ARMORED CORE Handed Down Heroism @ ウィキ内検索 / 「アドリア」で検索した結果

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    ...ナ不明】 A-?/アドリア D-?/ジョニー・B・グッドラック ?-?/ビクティム・オーランド ■ GLOBAL CORTEX +【EDENⅠ ARENA[HQ ARENA]】 【EDENⅠ ARENA(HQ ARENA)】 A-9/ノクス B-1/フョードル ?-?/グレイ・ジェファーソン +【EDENⅣ ARENA】 【EDENⅣ ARENA】 A-1/スプリーム A-2/ノーブルマインド(Coxial時点) A-3/ソリテュード A-4/フォルディア B-1/イリュージョン B-2/小蘭 B-3/オリオン C-3/レイノルズ C-20/ダーマ・ジン E-?/ヴァネッサ Reserve Ranker/ジェリー(kIA) +【所属アリーナ不明】 【所属アリーナ不明】 ?-?/ゼロ・ゼロ ...
  • The Empress Strikes Back②
    「The Empress Strikes Back*②」  アリーナ戦から二日たったその日の夜。セシリアはアーク本社から少し離れたビル街の路地裏を歩いていた。向かうはお忍びで通っている行きつけのバー『Harvest moon(ハーベスト・ムーン)』。雑居ビルが立ち並ぶ旧市街地の路地裏にひっそりと店を構える、知る人ぞ知る隠れた名店だ。アリーナ戦でのインタビューや雑誌記者の取材、デスクワークなどを一通り片づけ、ようやく訪れたプライベートな時間を、お気に入りのカクテル「ジャック・ローズ」を傾けながらゆっくりと過ごそうと考えたのである。  細い路地裏に、ハイヒールが地面を打ち鳴らす甲高い音が反響する。女性が歩くには、いくぶん心許ない街灯が申し訳程度に暗闇を照らす。光が届かない道端は深い闇で覆われ、何かが潜んでいそうな不気味さを孕んでいるが、セシリアはそんなことを気にも留めず、堂々と歩みを進...
  • The Empress Strikes Back
    「The Empress Strikes Back*②」  執筆者:クワトロ大尉(偽)  小鳥がさえずり始め、朝日が暗い夜空を塗り替えようとする頃。広大な敷地を誇る豪奢な邸宅の一画から定期的なリズムで高音が響く。この邸宅の若き主人、セシリア・フィリックスは一人で使うには些か広すぎる彼女専用の射撃練習場で、これまた彼女専用に作られた世界でただ一つのライフル[025MSR/CC(Cecilia Custom)]による射撃訓練を行っていた。  一〇〇〇mもの距離に置かれたターゲットの中心を正確に射抜き、精練された動きで次弾を装填、再び狙いを定め、一切の揺るぎなくトリガーを引く。その一連の動きはさながら精密機械の様だ。動作に掛ける時間は常に一定。寸分の違いなくターゲットを撃ち抜いていく。  その様子を一人の男がじっと見守っていた。彼はレイヴンズアークのランカーレイヴン、カーク・オ...
  • Interlude.2
    「Interlude.2」  執筆者:クワトロ大尉(偽)  レイヴンズアーク本社地下に設営されているACガレージ。  その内の一つに1機のACが大型エレベーターで搬入されてきた。  黒に近いダークグレイのACは大部分をクレスト系のパーツで構成された標準的な中量二脚で、大した損傷もなくミッションを遂行し、無事に帰還した。  レイヴンズアーク所属のレイヴン、バッシュことカーク・オーチャードはガレージの中央部、所定の停止位置である昇降リフト上に彼の愛機『サーベラス』を停める。  システムを通常モードからアイドリング状態へと移行したところで、専属オペレーターのジェシカ・テイラーから通信が入った。 「レイヴン、ミッションお疲れさまでした。収支結果の詳細は後ほどお伝えしますが、おおよそ7割強の報酬が見込めると思います」  上々の報酬であるにもかかわらず、カークは大し...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十六話②
    本編十六話*②* ③  マイはリナリアと名乗った少女の手をとり、共に簡素な照明が照らす艦内通路を歩む。少女の手は小さく繊細であり、僅かながら冷えている。歩みにややぎこちなさがあるのは、緊張のためだろうか。  マイは立ち止まり、少女に向き直る。 「それじゃ、改めて……俺はマイ――マイ・アーヴァンク。よろしくな」 「は、はい……。リナリアです……」  硬い動きでお辞儀をする少女。制動のはっきりした動作ゆえに、その勢いに負けて少女の頭部に乗っていた白磁の帽子が零れ落ちる。栗色の長い髪が扇状に揺れる。  マイは帽子が地に落ちる前に掴み取る。 「あ――」 「――ふー。何とか落ちずに済んだ。はい、これ」  マイは薄蒼色のリボンが小さく備え付けられた帽子を、少女に手渡す。少女――リナリアは栗色の髪を押さえ、俯きつつも言葉を紡ぐ。 「あ、ありがと……ございます」  途切れ途...
  • Intermission -operation bitter and sweet-②
    「Intermission -operation bitter and sweet-*②*③」  ―Main story―  2月13日、早朝。エイミの部屋の簡易キッチンには先日買い揃えてきた調理道具と材料が所狭しと並べられていた。  あの後、二人は寄港しているコロニーへ人目を盗んで買い出しに行き、早速試しに手作りチョコレートを作ってみたのだが、結果は玉砕と言わざるを得なかった。 シルヴィは元々お菓子など作った事が無く、料理もほとんど覚えていない。そのため、わざわざ手作りするより既製品を買って食べた方がマシという散々な出来だった。 エイミも料理はできるが、お菓子作りとなると勝手が違う部分もあり、シルヴィほどではないにしろ、人に送るのは躊躇われる出来だった。  その後もう一度トライしたものの、シルヴィは相変わらずの出来栄えで、エイミは最初よりも随分マシなものになったが、...
  • Coaxial
    「Coaxial*②*③」  執筆者:クワトロ大尉(偽) エデンⅣ、午前9時前後。 未だ停電によって巨大な天蓋が不吉な闇を落とすその下では、地獄絵図のような激戦が繰り広げられていた。 興行区画のパルヴァライザー掃討を担当するグローバルコーテックスのランカーレイヴン、フォルディアは目前に迫った四脚型パルヴァライザーのブレード斬撃をひらりとかわし、ガラ空きの頭部めがけショットガンの零距離射撃を叩き込んだ。 パルヴァライザーは頭部を木っ端微塵に吹き飛ばされ機能を停止する。 「ラストワン。これで何回目だよ」 退けるたびに押し寄せるパルヴァライザーを悉く撃破してきたフォルディアは埒の明かない防衛線に多少イラついていた。 フォルディアはキャリア10年を超えるベテランであり、依頼されたミッションのほとんどを遂行しここまで生き残ってきた猛者である。もちろんミッションを放棄する気も...
  • アリス
    原案:クワトロ大尉(偽) 名前:アリス 性別:女 年齢:不明 身長:134cm 体重:35kg 虹彩:レッド 髪型:プラチナブロンドのロング 体格:未発達の幼い体つき 概要 旧世代遺跡の最奥部で発見された人工生命体。 現在の世界で生体CPUと呼ばれるうちの1体。シリアル番号はNo.01。 グローバルコーテックス・エデンⅣ支社のレイヴン、ソリテュードが発見し個人で保護している個体。アリスという名前はソリテュードが名付けたもの。 生体CPUだということは判明しているものの、詳細は分からず、個別特殊能力なども明らかになっていない。 他に発見されている個体に比べ、身体や思考系統が圧倒的に幼く、育成途上で何らかの理由により凍結し保存されていたと推測されている。 性格は非常に大人しく感情表現に乏しいため、何を考えているのかよく分からず、ミステリアスな雰囲気...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第五話
    第四話/ /第五話*②  第五話  執筆者:クワトロ大尉(偽)  人類を襲った未曾有の危機、『アーセナル・ハザード』により世界が荒廃して5年。  世界は混迷を極めていた。  企業は己の利権を広げようと躍起になり、政府は政治主導を企業に乗っ取られるのを危惧して勢力の立て直しと拡大にのみ力を注いだ。  誰も自分の手に余る世界などというものを救おうとはせず、ただ己の幸福を追求した。  結果、企業や政府に係り合いのない多くの人々は虐げられ弱肉強食の分かりやすい理論が横行していた。  金のない人間は常に古代兵器の襲撃に怯え、金のある人間は安全な場所で豊かな暮らしを約束された。  コロニー『エデンⅣ』。各企業がしのぎを削る商業区画の隣に位置する居住区画。  快適な環境のマンションが立ち並ぶ居住区画だが、その中でもひときわ快適な高級マンションの一室で、若い男が通信用マルチ...
  • Coaxial③
    「Coaxial*②*③」 一方、同じころ。 重工業区画の一角に、金色をベースにしたお世辞にも趣味がいいとは言い難い1機の中量二脚ACが息を潜めるように、ゆっくりと歩行していた。 構成パーツの全てをクレスト製品で固めたこの機体こそ、エデンⅣアリーナのAクラス2位に君臨するAC「キングスターク」であった。 それを操るレイヴン、ノーブルマインドは、まるで何かに怯えるように息を荒くし冷や汗をかきながら、ある場所を目指していた。 目を血走らせながら周囲を忙しなく警戒し、暗く細い路地を進んでゆくその姿はドブネズミのようだ。 もはやそこにAランク2位という輝かしい地位や名声などある筈もなかった。 「くそ、くそくそくそっ!冗談じゃない、こんな事に付き合ってられるか!!」 ノーブルマインドは誰に聞かせるでもなく、しかし、まるで誰かに聞いてほしいかのように大声で毒づいた。 「ちくしょ...
  • Coaxial②
    「Coaxial*②*③」 フォルディアはオーバードブーストで最接近しつつ、目前の敵集団にグレーネードが着弾するのに合わせてブーストをカット、急制動をかけ、こちらを見失っている隙を突き、ブーストジャンプでパルヴァライザーの無防備な上を取り、苛烈なトップアタックを仕掛ける。 「まったく・・・進歩ねぇな、コイツら」 編隊を組んで密集している部分を狙い、トリプルロケットの連続射撃を見舞う。 前方からの強烈なグレネードキャノンによる砲撃と頭上から雨のように降り注ぐロケット弾の斉射によりパルヴァライザーの集団は成す術もなく瓦解していった。 編隊を崩され、散り散りになり、右往左往するパルヴァライザーの群れの中にフォルディアはあろうことか自ら降り立っていった。 ブーストを吹かしながら軟着陸すると、生き残ったパルヴァライザーは一斉にルーンへと狙いを定め、取り囲むように急接近してきた。 ...
  • ライラ・フェモニカ
    原案:CHU 名前:ライラ・フェモニカ 性別:女 年齢:18 身長:155cm 体重:42kg 虹彩:ブルー 髪型:アッシュブロンドのミディアム 体格:凹凸が少なく線が細い 所属:グローバルコーテックス エデンⅠ本社 概要 グローバルコーテックス本社に所属する補佐担当官。 真面目な優等生的人物だが、融通のきかない頑固者。初対面の人間には無意識の内につっけんどんな態度を取ってしまうが、心を許した途端、態度が正反対になる。 同社の重要人物であるスワローを専属先とするが、本人の補佐担当官としてのキャリアは若く、入社間もない新米である。
  • Interlude.1
    「Interlude.1」  執筆者:クワトロ大尉(偽)  とある高層ビルの一室。  大企業の重役クラス級の豪勢な執務室で一人の男がデスクトップのディスプレイを注視していた。  そこに映っているのは2機のACによる一騎打ちの映像で、真紅のACと白いACが激しい戦闘を繰り広げている。  知的な雰囲気と風貌を兼ね備えたその男は、画面内で目まぐるしく動く2機のACの動きを一瞬たりとも見逃すまいと真剣にディスプレイを見つめ続ける。  永遠に続くかと思われた戦いは互いが零距離まで接近し、白いACが真紅のACのコアをレーザーライフルで撃ち抜くことで終わりを告げた。  一般人からすれば、エンターテイメント用に誇張表現した映像にしか見えず、関係者であっても、にわかには信じ難い内容である。  しかし、この記録映像は紛れもない真実であり、つい先日起きたエデンⅣ襲撃事...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 外伝
    ARMORED CORE Handed Down Heroism -Side storys- 作:CHU ■ Dépression du chevalier (登場人物:カヴァリエ、ルガノルフ)   血気に逸る若き女騎士は、憩い場にて老いた大鴉と出会う。   彼は、一時の歓楽を玩味する代わり、彼女に自らの詮術と訓蒙を分け与えた。     Page-1   Page-2 ■ 白翼の対価 (登場人物:アルバート フラーネ)   貪婪な世界の闇は男の全てを喰らい、全てを奪い去った。   地位も、名誉も、骨肉も、――果ては人間としての尊厳さえも。   全てを奪われた男は、ある時、燦然たる光輝と出会う。   ――そしてその光輝は、新たに、男にとっての全てとなった。    Page-1 Page-2 Page-3 ■ 屍翼の奏者 (登場人物:アルバート フラーネ) ...
  • ~he's coming back~
    「~he s coming back~」  執筆者:ヤマト 夜闇を妖しく炎が照らす。 小さな採掘基地での暴動を鎮圧すべく一人のレイヴンが雇われたのだ。 ガイアフレア/ダイスケ かつてはツヴァイと呼ばれた特務部隊員。現在はフリーランスのレイヴンとして第一線で活躍中である。 「呪うのならば、武力蜂起を掲げたお前達のリーダーを呪うのだな」 すでに物言わぬ鉄屑へと変わったMTに言葉を投げる。 今回の戦闘も例に漏れず酷い有様だった。 中量2脚型のACの動きについていける機体は無く、1機、また1機と破壊されていく。 なにしろ作業用MTにACのバズーカやグレネードを積んだだけの粗悪な構成では攻撃力だけはあるが防御力、機動力がないに等しい。 結果、初弾を避けられたら自然と撃破されるのを待つような状態に陥る。 戦闘開始...
  • 屍翼の奏者
    「屍翼の奏者*②」  執筆者:CHU AD102_10/18_20:42 時刻は既に二十時を回り、夜闇が辺りを支配して久しい。 人の手を離れて寂れ果てた都市の静寂を、鋼鉄の巨躯が発する呻きにも似たジェネレーターの駆動音が掻き乱し、蛍火の如き明滅する光が、夜闇から辺りをほんの少しだけ切り取る。 ――マズルフラッシュ。 それは人の手による戦闘行為の証だ。 発砲による爆音と、巨大な空薬莢が跳ねて奏でる不協和音を機体の集音マイクを通して聞きながら、鋼鉄の巨人〈アーマードコア〉の操者は口笛を吹きながら視界に映るターゲットを次々と破壊していく。 その様子は休日に釣りでも楽しむかのようにお気楽で、とてもではないが命を懸けた戦闘の貌には見えなかった。 型落ちした旧式のACがミラージュ社自慢の最新可変型MTを屠るその様は、機体の性能を熟知している者である程に現実の...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話②
    第十三話*②*③  兵器開発部の連中は、そういうイメージが重要だとも言っていた。搭乗者其々でイメージは異なり、それに合わせて統合制御体は意思判断の反映解釈を複雑化させていくのだと。  ──つまり、過去の経験に裏打ちされた意思判断が、自身によるネクスト兵器の制御技術の根幹となっているのである。  二度目に吹かした追加推力によって前方展開中の二機の目標との距離を瞬時に詰み切る。まともな迎撃態勢を取る事すらできずに隙を曝し出した二機の胸部に其々砲口を突き付け、至近距離からの掃射攻撃で胸部を吹き飛ばした。搭乗者の即死によって機体制御を崩した機体が明後日の方向に突撃銃の弾幕をばら撒きながら、路上に地響きを立てて斃れる。  死の間際、搭乗者達は無意識に呪っていたかもしれんな。  地下トンネルという閉鎖空間の中で、真正面から唯のAC機体が突っ込んで来ていたという事実を額面通りに信用し...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑧
    ⑦*⑧*⑨  途中幾度か、前衛撹乱型のパルヴァライザーと交戦を経てガロは、大した損耗を被ることもなくコーテックスビルを中心とする建築物群エリアに進入した。周辺戦域に追跡動体が接近していない事を確認してから、エンシェントワークスの保有する運搬用の私設ターミナルへ滑り込み、同施設の制御ネットワークにアクセスする。 『──識別符号:TS002-EW011』 『──識別符号、照会完了しました。どうぞ、進入してください』  ネットワークの制御システムが承認の返答を遣し、それと共に自動シャッターが開口した資材搬入用の保管廠内部へシックフロントの機体を滑り込ませた。大型資材運搬用の昇降台へ機体を搭載し、制御ネットワークに最下 層地下核部への降下を指示する。 『了解しました。到着所要時間は五分です──降下を開始します』  通達と同時に一瞬接地面が震動、昇降台が降下を開始しガロは...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十六話
    第十五話/ /第十六話* ②  第十六話 執筆者:宮廷楽人・タカ坊 -Non omnia possumus omnes.(私達は皆、全てをこなせるというわけではない)-  サンドゲイルが所持する陸上装甲艦――リヴァルディ。その艦内に毛細血管のように張り巡らされている鈍色の廊下を足早に走る青年の姿がある。その駆けようたるや、一心不乱の一言に尽きるもの。脇目も振らずに、些かも我が身を労わることもなく走り抜けている。  一定の音階を続けて響かせる足音は、打ち付けるように強い。金属壁で囲まれた廊下の内側に反響している。嘆きの声音を思わせる音律は、青年の心の動揺を反映してのものか。  青年の名はマイ・アーヴァンク。この陸上装甲艦「リヴァルディ」を根城とする遊撃傭兵部隊――サンドゲイルに所属する傭兵の一人である。 マイは自身を追いかける存在を知覚するも、それに頓着す...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十六話③
    ② *③* ④  艦橋内に爆発が生まれ、耳を貫くような轟音が轟く。硝子がその爆発音を聞き入り、その慟哭に打ち震えている。  灰燼の後に残されたのは、胸からの上の上半身を失った少女の姿――だった者の姿だ。残された下半身だけが、血溜まりと蛋白質の海に倒れこむ。  マイは背後を見やり、自分の首根っこを掴む人物を見据える。黒衣の装いの男はアハト。  再び前方を見る。上半身のない遺体が血の海に沈んでいた。マイは駆け寄り、遺体を抱き上げる。遺体が纏う血に塗れた白の衣。 「あ、あ……」 「――死を祝別したまえ。何故なら僕がここにいるのは君のおかげなんだから……。ふふっ……最後の笑顔、最高だったね。悲しくて、怖くて、でもどうしようもなくて……」  カイは自身の顔を鷲掴みにするかのように顔を覆い隠し、微笑を打ち消そうと努める。その指の合間からは少女のような顔と、一層の狂気に染まる瞳...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑪
    ⑩*⑪*⑫  昇降機の下降制御情報によると、現在地下高度は千数百メートルまで下がっている。エデンⅣ全域に散在する区画隔壁管理局の運営する昇降機でも通常では、地下数百メートル程度の経済管轄階層までしか降りられない。それより先へ進むには、制御システムに専用コードでアクセス指令を出すかプログラム自体を改竄する方法と取らねばならない。  地下核部構造体は複数の空間層によって構築されているが、不定勢力の依頼主が指定してきた作戦領域はその最下層区域であった。  その最下層へ、間もなく到着する──  数十秒後、昇降機の停止と共に制御システムが最下層区域への到着をプログラムヴォイスで伝え、隔壁扉が開放される。 「動体反応はない、が──」  前方に伸びる連絡通路は赤黒く点滅する警戒灯によってその全貌を淡く映し出しており、ルートマップ上でゼクトラの現在位置を把握。搭載レーダー機能を戦術...
  • Armored Core - Execution - 1‐1
    「Armored Core - Execution - 1‐1 * Armored Core - Execution - 1‐2 * Armored Core - Execution - 1‐3」  執筆者:柊南天  第一種戦闘態勢を継続維持中の各種センサー機能が戦域環境情報を逐次収集し、HMDに出力したエリアマップに状況を更新していく。  マルチコンソールを操作してエリアマップを回転──多数の動体反応が著しく動く位置座標を見咎め、ヴァロージャは眼球動作に追従機能するフレームシステムを用いて搭乗機の頭部カメラアイを眼下の地上へ傾けた。  上空域にまで届く黒煙の切れ目に覗く広大な赤土の岩壁地帯、その地上部で動体反応源である前線兵力が火線を交えている。複雑な岩壁地形の地上で敵味方の機械化部隊が高密度に衝突し、大きな爆発音が幾度となく響く。  有視界に映る有り触れた戦場の光景...
  • Armored Core - Execution -
    Armored Core - Execution -*②*③ 執筆者:柊南天  Armored Core - Execution - EpisodeⅠ  第一種戦闘態勢を継続維持中の各種センサー機能が戦域環境情報を逐次収集し、HMDに出力したエリアマップに状況を更新していく。  マルチコンソールを操作してエリアマップを回転──多数の動体反応が著しく動く位置座標を見咎め、ヴァロージャは眼球動作に追従機能するフレームシステムを用いて搭乗機の頭部カメラアイを眼下の地上へ傾けた。  上空域にまで届く黒煙の切れ目に覗く広大な赤土の岩壁地帯、その地上部で動体反応源である前線兵力が火線を交えている。複雑な岩壁地形の地上で敵味方の機械化部隊が高密度に衝突し、大きな爆発音が幾度となく響く。  有視界に映る有り触れた戦場の光景を見つめていた時、作戦支援室から通信要請が入り、ヴァロ...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑩
    ⑨*⑩*⑪  変わらず抑揚を欠いた言葉。しかし、ガロはその口調の裏側に僅かな焦りの介在を感じ取っていた。  統合制御体がファントムヘイズとの近接対峙を前に、機体制御態勢の速やかな移行を推奨する。 「知らんだろうな。貴様が世界の裏側でのんびりとしている間に、この地上世界は大きく変容した──」  意思判断し、左腕部に携えた適合兵装を持ち上げる。それに合わせてファントムヘイズも狙撃銃の銃口を動かした。長鑓を思わせる長大なひとつの銃身を基軸とし、レールシステムの搭載によって多種兵装の搭載を可能にした実働試験機体:マルシアの為のみに製造された大型の適合兵装。 『貴様に見せてやる。この五年間、世界がどう動いたのかをな──』  その言葉を最後とし、一方的に通信回線を解除。  統合制御体に指示し、機体制御態勢の速やかな移行を指示する。  その間際、再びハルフテルが最後に言い...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十一話③
    ②*③/ /第十二話 着地の音は雨に紛れ、掻き消えていく。 雨粒が装甲を叩く音が、やけに大きく聞こえた。 「言い忘れたが、君にはオペレーターがついていないのでね、ボクがサポートすることになる」 『了解』 「早速ターゲットが出てきたぞ。数は四」 【ベルフェゴル】のレーダーが、坑道から出て来る機影を捉えていた。 「好きにやればいい。君の力を見せてくれ」 そう言ってスワローは【ベルフェゴル】を戦場を俯瞰しやすい高台に移動させる。 「ラフ、グレイ機の機体AIと同期しろ」 【了解――同期完了】 これであちらの機体情報がダイレクトに届くようになった。 同時に【ベルフェゴル】を索敵モードに変更。情報処理能力に特化させる。 そこでようやく異変に気付いた。 敵を示す熱源が、予想されたデータより遥かに大きい。 その理由はすぐに判明した。 ――坑道...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第三話
    第二話/ /第三話/ /第四話  第三話  執筆者:ギリアム 一機のACが巨大なホバータンクの横を通り過ぎ、古代遺跡の中へ進行すべくブースターを吹かした。 その時、左腕を損傷したACとすれ違ったが、気にも留めなかった。 負傷したACなどに興味は無い。彼が求めるのは真の強者のみだった。 始まりは一通のメールからだった。差出人はミラージュ。 「滅多に依頼を受けることの無い私に依頼とは…」 訝しみながらもメールを確認すると、そこには簡単な依頼が書かれているだけだった。 『古代文明遺跡にて、古代兵器駆逐のために派遣したAC部隊を撃破して欲しい』 「古代文明遺跡…」 この言葉には聞き覚えがあった。 ミラージュが古代文明の遺跡調査のためにパルヴァライザーの掃討作戦をすべく、レイヴンをかき集めていたの...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑨
    ⑧*⑨*⑩  その中の一人が、最重要兵器開発要綱に参加していたテストパイロットの一人であり、現在ガロの眼前で対峙する男、ファントムヘイズであった──  姿を消した彼らが、何を思って紅い亡霊と共に裏側の戦場へエントリーしたのかは、現在ではまだ明かされていない。  財団崩壊後、オリジナルの紅い亡霊が関与したとされる戦闘記録は、非公式にではあるが幾つか残されている。その非公式記録についてはターミナルスフィアに所属しているガロも、保管資料から大体の詳細を知り得ていた。  彼の望むモノ。ファントムヘイズは、確かにそう口にした。  ガロはその言葉が意味する可能性を瞬時に記憶から弾き出すことができた。  確かに、紅い亡霊がそれを目的として代理人としてファントムヘイズを、騒乱の混乱に乗じて送り込んできたのだとすれば、目的としての筋道は立つ。  しかし、それは同時にこの騒乱が最初...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十二話②
    第十二話①*②*③ アザミは人間を遥かに超えた動きでガトリングガンの暴風雨のような弾幕を掻い潜り、MTを翻弄していた。 目標が小さすぎる上に、あのスピードだ。MTのカメラアイとFCSでは捉えきれないだろう。 アザミの余裕すら感じられる動きに多少の安心感を覚えつつ、自分も加勢できる瞬間がないかと機会を窺う。 MT相手に少しも止まることを知らないアザミに業を煮やしたのか、MTのうちの1機のバズーカが火を噴いた。 その砲弾はアザミの前方の道路に着弾し、路面を派手に抉りながら無数の破片をまき散らす。 アザミは雨のように降り注ぐ瓦礫片に臆することもなく、腕の中のアリスを庇いながら抉れた路面を低い姿勢で軽々と跳躍しつつ、身体を捻り、片手でグレネードランチャーを自身へ狙いを定めているMTに向けた。 その砲口がMTのカメラアイへ向けられていることに気付いたソリテュードは自分も打...
  • The rest is silence -Erster Akt-②
    「The rest is silence -Erster Akt-*②」  -Arena・Corridor-  ――その復讐が果たされたとき、貴方は自分自身に何を思うでしょうね。  脳内に木霊する黒騎士の言葉。黒騎士のどこか見下したような独特の口調とその態度、そして「あの言葉」はアハトの精神を揺さぶるのに十分な効果を得たが、それでも彼はこの復讐というものがいずれ破滅をもたらすであろうことを充分に理解していた。  死神に拐かされ、一度は暗闇で満たされた向こう岸へと進めた歩み。如何なる手違いか、あるいは書類に不備でもあったのか。許可されたはずの死は何者かによって剥奪され、自分は再び闘争と略奪が満ちる地上へと送り返された。  再び手にすることができた生命。あるいは万人ならば、喜び勇むところなのかもしれない。  だが戻されたのは己の命のみ。故郷であるヴォルムスは瓦礫の山と...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十話③
    ②*③*④                  * 『開始10分前です。出撃、スタンバイしてください』 「了解。出場資格コード:GCA-L013、出場機体コード:ラピッドタイド。スタンバイ開始します」  眼前の投射型ディスプレイから溢れる灰青色の光源が染め上げるコクピットの中、ヴァネッサは静かに、しかし大きく息を吐きだした。  コンソールキーを軽やかに叩き、機体制御プログラムの完結プロトコルを起動させる。空白に満ちたディスプレイに機体情報が関連画像と共に羅列形式で出力されていく。 『リサ、起動を完結。戦術支援プログラムを第三種準備待機態勢から、セミ・アクティヴへ移行する』 「おはよう、リサ。今日がいよいよ正念場よ。よろしくね?」 『お前の、10年の成果を見せる檜舞台だ。此方こそ、宜しく頼む』  完結プロトコルに最後に起動した機体搭載のリサ──ヴァネッサが10年前に...
  • ―Trick or treat―
     執筆者:継@(適当にどうぞ) 「AC用新型EN兵器運用試験」  今回ファレが請け負ったミッションだ。  新型と言うフレーズに胡散臭さを感じつつミッションを受託したが、怪しげなものに胸が躍るのは、技術者上がりの性だろうか。  おそらく一般的な傭兵には味わう事のない感情だろう。  まぁ、味わったところで、なにか得をする訳でもないような気もする。  彼の愛機「パスカル」は一足先にクライアントへ出向いている。  今回試験を行なう装置との相性や、試験兵器の情報漏洩を防ぐ調査のためだ。  そしてファレ自身も作戦領域まで、これまた機密保持のため、愛機との再会を禁じられている。  試験対象と、変わり果てた愛機の姿を想像し、期待と不安を交互に感じながら、彼はクライアントの輸送機の中で作戦領域への到着を待っていた。  作戦開始30分前、一...
  • Intermission -Cherry blossoms in full bloom-
    「Intermission -Cherry blossoms in full bloom-」  執筆者:クワトロ大尉(偽)  とあるコロニーの市街地を一人の少女が歩いている。彼女の名はシルヴィア・マッケンジー。若干16歳でありながら独立傭兵組織『サンドゲイル』の一員にして、戦力の中核を担うレイヴンの一人でもある。  しかしそんな肩書を持つ彼女も、ACを降り、母艦であるリヴァルディの外へ出れば、この市街地に住む一般の女の子と何の変りもない。今日は日用品の買い物のついでに、市街地を散策しようと、一人街を歩いていた。 「えへへ、さっきの雑貨屋さんカワイイ小物がたくさん売ってたなぁ。今度エイミさんやイリヤを誘ってまた来ようっと」  買い物用のトートバックを、ちらと覗き見ながら微笑むシルヴィア。その姿は年相応の少女そのものだった。  ――このコロニーって、規模は大きくないけど、...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第九話②
    第九話*②*③  ミラージュ社直轄経済管轄領、閉鎖型自治区【ソグラト】── 午後一五時三〇分──。  艦艇上部区画の展望施設から臨む荒野に、黄塵を含んだ陣風が不規則に渦巻いている。  霞むその荒野の中に数日見なかった人工物──都市全域を覆う外殻機構を見咎めた時、艦内内線を通じてインカムに通信が届いた。 『繋留コロニーに着くわ、マイ。ボーディング・ブリッジに移動するから、手伝ってちょうだい』 「オーケー、すぐに行くよ」  外景に傾注していた視線を戻し、マイは艦内八階の乗降施設に直結する連絡通路へ再び足を向けた。  繋留施設への接近報告が艦内放送を通じて響き、先程まで落ち着いた静けさを保っていた艦内が俄かに騒がしくなり始める。繋留準備の為に通路を行き交う見知りのクルーらと目礼を交わし、込み合う昇降設備を避けて連絡階段で一気に八階まで駆け上がった。  すぐ右手、右舷第七...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑥
    ⑤*⑥*⑦  含みを持たせた言葉にガロが冷静な返答をよこす。  中央メインモニターに都市全域への戦力配備状況が次々と舞い込み、統合司令部の指揮機能確立に従って戦線が徐々にではあるが、確立しつつある。 「此れからが本当の戦場だ。──貴様らが何を望んでいるのが、ゆっくり教えてもらう事としよう」  かつて自らが与えた叡知を使い統一連邦は何を求めているのか、この騒乱の終わりの時にどんな結末が用意されているのかを想起し、ノウラは口許を大きく歪めた。  AM08 05──                                   *  ──その戦闘は後に【ナヴラティロヴァの惨禍】と呼ばれ、30年以上に渡って戦争史に語り継がれる事となった。 『──完全な奇襲及び殲滅戦闘だ。目に映る者全てを逃すな、徹底的に蹂躙しろ』  無線を介した部隊...
  • シャドー
    「シャドー」  執筆者:ユウダイ・ユウナ ロッカールームで彼は対Gスーツに着替えていた。鏡には裸の自分の背中が写っていた。大きな傷が目立つ。 「もし・・・真実を知ったとき、ユウもレナもどう思うだろうか・・・。」 スーツを着こみながら、そんなことをつぶやく。着替え終わり、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を手に持ち、ロッカールームを後にして愛機の元へ向かう。 「お前との約束、ちゃんと果たすまでは影として生きる。」 愛機を見上げながら、シャドーは友との約束を思いつぶやく。そしてHMDをかぶり、愛機に乗り込む。  シャドーの愛機はかつてセルゲイ・ダイの良きパートナーだったミュラン・ハーヴェイが乗ったAC、ダークフェイスとまったく同じアセンブルだった。厳密に言えば、ダークフェイスそのものである。彼がミュランのACに乗っているかは、深い事情があった。彼はある事情を抱えており、...
  • Dépression du chevalier
    「Dépression du chevalier*②」  執筆者:CHU  アリーナのドームに試合終了を知らせる電子音のゴングが鳴り響く。 『試合終了ぉ~!勝者は!ブルーコーナー、ハイネケン!』  テンションの高い女性パーソナリティーが試合の勝敗を声高に叫ぶ。それと同時に落胆の怨嗟や歓喜の雄叫びが、バトルフィールドの外に設けられた観客席から漏れ出した。  そのない交ぜになった喚声は、機体の集音マイクを通じて嫌でも私の耳に入って来る。 『残念ながら敗れてしまったレッドコーナーのカヴァリエにも!どうか惜しみない拍手をお願いしまぁす!』  パーソナリティーのおざなりな定型句も、今の私には耳障りなだけだ。 「くそっ、また負けた……」  勝ったアイツの機体【バッドアイズ】はスポットライトを浴び、反対に私の機体【キュラシェーア】はすごすごと格納スペースに引っ込まされる。観客達...
  • Intermission -operation bitter and sweet-③
    「Intermission -operation bitter and sweet-*②*③」  ―SideA―  2月13日、夕方。エデンⅣの高級マンションの一室。ソリテュードの部屋にアリスとメイファはいた。二人は共にエプロンを着け、キッチンで何かを作っている。 家主であるソリテュードは遠方のミッションに出撃しており不在で、帰ってくるのは明日の朝である。それを見越して今日と明日をオフにしていたメイファはアリスの世話と留守番を買って出たのだ。もちろん彼女たちにとって、この状況は好都合だったのは言うまでもない。 「よいしょ……よいしょ……」 「いい調子よ、アリスちゃん。もうちょっとだから頑張って」 「うん、がんばる」  アリスはメイファが支えているボウルの中身をヘラで一生懸命かき混ぜていた。キッチンに背が届かないので子供用の台に乗ってボウルの中を覗き込むような格好だ。...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話③
    ②*③*④ 「……良い味だ。こういった物が無くなっては、財産の損失だな」  立ち上がった所でもう一本抜き出した紙巻煙草を口許に咥え、先端に紅点を点した。何度か紫煙を吹かして静かな時間が過ぎた後、同じく紫煙を地べたで味わっていた男が切り出した。  「──生け捕りの割には、随分と迷いのない立ち回りだったな?」 「妙な言い回しだな。何が言いたい」  片頬を地べたに付けた格好のまま、壮年の男は何らかの意図を宿した鋭い視線をこちらに上げてみせる。その相貌に姦計といえる感情はなく、ただ、此方への純粋な問いかけのようにリサには感じ取ることができた。そして正にその通り、男はその言葉を口にしてみせる。 「なに、唯の問いだよ。──どうにも君は、見慣れない種類の人間のように思えてね」  その男の言葉は、彼という人間がこれまでに渡って来た世の凄惨さそのものを反映しているようであった。 ...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第九話
    第八話/ /第九話*②  第九話  原案:マド録 文:柊南天  ──かつて〝私〟は、狂騒の世界に産み落とされた。  過ごす日々は過酷な実験と死の繰り返し──産まれた意図すら分からず、自分以外の何ものかの為だけに、生かされた年月だった。  私が自己の意義を知る必要は、死と退廃に満ちていたあの時代には、一欠片たりともなかった。  辛いかと問われれば、そうだったかもしれない。しかし、生憎と誰からもその言葉を掛けられた事はなかった。そしてそれ以前に、自分自身がそうとも考えようとしていなかった。  目にみえた日々だけが事実で、私の感情は自己に関与せず、流れ往く事実の前には私の全てが劣った。  普遍化され、小さく区切られた実験室。肌寒い部屋の中でまどろみ、淡々と流れた年月。  私の〝姉妹達〟──大空に遍く漂う星ほどもいた同類達は、時代の経過と共にその数を減らし、時には見も知り...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十話②
    第十話*②*③  Three years later...  細かい傷跡が残る古い銀製のオイルライターを擦過させ、点った火を紙巻煙草の先端に近づける。単に濃く苦い味ばかりが特徴の紫煙を肺腑へ流し込み、片手に持った電話子機の受話口に耳を当てながらノウラはワーキングチェアに腰を深く預けた。 「頃合いだと思っていたぞ、──シェルブ」 『その言草だと、既にコトは伝わっているらしいな。変らず、其方は業務熱心のようだ』  通信媒体を介しているとはいえ約二年振りに直接言葉を交わす、レイヴンズアーク時代からの古い知己の物言いに、軽くではあるが口許を歪めて見せる。とはいえ、特段互いの再会を懐かしむ間柄でもない為、一度紫煙を肺腑に含んでから吐き出した後、ノウラはそれに相応しい言葉を省略する事にした。 「其れは私達の要諦だ。この後に及んで気を害するモノでもあるまい」 『確かにな。だが、分水...
  • Chase of immortal
    「Chase of immortal」  執筆者:CHU  LEDの無機的な照明が灯る室内、そこは饐えた生活臭に満たされていた。  部屋に間取りなどなく、五メートル四方の立方体に近い。窓もなく、入り口は一つであり、その扉は閉じていた。しっかりと施錠され、来客を拒んでいる。  室内にインテリアは一つもない。独居房のような間仕切りのないトイレ、簡易ベッド、コンソール装置とディスプレイがある以外には、何も設えられてはいなかった。  ゴミ箱すらないのは、この部屋が居住を前提としていないためであろうか。  携帯用の栄養補助食品の包装や、飲料水の空ボトルも部屋の床に散乱している。リノリウム製のフロアリングに掃除された痕跡はなく、埃や抜け落ちた髪の毛が積もっていた。  この部屋の中に人の姿は一つだけだった。部屋の主であろう、歳は五〇半ばを幾らか過ぎた初老の男性がコンソールデス...
  • ブラックバロンの苦難
    「ブラックバロンの苦難」  執筆者:ギリアム 帰宅した彼の目に飛び込んできたのは、相棒の忘れ形見である少女だった。 ―玄関でずっと待っていてくれた…? それは帰宅する父親を出迎えるような本来は微笑ましい光景である。 少女が涙眼になりながらフライパンを両手に握りしめていなければ。 彼はため息をつきながら少女に問いかけた。 「ミニム…なんですかその格好は」 ミニムと呼ばれた少女は何も喋らずにじっとこちらを見つめてくる。 ―流石にまずかったでしょうか… 己の行いを振り返ってみる。 寝ているのを起こすのは悪いと思い、外出する事を告げず依頼を受け出撃し、依頼を完遂できず帰宅。 おまけに機体は先ほどの戦闘でボロボロ、武器も破壊されてしまった。 機体も武器もミニムが一生懸命整備したものだ。 それを出撃する事も告げずに持ち出してこ...
  • ~鬼神の妖精~
    「鬼神の妖精」  執筆者:ヤマト エデンⅠ[HOPEⅠ] 定期身体検査も終わり、自宅へと歩き出す。 いつもなら車を用意されているのだが 「今日は歩きたい気分なんだ」 と、言ってコーテックスのビルを出たのが30分程前、スワローは商業区にいた。 特に欲しい物があった訳では無い。ただなんとなく足が向いただけの事だ。 ブティックのウィンドウを冷やかしに見たり、道往く女性を物色したり、そんな何気ない散歩。 しばらく歩くと視界に珍しいモノが入った。 濃紺の生地に真っ赤な紅葉を散りばめた和服の少女。 人形のような美しさを持った少女だ。 「ほう」 思わずそんな言葉が口から出る。 これほどの容姿を持つ者はそういない。 どうせ目的の無い散歩だ、この人形のような可憐さを持った少女と時を過ごすのも悪くない。 そう思ったスワローは声をか...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十五話
    第十四話/ /第十五話*②  第十五話 執筆者:Ryo ―AD109/07/23 PM12 00― 太陽が頭を真上から照らし、街を歩く人々の額に汗が流れる、真夏の昼時。 リヴァルディのガレージの中、シーアとショーンは茹だる熱気の中で黙々と作業を続けていた。 「シーア、そっちはどうだ?」 「エネルギー供給系のバイパスは済んだ、そっちは?」 各ACの防塵処理や注油等のメンテナンスを終え、今は二人ともフィクスブラウの改造に着手していた。以前ショーンが設計したオリジナルパーツである増設ブースターを搭載させる為には、どうしても機体側を直接改造する以外に方法が無かったためである。 コア内部のエネルギー供給パイプ、配線や電子機器、センサー等に干渉させずに改造を施すのは非常に骨の折れる作業だが、ジャンク屋時代からかなりの回数の改造を繰り返してきたシーアにとってはそれほ...
  • 白翼の対価
    「白翼の対価*②*③」  執筆者:CHU AD101_12/15_16:31  その男は、今まさに死につつあった。  汚い廃棄処分場の片隅で、ただ人生の終焉を待つだけであった。  満足に呼吸も出来ず、喉からは掠れた擦過音が漏れる。指一本動かす事も出来ず、――否、体が言う事を訊かないのだ。動けと命じても、脳がそれを筋肉に伝達する事を拒む。  だが、男は己の運命を受け入れていた。  だから、もう足掻くことも諦めていた。  自分は翼を失い、地に落ちた。それは自分の撒いた種によるものだ。座して死を待つ結末にも、後悔だけはしていなかった。  幾らかの時間、気を失っていたらしい。塵屑のシルエットが朧気になる程度には、辺りが薄暗くなっていた。  ふと、胡乱なままの視界が遮られる。それは、顔が映り込みそうなくらいに磨き上げられた黒い革靴だった。自分を含め、塵屑しか無...
  • 屍翼の奏者②
    「屍翼の奏者*②」 「反対に、専属契約を結んだレイヴンは依頼の選択権が基本的に無い。そして優先的に達成困難な依頼が回される事になるが、拒否権も無い。隷属化と言えば聞こえは悪いが、そのようなものと思ってくれて結構だ」 「……けったいな話だ」 「何も悪い面だけ話している訳ではないよ。報酬は相場に比べて遥かに高額であるし、機体の修理費・弾薬費・維持費・ガレージ料などは全てコーテックス側が持つ。もちろん機体パーツや新しい武装も望めば無償で提供される。社員扱いに当たるから、シーズン毎にボーナスも出るね。輸送機や交通機関なども使いたい放題。食事無料で邸宅も完備!どうかな、悪いだけじゃないだろう?」 ギュスターヴは手を大仰に広げ、道化じみた仕草で語る。 「夢のような話だ」 「そう、それ故に専属を希望する者は後を絶たないが、我々が望むのは優秀な戦力だ。どこにでも居るような匹夫ではな...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑬
    ⑫*⑬*⑭  その直後、兵士が手を輸送車の方向へさし出す。それに従ってコーテックス士官に背を向けた時、傍に歩み寄ってきたらしい別の兵士が僅かにトーンを下げた声で言った。 「ナインボールの沈黙が確認されました──」 「了解。我々は所定通り、区境界部に防衛戦線を構築する」  そんな短いやりとりを最後に耳にし、ノエラは兵士のエスコートで着いた輸送車両へベランジェと共に乗り込んだ。車内には他の何処かで保護されたのだろう一般市民の先客が数人おり、場所を選んで何れからも離れた席にノエラは腰をおろした。それから間もなくして輸送車が発進し、微弱な震動が足元から伝わってくる。  胸元に仕舞い込んでいたディスクを抜き出し、それを手に包みこむ。  背中を壁に預けてぐったりとしたベランジェが、その様子を見ていた。 「本当に、ヤバいもの撮っちまったんだな……。大丈夫なのか?」 「わか...
  • Intermission -operation bitter and sweet-
    「Intermission -operation bitter and sweet-*②*③」  執筆者:クワトロ大尉(偽)  ―Main story シルヴィア&エイミ―  リヴァルディ艦内の一室。簡素で無骨な造りの部屋であるが、可愛らしい小物や家具が置かれていることから、一目で年頃の女の子が使っていると分かる。  その部屋のベッドの上で、ティーンズ向けの雑誌とにらめっこをしている一人の少女。リヴァルディの若きレイヴン、シルヴィア・マッケンジーは雑誌の特集記事を見ながら一人、悶々と悩んでいた。 「うーん……どうしよう。作り方は大体分かったけど、経験がないからなぁ」  彼女が見ている誌面にはファンシーなイラストと共にあるお菓子の作り方が掲載されていた。様々な形をした、光沢のあるブラウンの菓子。老若男女問わず人気のある魅惑のスウィーツ、チョコレートだ。  シルヴ...
  • Intermission -Imitation summer-②
    「Intermission -Imitation summer-*②」  メイファは頼りなさげにプールへと入って行くアリスに手を差し伸べ、その手を取ると、寄り添うように歩き、アリスの腰くらいまでの深さの所まで連れてくる。 「これくらいなら、怖くないでしょ。どう?アリスちゃん。初めてのプールは」 「みず、つめたい。でも、きもちいい」 「よかった。じゃあ早速、水遊びの入門編!まずはコレね」  そう言うと、メイファは唐突に手ですくった水をアリスへ振りまいた。 「きゃ!?」  突然、顔と上半身に水をかけられたアリスは何が起こったか分からず、きょとんとして固まっていた。 「ほら、アリスちゃんも私にやりかえさなきゃ。えい!」  そうして、先程と同じようにアリスへ水をかけるメイファ。 「ふみゃ!?・・・ん、えい」  やっとアリスも要領を得たのか、見よう見まねで小さな手を懸命に...
  • 設定
    あ行  アスセナ  アンオフィシャル・オペレーション  アンディオン地域  遺失技術文化社団  エクストリームアリーナ  エデンタイプコロニー都市  エデンⅣ か行  旧世代技術解析財団  旧世代技術解析財団所属・先進技術開発部  旧ナルバエス地方  ケレト大断崖  コード:ヴェイロン・アプローチ さ行  サンドゲイル  生体CPU た行  テラブースト  特殊技術戦力開発局  トラキア な行 は行  兵器災害 ま行  マーフア研究所 や行 ら行  リヴァルディ わ・を・ん 記号・数字  BRS(Biochip Regulating System)  ICS(Integrate Control System) アスセナ  ミラージュ社旧経済管轄区最南端に位置する旧世代遺跡。六年前にミラージュ社によってその存在のみが確...
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