リワマヒ国ver0.8@wiki

遺跡の封印(技術)

最終更新:

riwamahi

- view
だれでも歓迎! 編集

遺跡封印技術(技術)


iデータ

L:遺跡封印技術 = {
 t:名称 = 遺跡封印技術(技術)
 t:要点 = 冷たい笑顔,白いサマードレスの男,真っ黒な植物
 t:周辺環境 = リワマヒ、あの緑の地獄
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *遺跡封印技術の技術カテゴリ = ,,,組織技術。
  *遺跡封印技術の特殊能力 = ,,,3日間、制圧することでかのものの遺跡を封印できる。
 }
 t:→次のアイドレス = クーリンガンの冷笑(イベント),封印の村(イベント),
封印用植物(アイテム),封印解除技術の開発(イベント)
}

HQ継承

  • 室賀兼一(ACE)よりSHQ継承2世代目:封印までの時間が60%になる。
  • 繁茂(技術)よりHQ継承1世代目:封印までの時間が75%になる。
上記より 3 * 24 * 0.75 * 0.60 = 32.4 から、 制圧から32時間で封印が完了する
根拠




設定


imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
(イラスト:和子@リワマヒ国)


リワマヒ、あの緑の地獄をもたらした迷宮遺跡が全土を覆い、その瘴気をすすって
真っ黒く変容した植物たちの跋扈する藩国だったリワマヒが、世界樹の砂漠に埋もれて数ヶ月。

藩国滞在ACEである千ちゃんの助言を受けて確立されたこの技術は、
単純に言えば“植物を遺跡に植える”、ただそれだけのものであった。

千ちゃんのもたらした「遺跡の瘴気とは未来の情報である」という情報を元に、
遺跡の封印技術として編み出されたのは、
{数千年の遥か未来においても現在と変わらない形質を留めているであろうものによって
遺跡を封じる}ことであった。
そのような形質を持つものについては検討に検討が重ねられたが、
リワマヒ国ではここに至ってなお、植物を選んでいた。

バイオサイエンス技術を全面的に禁止したリワマヒ国、
さらに言えば国土が砂で覆い尽くされた砂漠の国において
そのような形質を持ち、遺跡を覆えるような植物を発見することは非常に困難であった。



 リワマヒ国民は、国外に散った元藩国民、猫妖精たちに伝わる伝承などを
つぶさに拾い集め、検討を重ねた。
いくつかの候補が挙げられた後、かつてリワマヒ国に普通に自生していたという
ガジュマルの木が、封印用の植物として選ばれた。

技術として特別なことは行わず、ただ遺跡にガジュマルを植えるだけであったが、
この木は生長し根を伸ばし、やがて遺跡を封じた



ガジュマルの木の生態


樹高は20m前後、種子は岩塊や低木に根付き、土壌の上では成長できない
果実を食べた鳥の糞を介して繁殖する。
複数に分岐する幹からは地面に向けて気根を垂らし、土台や幹に絡みつく

気根の成長の過程で土台となる木を枯らしてしまうこともあるため、「絞め殺しの木」と
言われることもある。
また、成長した気根は太くなるほどに樹皮が発達し、最終的には幹と区別がつかない。
リワマヒ国にかつては多く自生していたというこのガジュマルは、通常のものに比べて耐寒性が強く、
降霜程度には耐えることができた。

リワマヒ国遺跡封印会議の考察によれば、仮に、あの緑の地獄とすら呼ばれたリワマヒにおいてでさえも、
土壌の上で生育しないことから、土壌の影響を受けることなく通常の生態を維持し、
遺跡の影響で真っ黒に変質した植物すらも気根で覆い尽くして枯らしてしまうであろう事が予想された。






リワマヒ国のガジュマルにまつわる伝承


現在より遥か前のリワマヒ国。
当時、英明なことで知られた藩王が豹変、悪行の限りを尽くした時代があったという。
彼は冷たい笑顔を浮かべながら、多くの無辜の民を殺し、またその資産のことごとくを奪った。

これを怒ったガジュマルの精がある日、この王を絞め殺そうとする。

ガジュマルに絡みつかれ、動くこともできずに徐々に取り込まれていく王。
多くの民はこれを報いとして畏れながら受け入れたが、幼い少女がこれを嘆いた。

「おうさまは、きっとむかしのやさしくてかしこいおうさまにもどるから。ゆるしてあげて」

王の足元に縋り付いて泣く少女からこぼれた涙が、ガジュマルに触れた途端のことである。
するりと王の戒めは解けた。

解き放たれた王は、不思議なことに以前の英明なる藩王としての心を取り戻していた。
彼は語る。

「いつのものとも知れぬ遺跡に入ってからというものの、頭に靄がかかったようであった」と。

これを聞いたガジュマルの精は、自らを遺跡に根付かせた。
その身で遺跡の入り口を塞ぎ、二度とこのような事が起こらぬようにしたのだという。







遺跡の封印SS




「島津さん、真面目な人だと思ったんだけどなぁ……いや、真面目すぎてってやつ?」

そんなことを呟いて、とぼとぼと歩くアフロの男が一人。
リワマヒ国民、皆見一ニ三である。
しょぼくれて某西国の町並みを歩いている。

へこんでいる理由はほかでもない、
あの緑の地獄とすら言われたリワマヒの悲劇を二度と繰り返すまいと、
危険な遺跡の封印技術を編み出すべく行われた、幾度目かの遺跡封印会議にあった。

会議の議題は、もう何度目か分からない、
遺跡封印のための「数千年変わらないもの」の選定についてであった。

議事進行も煮詰まり、
各地に散った国民に聞きとった情報がファイルボックス数個にもなろうかとなったころ、
同じリワマヒ国民である島津 裕という男が唐突に言いだした一言は、皆見の完全な予想外だった。

「このおとぎ話を見てください。まさに現状にぴったりです。
 おとぎ話に出てくるこの木を探しましょう

まして、それを自分が引き受ける羽目になるとは思わなかった。


 それでもまだ、南国だった頃のリワマヒなら見つかる可能性もあっただろう。
ガジュマルといえば往時はどこにでも生えている普通の木のひとつだった。
しかし、今のリワマヒは世界樹の変じた砂に埋もれた砂漠の国。
砂漠の真ん中に木が、それもガジュマルの木が生えているなどとはとても思えない。


どうしたものか考えに考え、結局途方に暮れて今も某西国の街を歩いている。

「よおっ! 白いサマードレスの男じゃないか!」

そんな皆見の背を不意に叩く、どこか懐かしそうな声。
振り返れば、声の主はどこか見覚えのある南国人の青年だった。

「あ、前に服を買った時の店員さんかい?」
「そうそう!覚えててくれたんだなぁ」

/*/

「遺跡の封印SS:皆見一二三は白いサマードレスの男」

/*/


それは、まだT11も半ば、リワマヒ国がまだ平穏であった頃である。

皆見は、リワマヒ国のとある商店街に服を買いに行ったことがあった。
同国民であるダムレイが、妹へのプレゼントを探していると聞いてのことである。

「これを渡してあげてください。あ、うちじゃなくてダムレイさんからということで」

黙って買ってきて、そんな格好いい台詞と共に渡してあげるつもりだった。
手持ちの名台詞集(自作)には、類似の台詞が10種ほどある。
独自の価値観で格好をつけたがる所こそあれ、基本的には人の好いアフロなのだった。

ダムレイさんの妹さんならいい子なんだろうなぁと呟きながら考える。

まだ幼い少女であるとのことなので、かわいらしい服などがいいだろう。
そんなことを考え、手近な洋品店へと入っていった。


ところで、この皆見という男である。

サングラスがつき刺さっている金髪はキラキラと輝きを放ち、
例えるならばミラーボール、南国人特有の浅黒い肌と合わせて異常なまでにソウルフル。
彼の風体は控えめに言っても目立っていた。

実のところ彼は、商店街でその姿が確認された瞬間より不審人物として
一帯からマークされていたりする。
何かする度に、その動きはご近所同士のささやきネットワークに捕捉されていた。

皆見が入った洋品店の店員にも彼の情報は伝わっていた。
店内の様子は町内会の有志により窓から監視されている。
伝えられた店内の情報は、商店街の一同を震撼させた。

「子供服……それも女児コーナーで、手に取った服を隅々まで舐めるようにチェック!?

皆見の名誉のためにあえて記す。
サイズなどを記したタグが見つからず、探していただけである。



「つ、、次に動いたときに一斉じゃ!」
もはや我慢がならぬ、とばかりに町内会長のヨシダさんが、焦ったように指示を出した。
政策によりよく訓練されていた町民たちは、店内の者に悟られぬよう、さすまたを手に洋品店を包囲する。

やがて、皆見が白いサマードレスを持って歩き出した。

「すいませーん、これいくら?」
「……お、お客さんにはサイズが小さいんじゃないかな、子供用だし……!

脂汗をかきながら応じる店員は、うっかりと純白のサマードレスを着た皆見を想像してしまった。顔が青い。

「あんた、何か顔色が……って、うおわぁぁぁぁぁっ!?

気遣って店員に手を伸ばしたことが、引き金となった。

「かかれぃっ! 藩王様、ワシらの町はワシらで守りますぞぉぉぉぉぉっっ!!
町内会長の合図で一斉に町内会の青年団が突入、皆見を取り押さえる。

/*/

捕らわれた皆見が事情を説明し彼らを納得させるまで、2時間ほどを要したという。

この件以来、何故か皆見はこの商店街をしばしば訪れるようになる。
リワマヒの国民は実におおらかなのだった。

そして。
話してみるといい人だった皆見が、その風体もあって商店街のちょっとした
有名人になるまで、さほど時間はかからなかった。
以後、この商店街において「白いサマードレスの男」と言えば皆見を指すようになる。



/*/


○某西国の街中にて皆見一二三、立ち話する

「懐かしいねぇ……商店街の皆は?」
「……わかんねぇ。逃げる時にバラバラになっちまった奴も多いよ」
「……そうかい」

同時に、陰鬱にため息を吐く。
しばし居心地の悪い沈黙が続いた。
それを振り切るように店員が首を振る。
「もう、あんなことは起きて欲しくねぇよなぁ。ま、あんたが無事で安心したよ」

「あ。そういえば、そのことなんだけど」
と、事情を説明する皆見。
ここで会えたのも何か運命のようなものだ。不思議と、素直にそう信じることができた。


「あ。その話、うちの商店街の近くだ」
事情を聞いた店員の返事は実に軽い。
開いた口が塞がらないのは皆見である。

「……まじ?」
「マジ。近くにやたら大きなガジュマルの木があってなー。子供の頃はガジュマルの精に
 絞め殺されるぞってよく叱られたよ」
「何とか言う王様が、突然おかしくなったって話だっけ?」
「そうそう。他にも、話ならいっぱいあるぜ?」

これほど早く情報が掴めるとは思わなかったが、願ってもないことだった。
現物が見つかるかどうかは別だけど、と思いつつも話を促す。

「へぇ。王様のくだりだけじゃなく?」
「そんな昔の話じゃなくて。ガジュマルの精を見たなんて話は、ゴロゴロしててさ



○皆見一二三と信心深い店員

えー。
いきなり胡散臭くなったなぁ、と心中に一筋の汗を垂らす。

「待てって、俺もちらっとだけど見たことあるんだから間違いないって!」
考えが顔に出たらしい。
流石に失礼かと思い、皆見は何とか引きつった笑顔を作った。

「あ、あはは……どんなのだった?」
「ヒラヒラの服着てて、すげぇ可愛い女の子だった」
「……理想の嫁?」

つい、口を滑らす。
店員は必死に言い募ってくるので問題はなかったが。

「違うって!見たっていう他の奴も言ってたんだぜ。{ガジュマルの精は、
 高飛車なお姫様みたいな奴なんだ、}ってさ」
「ふーん。で、お前さんが見たのもそんな子だったって?」

話を催促する。
今度は口も滑らせてないし、顔にも出てないと思う。

「そうなんだよ。ガキの頃、さっき言ったみたいに叱られてさ。ベコベコにへこんで、
 『絞め殺されちゃうの?』とか聞きに、例のガジュマルに行ったことがあってさ」
「純真だねぇ。想像できないかも」
「ほっとけ。で、やたら布を重ね着した女の子がいつの間にか側にいて。
 『妾はそのくらいで締め殺したりはせぬ』とか偉そうにふんぞり返ってた」

語る店員の目は、どこか懐かしそうであった。
面白おかしく話を作っている訳でもなさそうである。

彼の話はまだ続く。

「あれこれ喋ってる内に、俺も元気出てきちゃってさぁ。そしたら『ではな』とか
 言って、その娘はすーっとガジュマルの木に消えちまったってわけ!
 な? どう聞いてもガジュマルの精だろ?」
「そりゃ、夢のある話だ」

「お、そうだ!『妾を探す者に会ったら、今日の話でもしてやるがよい』とか
 言ってたぜ?それってひょっとして今か!? すごくねぇ!?」

店員のテンションが上がっていく。
なんとはなしだが──そしていい年した男をそう思いたくはなかったが──つい
そんな男を微笑ましく思ってしまう自分がいた。

信じてもいいか。行くだけ行ってみよ。
皆見の心はなつかしい故国、いまや砂の国リワマヒへと馳せていた。


/*/

○皆見一二三、砂漠を越えて


それから1週間が過ぎ、皆見はコンパスと地図を片手に、リワマヒの砂漠を歩いている。
何もかもが砂に埋もれているが、危険すら埋もれて逆になにもないような道中であった。
地図の上では、この辺りがもと商店街のあったあたりのはずである。


「なんもないし。やっぱり砂の下なんかなぁ……」

物悲しい気持ちになり下を向いた。
ふと、そこに赤い果実を見つける。
無限に広がる砂漠の中で、何の脈絡もなく落ちていた。

それは地面から湧き出したようであり、誰かが置いておいたようでもある。
皆見はリュックサックから植物図鑑を取り出す。
一般的なガジュマルの実と何ら変わるものではなかった。
ただ、自然のようなさりげなさで、不自然なことにそこにある。

「なんだ、これ?」

化かされたような表情を浮かべながらも、それを拾い上げた。

なんか偉そうだけど憎めない感じだなぁ、と唐突に思う。
木の実に何でそんなことを思うのか、自分でもよくわからなかった。


ガジュマルの精は、高飛車なお姫様みたいな奴なんだってさ。

そんな商店街の若者の話を思い出す。
辺りを見回すが、特に誰がいる訳でもない。

(もはや動けぬ妾の代わりじゃ、しっかり頼んだぞ?)

ただ胸に、静かな声が伝わってきたようだった。


/*/


リワマヒ国の有志が、この果実を用いて遺跡を封じる技術を生み出すのは、
こののちすぐのことである。
皆見はこれを、ガジュマルの精のおかげ、と誰はばかることなく話すのであった。




製作スタッフ

イラスト:和子@リワマヒ国
本文設定:島津 裕@リワマヒ国
本文SS:島津 裕@リワマヒ国
校正とチェック:室賀兼一@リワマヒ国、リワマヒ国の皆さん

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー