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第五話*②/ /第六話


 リニアは少しもスピードを落とさずに目的地へと向かう。
 運搬用リニアはもちろん無人で、入力されたプログラム通りの進路を走っていく。
 今通っているのはサービストンネルと呼ばれる場所で、エデンの地下階層にクモの巣のように張り巡らされている。
 同じようにエデンに路線が張り巡らされているリニアとの違いは行き先だ。
 サービストンネルは工場や制御区の制御棟のジェネレーターや制御装置が設置されている地下階層に素早くアクセスする連絡通路で、業者や政府関係者しか利用できないのだが、グローバルコーテックスはエデンⅣ建設のおり、エデン内部での作戦時に素早く展開できるようにサービストンネルの利用許可と路線の開通権を取得していたのである。
 政府も建設に巨額の出費をし、完全中立を掲げるグローバルコーテックスにノーとは言えなかったためだ。

 程なくして、リニアは制御棟の地下2階に位置するアクセスランプに到着した。
 さすがに敵が潜む地下3階に直接乗りつけるのは危険度が高い。
 脚部のロックを解除し、立ち上がる。
 アクセスゲートの前まで来ると、再びミランダから通信が入った。
「アクセスゲートのロックを解除します。そのまま暫くお待ちください」
 ミランダがロックを解除するまでに、システムを戦闘モードへと移行する。
『コマンドを確認。システム、戦闘モードに移行します』
 中性的な電子ボイスが簡潔に情報を伝える。
 ブリューナグに搭載されているAIは特別高性能という訳ではない。どのACにも搭載されている一般的なものだ。
 個人差はあるだろうが、俺の場合、必要最低限の機体状況が把握できれば後は自分で判断できる。
 一時期、高性能AIを使ってみたこともあったが、こちらが分かり切っていることもいちいち伝えてきて耳障りだったので止めてしまった。
 ボイスは作戦行動中、自分にとって精神的・心理的に影響の少ない中性的なものにしてある。
 これはもう好みの領域だが、俺は自分の愛機に疑似人格を求めていないからだ。
「ゲートロックを解除しました。作戦開始です。レイヴン、ご武運を」
 目を閉じ、一度大きく息を吸い、吐き出す。
「了解。ソリテュード、作戦を開始する」
 目を見開き、コントロールレバーを強く握る。
 リモート操作でゲートを解放し、開かれた通路へブーストを吹かして侵入する。
 自慢の高性能レーダーの索敵によって、このフロアに敵がいないのは確認済みだ。
 事前に入力しておいた制御棟のマップを横目に、最短距離を割り出したAIのナビゲートに沿って地下3階へと通じるエレベーターを目指す。
 途中、テロリスト達がトラップを設置していることも想定していたが、思いすごしだったようだ。
 相手にそこまでの余裕は無かったらしい。
 何の抵抗もないまま、エレベーターへとたどり着いた。
 念のために各種センサーを使って、エレベーターにトラップが設置されていないかスキャンする。
『スキャン終了。異常は認められません』
 AIからの結果報告を聞くと同時に、エレベーターのゲートを開き、滑り込む。
 エレベーターは対象物が乗り込んだことを判断すると、自動で降下を開始する。
 降下Gを感じながら地下3階のマップをコンソールから呼び出し、構造をイメージしていると、ミランダから通信が入った。
「間もなく地下3階に到達します。エレベーターを出た通路の先に2機の熱源を確認しました。注意してください」
 こちらのレーダーでもすでに索敵済みだった。2つの機影がせわしなく動く。向こうもこちらの侵入を察知したのだろう。
「こちらでも確認した。視認し次第、殲滅する」
 室内に、ガクン、と大きな振動が伝わる。対象物を運び終わったエレベーターは自らその扉を開いた。
――さあ、ゲームの始まりだ。
 ブーストを吹かし、最大戦速で一気に加速する。
 10メートル以上の巨体が約400キロものスピードで狭い通路を疾走し、レーダー上での互いの距離が一気に縮まってゆく。
 FCSはすでに隔壁越しに敵を熱源ロックで捕らえており、メインディスプレイには2つのシーカーが表示されていた。
 その距離、約500メートル。
 レーザーライフルの有効射程圏内だったが、さすがにレーザーでも隔壁を撃ち抜いて攻撃することはできない。
 閉所での戦闘の宿命だが、多少の被弾は覚悟で突入するほかない。
 距離は見る見るうちに詰まり、隔壁越しに互いの距離は100メートルを切っていた。
 ソリテュードは一度止まり、隔壁の解放をリモート操作するのと同時に、隔壁が開ききる直前を見計らって、オーバードブーストを起動した。
 強烈な加速Gが体をシートへ押し付ける。
 急激な加速に脳が軽くシェイクされ、一瞬くらりとブラックアウトするような感覚に襲われるが、それはすぐに戦意の高揚感へと変わる。
 隔壁が開ききったのと同時に、その先の小部屋へと文字通り飛び込んだ。
 小部屋で待ち構えていた重装MT2機は予想もしなかったACの突入方法に明らかに面食らっていた。
 その内、手近の1機に最接近し、一気にブレードで薙ぎ払う。
 高エネルギーを集束した一閃を密着状態で食らったMTはコクピット部分をごっそりと抉り取られ、二度と動くことはなかった。
 突然の襲撃に加え、僚機を失った残りのMTはブリューナグが自分の方へ向き直った所でやっと我に返った。
 慌てて、メインウェポンのバズーカで反撃を試みるも、先を読んでいたブリューナグに簡単に回避される。
 ソリテュードは回避と同時に右へブーストで横滑りしながら、レーザーライフル3発をMTへと見舞った。
 レーザーライフルの弾速は実体弾ライフルよりも圧倒的に速く、弾速も再装填も遅いバズーカとは比べるべくもない。
 結局、MTは抵抗できないまま、止めの一撃でジェネレーターを打ち抜かれハデに爆発し鉄クズと化した。
 敵の本隊が待ち受けている制御装置のフロアまでのルートを確認するため、マップを呼び出す。
 見ると、中央の制御装置が設置されているフロアへの道のりはほぼ一本道なので、当然通路上での迎撃が予想される。
 先程は小部屋だったので回避スペースがあったが、狭い通路でのバズーカの射撃はACでも侮れない。
 レーダーを見つつ、マップと照らし合わせながら戦術イメージを再構築する。
 どうやら待ち構えている敵MTは、これまた2機で、通路は小部屋を出てから直進し、右へ曲がる構造になっている。
 MTは曲がり角の先でこちらを迎撃するつもりらしい。
――なるほど、悪くない選択だ。
 オーバードブーストによる強行突撃も考えたが、リスクが高い。
 何か手は無いかとマップに眼を凝らすと、制御装置のフロアへの通路は右に曲がっているが、小部屋を出て直進した先にも別のフロアがあり、曲がり角の先にも多少の直進スペースが残っていた。
――これだ、この構造を利用しよう。
 方針が固まれば、後は実行するのみ。
 先の通路へと続く隔壁を解放し、今度は通常歩行で距離をじわじわと詰めてゆく。
 距離を詰める間に、兵装をレーザーライフルから右肩のミサイルへと切り替える。
 ミサイルの有効射程はレーザーライフルよりも長い。
 通常歩行で距離を詰めたのは、2機のMTに壁越しの熱源による多重ロックをするためだ。
 すでにロックオンサイトに敵を収めたFCSは1機につき3発のミサイルロックを完了した。
 そしてロック完了と同時にエクステンションを起動する。
 ブリューナグの両肩に装備された連動ミサイルのハッチがガバッと開き、そこからミサイルの弾頭が顔を覗かせる。
 ハッチが開くその様子は、獲物を狙う獰猛なワニを連想させた。
 通路の曲がり角を直前に控え、ソリテュードはレーダーを見る。
 相手に動きは無く、こちらに打って出てくる様子はないようだ。
 それを確認すると、ソリテュードは機体を右の壁に正対するように向け、左方向への水平移動を始めた。
 ディスプレイ越しの風景は、ひらすら壁が左から右へ流れていく様子だけが映し出される。
 そして、曲がり角直前でブリューナグは一旦停止し、次の瞬間、ブーストによる左水平走行を開始した。
 ディスプレイの画面に映し出さていた壁は急速に右へと流れ、唐突に視界が開ける。
 その先にはバズーカを構えたMTが2機。
 想定していた通りの映像を確認した瞬間、コントロールレバーのトリガーを引き、合計10発のミサイルが敵MTへと襲い掛かる。
 MT側も咄嗟にバズーカによる迎撃をしてきたが、そのまま左へ横滑りしていったブリューナグに、その弾丸が当たることは無かった。
 ミサイルの発射音の後、一拍遅れて轟音が響き渡り、凄まじい爆煙によって視界が一時遮られる。
 煙が薄れるのを待って、機体を制御装置へと続く通路へ向かわせると、その先にはMT2機分のスクラップが転がっていた。
 確かに狭い通路ではバズーカのような高火力の実体弾兵装は有利だ。
 しかし、逃げ場が無いのはこちらだけではなく、向こうも同じ。
 10発ものミサイルを閉所で食らえば、拡散する空間が無いがために高められたミサイルの爆発による破壊力だけでなく自らの機体の誘爆で機体は跡形も残らない。
 無残に転がる残骸を踏み越えて、最後の目的地へと向かう。
 残るはACとMT2機のみ。
 最終目標を前にミランダから通信が入る。
「この先に制御装置が設置されている部屋があります。多少の空間がありますので、戦闘に支障はないかと。確認される熱源は3機。この先の部屋に退路はありません。袋のネズミです」
「万が一にも取り逃がす恐れは無いってことか」
「彼我の戦力を考慮しても、まず有り得ないでしょう」
 ミランダは俺が勝利することを信じて疑わないようだ。まあ、俺もそのつもりだが。
「しかし、制御装置はどうする。気を付けるが、流れ弾による被弾も有り得なくはない」
 俺の疑問にミランダは少しも慌てた様子もなく答える。
「その点に関してはご心配なく。制御装置はテロリストが占拠している部屋より更に奥に設置されており、2つの隔壁が備わっています。隔壁を解放しない限り被弾の可能性は無いと考えていいでしょう」
「なら気兼ねなく戦えるな」
「はい、政府からも施設に多少の被害が及んでも構わないとのことですので、敵勢力を速やかに排除してください」
 コントロールレバーを握り直し、気持ちを引き締める。
「よし、突入する」
 スロットルを上げ、ブーストを吹かし、敵の主力が待つ部屋の前へと立つ。
 コンソールを叩き、リモート操作で隔壁を解放すると同時に、今度はブーストでバックをかけて後退した。
 後退しつつ、あらかじめ壁越しに熱源ロックしておいた動きの鈍い敵にミサイルの一斉射撃を見舞う。
 部屋の中へ目暗ましの弾幕を打ち込むための行動だったが、前に出過ぎていたMTの1機がミサイルの直撃をモロに食らい、そのまま沈黙した。
 その瞬間を見計らって、一気に部屋の内部へと踊り出る。
 確認できたのはAC1機と残りのMT1機。
 そこまでは予想どおりだったが、敵ACの姿を見てソリテュードは呆気にとられた。
 機動力を重視した軽量級のフロートACだが、肩には重量がかさむミサイル兵装が装備されている。
 右肩には多弾頭マルチミサイル、そして左肩にはあろうことか垂直発射式ミサイルが搭載されていた。
 どちらも開けた場所でなければ真価を発揮しない兵装だ。
 主力兵装はパーツと武器が一体となった武器腕のマシンガンタイプ。
 このアセンブリにソリテュードは首を傾げるしかなかった。
 まったくもってコンセプトが分からない。
 機動力と攻撃力どちらを重視しているのか。近距離主体なのか遠距離主体なのか。
「敵AC、グローバルコーテックスの登録に該当ありません」
 ミランダの冷静な声で瑣末な思念を払拭する。
「当たり前だ。こんな阿呆、コーテックスの試験に受かるものか」
 気持ちを切り替えると、鈍重なMTにレーザーライフルを叩き込み黙らせる。
 残るはAC1機。
 そう大した腕を持っているようには見えないが、外見だけで判断するのは早計だ。
 相手の実力を図るべく、揺さぶりをかける。
 敵ACはマシンガンを装備しているので不用意に近づかずに、ブーストで距離を取りつつ連動ミサイルを組み合わせたミサイルの弾幕を張り、牽制して様子を見る
 敵ACはマシンガンを乱射しつつブリューナグを追撃しようとしたが、ミサイルの弾幕に阻まれる。
 ミサイルを回避しようとエクステンションの迎撃ミサイルを発動させるが、重いミサイル兵装に機動力を殺され、さらに限られたスペースしかない室内ではフロートの最大の強みである地表を滑るような軽快な機動が発揮できず、回避しそこねたミサイルを数発被弾する。
――武装をパージする技術も知らないのか、コイツは・・・。
 敵ACのぎこちない動きに疑念を抱きつつ、相手を追い込むため更なる追撃を仕掛ける。
 ブーストを吹かし、後退と旋回による不規則な機動で攻撃を巧みに回避しつつレーザーライフルで応戦し、動きを読まれないようにブレード光波による牽制攻撃を絡める。
 ブリューナグが装備するブレードの光波は物体に当たるか一定距離を進むとプラズマによる爆炎が巻き起こるため、牽制や追加攻撃に打ってつけで使用頻度は高い。
 レーザーの直撃に加え、続けざまにブレード光波が機体を掠め、爆炎を巻き起こし、相手の機体を激しく揺さぶる。
 敵ACは、この予想だにしなかったブレード光波に面食らい、動きを止めてしまった。
 その相手の動きを見て、ソリテュードはモチベーションを下げざるを得なかった。
 対AC戦に慣れていないのは明白だ。
「まったく、張り合いのないヤツだ」
 興味を失ったソリテュードは、さっさとカタを付けるべくラッシュをかける。
 敵ACは戦意を喪失したのか、逃げようと必死になるが、ブリューナグのレーザーライフルにその身を削られてゆく。
 ACのアセンブリのためなのか、それともレイヴンの腕なのかは分からないが、動きの鈍い敵ACは、弾速の速さに加え、ソリテュードの的確な射撃を避けられず追い込まれていった。
 弾幕を張るために乱射していたマシンガンもいつのまにか弾切れとなり、唯一残った手段であるマルチミサイルを発射するが、ブリューナグには掠りもしない。
「漠然と戦っていた代償は自らの命で払え」
 それは相手に向けての言葉だったのか、それとも自分への戒めだったのか。
 ソリテュードはフルブーストをかけると、一気に肉薄し、ブレードを薙ぎ払う。
 高エネルギーを集束した光の刃は敵ACの左胴体部分から右肩にかけての装甲を焼き切り、真っ二つに切断した。
 切断された断面からは溶けた鋼鉄が水飴のように垂れている。
 沈黙した敵を見下ろしながら、つまらなさそうに嘆息する。
「こちらソリテュード。敵殲滅。これより帰還する」
「敵殲滅を確認しました。ミッション終了です。お疲れ様、レイヴン」
 ミランダの事務的な労いの言葉に特に何も返さず、その場を後にした。

 結局、今回の依頼にかかった出費は被弾が10%にも満たなかったため、ほぼミサイルの弾薬費だけとなった。
 報酬30000Cのうち約27000Cが手元に残り、ボロ儲けだった。
 しかし、高額報酬を手にしても、今のソリテュードに大した喜びはなかった。
 どうも最近のミッションは、どれも張り合いが無い。
 ソリテュードは自分の心に何か満たされないものがあるのを自覚していた。
 自惚れている訳ではないが、正直自分の腕前には自信がある。
 もっと困難なミッションや自分の死力を尽くせるようなレイヴンと戦いたい。
 そういう思いがソリテュードの心を占めていた。
 そう、5年前のあの日のような。
 そんなことを考えつつ、気付けば自宅近くのターミナルの出口だった。
 満たされぬ心を抱えつつ、作り物の空と平和ボケした摩天楼を見上げ、ため息を吐くと、家路へと急いだ。

「ただいま」
 呟くように言って、自宅のドアを開けたが返事がない。
――まあ、いつもの事だ。
 逆にアリスから返事が返ってくる方がびっくりするくらいだ。
 部屋は明かりが点いていた。
 リビングに入ると、ソファに小さな人影が一つ。
 アリスがぬいぐるみを抱えたまま横になり、静かな寝息をたてている。
 ソファの前の机には空になったプラスチック容器とスプーンとフォークが散乱していた。
 どうやら食事をした後、眠くなってそのまま寝てしまったらしい。
「まったく、寝るなら部屋で寝ろよ」
 呆れつつもその微笑ましい光景に、不覚にも笑みがこぼれてしまった。
 らしくないと思いつつ、自分の部屋にブランケットを取りに行く。部屋に移動させてもいいが、起こすのもかわいそうだ。
 アリスにブランケットをかけようとした時に、ふと机の上に未開封のプラスチック容器があるのに気付いた。
 注文して食べきれなかったのかとも思ったが、それにしては量が多い。
 アリスはきちんと状況判断できる娘なので、自分が食べる量くらいは把握できるはずだ。
――ということは・・・。
「これ、俺の分か」
 無意識のうちに疑問が言葉に出る。
 普段から妙な言動をするアリスを見ているソリテュードにとって、彼女のこの行動は少し意外だった。
 すうすう、と年相応の可愛らしい寝息をたてるアリス。
 普段は感情の読めない不思議な娘だが、こう見るとやはりか弱い女の子なのだと実感する。
 実際に普通ではないというのは確かなのだが、しかし、3年前よりかは多少人間らしくなってきたのも事実だ。
 そうして、すやすやと眠るアリスを見ていて、もう一つ思い立ったことがあった。
 もしかすると、俺の帰りを待っていたのかもしれない。
 そうでなければ、未開封の食事を前にしてソファに座っている必要もないからだ。
「ありがとな、アリス」
 そう言って、起こさないように小さな頭を軽く撫でた。
 ケータリングのディナーパックをレンジで温めると、自室へと運んで食べることにした。
 正直少し眠たかったが、アリスの好意を無駄にしたくはなかったからだ。
 さて、食べようかとフタに手をかけたその時、マルチコンソールから重要メール受信を知らせるメロディが耳に響いた。
 面倒だなと思いつつも受信ボックスを開く。
 メールの送信元は『ターミナル・スフィア』、差出人は『ノウラ』。
 それを確認すると、ソリテュードはマルチコンソールを閉じた。
「まったく・・・協力はしないと何度言ったらわかるんだ。いい加減しつこいぞ」
 誰に聞かせるでもなく、それでも声に出して悪態をついた。
 詳細は後で確認してみなければ分からないが、大方いつもと同じ内容だろう。
 レイヴンとしての仕事のオファーならば受けてもいいが、ヤツらが人の手を借りることなどそうそうない筈だ。
「研究熱心なのは分かるが、他人の家の娘にまで興味持つなよな・・・」
 どうせあのマダムに何言ってもムダだろうが。
――まあ、メールの返信なんぞ明日でいい。
 余計な思考を脇へ追いやると、今度こそ食事へ手を伸ばしてガラでもなく感謝をしつつ、少女のささやかな贈り物に舌鼓を打った。


 第五話 終

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