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「ねえ…」
 頭の上に感じる生命体に声をかける。
「? どうしたの、でこちゃん」
 何故自分が問いかけられているのかさっぱりと分からないであろう声色が頭上から返ってくる。
「……なんであんた私に抱きついてるわけ?」
 同い年とは言えないその…胸を押し付けてやよいが誕生日プレゼントと言ってくれたお気に入りのリボンを顎で潰して、体重をかけてくる。重たいわけではないけれど、腕の自由も利かないし正直気になる。
「なんでって…、でこちゃんこういう事されるの慣れてるの?」
「はっ!?」
 出会ったときから突拍子もない言動ばかりをしてきたとは思うけど、なんでこんな意味の分からない質問をしてくるのか…。
「だってでこちゃん、やよいが近づくと顔真っ赤にして可愛いかったのに、ミキがこうやって抱きついても何のリアクションもないんだもん。つまんないよ」
「つ、つまんないって…あんたねぇ!」
 本当コイツの思考回路だけは読めない。大体私がやよいと近づいていつ赤面したっていうのよ!? っていうかそれをどこで見られていたかっていう話―ってそうじゃなくて…!
「あ」
「今度は何よっ!?」
 リボンから顎を外して私の右側から顔を覗き込んでくる美希の表情はなんだか勝ち誇ったような雰囲気を醸し出している。
「でこちゃん、おでこまで真っ赤だよ」
「んな…っ! そんなわけないでしょ!?」
 言うが早いか私の胸の前で組まれてる美希の手を振り払っておでこに触れてみるも、いつもと変わらない熱さだ。
 ――はめられた、と心の中で苦虫を噛み潰す。それなのに美希ったら悪びれもない顔して笑顔を向けてくるなんて、いい度胸してるじゃないのよ…!
「…何考えてるのかな、でこちゃん」
 少し探りを入れた何もかもを見透かしたような二つの瞳が私を見つめる。
「…べ、別にあんたの事なんか考えてないわよっ!」
 ――そうよ、あんたみたいな理解できない変なやつなんて考えるだけ頭がおかしくなるだけだわ。別にアンタの事なんてどうでもいい、大体なんでコイツは私に絡んできてるのよ?

「へ~そっか、でこちゃんはミキのこと考えて顔真っ赤にしてくれてるんだね」

 後に、まるで茹でダコ状態の伊織と心底幸せそうな笑顔の美希を見かけたやよいが複雑そうな表情をしていた、らしい…?


END