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◇◇◇

 沙都子のキスはどういう意味だったのか、分からない。
 好きになってしまってごめんなさい?誰が?沙都子?まさか、そんなことあるはずもない。だってあの子は私を拒絶してしまっているじゃないか。だからそんな甘い期待なんて抱かない。
裏切られた時の悲しみは果てしない、私の心はもう疲れているから出来るだけ傷つきたくない。所詮100年も生きた魔女とは言えども自分が可愛いのは当然だ。
 そして生きる糧になっていた沙都子を傷つけたくもないから、私の思いは伝わることもなく、沙都子も私を親友以上の目でなんか見たことあるわけもない。だからだから、だから…「ありえない」。

 キスをされてからというもの沙都子の行動が益々理解できなくなった。
 今までは多少余所余所しかったり、出かけたりはしていたもののあの日以来から余所余所しいどころか前のような沙都子になっていた。授業中笑いかけてきたりお昼の時間も楽しそうにしていた。何かあったのかと思っても沙都子は何もないとの一点張り。おかしすぎる。

 秋も近づいてきている頃、秋服を出そうという話になって押入れからせこせこと出していた。ついでだから、と言って押入れに入っている服を全部出してまとめていた。綺麗に畳めば少しですけど余裕も出来ますから、なんて私の服、梨花の服とちゃんと分けて畳んでいた。なんとなく違和感を感じた。
 今までそこまできちきちとやっていたわけでもないのに何で今更突然そんな事をし始めるのか、本当に分からない。沙都子は一体何をしようとしているのか、この間の事はなかったことにして前のような生活に戻ろうとしているのか。もしそれを沙都子が望むのならそれに越したことはない、今までだってそうしてきたわけだし私の気持ちが伝わらない事なんてもう何十回か前の世界を巡っている時に分かったことなんだから。
 沙都子の思うように私もいればきっと大丈夫、前のように楽しく笑いあえる日々が戻ってくると思っていた。

 だから今までより遅い時間に帰宅しても気にしない事にした、確かに親友が自分に恋心を抱いているなんて
知った日には心の整理もつけたくはなるだろう。これは、これからの明るい未来のための試練なんだから多少一人でいる時間が長くなっても我慢も出来るというもの。だって遅く帰ってきた沙都子が作ってくれる晩御飯の時間はとても楽しくて、笑顔が絶えない時間だったから。
 こうして最初は偽りかもしれない空間も、それが当たり前になればそれが日常になるというもの。

 そんな事言ってたのは…どの世界の話だったっけ…。