから動作もゆったり?】

プレイ画面からセーブ、ロード、環境設定などの画面へ切り替わる際、異様に時間がかかる。俺は
最初処理落ちかと思ったが、そうではない。特定の画面移行
で発生する演出だった。ちゃんとしたエフェクトが付いた演出なら文句は言わない。だが、この演出は
暗幕へのただのフェードアウトだ。ゆっくりさせる必要なんてないだろw

(ゆっくりしていってね!!!)


【頑張ってクリアした先には・・・】
グットだろうがバッドだろうが、恋愛ゲームでエンディング後にご褒美を授かることができる。

そう、ギャラリーだ。

通常ギャラリーには静止画が見れる「CG」とエッチなシーンを再び見ることができる「回想」が
ある。ところが本作には「回想」が無く「CG」のみだ。

一番美味しい部分を排除してどうするんだ!!!

18禁ゲームの存在意義の大半は抜くことだ! 確かにCGでも抜けるだろう。
しかし、それでは画集や同人誌と同じだ。定価7140円のゲームである意味が無い。



『グラフィック』
酷い有り様の仕様に対して、グラフィックは優秀。画風は漫画チックで鮮明で暗いシーンでも見やすい。
色彩の方向性としてはラッキードッグに近いかも知れない。

輪郭線が細いわりに、筋肉の表現もしっかりできている。特に大胸筋の表現は男目線から見ても
リアルと思える出来だ。

ただし…

ベットシーンでの外道プレイや快楽アヘ顔の場面まで鮮明でよく見えてしまう。体の表現も上手いだけに
三次元の「ゲイポルノ」の一面も垣間見える。

ナマモノ嫌いの二次元オンリーの腐女子には耐え難いかもしれない。グロ注意




『本文・シナリオ』
結論から言うと謎めいたストーリーではあるが、これまで取り上げてきた作品ほどキャラ設定に深みはない。
前回レビューしたオメルタのJJのような大波乱の人生を歩んだ者は一切現れない。どのキャラも現実でありえる
レベルのキャラ設定。いい意味で言えば「現実的」、悪い意味では「薄っぺらい」。
刺激的な濡れ場の描写が感覚を麻痺らせてるかも知れないが、隠しルート以外の本文の描写から感じ取れる物は
少なかった

そのようなキャラ設定に対して、ストーリー構成は良い。グッドエンドの最後には「まだまだ終わりじゃ無いですよ」
と言わんばかりに必ず謎の人物が現れる。実際、その人物の詳細は隠しルートに突入しないと明らかにはならない。
最後の最後に大曇天返しはあるし、隠しの隠しルートまで存在する。

ボリューミーなストーリーに設定の薄めのキャラ。消化不良は否めない。

【ノンケ向けシーン】
作者が男だからなのか、BLゲームで稀な女性のポロリやノンケ濡れ場がある。

BLゲームにそんなシーン要らんやろ!

あれだけ男色を全面に出した宣伝をしておきながらノンケシーンを入れるとはw



『総評』
長所と短所の差が激し過ぎる中途半端な作品。それ故に、必ずと言っていい程に好みが別れる。
仮に「長所が短所を補えているか?」と聞かれたら、私は「補えてる」とは言い難い。

一番の短所はやはりボリューム。エンドが多すぎてプレイする側が飽きてしまう。これだけ多いとコンプリートする
者は少ないかもしれない。

ただ、マーケティングや内容が衝撃的だったので上手くやっていれば…というのも事実。飛躍の可能性を秘めた
悔やまれる一作だ。

大声優「井上和彦」の喘ぎ声が聞ける唯一の作品という意味では、希少価値は高いと言える。
最終更新:2013年04月14日 16:16