ROTTEN KNIGHT 「大正メビウスライン」をプレイ

「ROTTEN KNIGHT 「大正メビウスライン」をプレイ」





※ゲームの核心部分に触れています。ネタバレが嫌な人は、見ないことをお勧めします。

『ゲーム概要』
「ツキガミ」「紅色天井艶妖綺譚」を産み出した「lovedelivery」の第三弾。
和風テイストは今も健在。


『ストーリー内容』
時は戦争の足音が忍び寄る大正時代。
主人公:柊京一郎は大学進学の為に上京、新生活のスタートさせる事となった。
しかし、普通の生活を送る事は叶わなかった。
突然現れた謎の男、覚醒する異能の力と、その力を狙う軍の者達、京一郎の人生は大きく狂い始めた。

攻略キャラ
謎の男:ミサキ  異能の使い手:時雨  ロン毛の将校:千家 伊織  金髪軍将校:館林 開


『難易度』
大半のストーリーはそれほど難易度は高く、フラストレーション溜めずに楽しめる程度。
しかし、TRUEエンドは別格。最初から突入できず、完全ロック式。しかもロック解除の
条件が中途半端。全キャラクリアでもなければ、二周目突入でもない。
条件は・・・全CG開放

【CGギャラリー故の理不尽さ】
そう、条件はエンディングの開放じゃない。CGを見ればそれで完了するんだが、考えて見てくれ。
CGはどこの場面で出てくるか分からないし、CGギャラリーを見てもTREUエンド分の残数が不明
だから確認しようがない。開放を確認する術はたった一つ…開始から2つ目の選択肢が一つ増える
ので、そこで確認するしか無い。

不親切過ぎだろ!!!



キャラ別にパーセンテージ付けてヒントぐらい与えろや!
確認の為にわざわざ最初からプレイさせるとかプレイヤー側の事を一切考えてないとしか言えない。
前作の「紅色天井艶妖綺譚」でもそんな事はしてなかった。

大学の休講掲示板じゃないんだから、もっと配慮があっても良いはず。
(最近の大学でもネットやメールで見れるw)


『仕様』
プレイ中に関して言えば、かなり良い出来。メッセージウインドウの上部にまとめられていて、
スッキリしている。BLゲームの中では上位に入る完成度だ。


しかし、神はこのゲームに試練をお与えになった・・・


2013年初夏、私は大正メビウスラインを起動させプレイを始めた。すると・・・

特定の場面(動画が組み込まれてる)で、ウンインドウの上半分に突如暗幕が現れたのだ。
ただ現れたのではない、登場するキャラの顔面を完全に隠している。

顔面にモザイク掛けてんじゃね~よ!!!!


何の権利があってBLゲームからキャラの顔面を隠したんだw 
「見えないから想像を掻き立てる(///)」とか思わねぇわ!

原因としてはマイクロソフトからウインドウズのシステムアップデートであった。
そしてlovedeliveryの公式HPの対応はこうだ。

「Windows XP ではKB2834904という更新プログラム、Vista以降ではKB2803821という

更新プログラムを削除することでこの問題を回避することができます。」

とあり、下記に削除方法(マイクロソフトのHP)へ飛べるURLが載せてあった。
果たしてこの文を理解し、削除に至った腐女子はどれだけ居ただろうか?

ただ、運の良いことに2013年11月現在では後のウインドウズアップデートにより
改善されたが、また同じ事が起きる可能性があるのが現状だ。
だからこそ公式は一刻も早くパッチを用意する必要がある。

”今は”問題なく正常に動いてるだけなのだから。


『グラフィック』

前作の「紅色天井艶妖綺譚」に比べ、輪郭線や色合いがハッキリしている。良い意味で
古風っぽさが薄れたと言えるし、悪い意味で他のBLゲームに近づいたと言える。

【画像と動画の融合】
このゲームの最大の特長と言えるのが画像と動画の融合だ。画像の上に動画をカットイン
させるのではなくて、画像とエフェクトの動画を同時に表示させ躍動感を生み出す
方法だ。ひょっとしたら、色を透かせて重ねるブルーバックやグリーンバックに近い物
かも知れない。

ただ、前項同様にこの方法には幾つか問題がある。

①PCへの負荷
情報量が多いと負荷がかかり動作が遅くなる事は、PCを使ってる人なら知ってると思う。
動画は画像に比べ圧倒的に情報量が多いため、どうしても負荷が発生する。つまり、
「スペックのショボイPCや古いPCは動作が鈍くなり、下手すりゃ止まります」って事だ。
実際問題、要求スペックは前作の二倍になっており、動画の多様傾向にある恋愛ゲームは
プレイ側の環境を選ぶ事態になってきてる。

②容量問題
情報量が多いと言う事はそれだけ容量も大きい事になる。BLゲームは俗にいう「紙芝居ゲーム」
に分類されるわけだが、このジャンルのゲームは他ジャンルのゲームに比べて容量が少ないのが
一昔前の定説であった。が、ここ数年その定説は崩れ中には6GBを超える紙芝居ゲームも現れた。
原因はやはり動画の多様や画像をFlashのように動かすエフェクトであり、エロゲの「真剣で私に恋しなさい!S」
においてはちょこちょこアニメーション動画を挟む表現方法になってる。
本作のフルインストール時の容量は2.82GBで前作に比べ約2.8倍。ちなみにニトロプラスキラルの
「ドラマティカルマーダー」は3.3GBなので、まだ良心的かもしれない。


『本文・シナリオ』
大正時代という激動の時代を題材にしたことにより、lovedeliveryが得意とするオカルト要素を
より壮大なストーリーにする結果となった。それと同時に時代を反映した本文にもなっている。

【古い単語表現】
基本的に長音を表現「ー」を使用せず、前の単語の母音を小さく表記する。序盤では登場する
「バター」「チーズ」「テーブル」と言う単語は「バタァ」「チィズ」「テェブル」と表記されている。
読みづらいかも知れないが、時代を反映したユニークな表現方法だと思う。

【日本神話】
本作では「いざなみ」や「いざなぎ」、「オオカムヅミノミコト」など普段聞きなれない名詞が
登場して意味が分からなかった人も居たと思う。これらは戦後、日本の教育課程から消えてしまった
「日本神話」の単語なのである。本作のシナリオを理解しようと、思うと日本神話の知識が必要なのは
言うまでもないだろう。

一つ問題なのは、登場キャラクター達も日本神話の知識を有している事を前提でストーリーが展開
する事だ。現在の日本の若者で日本神話のマスターしてる人はどれだけ居るだろうか。知らない人
が大多数だろう。となるとプレイヤーが置いてきぼりになる可能性が高いのである。本文では少し
ばかり説明はあるが、全体の物語の流れが分からない以上意味が無い。

私みたいにググりながらプレイする人も居るだろうが、ググりもしない人が圧倒的だろう。


渋い題材のチョイスなのに伝わらずに終わるのが残念なストーリーだ。


『キャラクター』
キャラデザに関しては、ぱっと見「どこかで見たことがある」と感じた人は多いかもしれない。
基本的に大正時代の服装なので、他の作品等を連想するように感じても不思議じゃない。
個人の意見としては「デビルサマナー 葛葉ライドウ」を思い出した。

紅天に比べて露出度が少なくなり、通常時でのエロさも減少した。上半身9割裸体の雷王、
肩まではだけた狐白などに比べ、本作の露出キャラはほぼ無いに等しい。

あっさり目のキャラクターを揃えて客層を増す戦略を取ったのだろう。その結果、
一人だけ強烈なオーラを漂わせる事となった。

ミサキだ!


【家庭的なミサキ】
それにミサキの割烹着姿は天体戦士サンレッドのヴァンプ将軍を彷彿とさせる。理由はこうだ。
ミサキが着ている割烹着は現代で言うところの女性物に相当するからだ。もう一度いう。

ミサキが着てるのは女性物だ!


疑わしい人は「メンズ割烹着」で検索してみるといいだろう。殆どの割烹着は紺色でその他は
何かしら色が付いている。ちょうど「渡る世間は鬼ばかり」のおかくらの主人のような服装だろう。

ところが、「割烹着 白」で検索するとあら不思議、女性しか出てこない。

お分かり頂けただろうか?ミサキは女装をして京一郎にご飯を作っていたのだ!!



『総評』
感想を正直に言うと、良作と言える部類には間違いないだろう。
これといって操作性の酷い部分もない。シナリオは枝分かれ式で、各キャラ共通部分は前半のみ。
展開が先読みできない様に作り込まれている。パターンとしてはラッキードッグ1と同じ形態と言える。

ウィークポイントと言えば『仕様』の所であげたエラーと開放式の攻略ぐらい。
難易度を省けば、これといった短所も無いだろう。

これだけの完成度なら、キラルのように大々的宣伝しても良かったかも知れない。
PSP版で千家と館林の裏エピソードが収録されるので、そちらも期待だ。
最終更新:2013年12月22日 20:52