ARMORED CORE Handed Down Heroism @ ウィキ内検索 / 「ブリッツ」で検索した結果

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  • Interlude.1
    ...れは何の映像ですか、ブリッツ」  ブリッツと呼ばれた男は、コンソールを操作する手を止めると、アンネを鋭い視線で見据える。 「アンネ。ACに乗っている時以外はレイヴンネームで呼ぶなと言っておいた筈だろう。減点だよ、今のは」  今までのにこやかな雰囲気を一変させ、ブリッツは少しずれたメガネを神経質そうに手で直す。メガネの奥に宿る目は冷徹なレイヴンのそれだった。  その一般人であれば身震いしてしまうような視線を前にして、アンネは表情を変えず、ぺこりとお辞儀して謝罪する。 「申し訳ありませんでした、シュナウファー様」  アンネの洗礼された動作を見たブリッツは再びにこやかな表情に戻り、柔らかな口調で言う。 「いや、分かってくれればいいんだよ。君のような聡明な女性は一言で理解してくれるから非常に助かる。やはり君は僕のオペレーターとして申し分ないね」  彼はレイヴン...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第九話②
    第九話*②*③  ミラージュ社直轄経済管轄領、閉鎖型自治区【ソグラト】── 午後一五時三〇分──。  艦艇上部区画の展望施設から臨む荒野に、黄塵を含んだ陣風が不規則に渦巻いている。  霞むその荒野の中に数日見なかった人工物──都市全域を覆う外殻機構を見咎めた時、艦内内線を通じてインカムに通信が届いた。 『繋留コロニーに着くわ、マイ。ボーディング・ブリッジに移動するから、手伝ってちょうだい』 「オーケー、すぐに行くよ」  外景に傾注していた視線を戻し、マイは艦内八階の乗降施設に直結する連絡通路へ再び足を向けた。  繋留施設への接近報告が艦内放送を通じて響き、先程まで落ち着いた静けさを保っていた艦内が俄かに騒がしくなり始める。繋留準備の為に通路を行き交う見知りのクルーらと目礼を交わし、込み合う昇降設備を避けて連絡階段で一気に八階まで駆け上がった。  すぐ右手、右舷第七...
  • ブリューナグ
    原案:クワトロ大尉(偽) 機体名:ブリューナグ 搭乗者:ソリテュード 機体構成 +HEAD:H01-WASP HEAD:H01-WASP 高い基本性能を持ち、今も現役で活躍する第一世代型 +CORE:C04-ATLAS CORE:C04-ATLAS 格納機能搭載、出力・発熱量を抑えた巡航型OBを採用 +ARMS:A11-MACAOUE ARMS:A11-MACAOUE 先端技術を用い、新たに設計された最新鋭機 +LEGS:CR-LH8052 LEGS:CR-LH8052 軽量化を目的にLH73SSAを改修した第三世代機 +BOOSTER:B03-VULTURE2 BOOSTER:B03-VULTURE2 ミラージュの第三世代型、発熱量を抑えたVULTUREの姉妹機 +F.C....
  • ジルエリッタ
    原案:マド録 機体名:ジルエリッタ 搭乗者:シルヴィア・マッケンジー 機体構成 +HEAD:H01-WASP HEAD:H01-WASP) 高い基本性能を持ち、今も現役で活躍する第一世代型 +CORE:C02-URANUS CORE:C02-URANUS) 消費ENを抑え、軽量化を施した第二世代EOタイプ +ARMS:A11-MACAQUE ARMS:A11-MACAQUE) 先端技術を用い、新たに設計された最新鋭機 +LEGS:LH06-JAGUAR LEGS:LH06-JAGUAR) PANTHERの防御力を強化、長期戦に耐えうる高機動二脚
  • 練習ページ
    ...ロージャ A-4/ブリッツ A-5/アルテミス B-4/ルアナ C-?/バッシュ C-4/R・クイーン D-15/JHG +【ESTATE ARENA】 【ESTATE ARENA】 D-1/カヴァリエ E-?/ハイネケン +【GB ARENA】 【GB ARENA】 ?-?/ユウ・ダイ +【所属アリーナ不明】 【所属アリーナ不明】 A-?/アドリア D-?/ジョニー・B・グッドラック ?-?/ビクティム・オーランド ■ GLOBAL CORTEX +【EDENⅠ ARENA[HQ ARENA]】 【EDENⅠ ARENA(HQ ARENA)】 A-9/ノクス B-1/フョードル ?-?/グレイ・ジェファーソン +【EDENⅣ ARENA】 【EDENⅣ ARENA】 ...
  • 主要登場機体
    ▼サンドゲイル 蒼竜騎 ジルエリッタ ツエルブ フィクスブラウ アストラ・カストラ ▼遺失技術文化社団 ゼクトラ ホワイトサン ▼グローバルコーテックス エデンⅠ本社 ARROWS ネイリング ▼グローバルコーテックス エデンⅣ支社 ブリューナグ ファンロン ▼レイヴンズアーク シャドームーン
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十二話④
    ③*④/ /第十三話 ――ガレージに戻って武装を整えるしか手が無いな。 ミランダにガレージへの最短ルートの検索を頼もうとしたその時、嫌な予感がしてアリスを庇いながら咄嗟にフルブレーキングする。 直後、目の前で大爆発が起き、路面を大きく抉り返し、爆風と瓦礫がブリューナグを震わせる。 背後に迫る無機質な殺気を感じ、振り向くと、そこには1機の赤いACが立ちはだかっていた。 ――やはりな、とうとう現れやがったか。 「ナインボール・・・コピーか」 ―ナインボール・コピー― 統一政府がイレギュラーと認定したレイヴンを抹殺するために暗躍する、ネクスト技術を取り入れたAC。完全自律制御で、オリジナルよりもデチューンされているとはいえ、既存のACを凌駕する性能を持っている。 「な、ナイン・・・ボール、ですって?有り得ません!ソリテュードがイレギュラー認定されるなど!!」 ...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十二話②
    第十二話①*②*③ アザミは人間を遥かに超えた動きでガトリングガンの暴風雨のような弾幕を掻い潜り、MTを翻弄していた。 目標が小さすぎる上に、あのスピードだ。MTのカメラアイとFCSでは捉えきれないだろう。 アザミの余裕すら感じられる動きに多少の安心感を覚えつつ、自分も加勢できる瞬間がないかと機会を窺う。 MT相手に少しも止まることを知らないアザミに業を煮やしたのか、MTのうちの1機のバズーカが火を噴いた。 その砲弾はアザミの前方の道路に着弾し、路面を派手に抉りながら無数の破片をまき散らす。 アザミは雨のように降り注ぐ瓦礫片に臆することもなく、腕の中のアリスを庇いながら抉れた路面を低い姿勢で軽々と跳躍しつつ、身体を捻り、片手でグレネードランチャーを自身へ狙いを定めているMTに向けた。 その砲口がMTのカメラアイへ向けられていることに気付いたソリテュードは自分も打...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十二話③
    ②*③*④ これで多少は掛かるGが軽減される筈だ。 セントラルタワーを目指し、興行区画のメインストリートを疾走していくと、横道から1機の四脚型パルヴァライザーが滑るように姿を現した。 パルヴァライザーは両肩のレーザーキャノンの砲口をこちらに向けるが、それよりも速く高速徹甲弾がパルヴァライザーの頭部を射抜いていた。 ソリテュードはスナイパーライフルによる精密射撃でパルヴァライザーを一撃で沈黙させる。 閣座する機体を横目にセントラルタワーを目指しながら、先ほどのパルヴァライザーの挙動に少なからず違和感を覚える。 何というか、機動が甘いような気がする。 もちろん一撃で仕留めるつもりだったが、あそこまでまともに食らうとは思っていなかった。 違和感は拭いきれなかったが、目的地であるセントラルタワーが目前に迫っていたため、思考を脇に追いやる。 ゆっくりとスロットルを...
  • The Empress Strikes Back
    「The Empress Strikes Back*②」  執筆者:クワトロ大尉(偽)  小鳥がさえずり始め、朝日が暗い夜空を塗り替えようとする頃。広大な敷地を誇る豪奢な邸宅の一画から定期的なリズムで高音が響く。この邸宅の若き主人、セシリア・フィリックスは一人で使うには些か広すぎる彼女専用の射撃練習場で、これまた彼女専用に作られた世界でただ一つのライフル[025MSR/CC(Cecilia Custom)]による射撃訓練を行っていた。  一〇〇〇mもの距離に置かれたターゲットの中心を正確に射抜き、精練された動きで次弾を装填、再び狙いを定め、一切の揺るぎなくトリガーを引く。その一連の動きはさながら精密機械の様だ。動作に掛ける時間は常に一定。寸分の違いなくターゲットを撃ち抜いていく。  その様子を一人の男がじっと見守っていた。彼はレイヴンズアークのランカーレイヴン、カーク・オ...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十話
    第九話/ /第十話*②  第十話  執筆者:柊南天  Three years ago...  肺が爛れたように熱く、息は浅く短くでしか続かない。両脚も鋼鉄の足枷を嵌められたように重い。だが、それに対して焦燥を迫る必要性はない。無視できる。年月の経過に伴って老衰を経てきた身体を酷使し、残骸の散らばる連結通路を疾っていく。  戦場の一線を退いてから8年が経過して尚、あらゆる身体機能を現役時代のそれと同等に扱えるよう、研鑽を重ねてきた。しかしそれを鑑みてすら、今回の一連の騒乱を生き抜いた暁には、心肺機能の一部くらいは人工臓器に置換すべきだろうと、そう考えた。一線を退いたとはいえ、老衰を騙し続けている生身の人間のままでは、戦場に身を置き続けるには非常な困難を迫られるだろう。  ──北棟兵器格納庫に直接繋がる連結通路に漂う臭気を鼻腔が捉え、床上に散らばる瓦礫の残骸に交じって倒...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第五話
    第四話/ /第五話*②  第五話  執筆者:クワトロ大尉(偽)  人類を襲った未曾有の危機、『アーセナル・ハザード』により世界が荒廃して5年。  世界は混迷を極めていた。  企業は己の利権を広げようと躍起になり、政府は政治主導を企業に乗っ取られるのを危惧して勢力の立て直しと拡大にのみ力を注いだ。  誰も自分の手に余る世界などというものを救おうとはせず、ただ己の幸福を追求した。  結果、企業や政府に係り合いのない多くの人々は虐げられ弱肉強食の分かりやすい理論が横行していた。  金のない人間は常に古代兵器の襲撃に怯え、金のある人間は安全な場所で豊かな暮らしを約束された。  コロニー『エデンⅣ』。各企業がしのぎを削る商業区画の隣に位置する居住区画。  快適な環境のマンションが立ち並ぶ居住区画だが、その中でもひときわ快適な高級マンションの一室で、若い男が通信用マルチ...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第五話②
    第五話*②/ /第六話  リニアは少しもスピードを落とさずに目的地へと向かう。  運搬用リニアはもちろん無人で、入力されたプログラム通りの進路を走っていく。  今通っているのはサービストンネルと呼ばれる場所で、エデンの地下階層にクモの巣のように張り巡らされている。  同じようにエデンに路線が張り巡らされているリニアとの違いは行き先だ。  サービストンネルは工場や制御区の制御棟のジェネレーターや制御装置が設置されている地下階層に素早くアクセスする連絡通路で、業者や政府関係者しか利用できないのだが、グローバルコーテックスはエデンⅣ建設のおり、エデン内部での作戦時に素早く展開できるようにサービストンネルの利用許可と路線の開通権を取得していたのである。  政府も建設に巨額の出費をし、完全中立を掲げるグローバルコーテックスにノーとは言えなかったためだ。  程なくして、リニアは制...
  • ソリテュード
    原案:クワトロ大尉(偽) 名前:ソリテュード 性別:男 年齢:27 身長:175cm 体重:67kg 虹彩:ブラック 髪型:黒のショート 体格:痩せているが筋肉で引き締まっている 所属:グローバルコーテックス エデンⅣ支社 搭乗機体:ブリューナグ 概要 グローバルコーテックスのエデンⅣ支社に所属するレイヴン。アリーナでAランク3位の実力を持つ。 17歳でグローバルコーテックスのレイヴン試験に合格し、以後レイヴンとして活動する。 性格は冷静沈着で寡黙。 戦闘時においては、先見の明を活かし、戦局を正確に読み、あらゆる事態に対応する。 生身の体でありながら、技術と経験に裏付けされた確かな力を持ち、その実力は有力な強化人間にも匹敵する。 アーセナル・ハザード時に複数存在した巨大遺跡の一つに単身突入し、これを沈黙させた実績を持つ。これ以降、世...
  • Intermission -Imitation summer-
    「Intermission -Imitation summer-*②」  執筆者:クワトロ大尉(偽) エデンⅣのとある高級マンションの一室。  シックな家具と内装で統一されたダイニングには中華料理特有の匂いが漂っていた。  テーブルには色鮮やかな料理が並べられ、これらを作った本人でもあるメイファは自分を含め、3人分の料理を小皿へ器用に取り分ける。 「はい、鶏肉のカシューナッツ炒め。今日の自信作なの、コレ」  ソリテュードは微笑むメイファから小皿を受け取り、器用に箸を使いながら料理を口へと運ぶ。  ジューシーな鶏肉と香ばしいカシューナッツが醤油とオイスターソースの味と絡みあい、絶妙な旨味が口に広がる。 「うん、美味い。いつもながらいい腕だ」 「おいしい」 ソリテュードの隣に座るアリスも、たどたどしい手つきで箸を使いながら料理を口へ運ぶ。 アリスはいつものように...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑫
    ⑪*⑫*⑬  理論的には実現可能だとその技術概念のみが、かの財団存続時に提唱されていた、とノウラがいつか言っていた。そして、こうも。  ──そんなモノが実用化されれば、現存する地上兵器は全て無意味になるだろうな  プライマルアーマー機能──軍事転用されたコジマ粒子の新たな可能性の形──  一瞬の空白だった。その間に、その白緑色の膜に守られていたネクスト機のカメラアイに一際強い光源色が宿り──アザミはその空白を掴み損ねた。  弾き上げられた二挺突撃ライフルの砲口が至近距離で煌き、致命的な反転攻撃をゼクトラは被った。  間断なく浴びせ掛けられる弾幕が機体各部を吹き飛ばし、ブースタ逆噴射による緊急後退の最中に左脚部関節部を撃ち抜かれたゼクトラが機体を傾しがせ、その場に片膝をついた。その間にも飛来する弾雨が外部装甲を切り裂き、ゼクトラの頭部と左腕部を破壊、短機関砲の銃身が被...
  • マイ・アーヴァンク
    原案:マド録 名前:マイ・アーヴァンク 性別:男 年齢:19 身長:180cm 体重:72kg 虹彩:ブラウン 髪型:ディープブルーのショート 体格:無駄な筋肉や脂肪がないボクサー体型 所属:サンドゲイル 搭乗機体:蒼竜騎 概要 独立傭兵組織サンドゲイルのAC部隊で前衛を務める少年。 性格は明朗快活。人懐っこく、悪戯っぽい一面もあるなど容貌や性格に若干のあどけなさが残る。 細かい事が苦手なため、ACの整備やメカニック知識などを敬遠する傾向があり、ACのアセンブリや戦闘にもその傾向が表れている。 ただ、興味を持った事や必要な事、求められる事に関しては努力を惜しまず、それを吸収できる力を持っている。 戦災孤児で10歳の頃に家族と死別。住んでいた町のただ一人の生存者で、瀕死に陥っているところをサンドゲイル代表のシェルブ・ハートネットに助けられ...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十一話
    第十話/ /第十一話*②  第十一話 執筆者:CHU 曰く――幾多の大企業の本社ビルが置かれ、常に権謀術数が渦巻く坩堝。 曰く――他者を少しでも出し抜き、甘露にありつこうとする狸共の巣穴。 あらゆるシェルター都市を凌駕した堅牢な都市防衛機能――最早要塞とも呼べるレベルのそれを備えたエデンタイプコロニー。それがこの〈エデンⅠ〉だ。 グローバルコーテックスもまた、他の巨大軍需企業と相違無く〈エデンⅠ〉に本社を置いている。 そのコーテックス本社ビルの地下三階から地下九階は、『自衛と自社占有利益の確保』を標榜する《特殊技術戦力開発局》の研究棟となっている。完璧な防音処理が施された研究棟の一室で、今まさに密談が始まろうとしていた。 一人は青いロングコートに身を包んだ若い風貌の男――グローバルコーテックス専属レイヴンのスワローだ。 そしてもう一人は、特殊技術戦力開発...
  • Interlude.2
    「Interlude.2」  執筆者:クワトロ大尉(偽)  レイヴンズアーク本社地下に設営されているACガレージ。  その内の一つに1機のACが大型エレベーターで搬入されてきた。  黒に近いダークグレイのACは大部分をクレスト系のパーツで構成された標準的な中量二脚で、大した損傷もなくミッションを遂行し、無事に帰還した。  レイヴンズアーク所属のレイヴン、バッシュことカーク・オーチャードはガレージの中央部、所定の停止位置である昇降リフト上に彼の愛機『サーベラス』を停める。  システムを通常モードからアイドリング状態へと移行したところで、専属オペレーターのジェシカ・テイラーから通信が入った。 「レイヴン、ミッションお疲れさまでした。収支結果の詳細は後ほどお伝えしますが、おおよそ7割強の報酬が見込めると思います」  上々の報酬であるにもかかわらず、カークは大し...
  • Intermission -operation bitter and sweet-③
    「Intermission -operation bitter and sweet-*②*③」  ―SideA―  2月13日、夕方。エデンⅣの高級マンションの一室。ソリテュードの部屋にアリスとメイファはいた。二人は共にエプロンを着け、キッチンで何かを作っている。 家主であるソリテュードは遠方のミッションに出撃しており不在で、帰ってくるのは明日の朝である。それを見越して今日と明日をオフにしていたメイファはアリスの世話と留守番を買って出たのだ。もちろん彼女たちにとって、この状況は好都合だったのは言うまでもない。 「よいしょ……よいしょ……」 「いい調子よ、アリスちゃん。もうちょっとだから頑張って」 「うん、がんばる」  アリスはメイファが支えているボウルの中身をヘラで一生懸命かき混ぜていた。キッチンに背が届かないので子供用の台に乗ってボウルの中を覗き込むような格好だ。...
  • Armored Core - Vicissitude - 1‐1
    「Armored Core - Vicissitude - 1‐1* Armored Core - Vicissitude - 1‐2」  執筆者:柊南天  熱く滾る釘を手足に打ち、眼を開いてその心の往く先を見届けなさい── 「──チェック。早くしてよ、つかえてるんだから」  なんとなく面白くない方向に勝敗の流れが傾いているのは薄々感じていたが、まさかその矢先に僅か一手でチェックまで持ち込まれるとは予想だにしていなかった。  古い鉄製のチェス盤を敷いた卓上に頬杖をつくナボは、往来切れ長の目を僅かに開いて、正面に居座る相棒──ソルラの澄ました横顔を見つめた。  彼女は横に傾けた椅子に背中を預け、近頃いたく気に入ってるらしいファッション誌をゲームの開始当初から熱心に読み耽っている。  言うに事欠いて、後がつかえてる(・・・・・・・)とまでのたまってくださるとは……...
  • Intermission -operation bitter and sweet-
    「Intermission -operation bitter and sweet-*②*③」  執筆者:クワトロ大尉(偽)  ―Main story シルヴィア&エイミ―  リヴァルディ艦内の一室。簡素で無骨な造りの部屋であるが、可愛らしい小物や家具が置かれていることから、一目で年頃の女の子が使っていると分かる。  その部屋のベッドの上で、ティーンズ向けの雑誌とにらめっこをしている一人の少女。リヴァルディの若きレイヴン、シルヴィア・マッケンジーは雑誌の特集記事を見ながら一人、悶々と悩んでいた。 「うーん……どうしよう。作り方は大体分かったけど、経験がないからなぁ」  彼女が見ている誌面にはファンシーなイラストと共にあるお菓子の作り方が掲載されていた。様々な形をした、光沢のあるブラウンの菓子。老若男女問わず人気のある魅惑のスウィーツ、チョコレートだ。  シルヴ...
  • プラグイン/アーカイブ
    アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
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    あ行  アスセナ  アンオフィシャル・オペレーション  アンディオン地域  遺失技術文化社団  エクストリームアリーナ  エデンタイプコロニー都市  エデンⅣ か行  旧世代技術解析財団  旧世代技術解析財団所属・先進技術開発部  旧ナルバエス地方  ケレト大断崖  コード:ヴェイロン・アプローチ さ行  サンドゲイル  生体CPU た行  テラブースト  特殊技術戦力開発局  トラキア な行 は行  兵器災害 ま行  マーフア研究所 や行 ら行  リヴァルディ わ・を・ん 記号・数字  BRS(Biochip Regulating System)  ICS(Integrate Control System) アスセナ  ミラージュ社旧経済管轄区最南端に位置する旧世代遺跡。六年前にミラージュ社によってその存在のみが確...
  • シルヴィア・マッケンジー
    原案:マド録 名前:シルヴィア・マッケンジー 性別:女 年齢:16 身長:160cm 体重:47kg 虹彩:ブルー 髪型:ブルーのミディアムショート 体格:スレンダーで発達途上な身体つき 所属:サンドゲイル 搭乗機体:ジルエリッタ 概要 独立傭兵組織サンドゲイルのAC部隊で後衛及び狙撃を担当する少女。 性格は明るく、しっかり者。早く自立できるようにと何でも自分でやろうとするが、時々それが空回りしてしまう。 一人称に「ボク」を使う珍しい女の子。 マイと同じく戦災孤児で、幼いころに両親と死別し、サンドゲイルに拾われる。 両親と死別したショックで塞ぎこんでいたが、シェルブに世話を頼まれたマイが外に連れ出したり、一緒に遊んだりした事で立ち直る。 狙撃を担当するだけあり、視力は非常に良い。
  • 屍翼の奏者
    「屍翼の奏者*②」  執筆者:CHU AD102_10/18_20:42 時刻は既に二十時を回り、夜闇が辺りを支配して久しい。 人の手を離れて寂れ果てた都市の静寂を、鋼鉄の巨躯が発する呻きにも似たジェネレーターの駆動音が掻き乱し、蛍火の如き明滅する光が、夜闇から辺りをほんの少しだけ切り取る。 ――マズルフラッシュ。 それは人の手による戦闘行為の証だ。 発砲による爆音と、巨大な空薬莢が跳ねて奏でる不協和音を機体の集音マイクを通して聞きながら、鋼鉄の巨人〈アーマードコア〉の操者は口笛を吹きながら視界に映るターゲットを次々と破壊していく。 その様子は休日に釣りでも楽しむかのようにお気楽で、とてもではないが命を懸けた戦闘の貌には見えなかった。 型落ちした旧式のACがミラージュ社自慢の最新可変型MTを屠るその様は、機体の性能を熟知している者である程に現実の...
  • Intermission -Imitation summer-②
    「Intermission -Imitation summer-*②」  メイファは頼りなさげにプールへと入って行くアリスに手を差し伸べ、その手を取ると、寄り添うように歩き、アリスの腰くらいまでの深さの所まで連れてくる。 「これくらいなら、怖くないでしょ。どう?アリスちゃん。初めてのプールは」 「みず、つめたい。でも、きもちいい」 「よかった。じゃあ早速、水遊びの入門編!まずはコレね」  そう言うと、メイファは唐突に手ですくった水をアリスへ振りまいた。 「きゃ!?」  突然、顔と上半身に水をかけられたアリスは何が起こったか分からず、きょとんとして固まっていた。 「ほら、アリスちゃんも私にやりかえさなきゃ。えい!」  そうして、先程と同じようにアリスへ水をかけるメイファ。 「ふみゃ!?・・・ん、えい」  やっとアリスも要領を得たのか、見よう見まねで小さな手を懸命に...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 外伝
    ARMORED CORE Handed Down Heroism -Side storys- 作:CHU ■ Dépression du chevalier (登場人物:カヴァリエ、ルガノルフ)   血気に逸る若き女騎士は、憩い場にて老いた大鴉と出会う。   彼は、一時の歓楽を玩味する代わり、彼女に自らの詮術と訓蒙を分け与えた。     Page-1   Page-2 ■ 白翼の対価 (登場人物:アルバート フラーネ)   貪婪な世界の闇は男の全てを喰らい、全てを奪い去った。   地位も、名誉も、骨肉も、――果ては人間としての尊厳さえも。   全てを奪われた男は、ある時、燦然たる光輝と出会う。   ――そしてその光輝は、新たに、男にとっての全てとなった。    Page-1 Page-2 Page-3 ■ 屍翼の奏者 (登場人物:アルバート フラーネ) ...
  • Dies Ire 第一夜 -偽りの愛-
    「だ・か・ら! どうしてあたしの機体に試作兵器を載せるのかを聞いてるの!」  企業連合本部内のブリーフィングルームに響くのは、ヒステリーを起こしかけた女の怒号。  かれこれ三〇分は続いているだろう、ある部隊の会議だ。  キサラギ社の開発した試作兵器【INDORA】と銘うたれた射突型物理ブレード。  外見こそ【RASETSU】と変わりないが、内部に蓄電器を搭載し、ACからの電力供給によってブレード部が帯電。射突型ブレードとしての破壊力に加え、目標に強力な電撃による機能障害を誘発させる事のできる代物である。  若干一九歳にして、企業連合特務部隊ディエス・イレに所属する女性隊員ドライは、短く切り揃えられた金髪を振り乱し、小柄な体を目一杯使いながら仲間に吠えていた。 「近接兵装なんだからアインが持てばいいじゃん」 「バーカ。フェイクに積んだところで当たらなかったら終わりだろ。機動性に秀でたお前のグ...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑥
    ⑤*⑥*⑦  含みを持たせた言葉にガロが冷静な返答をよこす。  中央メインモニターに都市全域への戦力配備状況が次々と舞い込み、統合司令部の指揮機能確立に従って戦線が徐々にではあるが、確立しつつある。 「此れからが本当の戦場だ。──貴様らが何を望んでいるのが、ゆっくり教えてもらう事としよう」  かつて自らが与えた叡知を使い統一連邦は何を求めているのか、この騒乱の終わりの時にどんな結末が用意されているのかを想起し、ノウラは口許を大きく歪めた。  AM08 05──                                   *  ──その戦闘は後に【ナヴラティロヴァの惨禍】と呼ばれ、30年以上に渡って戦争史に語り継がれる事となった。 『──完全な奇襲及び殲滅戦闘だ。目に映る者全てを逃すな、徹底的に蹂躙しろ』  無線を介した部隊...
  • 決意
    「決意」  執筆者:マド録 リヴァルディの食堂。 他の人がおしゃべりに夢中な中、シルヴィが一人何やら考え込んでいた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「行ってきます。」 答える者がいないとわかっていてもつい言ってしまう挨拶。 5年来続くルア・リーフェスの朝の日常だ。幼いころに両親を亡くしたルアは歳の離れた兄の仕送りで暮らしている。兄はミラージュの本社勤務で一緒には暮らしていない。一緒に暮らしてもよいのだがせっかく両親が残してくれた家を出る気にはなれなかった。 シェルター都市である「リエルシティ」の電車に乗り通学する。今朝も車窓からから外を眺めるといつもと変わらず、林立したビル群の景色が流れていった。電車に揺られること15分。ハイスクール最寄の駅に着いた。人工的に作られた...
  • Intermission -Cherry blossoms in full bloom-
    「Intermission -Cherry blossoms in full bloom-」  執筆者:クワトロ大尉(偽)  とあるコロニーの市街地を一人の少女が歩いている。彼女の名はシルヴィア・マッケンジー。若干16歳でありながら独立傭兵組織『サンドゲイル』の一員にして、戦力の中核を担うレイヴンの一人でもある。  しかしそんな肩書を持つ彼女も、ACを降り、母艦であるリヴァルディの外へ出れば、この市街地に住む一般の女の子と何の変りもない。今日は日用品の買い物のついでに、市街地を散策しようと、一人街を歩いていた。 「えへへ、さっきの雑貨屋さんカワイイ小物がたくさん売ってたなぁ。今度エイミさんやイリヤを誘ってまた来ようっと」  買い物用のトートバックを、ちらと覗き見ながら微笑むシルヴィア。その姿は年相応の少女そのものだった。  ――このコロニーって、規模は大きくないけど、...
  • ~he's coming back~
    「~he s coming back~」  執筆者:ヤマト 夜闇を妖しく炎が照らす。 小さな採掘基地での暴動を鎮圧すべく一人のレイヴンが雇われたのだ。 ガイアフレア/ダイスケ かつてはツヴァイと呼ばれた特務部隊員。現在はフリーランスのレイヴンとして第一線で活躍中である。 「呪うのならば、武力蜂起を掲げたお前達のリーダーを呪うのだな」 すでに物言わぬ鉄屑へと変わったMTに言葉を投げる。 今回の戦闘も例に漏れず酷い有様だった。 中量2脚型のACの動きについていける機体は無く、1機、また1機と破壊されていく。 なにしろ作業用MTにACのバズーカやグレネードを積んだだけの粗悪な構成では攻撃力だけはあるが防御力、機動力がないに等しい。 結果、初弾を避けられたら自然と撃破されるのを待つような状態に陥る。 戦闘開始...
  • Dépression du chevalier
    「Dépression du chevalier*②」  執筆者:CHU  アリーナのドームに試合終了を知らせる電子音のゴングが鳴り響く。 『試合終了ぉ~!勝者は!ブルーコーナー、ハイネケン!』  テンションの高い女性パーソナリティーが試合の勝敗を声高に叫ぶ。それと同時に落胆の怨嗟や歓喜の雄叫びが、バトルフィールドの外に設けられた観客席から漏れ出した。  そのない交ぜになった喚声は、機体の集音マイクを通じて嫌でも私の耳に入って来る。 『残念ながら敗れてしまったレッドコーナーのカヴァリエにも!どうか惜しみない拍手をお願いしまぁす!』  パーソナリティーのおざなりな定型句も、今の私には耳障りなだけだ。 「くそっ、また負けた……」  勝ったアイツの機体【バッドアイズ】はスポットライトを浴び、反対に私の機体【キュラシェーア】はすごすごと格納スペースに引っ込まされる。観客達...
  • Armored Core - Overdrive -
    「Armored Core - Overdrive -」  執筆者:柊南天 『──本日は、GCA(Global Cortex Airlines)をご利用頂き、誠にありがとうございます。当便は、GCA155便、【GC.Eden.ⅳ】行きで御座います──……当機の離陸予定時刻は──』  ファーストクラスの座席に着いて、何度目かの機内アナウンスが流れる。頬杖を付いて視線を傾ける客室窓の外は未だ暗く、警戒灯が緩やかに明滅して主要滑走路の輪郭を朧に浮かび上がらせていた。  客席の近くに人気を感じて頬杖を解いた時、丁度傍を通りかかった若い風貌のアテンダントと視線が交わる。  ハイクラス専用の航空機とあり、アテンダントは洗練した挨拶を述べ、入用のものはないかと尋ねた。  さして食欲もなかったリオは、舌を湿らせる程度にと珈琲をオーダーした。 「──エスプレッソを」  恭しく応えたア...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十一話②
    第十一話*②*③ コーテックスの社有ガレージは本社施設の地下に備え付けられている。 地下に張り巡らせられたリニアなどの交通機関を利用しやすくするためだ。 もっとも、これは一般的な貸ガレージにも言えることである。 スワローはガレージの入口に取り付けてあるセキュリティーにIDカードを滑らせ、十六桁にも及ぶ暗証コードを空で打ち込む。最後に指紋と虹彩認証をパスすると、やっとドアロックが解除された。 ガレージに足を踏み入れると、赤外線センサーで人の入室を感知した照明が、自動でガレージ内を照らし出した。 只広いガレージ内には三機のACが立ち並んでいる。 一つは【ARROWS】――コーテックスの試作ネクストだ。 近日中に行われる換装作業のためか擬装装甲が外されており、専用の武器もこの間のクレスト新型戦で破壊されたため、ハードポイントには何も取り付けられていない。 ...
  • The rest is silence -Erster Akt-②
    「The rest is silence -Erster Akt-*②」  -Arena・Corridor-  ――その復讐が果たされたとき、貴方は自分自身に何を思うでしょうね。  脳内に木霊する黒騎士の言葉。黒騎士のどこか見下したような独特の口調とその態度、そして「あの言葉」はアハトの精神を揺さぶるのに十分な効果を得たが、それでも彼はこの復讐というものがいずれ破滅をもたらすであろうことを充分に理解していた。  死神に拐かされ、一度は暗闇で満たされた向こう岸へと進めた歩み。如何なる手違いか、あるいは書類に不備でもあったのか。許可されたはずの死は何者かによって剥奪され、自分は再び闘争と略奪が満ちる地上へと送り返された。  再び手にすることができた生命。あるいは万人ならば、喜び勇むところなのかもしれない。  だが戻されたのは己の命のみ。故郷であるヴォルムスは瓦礫の山と...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十五話
    第十四話/ /第十五話*②  第十五話 執筆者:Ryo ―AD109/07/23 PM12 00― 太陽が頭を真上から照らし、街を歩く人々の額に汗が流れる、真夏の昼時。 リヴァルディのガレージの中、シーアとショーンは茹だる熱気の中で黙々と作業を続けていた。 「シーア、そっちはどうだ?」 「エネルギー供給系のバイパスは済んだ、そっちは?」 各ACの防塵処理や注油等のメンテナンスを終え、今は二人ともフィクスブラウの改造に着手していた。以前ショーンが設計したオリジナルパーツである増設ブースターを搭載させる為には、どうしても機体側を直接改造する以外に方法が無かったためである。 コア内部のエネルギー供給パイプ、配線や電子機器、センサー等に干渉させずに改造を施すのは非常に骨の折れる作業だが、ジャンク屋時代からかなりの回数の改造を繰り返してきたシーアにとってはそれほ...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十五話②
    第十五話*②*③ 「恥ずかしながら、まったくもってその通りだ……他の部位の修理は大体済んでいるんだが、右腕は丸ごと無くなっちまってるからな、どうしようもないのさ。おまけに自分の身体の怪我も完治したワケじゃねぇのにエデンⅣ防衛にもなんだかんだで駆り出されるし、ツイてねぇよ……」 「そんなわけで、ウチで修理をすることになってんだ。運のいいことにパーツの在庫がある、なんとかなるだろ。それに俺たちはこのままトラキアに戻るから、ついでに乗せて行くことになったわけだ。 納得したか坊主?」  と、ショーンが突然マイの背中を叩きながら訳知り顔で顔を出した。 「ってなわけで、ゼオはシーアの基地制圧完了を見計らってからウチのガレージに寄って、それから作戦に参加ってことになるわけだ。これで満足したか?」  まだ完全に納得したわけではない、とでも言いたいような渋い顔のままだったが、マイは仕方なく...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第九話⑥
    ⑤*⑥/ /第十話  蓋を開けてみれば何から何まで事前情報と異なるとは、こういう事を言うらしい──。  後退支援戦闘に当たって迎撃戦闘に転じた部下の二人ともが瞬く間に撃滅された状況下にあって、ウルフ・アッドは冷静に事態を捉えていた。  本社情報部の連中が遣した詳細に依れば、独立系傭兵部隊〝サンドゲイル〟は比較的優秀なAC戦力を保有しているものの、独立勢力としては目立った所のない一勢力に過ぎないとの事だった。  やはり、本社の情報部は信用ならんな──。  先だって投入された先行戦力群──グレイヴ・メイカーという戦闘に際しては素人の域を出ない技術屋集団が壊走したのは当然の顛末だったとして、それは否定しない。  同時に、その壊走が始まるまでの戦域映像が本社からの指示でデータリンク適用外とされていた事が、仇になったのもまた、否めない感があった。  仮にも特殊部隊管轄軍の精鋭部隊を...
  • Dépression du chevalier②
    「Dépression du chevalier*②」 (何をしたんだ、いったい!?)  よもや直進して来る重量級の機体に回避されることなど完全に想定外だったため、カヴァリエは混乱から一瞬の隙を曝す。そしてその一瞬さえも相対する敵には致命となり得ることをカヴァリエは思い知らされる。  ガッガンッ!とコックピットを連続で揺さぶる衝撃によりカヴァリエは我に帰った。  何をされたかなど機体AIの報告を聞くまでもない。反撃を受けたのだ。恐らくは右腕部の得物であるスナイパーライフルで。 【機体AP低下、左腕部損傷軽微、コア損傷軽微】 「チィッ……!」  機体AIの報告を聞き、カヴァリエは軽く舌打ちしつつも【キュラシェーア】を後退させ、再度チャージの完了したレールキャノンを構える。 「足さえ止めれば!」  再び【アイムール】の脚部に向け放たれた光条は、やはり狙いを外されアリーナの床...
  • 白翼の対価
    「白翼の対価*②*③」  執筆者:CHU AD101_12/15_16:31  その男は、今まさに死につつあった。  汚い廃棄処分場の片隅で、ただ人生の終焉を待つだけであった。  満足に呼吸も出来ず、喉からは掠れた擦過音が漏れる。指一本動かす事も出来ず、――否、体が言う事を訊かないのだ。動けと命じても、脳がそれを筋肉に伝達する事を拒む。  だが、男は己の運命を受け入れていた。  だから、もう足掻くことも諦めていた。  自分は翼を失い、地に落ちた。それは自分の撒いた種によるものだ。座して死を待つ結末にも、後悔だけはしていなかった。  幾らかの時間、気を失っていたらしい。塵屑のシルエットが朧気になる程度には、辺りが薄暗くなっていた。  ふと、胡乱なままの視界が遮られる。それは、顔が映り込みそうなくらいに磨き上げられた黒い革靴だった。自分を含め、塵屑しか無...
  • Intermission -operation bitter and sweet-②
    「Intermission -operation bitter and sweet-*②*③」  ―Main story―  2月13日、早朝。エイミの部屋の簡易キッチンには先日買い揃えてきた調理道具と材料が所狭しと並べられていた。  あの後、二人は寄港しているコロニーへ人目を盗んで買い出しに行き、早速試しに手作りチョコレートを作ってみたのだが、結果は玉砕と言わざるを得なかった。 シルヴィは元々お菓子など作った事が無く、料理もほとんど覚えていない。そのため、わざわざ手作りするより既製品を買って食べた方がマシという散々な出来だった。 エイミも料理はできるが、お菓子作りとなると勝手が違う部分もあり、シルヴィほどではないにしろ、人に送るのは躊躇われる出来だった。  その後もう一度トライしたものの、シルヴィは相変わらずの出来栄えで、エイミは最初よりも随分マシなものになったが、...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十一話③
    ②*③/ /第十二話 着地の音は雨に紛れ、掻き消えていく。 雨粒が装甲を叩く音が、やけに大きく聞こえた。 「言い忘れたが、君にはオペレーターがついていないのでね、ボクがサポートすることになる」 『了解』 「早速ターゲットが出てきたぞ。数は四」 【ベルフェゴル】のレーダーが、坑道から出て来る機影を捉えていた。 「好きにやればいい。君の力を見せてくれ」 そう言ってスワローは【ベルフェゴル】を戦場を俯瞰しやすい高台に移動させる。 「ラフ、グレイ機の機体AIと同期しろ」 【了解――同期完了】 これであちらの機体情報がダイレクトに届くようになった。 同時に【ベルフェゴル】を索敵モードに変更。情報処理能力に特化させる。 そこでようやく異変に気付いた。 敵を示す熱源が、予想されたデータより遥かに大きい。 その理由はすぐに判明した。 ――坑道...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第一話
    第一話*②  第一話  原案:マド録 文:柊南天  プロローグ  遥か遠い過去──現在の統治企業や統一連邦でなく、純然たる主権国家が、この薄汚れた地上世界を治めていた時代があったそうだ。 しかし、繁栄を極めた国家群も時代の変遷と共に衰退し、それに代わって国家体制を支えていた軍産複合体が、世界の覇権を巡り競合するようになっていった。  統一連邦と名を変えたかつての主権国家群は、その骨肉の戦乱の中で意味もなく翻弄されるだけの存在に成り果てた。  熾烈を極めた覇権競合も現代では世界情勢の日常風景となり、戦争経済そのものが人類社会の存続の糧になっていると、知識人は云う。  そんな実情を体現する幾つかの存在が、ここ一世紀あまりで生まれたからだ。  人型機動兵器──アーマード・コア。  俗にACと呼ばれるその兵器と、それを自在に駆り、混迷の戦場世界を往く渡り鴉【レイヴ...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十三話⑬
    ⑫*⑬*⑭  その直後、兵士が手を輸送車の方向へさし出す。それに従ってコーテックス士官に背を向けた時、傍に歩み寄ってきたらしい別の兵士が僅かにトーンを下げた声で言った。 「ナインボールの沈黙が確認されました──」 「了解。我々は所定通り、区境界部に防衛戦線を構築する」  そんな短いやりとりを最後に耳にし、ノエラは兵士のエスコートで着いた輸送車両へベランジェと共に乗り込んだ。車内には他の何処かで保護されたのだろう一般市民の先客が数人おり、場所を選んで何れからも離れた席にノエラは腰をおろした。それから間もなくして輸送車が発進し、微弱な震動が足元から伝わってくる。  胸元に仕舞い込んでいたディスクを抜き出し、それを手に包みこむ。  背中を壁に預けてぐったりとしたベランジェが、その様子を見ていた。 「本当に、ヤバいもの撮っちまったんだな……。大丈夫なのか?」 「わか...
  • Armored Core - Execution - 1‐1
    「Armored Core - Execution - 1‐1 * Armored Core - Execution - 1‐2 * Armored Core - Execution - 1‐3」  執筆者:柊南天  第一種戦闘態勢を継続維持中の各種センサー機能が戦域環境情報を逐次収集し、HMDに出力したエリアマップに状況を更新していく。  マルチコンソールを操作してエリアマップを回転──多数の動体反応が著しく動く位置座標を見咎め、ヴァロージャは眼球動作に追従機能するフレームシステムを用いて搭乗機の頭部カメラアイを眼下の地上へ傾けた。  上空域にまで届く黒煙の切れ目に覗く広大な赤土の岩壁地帯、その地上部で動体反応源である前線兵力が火線を交えている。複雑な岩壁地形の地上で敵味方の機械化部隊が高密度に衝突し、大きな爆発音が幾度となく響く。  有視界に映る有り触れた戦場の光景...
  • Armored Core - Execution -
    Armored Core - Execution -*②*③ 執筆者:柊南天  Armored Core - Execution - EpisodeⅠ  第一種戦闘態勢を継続維持中の各種センサー機能が戦域環境情報を逐次収集し、HMDに出力したエリアマップに状況を更新していく。  マルチコンソールを操作してエリアマップを回転──多数の動体反応が著しく動く位置座標を見咎め、ヴァロージャは眼球動作に追従機能するフレームシステムを用いて搭乗機の頭部カメラアイを眼下の地上へ傾けた。  上空域にまで届く黒煙の切れ目に覗く広大な赤土の岩壁地帯、その地上部で動体反応源である前線兵力が火線を交えている。複雑な岩壁地形の地上で敵味方の機械化部隊が高密度に衝突し、大きな爆発音が幾度となく響く。  有視界に映る有り触れた戦場の光景を見つめていた時、作戦支援室から通信要請が入り、ヴァロ...
  • ARMORED CORE Handed Down Heroism 本編 第十五話③
    ②*③/ /第十六話 ―AD109/07/23 二三 四七― 「ボス、スコープアイが、基地制圧を開始しました。 ポイントレッドのMTも、ほとんど撃墜いたそうです」 「よし。 少し早いが、作戦を開始する。 各員、レーダーには常に気を配れ」  予測の通り事が運べば、敵部隊は既に警戒している三方向からしか攻めて来ることはない。 だが、シェルブはもう一つ、ある可能性を懸念していた。  ――そんな事態に、ならなければいいが  そう考えずにはいられない。 レイヴンならば誰もがいつかは経験する、ある危険性をこの任務は孕んでいる。  だが、今このタイミングにおけるそれは、少しばかり厄介だ。  だが、同時にそれを経験することで、成長も期待できる。 いずれは超えねばならない壁なのだ。 「――マイ、聞こえるか」 『何ですか親方?』 「……気を引き締めろ、予測とは違う方向から...
  • 白翼の対価②
    「白翼の対価*②*③」  普段の生活を考えると、今日は忙しい一日になったものだ。  フラーネのマンションで腰を落ち着ける暇も無く、今度は居住区の隣にある商業区のショッピングセンターに繰り出す事になった。目的は、アルバートの服や寝具を揃えるため。もちろん陣頭指揮を執るのはフラーネだ。  彼女に引き連れられて最初に乗り込んだのは、店構えからして高級感溢れるブティックだった。  言うまでもなく、始めて足を踏み入れる類の店である。  そこでアルバートは、モデルと言うよりショーケースのマネキン宜しく、フラーネに乞われるがまま次から次へと服を取り替えていく。  単なる着せ替え人形に成るのならばまだ気が楽なのだが、フラーネはこちらに意見を求めて来るので質が悪い。生憎と自分はファッションセンスなど持ち合わせていないため、どうしても気の無い返事ばかりしてしまう。  ただし、「どうでもいい」が...
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