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 ─たかみな、男説またしても浮上する!?
「まぁ~たこんな事書かれてるよ、たかみなぁ」
 先日収録した番組の放送が今日で、それの見出しがそれで、それを見た隣のやる気のなさそうな雰囲気を醸し出す黒髪の似合う彼女は笑いながら私にその番組表を見せてくる。
「えーっマジすか!? もう男性ネタは終わったんじゃないのかー?」
 クリスマスで気持ちが盛り上がっていたのもあったし、観念してメンバーと一緒にお風呂入って証拠を見せざるを得ない状況になったのにも関わらずまたそういうネタが出るとは、私高橋みなみ(間違いなく女性でス☆)は少々その番組紹介には納得がいかないのであります。
 ぶーたれたって収録はもう済んでしまっているし、今更撮り直しなんて自分勝手すぎる事は出来るわけもなく番組の方でも問題がなかったからそこをチョイスして放送するんだろうし、あと数時間後に迫るそれは免れる事も出来ないのは分かってはいるけど。
「おかしいね? たかみなは可愛い女の子なはずなのに」
 そう言ってくすくす上目遣いで私を見あげてくる瞳の奥には”あの時”に見せる少しSっぽい雰囲気が感じて取れた。
「そ、それはどうも…ていうか私が男じゃないかって思われるのは少なくてもあっちゃんに原因があると思うんだけど…」
「えーそういうの責任転嫁っていうんだよ?」
 不満そうな声をあげつつこのやり取りを楽しんでいるだろう隣の黒髪の子は相変わらずの真っ黒な瞳で私を見上げてくる。
「責任転嫁って…だって、あっちゃんいつも…その、跡つけるから…メンバーと入ると見つけられるんじゃないか心配で…」
「当たり前じゃん、だってたかみなは私のだし」
「う…うん、まあそれはそうなんですケド…」
 はっきりそう言葉にされると正直恥ずかしい経験値の低い自分がちょっと情けない。とは言えこの二人きりの時に出してくるあっちゃんのデレに対抗できる術はワタクシ残念ながら持ち合わせておりません。という事でAKBのリーダーとして普段はキリリと見せてる私の威厳も、この可愛い悪魔の前では形無しです。
「たかみなは私にキスマークつけられるのが嫌だったりするの?」
 なんだか予想外な質問が私の元に降りかかってきた。
「えっ?」
 ちらちらと隣を見たり手元にある漫画雑誌を見たりと行ったり着たりさせていた目線を隣に改めて移すと、少々不満そうな表情で前田敦子ことあっちゃんが正面から私を見つめていた。
「だって私とは一緒にお風呂入ってないのに、他のメンバーとは入っちゃうし。入りたくない理由が私のせいだって言うし、たかみなは私より他のメンバーと一緒にいたいっていう事なの?」
「それは、えと…確かにメンバーは大切だし一緒にいたいと思うけど、でもあっちゃんの事も大切に思ってるから一緒にいたいと思ってるよ…」
 あーなんか自分で言っててものすごい恥ずかしいセリフ吐いてるな、って言いながらしみじみ思い始めて途中から言葉尻に向けて声のトーンがなんとも小さくなっていって、最後の方に至ってはハッキリ聴こえてるか怪しいくらいになってしまった。
 でもあっちゃんの事はAKBのメンバーとして、そして一人の人間として大切に思ってるのは事実だから別に恥ずかしいなんてことないんだけど、やっぱり自分的にこういうのをさらっと言えないのは情けないと思う。仕事モードの時は思い返せばくっさいセリフなんていっぱいメンバーにかけてきてたと思うし、それこそあっちゃんにも言ったし言われたし…そう考えるとオフの時の自分のヘタレっぷりに正直呆れる。そりゃ高橋女だけど、草食系男子なんて言われちゃったりもしますよ。
「じゃあいいじゃん」
 そう言うが早いかするりと細い彼女の腕が首に回され、くっついている箇所が更に範囲を広めていく。
 さらさらとした黒い髪が腕と共に顔の前に寄せられ鼻と鼻が触れ合うほどの距離から微かに感じる彼女の艶やかな髪の感触と、同じシャンプーを使っても同じ匂いにならない彼女独特の香りを私の嗅覚を刺激する。私はこの匂いと共に育ってきたと思うと、それだけで懐かしさと嬉しさと色々な感情が入り混じって離れられなくなる。
「いいじゃん、って…大体あっちゃんには一緒に入るより前に裸全部見られてるし…別にメンバーと比べなくても…」
 またしても言葉尻が小さくなってしまう。この手の話はちょっと苦手でつい小声になる癖があるみたいだ。
「私にとっての一番はたかみなだから、たかみなにとっても私が一番でいたいの。」
 ぐっと腕の力が強まり、腕の先の華奢な手は私の後頭部を固定して動かせないようにして、軽くちゅっと唇を吸われる。あっちゃんの唇はぽてっとしていて、こういう関係になる前からよくグロスで綺麗になっていた唇に何度目を奪われたか分からないくらいで、実際味わってみれば女の子の唇って柔らかいんだなぁとまるで思春期真っ盛りの男子学生みたいな感想が出る。そして当然今もまたその唇の柔らかさは変化する事無く相変わらず私の心を掴んで離さなかった。
「でも、あっちゃん私以外のメンバーと普通にお風呂入ってるジャン」
 確かに私がメンバーと一緒にお風呂に入ったときはあっちゃんはいなかったけど、私がいようがいまいが関係なくあっちゃんはメンバーとお風呂楽しんでるわけだし。あっちゃんの最初のお風呂を一緒にしているわけじゃないし、私ばかり責められるのはちょっとそこは不公平かなと思うわけでス。
「それはそれでしょ、たかみなのくせに口ごたえするなんて生意気」
 それって何てジャイアニズムと聞きたくなっても、その言葉を発するより前にまたしても口を柔らかいもので塞がれる。例えばあっちゃんがなんかの間違いで誰かと私みたいなこういう関係を持ってしまったとしても、こうやってついつい流れで許してしまいそうな自分が怖い。
 何回したか分からないキスでも、まだ慣れるわけではないのであっちゃんからされるとつい「ん」と息を止めてしまう私は唇を啄ばまれている最中にふは、と酸素を取り入れようと口を開いてしまう。あっちゃんはそんな事はお見通しと言わんばかりにそのタイミングで舌を口内へ入れ込んでくる。
 それは呼吸を整えようとしている私にとってなかなかの行為で、ただでさえ息苦しい状態だったのに更にあっちゃんの体重をかけてきて隙間を作ろうとせずに舌を私の中で暴れまわらせる。私はどうする事も出来ずその舌の動きに思考も何もかも翻弄されるだけで、息苦しい感覚が段々気持ちいいものと思い柔らかでざらつきのある舌の感触を味わうのだ。
「ぷはっ」
 さすがに閉じてる目の奥が白くちかちかしてきた辺りであっちゃんがやっと離れてくれた。
 肩でぜーはーと息をする私に対して、口の周りをてからせてにこーっと笑うあっちゃんはとても可愛くてとてもSっ気が出てる顔だと思う。
「こんな可愛い顔して男説だイケメンだなんだって言われてるけど、私の前だけでは可愛い女の子なのになぁ…」
「あ、あっちゃん…」
「何で男なんて言われちゃうんだろうね?」
 首をかしげながら心の底から不思議そうな顔をして言うあっちゃんは、何で私がそうなるかわかってるくせにこうやって意地悪な質問を私にしてくる。そして分かってる自分もいるんだ、それをちゃんと言わないと始まらないという事も。
「こんなところ見せるのは、あっちゃんだけだから知らないんだと思う…」
 そう言うとよろしいと言わんばかりに微笑んで、私を優しく押し倒すのがいつの間にか体を重ねる内に出来た私たちのルール。
「うん、たかみなの傍にいつでもいるからね。ずっとだよ」
「ありがとう…あっちゃん」
「こら、違うでしょ?」
「あ、えっと…ありがとう敦子」
 満足げな敦子は私の首筋に顔を近づける、そしてふわりと顔にかかる髪から敦子の匂いを感じて私はこれから体いっぱいに敦子を感じるのだった。

 ──翌日、更にきわどい場所に跡をつけられ元々ぎこちなかったスキンシップが更にぎこちなくなり、今日の放映の内容に拍車がかかったという事はまた別の話。