人はこの世に生を受けてそれを天に返すまでにたくさんの罪を背負う。

例えば食だって。
生きていくためには食べなくてはいけない。
ものを食べるということは生命あるものの運命をそこで終わりにすること、即ち殺す事。
そして私たちは自分より弱い植物や動物を殺めて自分が生き長らえるようにと足掻く。
それは見苦しい事ではなく人が生を受けてからの「当然」の行為だ。
それが命を与えてくれた神への恩返しなのだとしたらどうだろう。
私はもっと食に対して特別な何かを見出すのだろうか。

ならば今私の手で抱かれているこの子だって。
私がこの手で彼女に傷をつけてしまう事、それは決して軽々しいものなんだというわけではなくて
もっともっと尊くて儚くて…とても重要なものだとしたら。
私はこの子に対して今まで以上の特別な何かを見出すのだろう。
最終更新:2007年04月09日 21:14