ARMORED CORE Handed Down Heroism @ ウィキ内検索 / 「アルテミス」で検索した結果

検索 :
  • The Empress Strikes Back②
    ...リアのレイヴン名は『アルテミス』月の女神であると同時に狩猟の女神でもある。これほどまでに当てはまる状況も無いと思うと同時に、彼女には敵わないと悟り、トルフォニスは死を覚悟した。  だが、セシリアはトルフォニスに突き付けていた銃口を静かに下ろし、満足そうな笑みを浮かべ、 「ふふっ、ここで死ねると思った? 残念だけど、貴方にはまだ生きていてもらうわ。少なくとも、貴方が不当に殺したレイヴンたちの負債を返済してもらうまではね」  と拳銃をホルスターに収めつつ言い放った。 「な、に?」 「二度も言わせないで頂戴。まったく……貴方、見た目だけじゃなく脳も猿並みなの? じゃあ、分かりやすく言い直してあげるわ」  セシリアは月光で煌くブロンドをさらりと払いながらトルフォニスを一瞥し、 「貴方はたった今から私の下僕よ。これはもう決定事項。当然、拒否権なんか無いからそのつもりで」  と言...
  • The Empress Strikes Back
    ...催される、レイヴン[アルテミス]とのエキシビジョンマッチ出場を正式に受諾しました。詳細は追って連絡いたします。レイヴンズアークアリーナ運営課』 「今度は、前回より、もっと、楽しませてくれよぉ……クククッ」  輝く追跡者の異名を持つレイヴン[トルフォニス]は赤い瞳に狂気の火を灯らせ、しばらくの間笑い続けた。  一週間後、アーク本社に隣接するアリーナは熱狂の渦に飲まれていた。アークの女帝『セシリア・フィリックス』と黒い噂の絶えないレイヴン『トルフォニス』の対戦。これが普通のレイヴンのアリーナ戦であれば、ここまで観客は熱狂しないだろう。ここまで人々を熱くさせるのはセシリアの魅力によるものだった。  セシリアはアークのAランク保持者で唯一の女性レイヴンであり、その若さ・美貌・カリスマ性・レイヴンとしての腕前によって絶大な人気を誇っていた。しかも老若男女問わずである。  男性か...
  • 練習ページ
    ...ブリッツ A-5/アルテミス B-4/ルアナ C-?/バッシュ C-4/R・クイーン D-15/JHG +【ESTATE ARENA】 【ESTATE ARENA】 D-1/カヴァリエ E-?/ハイネケン +【GB ARENA】 【GB ARENA】 ?-?/ユウ・ダイ +【所属アリーナ不明】 【所属アリーナ不明】 A-?/アドリア D-?/ジョニー・B・グッドラック ?-?/ビクティム・オーランド ■ GLOBAL CORTEX +【EDENⅠ ARENA[HQ ARENA]】 【EDENⅠ ARENA(HQ ARENA)】 A-9/ノクス B-1/フョードル ?-?/グレイ・ジェファーソン +【EDENⅣ ARENA】 【EDENⅣ ARENA】 A-1/スプリーム...
  • アリス
    原案:クワトロ大尉(偽) 名前:アリス 性別:女 年齢:不明 身長:134cm 体重:35kg 虹彩:レッド 髪型:プラチナブロンドのロング 体格:未発達の幼い体つき 概要 旧世代遺跡の最奥部で発見された人工生命体。 現在の世界で生体CPUと呼ばれるうちの1体。シリアル番号はNo.01。 グローバルコーテックス・エデンⅣ支社のレイヴン、ソリテュードが発見し個人で保護している個体。アリスという名前はソリテュードが名付けたもの。 生体CPUだということは判明しているものの、詳細は分からず、個別特殊能力なども明らかになっていない。 他に発見されている個体に比べ、身体や思考系統が圧倒的に幼く、育成途上で何らかの理由により凍結し保存されていたと推測されている。 性格は非常に大人しく感情表現に乏しいため、何を考えているのかよく分からず、ミステリアスな雰囲気...
  • 屍翼の奏者
    「屍翼の奏者*②」  執筆者:CHU AD102_10/18_20:42 時刻は既に二十時を回り、夜闇が辺りを支配して久しい。 人の手を離れて寂れ果てた都市の静寂を、鋼鉄の巨躯が発する呻きにも似たジェネレーターの駆動音が掻き乱し、蛍火の如き明滅する光が、夜闇から辺りをほんの少しだけ切り取る。 ――マズルフラッシュ。 それは人の手による戦闘行為の証だ。 発砲による爆音と、巨大な空薬莢が跳ねて奏でる不協和音を機体の集音マイクを通して聞きながら、鋼鉄の巨人〈アーマードコア〉の操者は口笛を吹きながら視界に映るターゲットを次々と破壊していく。 その様子は休日に釣りでも楽しむかのようにお気楽で、とてもではないが命を懸けた戦闘の貌には見えなかった。 型落ちした旧式のACがミラージュ社自慢の最新可変型MTを屠るその様は、機体の性能を熟知している者である程に現実の...
  • 白翼の対価②
    「白翼の対価*②*③」  普段の生活を考えると、今日は忙しい一日になったものだ。  フラーネのマンションで腰を落ち着ける暇も無く、今度は居住区の隣にある商業区のショッピングセンターに繰り出す事になった。目的は、アルバートの服や寝具を揃えるため。もちろん陣頭指揮を執るのはフラーネだ。  彼女に引き連れられて最初に乗り込んだのは、店構えからして高級感溢れるブティックだった。  言うまでもなく、始めて足を踏み入れる類の店である。  そこでアルバートは、モデルと言うよりショーケースのマネキン宜しく、フラーネに乞われるがまま次から次へと服を取り替えていく。  単なる着せ替え人形に成るのならばまだ気が楽なのだが、フラーネはこちらに意見を求めて来るので質が悪い。生憎と自分はファッションセンスなど持ち合わせていないため、どうしても気の無い返事ばかりしてしまう。  ただし、「どうでもいい」が...
  • 白翼の対価③
    「白翼の対価*②*③」  わざわざ身構えている敵部隊のド真ん中に突っ込むのは愚策中の愚策であるが、不思議と何とかなるだろうと思えた。何しろ、まったく負ける気がしないのだ。  こちらを狙う殺意に似た何かが、火線となって見える。どう躱せばいいか、どう動けばいいか、どう撃てばいいか、手に取るように解る。  グレネードを避けながら重装型MTのメインカメラを正確に撃ち抜き、襲い来るミサイルを避けながらロケットで逆関節MTを吹き飛ばす。 「残り六」  マシンガンが機体の装甲を掠めるのも想定内だ。心地良い衝撃に身を委ね、踊るように機体を操る。  メインカメラを撃ち抜かれ、視界を狭められた重装型MTがグレネードを連射して来る。射線をほんの少し誘導してやれば、面白いくらい素直に撃って来た。僅かに、機体を揺らす程度の感覚で左にズレると、グレネードの榴弾は【プロトキャット】を外れ、その背後に居た逆...
  • 屍翼の奏者②
    「屍翼の奏者*②」 「反対に、専属契約を結んだレイヴンは依頼の選択権が基本的に無い。そして優先的に達成困難な依頼が回される事になるが、拒否権も無い。隷属化と言えば聞こえは悪いが、そのようなものと思ってくれて結構だ」 「……けったいな話だ」 「何も悪い面だけ話している訳ではないよ。報酬は相場に比べて遥かに高額であるし、機体の修理費・弾薬費・維持費・ガレージ料などは全てコーテックス側が持つ。もちろん機体パーツや新しい武装も望めば無償で提供される。社員扱いに当たるから、シーズン毎にボーナスも出るね。輸送機や交通機関なども使いたい放題。食事無料で邸宅も完備!どうかな、悪いだけじゃないだろう?」 ギュスターヴは手を大仰に広げ、道化じみた仕草で語る。 「夢のような話だ」 「そう、それ故に専属を希望する者は後を絶たないが、我々が望むのは優秀な戦力だ。どこにでも居るような匹夫ではな...
  • 白翼の対価
    「白翼の対価*②*③」  執筆者:CHU AD101_12/15_16:31  その男は、今まさに死につつあった。  汚い廃棄処分場の片隅で、ただ人生の終焉を待つだけであった。  満足に呼吸も出来ず、喉からは掠れた擦過音が漏れる。指一本動かす事も出来ず、――否、体が言う事を訊かないのだ。動けと命じても、脳がそれを筋肉に伝達する事を拒む。  だが、男は己の運命を受け入れていた。  だから、もう足掻くことも諦めていた。  自分は翼を失い、地に落ちた。それは自分の撒いた種によるものだ。座して死を待つ結末にも、後悔だけはしていなかった。  幾らかの時間、気を失っていたらしい。塵屑のシルエットが朧気になる程度には、辺りが薄暗くなっていた。  ふと、胡乱なままの視界が遮られる。それは、顔が映り込みそうなくらいに磨き上げられた黒い革靴だった。自分を含め、塵屑しか無...
  • ~ザックセルVSスコープアイ~
    「~ザックセルVSスコープアイ~*②」  執筆者:Ryo リヴァルディのガレージ内、PCの前で、シーアとショーンは論を交わしていた。 「ブースターも追加するべきだろ! じゃないと意味がねぇ!」 「だから、それだと重過ぎると言ってるだろう!」 今話しているのは、ショーン設計のAC用大型追加ブースタータンクのことだ。 リヴァルディでの目的地近辺への接近が難しい場合や、AC単体での長距離移動が必要な際に役立つだろうと考え、今も設計の真っ最中である。 「……まぁいい、どっちにしろ問題はどこに接続するかだ。 お前さんならどうする?」 「肩武器に干渉しないのがベストだ。 となるとエクステンションの位置だが、これは保持力が弱い上にバランスが崩れる。 無理だろうな」 「だよなぁ、やっぱりコア側の改造しかないか」 「オレの機体で試そう。 正規品よりは手を加え易いは...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十一話③
    ②*③/ /第十二話 着地の音は雨に紛れ、掻き消えていく。 雨粒が装甲を叩く音が、やけに大きく聞こえた。 「言い忘れたが、君にはオペレーターがついていないのでね、ボクがサポートすることになる」 『了解』 「早速ターゲットが出てきたぞ。数は四」 【ベルフェゴル】のレーダーが、坑道から出て来る機影を捉えていた。 「好きにやればいい。君の力を見せてくれ」 そう言ってスワローは【ベルフェゴル】を戦場を俯瞰しやすい高台に移動させる。 「ラフ、グレイ機の機体AIと同期しろ」 【了解――同期完了】 これであちらの機体情報がダイレクトに届くようになった。 同時に【ベルフェゴル】を索敵モードに変更。情報処理能力に特化させる。 そこでようやく異変に気付いた。 敵を示す熱源が、予想されたデータより遥かに大きい。 その理由はすぐに判明した。 ――坑道...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第七話
    第六話/ /第七話/ /第八話  第七話  執筆者:Ryo 夕暮れを走るリヴァルディに向かう途中で、突如通信が入った。 『シーア! また勝手に動いたわね!!』 エイミの怒声がコクピット内に響く。 「ああ、悪かった。 だがシェルブといいさっきのやつといい、あれだけの腕だ。 熱くならずにはいられない。 また近いうちに会えるといいが」 反省するどころかむしろ上機嫌のシーアに、エイミは呆れた。 『もう、まだシェルブたちとは会って間もないんだから、悪い印象を持たれるのは嫌よ』 エイミの言う通り、サンドゲイルのメンバーになったのはつい最近だ。 自分のことはあまり知られたくなかったが、そもそも有名なサンドゲイルに、噂の『暗殺者』が加わったのだから、情報が出回らないわけがない。 先程のレイヴンのオペレーターもこっちのことを知っていた。 まだ機体の詳しい情報が出回...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑭
    ⑬*⑭/ /第十四話  ノウラは既に、事実関係の大半を知り得ていた。  だからこそ、当事者達からの直接の言葉などは無為に等しきものであると断じ、代わりに彼らに告げるべき事実を告げる為に、次の口を開いた。 「──我々一族は、貴君等に多くの叡智を与えた。貴君等、統一政府が衰退した人類の復興の一助となり、賢明な統治者として君臨するであろう事を、望んだからだ」  ノウラは語る。自らの身体に流れる、何世代にも渡って受け継がれてきた血筋を。自身の一族が統一連邦政府と共に在り続けてきた過去を。彼らが今回の件──【エデンⅣ騒乱】で、人類の今後の在り方を確実に変えてしまう失態を犯した事を、彼ら自身に思い知らせる為に。 「貴君等の先達の遺した遺産を見誤り、貴君等は自ら王道を踏み外した。──末路は、自らが語れ」  十数時間前──【エデンⅣ騒乱】の引き金を引いた政府一派の暴走を、賢人会議は...
  • ~ザックセルVSスコープアイ②
    「~ザックセルVSスコープアイ~*②」 『シーア、逃げて!』 エイミが声を荒げて叫んでいた。 普段の落ち着きが一切見受けられないことから、かなり切迫した状況であることが容易に理解できた。 「こんな時に……!」 目の前には、自分が望んだ最強の敵がいる。 あともう少し、もう少しで決着がつく。 だというのに、体が動かない。 自分は、どうするべきなのか。 間違いなく、エイミは危険な状況にいる。 だが自分も敵と睨み合っている状況であり、迂闊に動けない。 自分は、どちらを優先すべきなのか。 答えは当然決まっていた。 それでも、それが正解なのか、自信がない。 迷っている時間はないとわかっているのに、身体は動かなかった。 堂々巡りの逡巡の中、目の前の敵が話しかけてきた。 『選べ、生死の選択だ。 お前はどちらを選ぶ?』 その言葉で、シーアは覚悟を決...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十五話②
    第十五話*②*③ 「恥ずかしながら、まったくもってその通りだ……他の部位の修理は大体済んでいるんだが、右腕は丸ごと無くなっちまってるからな、どうしようもないのさ。おまけに自分の身体の怪我も完治したワケじゃねぇのにエデンⅣ防衛にもなんだかんだで駆り出されるし、ツイてねぇよ……」 「そんなわけで、ウチで修理をすることになってんだ。運のいいことにパーツの在庫がある、なんとかなるだろ。それに俺たちはこのままトラキアに戻るから、ついでに乗せて行くことになったわけだ。 納得したか坊主?」  と、ショーンが突然マイの背中を叩きながら訳知り顔で顔を出した。 「ってなわけで、ゼオはシーアの基地制圧完了を見計らってからウチのガレージに寄って、それから作戦に参加ってことになるわけだ。これで満足したか?」  まだ完全に納得したわけではない、とでも言いたいような渋い顔のままだったが、マイは仕方なく...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑬
    ⑫*⑬*⑭  その直後、兵士が手を輸送車の方向へさし出す。それに従ってコーテックス士官に背を向けた時、傍に歩み寄ってきたらしい別の兵士が僅かにトーンを下げた声で言った。 「ナインボールの沈黙が確認されました──」 「了解。我々は所定通り、区境界部に防衛戦線を構築する」  そんな短いやりとりを最後に耳にし、ノエラは兵士のエスコートで着いた輸送車両へベランジェと共に乗り込んだ。車内には他の何処かで保護されたのだろう一般市民の先客が数人おり、場所を選んで何れからも離れた席にノエラは腰をおろした。それから間もなくして輸送車が発進し、微弱な震動が足元から伝わってくる。  胸元に仕舞い込んでいたディスクを抜き出し、それを手に包みこむ。  背中を壁に預けてぐったりとしたベランジェが、その様子を見ていた。 「本当に、ヤバいもの撮っちまったんだな……。大丈夫なのか?」 「わか...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 外伝
    ARMORED CORE Handed Down Heroism -Side storys- 作:CHU ■ Dépression du chevalier (登場人物:カヴァリエ、ルガノルフ)   血気に逸る若き女騎士は、憩い場にて老いた大鴉と出会う。   彼は、一時の歓楽を玩味する代わり、彼女に自らの詮術と訓蒙を分け与えた。     Page-1   Page-2 ■ 白翼の対価 (登場人物:アルバート フラーネ)   貪婪な世界の闇は男の全てを喰らい、全てを奪い去った。   地位も、名誉も、骨肉も、――果ては人間としての尊厳さえも。   全てを奪われた男は、ある時、燦然たる光輝と出会う。   ――そしてその光輝は、新たに、男にとっての全てとなった。    Page-1 Page-2 Page-3 ■ 屍翼の奏者 (登場人物:アルバート フラーネ) ...
  • Armored Core - Vicissitude - 1‐1
    「Armored Core - Vicissitude - 1‐1* Armored Core - Vicissitude - 1‐2」  執筆者:柊南天  熱く滾る釘を手足に打ち、眼を開いてその心の往く先を見届けなさい── 「──チェック。早くしてよ、つかえてるんだから」  なんとなく面白くない方向に勝敗の流れが傾いているのは薄々感じていたが、まさかその矢先に僅か一手でチェックまで持ち込まれるとは予想だにしていなかった。  古い鉄製のチェス盤を敷いた卓上に頬杖をつくナボは、往来切れ長の目を僅かに開いて、正面に居座る相棒──ソルラの澄ました横顔を見つめた。  彼女は横に傾けた椅子に背中を預け、近頃いたく気に入ってるらしいファッション誌をゲームの開始当初から熱心に読み耽っている。  言うに事欠いて、後がつかえてる(・・・・・・・)とまでのたまってくださるとは……...
  • Chase of immortal
    「Chase of immortal」  執筆者:CHU  LEDの無機的な照明が灯る室内、そこは饐えた生活臭に満たされていた。  部屋に間取りなどなく、五メートル四方の立方体に近い。窓もなく、入り口は一つであり、その扉は閉じていた。しっかりと施錠され、来客を拒んでいる。  室内にインテリアは一つもない。独居房のような間仕切りのないトイレ、簡易ベッド、コンソール装置とディスプレイがある以外には、何も設えられてはいなかった。  ゴミ箱すらないのは、この部屋が居住を前提としていないためであろうか。  携帯用の栄養補助食品の包装や、飲料水の空ボトルも部屋の床に散乱している。リノリウム製のフロアリングに掃除された痕跡はなく、埃や抜け落ちた髪の毛が積もっていた。  この部屋の中に人の姿は一つだけだった。部屋の主であろう、歳は五〇半ばを幾らか過ぎた初老の男性がコンソールデス...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十五話③
    ②*③/ /第十六話 ―AD109/07/23 二三 四七― 「ボス、スコープアイが、基地制圧を開始しました。 ポイントレッドのMTも、ほとんど撃墜いたそうです」 「よし。 少し早いが、作戦を開始する。 各員、レーダーには常に気を配れ」  予測の通り事が運べば、敵部隊は既に警戒している三方向からしか攻めて来ることはない。 だが、シェルブはもう一つ、ある可能性を懸念していた。  ――そんな事態に、ならなければいいが  そう考えずにはいられない。 レイヴンならば誰もがいつかは経験する、ある危険性をこの任務は孕んでいる。  だが、今このタイミングにおけるそれは、少しばかり厄介だ。  だが、同時にそれを経験することで、成長も期待できる。 いずれは超えねばならない壁なのだ。 「――マイ、聞こえるか」 『何ですか親方?』 「……気を引き締めろ、予測とは違う方向から...
  • Intermission -operation bitter and sweet-③
    「Intermission -operation bitter and sweet-*②*③」  ―SideA―  2月13日、夕方。エデンⅣの高級マンションの一室。ソリテュードの部屋にアリスとメイファはいた。二人は共にエプロンを着け、キッチンで何かを作っている。 家主であるソリテュードは遠方のミッションに出撃しており不在で、帰ってくるのは明日の朝である。それを見越して今日と明日をオフにしていたメイファはアリスの世話と留守番を買って出たのだ。もちろん彼女たちにとって、この状況は好都合だったのは言うまでもない。 「よいしょ……よいしょ……」 「いい調子よ、アリスちゃん。もうちょっとだから頑張って」 「うん、がんばる」  アリスはメイファが支えているボウルの中身をヘラで一生懸命かき混ぜていた。キッチンに背が届かないので子供用の台に乗ってボウルの中を覗き込むような格好だ。...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十二話
    第十一話/ /第十二話*②  第十二話 執筆者:クワトロ大尉(偽) コロニー『エデンⅣ』の居住区画。 現在の時刻は午前7時過ぎ。 いつもならば会社や学校へ向かうサラリーマンや学生が、せわしなく行き来し、活気づいているはずのメインストリートは混乱の渦に巻き込まれていた。 本来なら人工とはいえ燦々と降り注いでいるはずの朝日は見る影もなく、エデン4の高い天蓋は不吉な闇を落としている。 その混乱の最中、悲鳴と怒号が支配する闇を切り裂くように一人の男が、人々の流れと逆行しながら駆け抜けていく。 向かう先は居住区画と商業区画の間に位置する興行区画。 避難警報が発令されている現場そのものに全速力で走っていく。 グローバルコーテックス所属のレイヴン、ソリテュードは滅多に見せない焦りの表情を浮かべていた。 ――まずいことになった。 彼を焦燥させる理由は唯一つ。...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十一話②
    第十一話*②*③ コーテックスの社有ガレージは本社施設の地下に備え付けられている。 地下に張り巡らせられたリニアなどの交通機関を利用しやすくするためだ。 もっとも、これは一般的な貸ガレージにも言えることである。 スワローはガレージの入口に取り付けてあるセキュリティーにIDカードを滑らせ、十六桁にも及ぶ暗証コードを空で打ち込む。最後に指紋と虹彩認証をパスすると、やっとドアロックが解除された。 ガレージに足を踏み入れると、赤外線センサーで人の入室を感知した照明が、自動でガレージ内を照らし出した。 只広いガレージ内には三機のACが立ち並んでいる。 一つは【ARROWS】――コーテックスの試作ネクストだ。 近日中に行われる換装作業のためか擬装装甲が外されており、専用の武器もこの間のクレスト新型戦で破壊されたため、ハードポイントには何も取り付けられていない。 ...
  • Armored Core - Bar "Lobo" -
    「Armored Core - Bar "Lobo" -」  執筆者:柊南天  緩い建付けの扉の外から届いた喧騒が、俄かに耳を打った。グラスを磨く手を一旦停め、ラックに立てていた杖に重心を預ける。相応に年季の入ったカウンターの端に常時備え付けて在る、古いラジオの元へ歩み寄った。  チャンネルは其の侭に、軽い軋みを立てるボタンを数度押し込んで音量を上げる。左右二個のスピーカーから、定時にいつも流しているアーティストの音楽が割れた音色で、しかし聞く者にとって然程害には為らない程度に光源の絞られたホールへと広がっていく。  何世代も前の古いラジオで彼方此方に支障を来しつつある代物だが、だからと言って新しい別物に変えようという気は更々無い。自分が兵士としての現役を退き、この店を開業した時から連れ添った間柄だ。  滅多に来客の報せを運ばない呼鈴付の扉を流し見、...
  • Armored Core - Vicissitude - 1‐2
    「Armored Core - Vicissitude - 1‐1 * Armored Core - Vicissitude - 1‐2」 「──早くしてよ、つかえるじゃないのよ」 「待てよ、焦るなって。もう少し、もう少しで奇跡の一手が……」  絶望的なチェックの状態からの劣勢を丸ごと覆す一手──そんなモノがこの期に及んで、都合よくある訳はない。つまるところ、彼此20分ほども盤上を真上から覗き込むというナボの試みは、単なる意地の悪い時間稼ぎのようなものであった。  この勝負に決着がつかなければ、本番ではうまいこと立ち回ったもの勝ちという流れになる。  ただ、それでも順当に敗北を喫すのは癪であり、刻限の間際まで不毛な抵抗を続けてやろうと、正しく底意地の悪さを見せようとしていた。  高みの見物という特権を行使する気もないソルラは、盤上に興味を示す様子もなく口許で嗜好品の葉巻を弄...
  • Armored Core - Execution - 1‐2
    「Armored Core - Execution - 1‐1 * Armored Core - Execution - 1‐2 * Armored Core - Execution - 1‐3」  誘導灯が不規則に明滅する薄暗い搬入路を十数秒で突き抜け、内郭部出口へリスタートを滑り込ませる。 「これは──結構な有様だな……」  進入に成功した内郭都市部の惨状を目にした時、先ほど作戦領域上空より緊急離脱した輸送機から通信要請が発信されてきた。戦術支援AIに口頭指示して、戦時回線を確立させる。 「此方、戦力コード【リスタート】。大丈夫か、カテリーナ──?」 『はい。後部カーゴをパージしましたが、何とか……。現在、友軍増援部隊との合流進路にて待機中です。ヴァロージャ、其方は──?』 「現在、シェルター内部へ進入した所だが──」 『成程、酷いようですね──』  稼動中のデー...
  • Armored Core - Execution -②
    Armored Core - Execution -*②*③  誘導灯が不規則に明滅する薄暗い搬入路を十数秒で突き抜け、内郭部出口へリスタートを滑り込ませる。 「これは──結構な有様だな……」  進入に成功した内郭都市部の惨状を目にした時、先ほど作戦領域上空より緊急離脱した輸送機から通信要請が発信されてきた。戦術支援AIに口頭指示して、戦時回線を確立させる。 「此方、戦力コード【リスタート】。大丈夫か、カテリーナ──?」 『はい。後部カーゴをパージしましたが、何とか……。現在、友軍増援部隊との合流進路にて待機中です。ヴァロージャ、其方は──?』 「現在、シェルター内部へ進入した所だが──」 『成程、酷いようですね──』  稼動中のデータリンクシステムによって転送され続けている有視界映像を目にしたのだろう、カテリーナは自身と似たような言葉を口にした後、小さく息をついた。...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十二話③
    ②*③*④ これで多少は掛かるGが軽減される筈だ。 セントラルタワーを目指し、興行区画のメインストリートを疾走していくと、横道から1機の四脚型パルヴァライザーが滑るように姿を現した。 パルヴァライザーは両肩のレーザーキャノンの砲口をこちらに向けるが、それよりも速く高速徹甲弾がパルヴァライザーの頭部を射抜いていた。 ソリテュードはスナイパーライフルによる精密射撃でパルヴァライザーを一撃で沈黙させる。 閣座する機体を横目にセントラルタワーを目指しながら、先ほどのパルヴァライザーの挙動に少なからず違和感を覚える。 何というか、機動が甘いような気がする。 もちろん一撃で仕留めるつもりだったが、あそこまでまともに食らうとは思っていなかった。 違和感は拭いきれなかったが、目的地であるセントラルタワーが目前に迫っていたため、思考を脇に追いやる。 ゆっくりとスロットルを...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑪
    ⑩*⑪*⑫  昇降機の下降制御情報によると、現在地下高度は千数百メートルまで下がっている。エデンⅣ全域に散在する区画隔壁管理局の運営する昇降機でも通常では、地下数百メートル程度の経済管轄階層までしか降りられない。それより先へ進むには、制御システムに専用コードでアクセス指令を出すかプログラム自体を改竄する方法と取らねばならない。  地下核部構造体は複数の空間層によって構築されているが、不定勢力の依頼主が指定してきた作戦領域はその最下層区域であった。  その最下層へ、間もなく到着する──  数十秒後、昇降機の停止と共に制御システムが最下層区域への到着をプログラムヴォイスで伝え、隔壁扉が開放される。 「動体反応はない、が──」  前方に伸びる連絡通路は赤黒く点滅する警戒灯によってその全貌を淡く映し出しており、ルートマップ上でゼクトラの現在位置を把握。搭載レーダー機能を戦術...
  • Dépression du chevalier②
    「Dépression du chevalier*②」 (何をしたんだ、いったい!?)  よもや直進して来る重量級の機体に回避されることなど完全に想定外だったため、カヴァリエは混乱から一瞬の隙を曝す。そしてその一瞬さえも相対する敵には致命となり得ることをカヴァリエは思い知らされる。  ガッガンッ!とコックピットを連続で揺さぶる衝撃によりカヴァリエは我に帰った。  何をされたかなど機体AIの報告を聞くまでもない。反撃を受けたのだ。恐らくは右腕部の得物であるスナイパーライフルで。 【機体AP低下、左腕部損傷軽微、コア損傷軽微】 「チィッ……!」  機体AIの報告を聞き、カヴァリエは軽く舌打ちしつつも【キュラシェーア】を後退させ、再度チャージの完了したレールキャノンを構える。 「足さえ止めれば!」  再び【アイムール】の脚部に向け放たれた光条は、やはり狙いを外されアリーナの床...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑤
    ④*⑤*⑥  つまり、今はそういう事態という事だ。  グローバルコーテックス支社内部には、その規定が発動した際に統合司令部として機能する施設が設けられており、ターミナルスフィアも招集令を受けて現在その指令機能を移転中なのだろう。  レイヴンであると同時に事務所所長であるノウラは、その陣頭指揮を取る為に出向しなければならないため、今回レイヴンとしての仕事をこなすのは若干の無理がある。  そうでなくともノウラの本業はレイヴンではないため、そこまで彼女に望むのは酷だとファイーナは軽く考えた。 「そこまで期待はしないさ。それよりノウラ、此れを観ろ──」  ファイーナは戦術支援AIに指示して予め編集保存していた先ほどの映像ファイルを、ノウラの下へ転送した。メインディスプレイに出力した通信映像に映るノウラは、左頬を人差し指でかく真似をしてみせる。 『ふむ、やはりナインボール...
  • Intermission -operation bitter and sweet-
    「Intermission -operation bitter and sweet-*②*③」  執筆者:クワトロ大尉(偽)  ―Main story シルヴィア&エイミ―  リヴァルディ艦内の一室。簡素で無骨な造りの部屋であるが、可愛らしい小物や家具が置かれていることから、一目で年頃の女の子が使っていると分かる。  その部屋のベッドの上で、ティーンズ向けの雑誌とにらめっこをしている一人の少女。リヴァルディの若きレイヴン、シルヴィア・マッケンジーは雑誌の特集記事を見ながら一人、悶々と悩んでいた。 「うーん……どうしよう。作り方は大体分かったけど、経験がないからなぁ」  彼女が見ている誌面にはファンシーなイラストと共にあるお菓子の作り方が掲載されていた。様々な形をした、光沢のあるブラウンの菓子。老若男女問わず人気のある魅惑のスウィーツ、チョコレートだ。  シルヴ...
  • ―Trick or treat―
     執筆者:継@(適当にどうぞ) 「AC用新型EN兵器運用試験」  今回ファレが請け負ったミッションだ。  新型と言うフレーズに胡散臭さを感じつつミッションを受託したが、怪しげなものに胸が躍るのは、技術者上がりの性だろうか。  おそらく一般的な傭兵には味わう事のない感情だろう。  まぁ、味わったところで、なにか得をする訳でもないような気もする。  彼の愛機「パスカル」は一足先にクライアントへ出向いている。  今回試験を行なう装置との相性や、試験兵器の情報漏洩を防ぐ調査のためだ。  そしてファレ自身も作戦領域まで、これまた機密保持のため、愛機との再会を禁じられている。  試験対象と、変わり果てた愛機の姿を想像し、期待と不安を交互に感じながら、彼はクライアントの輸送機の中で作戦領域への到着を待っていた。  作戦開始30分前、一...
  • ~he's coming back~
    「~he s coming back~」  執筆者:ヤマト 夜闇を妖しく炎が照らす。 小さな採掘基地での暴動を鎮圧すべく一人のレイヴンが雇われたのだ。 ガイアフレア/ダイスケ かつてはツヴァイと呼ばれた特務部隊員。現在はフリーランスのレイヴンとして第一線で活躍中である。 「呪うのならば、武力蜂起を掲げたお前達のリーダーを呪うのだな」 すでに物言わぬ鉄屑へと変わったMTに言葉を投げる。 今回の戦闘も例に漏れず酷い有様だった。 中量2脚型のACの動きについていける機体は無く、1機、また1機と破壊されていく。 なにしろ作業用MTにACのバズーカやグレネードを積んだだけの粗悪な構成では攻撃力だけはあるが防御力、機動力がないに等しい。 結果、初弾を避けられたら自然と撃破されるのを待つような状態に陥る。 戦闘開始...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十話④
    ③*④/ /第十一話                                *  新鋭レイヴンのアリーナ本戦出場を快く思わない武装勢力による妨害工作を阻止せよ──  事前にあらゆる手を使って【ターミナル・エリア】は、詳細情報を入手。予備大会決勝後の隙を狙って、新鋭レイヴンの命を頂戴すべく潜伏待機していた武装勢力を急襲、制圧した事により作戦は滞りなく成功した。  拘束された武装勢力の実行部隊が、ガロの指揮した機械化急襲部隊員に引連れられて傍の車道に待機していた装甲輸送車に載せられていく。  アリーナ内部に侵入せずに決勝終了後の隙を外部から狙おうとしていた当たりは、賢しいといっていいレベルだが、逆に出来ること言えばそんな程度のものだと、ガロは胸中で悪態をつく。  グローバル・コーテックス相手の新鋭レイヴンが本戦への出場資格を手にした場合、武装勢力は作戦自体を放...
  • Intermission -Imitation summer-
    「Intermission -Imitation summer-*②」  執筆者:クワトロ大尉(偽) エデンⅣのとある高級マンションの一室。  シックな家具と内装で統一されたダイニングには中華料理特有の匂いが漂っていた。  テーブルには色鮮やかな料理が並べられ、これらを作った本人でもあるメイファは自分を含め、3人分の料理を小皿へ器用に取り分ける。 「はい、鶏肉のカシューナッツ炒め。今日の自信作なの、コレ」  ソリテュードは微笑むメイファから小皿を受け取り、器用に箸を使いながら料理を口へと運ぶ。  ジューシーな鶏肉と香ばしいカシューナッツが醤油とオイスターソースの味と絡みあい、絶妙な旨味が口に広がる。 「うん、美味い。いつもながらいい腕だ」 「おいしい」 ソリテュードの隣に座るアリスも、たどたどしい手つきで箸を使いながら料理を口へ運ぶ。 アリスはいつものように...
  • Armored Core - Execution -
    Armored Core - Execution -*②*③ 執筆者:柊南天  Armored Core - Execution - EpisodeⅠ  第一種戦闘態勢を継続維持中の各種センサー機能が戦域環境情報を逐次収集し、HMDに出力したエリアマップに状況を更新していく。  マルチコンソールを操作してエリアマップを回転──多数の動体反応が著しく動く位置座標を見咎め、ヴァロージャは眼球動作に追従機能するフレームシステムを用いて搭乗機の頭部カメラアイを眼下の地上へ傾けた。  上空域にまで届く黒煙の切れ目に覗く広大な赤土の岩壁地帯、その地上部で動体反応源である前線兵力が火線を交えている。複雑な岩壁地形の地上で敵味方の機械化部隊が高密度に衝突し、大きな爆発音が幾度となく響く。  有視界に映る有り触れた戦場の光景を見つめていた時、作戦支援室から通信要請が入り、ヴァロ...
  • Armored Core - Execution - 1‐1
    「Armored Core - Execution - 1‐1 * Armored Core - Execution - 1‐2 * Armored Core - Execution - 1‐3」  執筆者:柊南天  第一種戦闘態勢を継続維持中の各種センサー機能が戦域環境情報を逐次収集し、HMDに出力したエリアマップに状況を更新していく。  マルチコンソールを操作してエリアマップを回転──多数の動体反応が著しく動く位置座標を見咎め、ヴァロージャは眼球動作に追従機能するフレームシステムを用いて搭乗機の頭部カメラアイを眼下の地上へ傾けた。  上空域にまで届く黒煙の切れ目に覗く広大な赤土の岩壁地帯、その地上部で動体反応源である前線兵力が火線を交えている。複雑な岩壁地形の地上で敵味方の機械化部隊が高密度に衝突し、大きな爆発音が幾度となく響く。  有視界に映る有り触れた戦場の光景...
  • ~鬼神の妖精~
    「鬼神の妖精」  執筆者:ヤマト エデンⅠ[HOPEⅠ] 定期身体検査も終わり、自宅へと歩き出す。 いつもなら車を用意されているのだが 「今日は歩きたい気分なんだ」 と、言ってコーテックスのビルを出たのが30分程前、スワローは商業区にいた。 特に欲しい物があった訳では無い。ただなんとなく足が向いただけの事だ。 ブティックのウィンドウを冷やかしに見たり、道往く女性を物色したり、そんな何気ない散歩。 しばらく歩くと視界に珍しいモノが入った。 濃紺の生地に真っ赤な紅葉を散りばめた和服の少女。 人形のような美しさを持った少女だ。 「ほう」 思わずそんな言葉が口から出る。 これほどの容姿を持つ者はそういない。 どうせ目的の無い散歩だ、この人形のような可憐さを持った少女と時を過ごすのも悪くない。 そう思ったスワローは声をか...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十六話②
    本編十六話*②* ③  マイはリナリアと名乗った少女の手をとり、共に簡素な照明が照らす艦内通路を歩む。少女の手は小さく繊細であり、僅かながら冷えている。歩みにややぎこちなさがあるのは、緊張のためだろうか。  マイは立ち止まり、少女に向き直る。 「それじゃ、改めて……俺はマイ――マイ・アーヴァンク。よろしくな」 「は、はい……。リナリアです……」  硬い動きでお辞儀をする少女。制動のはっきりした動作ゆえに、その勢いに負けて少女の頭部に乗っていた白磁の帽子が零れ落ちる。栗色の長い髪が扇状に揺れる。  マイは帽子が地に落ちる前に掴み取る。 「あ――」 「――ふー。何とか落ちずに済んだ。はい、これ」  マイは薄蒼色のリボンが小さく備え付けられた帽子を、少女に手渡す。少女――リナリアは栗色の髪を押さえ、俯きつつも言葉を紡ぐ。 「あ、ありがと……ございます」  途切れ途...
  • The rest is silence -Erster Akt-②
    「The rest is silence -Erster Akt-*②」  -Arena・Corridor-  ――その復讐が果たされたとき、貴方は自分自身に何を思うでしょうね。  脳内に木霊する黒騎士の言葉。黒騎士のどこか見下したような独特の口調とその態度、そして「あの言葉」はアハトの精神を揺さぶるのに十分な効果を得たが、それでも彼はこの復讐というものがいずれ破滅をもたらすであろうことを充分に理解していた。  死神に拐かされ、一度は暗闇で満たされた向こう岸へと進めた歩み。如何なる手違いか、あるいは書類に不備でもあったのか。許可されたはずの死は何者かによって剥奪され、自分は再び闘争と略奪が満ちる地上へと送り返された。  再び手にすることができた生命。あるいは万人ならば、喜び勇むところなのかもしれない。  だが戻されたのは己の命のみ。故郷であるヴォルムスは瓦礫の山と...
  • @wiki全体から「アルテミス」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索