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「~he's coming back~」


 執筆者:ヤマト

夜闇を妖しく炎が照らす。

小さな採掘基地での暴動を鎮圧すべく一人のレイヴンが雇われたのだ。

ガイアフレア/ダイスケ

かつてはツヴァイと呼ばれた特務部隊員。現在はフリーランスのレイヴンとして第一線で活躍中である。

「呪うのならば、武力蜂起を掲げたお前達のリーダーを呪うのだな」

すでに物言わぬ鉄屑へと変わったMTに言葉を投げる。
今回の戦闘も例に漏れず酷い有様だった。
中量2脚型のACの動きについていける機体は無く、1機、また1機と破壊されていく。
なにしろ作業用MTにACのバズーカやグレネードを積んだだけの粗悪な構成では攻撃力だけはあるが防御力、機動力がないに等しい。
結果、初弾を避けられたら自然と撃破されるのを待つような状態に陥る。


戦闘開始から172秒。採掘基地に残ったのは炎と煙に巻かれたMTと悠然と佇む紫のACだけであった。

「周辺にエネルギー反応無し。お疲れ様 帰還して」
「・・・了解 ガイアフレア帰還する」


アジトのガレージに機体を戻し、ブリーフィングルームへと足を向けると、すでにティアが待機していた。
「お疲れ様。すぐにクライアントに繋ぐわ」
目配せで感謝の意を示し、備え付けのテーブルに用意されていた熱いコーヒーに口を含む。
程なくしてブリーフィングルームの大型ディスプレイに中肉の背広姿の男がうつった。
今回の採掘基地暴徒鎮圧を依頼したミラージュの幹部だ。
「早いですね。こちらでも衛星回線を経由して見させて戴いてましたが・・・いやいや、貴方にお願いして正解のようでしたね?Mr'ダイスケ?」
「世辞はいい。ビジネスの話をしよう」
「・・・ふう、わかりました。今回の報酬ですが、契約通り支払わせていただきます。それともう1つ・・・Mr'ダイスケ。貴方を我が社に引き抜きたいと上層部の方で話が挙がっていましたが?」
「私たちは公平な立場を望んでフリーで動いています。1企業との専属契約には応じません」
依頼人の提案に即座に返答したのはティアであった。
彼女は少々潔癖の癖が強いみたいだ、と思いつつダイスケは口を開いた。
「今さら企業に未練はない、ミラージュのパーツは俺と相性がいい。それだけだ、何もひいきにしている訳では無い」
ダイスケの冷たい視線に射抜かれ、ミラージュの幹部は額に冷や汗を浮かべながら、
「後悔するぞ?ディエス・イレのツヴァイ」
「!?」
ティアが驚愕の表情を浮かべダイスケに振り返る。
「・・・ディエス・・・・・イレ・・・・・・?貴方が・・・?」
「そこまで知っているなら俺の答えも解っていたはずだ。依頼は受ける、だが・・・お前達には組しない」
数秒の沈黙の後、大型ディスプレイの映像が消えた。
ブリーフィングルームにはダイスケを見つめたままのティアと、黙してブラックアウトした画面を睨むダイスケのみが残された。

「今の話は・・・本当なの?」
不安げな表情でダイスケに問いかけるティア。
「昔の話だ。今はもう、部隊も壊滅している。・・・怒りのエンブレムも棄てた」

ーー何より、仲間を失ったのだからーー

温くなったコーヒーをテーブルに置き、報酬の受け取りは任せた、と一言だけ残し、ダイスケはACガレージへと歩きだした。
アジトのガレージには2機のACが居並んでいる。
1機はガイアフレア。先日、サンドゲイルに敗北したタイタニア・ダークネスに変わる機体である。
とはいえディエス・イレに入るまではガイアフレアを使用していたので[変わる]よりも[戻した]といったほうが正しいのかもしれない。
ガイアフレアの隣にはエメラルドグリーンを基調とした中量2脚型のACが静かに、帰らぬ主を待ち続けていた。

[フェイクラブ]

ディエス・イレのアインが搭乗していた機体である。
特務部隊壊滅時にドライはコクピット部に特攻兵器の直撃を受けKIAを確認しているが、アインは気を失う直前まで戦っていた事を覚えている。
そもそもアインが特攻兵器ごときにやられる所をどうしても想像できないでいた。

彼は人間的にも魅力的な男であった。明るくとても人懐っこい性格をしており、よく冗談を口にしたり、ドライにセクハラじみた事をして蹴られては周囲を和ませていた。
そのくせレイヴンとしての腕は超一流で操縦技術、判断力、指揮能力、どれをとっても自分よりも上回っていた。
「お前は今、どこで何をしているんだ?」
フェイクラブを見上げながら呟いたダイスケに予想だにしない返答が返ってきた。
「ガレージでむっつり相手に作戦会議しに来たんですけど?}
「!」
予期せぬ返答に驚きながら振り返るとティアがガレージの入口からディスプレイボードをひらつかせながら睨んでいた。

「次のミッションの打ち合わせを忘れていたから来てみれば・・・」
ティアはため息をつきながらダイスケの前まで進んだ。

「どのようなミッションがある?」
「えと、高報酬のミッションは2件あるわ。一つはアークからのアリーナへの招待。勝てば結構な額の賞金ね。もう一つはキサラギの研究施設の防衛よ。調べてみたんだけど、キサラギは新型の生体兵器を造っているようね。それも”失われた旧世代技術”を使って」
[旧世代技術]のフレーズだけ顔をしかめながらティアが報告する。
(旧世代技術・・・たしかアインは旧世代の事に興味があったな。
金を稼ぐか?俺の目的を遂行するか?キサラギは技術屋集団だ。旧世代の技術解析に関しても
いい線をいっているはず。ならばヤツも来るか?)

「何かとても楽しそうな顔をしてるわね?」
棘のびっしり生えた言葉は無視し、依頼受諾の旨だけを伝える。
「キサラギの依頼を請けよう。クライアントに連絡してくれ」
「ちょっ!貴方、正気!?AMIDAだけでもおぞましいのに、さらに旧世代技術まで使われたら・・・」
「ティア、俺達はサラリーマンじゃない。ましてや兵士でもない。・・・傭兵だ。これから先、疑問や合点のいかない依頼も多いだろう。しかし、全てに意を唱えていてはこの世界では生きていけない。早めに気持ちを切り替える事だ」
「でもっ」
「ティア?もう一度だけ言う。・・・俺も、君も、傭兵だ」
「・・・っ」
言葉少なに語るダイスケの言う事は理解できる。
…が。
それでも遠くない未来に人類の脅威たりうる生体兵器の開発に手を貸す事に頭では理解できるが感情面では納得できないティア。
自分に潔癖の性があるのは知っている。おかげで25になる今でも彼氏はいない。
だが、こればかりは性格だ。すぐにはどうにもならない。
「・・・・・・キサラギに連絡、とってくる・・・」
俯きガレージを出て行くティアの背中を見つめながらダイスケは想う。
(ティア、この世界で生きていくには、まだお前は綺麗すぎる。だから、並の傭兵論にたどり着くまでは、俺は憎まれてやる)

ティアの姿が見えなくなってもダイスケはティアのこれからを案じ見つめ続けていた。依頼受諾の翌日、ダイスケとティアはキサラギの研究施設に泊り込みで警戒していた。

相手はミラージュ。ACの情報こそ無いもののキサラギがレイヴンを雇ったのであれば向こうもレイヴンを雇う可能性が高い。事実、ACに対してはACをぶつけるのが定石だからだ。

「お疲れ様です。一度戻って休憩して下さい」
「了解、ガイアフレア帰還する」

施設内部にある地下演習場のガレージに機体を格納し、隣にある管制室へ移動する。

部屋に入ると職員に混じってコンソールに向かうティアのピンク色のポニーテールが揺れていた。
(アインなら間違いなく引っ張りそうな頭だ)
ティアのポニーテールを引っ張って叩かれるアインを想像し、内心で苦笑しながらティアに声をかける。
「何か問題は?」
「無いわよ。ガイアフレアは至って正常、巨大兵器が相手でも楽勝なくらいね」
「そうか」
「ご飯まだでしょ?一緒に食べよ♪」
機体のチェックを済ませたティアはダイスケの腕に抱き付き歩きだそうとしたが・・・。

「「!」」
ダイスケは腕を振り抜き乱暴にティアを引き剥がした。

突然の事に硬直する管制室。その中でいち早く復帰したのはティア本人だった。
「あ・・・ごめん・・・こういうのイヤだって、前言ってたのにね・・・」
「・・・食事に行こう」

ーーーーーーーーーーーーーーー

食堂までの道程がティアにはものすごく遠く感じる。
前を歩くダイスケの背中からは普段よりも強い拒絶の意思を感じていた。
それでも食事に誘ってくれるダイスケにティアは少なからず疑問を抱かずにはいられなかった。
(私の事、気に入らないならチーム解散してアークにでも行けばいいのに)
街の求人協会で知り合って半年になるが、相棒というよりは単なる同僚といった関係だ。
親睦を深めようとするが上手く避けられる。もちろん男女の関係すら無い。
「ねえ、ダイ・・・」
話かけたとたんに警報が施設に響いた。
『緊急警報!ミラージュの攻撃部隊が接近中!非戦闘員は至急、シェルターに非難せよ!繰り返す・・・』
続いて館内放送が敵の接近を知らせる。

「いくぞ」
「・・・うん」

質問も食事もできないまま二人は来た道を駆け戻る。
ティアが管制室のコンソールに向かい、次いでダイスケがACのコクピットに潜り込む。
緊急出撃に備え、機体をアイドリング状態にしていたおかげかコクピットハッチが閉じると同時に戦闘補助AIが目を覚ます。

『メインシステム 戦闘モード起動します』

ガイアフレアの頭部にあるゴーグルアイが黄色の光を宿す。
ガイアフレアは地下演習場を抜け、隣接する地上に直結しているエレベーターに乗り一気に地上に躍り出る。
地上に出ると所長から通信が入った。
『地上設備はいくら破壊されてもかまいません!敵の施設侵入阻止を第一にお願いします』
「了解。敵の施設侵入阻止を最優先に行動する。・・・ティア、状況は?」
『ミラージュのMT部隊を確認。強襲型4、その後に重装型7、最後尾に支援型8、合計MT19機の大部隊よ』
うんざりする程の大所帯に内心ため息をつきつつ、ACがいない幸運に感謝する。
瞳を閉じ軽く深呼吸し、見開く。
「ガイアフレア、状況を開始する」

お決まりの常台詞を口にし、細胞の一片までをレイヴンへと変質させると、そこには特務部隊として生きた猛禽が居た。

ブーストペダルを軽く踏み込みガイアフレアを前進させる。
ティアからの情報通り、敵部隊の先陣には横一列に並び、低空飛行してくる4機の強襲型MTが視えた。その内の右から2番目のMTに右背部に装備されているレーザーキャノンを見舞う。
レーザーキャノンの直撃を受け、派手に爆砕するMT。慌てて散開するも今度は逆の最右翼の強襲型MTがガイアフレアの左腕から放たれた二筋の熱線に貫かれ墜落する。
ACを相手に強行突破は無理と判断したのか、残りの2機は最小旋回半径にて後方に離脱、後続と共に雪崩攻撃でこちらを抜く算段だろうが、ダイスケも甘くはない。
ガイアフレアをフルブーストで前進させ”あえて”敵部隊の中心に突撃させる。

出会い頭に重装型の腹に右腕のリニアライフルを一発、さらにコア搭載のイクシード・オービットを起動。バランスを崩した正面の重装型MTを両手とEOによる高密度火力によって粉砕。
開けた視界には支援型MTが視える。
ダイスケはすかさず左背部のミサイルコンテナを展開、ブースタを吹かし左右からのバズーカを上昇して回避しながらトリガーを引いた。
ミサイルは吸い込まれるように支援型MT4機をかみ砕く。ガイアフレアの足元では目標を失ったバズーカが友軍に命中、重装型MTが2機頓挫していた。

ー狙い通りー
地上設備は破壊されてもかまわないと言われたが、依頼の主目的は施設の防衛。被害が少なければ、ボーナスも入るだろう。
故に、あえて敵部隊の中心に突撃し、同士討ちも狙って短期決戦を仕掛ける。乱戦になれば敵は部隊規模で行動している為に同士討ちを警戒し攻撃の頻度が低下する。
対してこちらは単機。乱戦になろうが一騎打ちになろうがたいして変わらない。

一瞬にして友軍の半数を失い狼狽するミラージュ部隊。最初の強襲で隊長機も撃破されていたのか反撃らしい反撃もできないでいた。
予想通り、重装型と支援型の間に陣取っているために敵の攻撃は散漫だ。バズーカを避けられると支援型が吹き飛び、ミサイルが外れると重装型が鉄塊に変わる。翻弄され数を減らしていくミラージュ部隊。

「・・・終わりだ」
上空から急降下してくる強襲型MTをサイトの真ん中に捉え、操縦桿のトリガーを引く。
最後まで奮戦していた強襲型MTもガイアフレアにプラズマライフルを浴びせた代償にレーザーキャノンの直撃を受けスクラップと化して地上に降りた。


『敵部隊の全滅を確に・・・! まだよ!強襲型が1機!南西方向から来る!』
「なに!?」
最初に離脱していた強襲型MTは、大きく、ゆっくりと旋回しながら味方の全滅を待ち、油断した所に特攻を仕掛けるつもりだったのだ。
ダイスケは急ぎガイアフレアを敵機に向けレーザーキャノンを構える。
「駄目だ、遠すぎる・・・!」

ーFCSのロック距離外ー

マニュアル照準にて砲撃を敢行するも掠める程度にしか当たらない。
さらに、敵機の侵入コースは車のゲートウェイ。シャッターは降りているもののMTのプラズマライフルで簡単に吹き飛ばされる。

「ティア!」

思わず叫ぶダイスケの前でMTのプラズマライフルが不気味な光を湛える。
次の瞬間、強襲型MTが爆砕した・・・。

一同はしばし呆然とMTの花火に魅入るしかなかった。

研究所の中央管制室から通信が届く。
『レイヴン!新しい反応です。研究所の西方向、熱源反応からしてACと思われます!』
「・・・!AC!?今さら?」
通信に我に還ったダイスケはレーダーに目を向ける。
たしかにACの反応だ。赤色の明るく濃い光点が東北東に輝いている。

マーカーが赤い以上、まずは敵と判断し戦闘態勢を整えると同時に戦闘補助AIに状態を診断させる。
「セルフチェック」
短く、それだけを告げる。
『AP86%、残弾60%、機体温度許容範囲内、コンデンサー全快、各部正常、システムオールグリーン』
戦闘補助AIはパイロットの要望通り、必要な情報だけを的確かつ簡潔に報告する。施設侵入を謀ったMTを撃墜した謎のACはゆっくりとガイアフレアに近づき距離700の位置で停止した。
右背部のレールガン、先程の攻撃はこのACに間違いない。
『気をつけて。そのAC、ライブラリに無いイレギュラーよ』
ティアが分析結果を告げる。声がひきつっているのは、過度の緊張の為だろう。
データに無い4脚型のAC・・・味方と思うには判断材料が少なすぎる。
「試してみるか?」
覚悟を決めてダイスケは謎のACに通信回線を開いてみる。

「こちらガイアフレア。貴機の所属、名称を聞かせ願う」
先報を発し相手の答えを待つ。 不気味な沈黙の後、求めていた答えが返ってくる。
『よう、ダイスケ。またずいぶん懐かしいモノに乗ってるんだな?』
「!?」
返報は次元違いの衝撃をダイスケに与えた。その声はずっと捜し求めていた人物の声であった。
「・・・アイン?」
『え?アイン?アインって、まさかディエス・イレの!?』
探し物が見つかるのはいつも唐突だ。
そんな事を言ったのは誰だったか。ダイスケの探し物は、向こうから姿を見せた。

『お前がここに居るって事は、研究所を守っているんだよな?』
いまだショックから復帰できないでいたダイスケにアインの言葉が届く。
「あ、ああ。その通りだ、旧世代技術を追っていたら貴方に行き着くと思ったから」
『なら・・・お前は俺の敵だ』
「!」
ガイアフレアが横っ飛びするのと、アインのACの左腕からグレネードが放たれるのは同時だった。
グレネードは背後の絶壁に当たり爆発する。
「待てアイン!なぜだ!なぜ俺が貴方の敵になる」
『ん~。なぜって、このアイン・ソフ・オウルを遺跡で見つけたは良かったがブラックボックスの塊でな?さっぱり言う事を聞かねえ。だがな!』
アイン・ソフ・オウルの背後で凶暴な光の塊が収束していく。
『敵機のオーバード・ブーストの起動を確認』
戦闘補助AIが警告を発する。完全に混乱していたダイスケには、〔AIが何か言っている〕程度にしか聞こえなかった。
アイン・ソフ・オウルはガイアフレア目掛けて大質量の弾丸と化し突進した。
「・・・っく!」
『ダイスケ!』
反応が遅れたガイアフレアはアイン・ソフ・オウルに押し倒される形となり、両腕を前脚で拘束される。
『声が聞こえるんだよ・・・』
「・・・声?」
『ああ。声だ。”完成させろ”ってな。そこで旧世代技術を解析してる連中のトコまでは行けるんだが、そこまでだ。MTやACを見ると訳がわからなくなる。だから・・・』
憂鬱と語るアインは、機体左腕のグレネードをガイアフレアのコクピットに向ける。
『死んでくれ』

ダイスケは死の予感にアイン・ソフ・オウルを引き剥がそうと、最大出力でガイアフレアを動かすが見た目からは想像もできない相手の出力に機体はびくともしない。
『ダイスケ!逃げて!早く!!』
ティアの叫びが耳を打つが動けないのだからしかたない。
引き剥がせないなら相手に隙を作るしかないと判断。コア搭載のEOの起動ボタンを力一杯押し込むが、押し倒された衝撃で故障したのか反応はない。
『じゃあな、ダイスケ。・・・我ガ糧ト成ルガイイ』
アインの別れの言葉に睨みで答えるダイスケ。
…しかし、いつまで経ってもグレネードが火を噴く様子は無い。
??
不審に思ったのも束の間、アインの呻き声が聞こえる。
『ぐ、う゛ぅぅぅぅ。あ゛ぁ゛ぁぉぁ・・・』
アインの呻きに呼応するようにガイアフレアを拘束する力が弱まる。
ーーチャンスーー
ジェネレーターの出力を限界まで跳ね上げ、ブーストペダルを踏み抜く。
拘束を抜け出しそのまま後方へブーストジャンプし、リニアライフルを構える。
『ガアァ゛ァァァ』
人のモノとは思えぬ声を発し、アイン・ソフ・オウルは旋回、そのままOBを起動し離脱していった。
『敵機の離脱を確認。大丈夫?ダイスケ?』
「・・・ああ」

『周囲に熱源反応無し。ありがとうごさいました。レイヴン、帰還して下さい』
研究所の管制官からの作戦終了を告げる通信に、過剰なアドレナリンの熱が冷めていく。

機体を地下演習場に格納しデッキに降りると、ティアが涙を湛え抱きついてきた。
「もう!こんな・・・っ、心配させて・・・っ」
「・・・」
これまで他人との関わりを極力避けてきていたダイスケにとって、ティアの涙はとても美しく、そして眩しく映った。
(この娘は、俺の為に涙を?)
そう思うと、自然と自分の胸に顔を埋め、泣き続ける背中を包む。
「すまなかった」
ティアを優しく包みながら、真心で謝罪の言葉を口にする。
「・・・っ・・う・っ」
それを聞いたティアは、ますます涙を浮かべダイスケに縋りついた。

(最後のあの呻き・・・アイン。貴方に一体、何が起きた?)
安らぎと困惑に支配されながら、ダイスケは変わり果てたアインを想った。

 ~he's coming back~ END


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