死刑事案および死刑囚監房での拘束状況

25. 中国政府が死刑、2年間の猶予付き死刑、無期懲役および5年を超える懲役を課された多数の拘束者のデータを提供したことを認識してはいるものの、委員会は、これらのデータが判決別に分けられておらず、かつ国家機密に関する規制第3条および最高人民法院によって発行された人民検察院の仕事における各レベルの秘密の指定された範囲によって、死刑に関する具体的なデータが公表されないことを遺憾に思う。委員会は、死刑囚監房における有罪判決を受けた囚人の拘束状況、とりわけ24時間縛られ、残酷、非人道かつ品位を傷つける処置を受けていることについての懸念を表明する。さらに、委員会は自由意志によるインフォームド・コンセントを得ていない死刑囚の臓器摘出に関する「拷問に関する国連特別報告者」による質問 (A/HRC/7/3/Add.1) について懸念している。(項目11、16)

中国政府は、死刑を課すことの制限を考慮に入れた法律の再検討を行なわなければならない。中国政府は、死刑案件に関する具体的なデータを提供し、死刑囚監房に収容されている全ての人々が条約の規定する保護を受けるよう保証しなければならない。



治療の強要

26. 犯した犯罪に対する刑事責任能力を持たない精神病患者に、公的機関が強制的治療を受けさせることを、刑事法18条が規定していることを認識してはいるものの、委員会はまた、この条款が医療的なもの以外の目的で、人々を精神病院に拘束するために悪用されていることを懸念している。委員会は胡佳(Hu Jing)の事例を挙げたが、中国政府は、それに対する十分な回答をしていない。(項目11)

中国政府は、人々が医療的なもの以外の目的で、非自発的に精神病院に収容されないことを保証する対策を採らなければならない。医学的な理由から、入院が必要な場合には、中国政府は、その決定が独立した精神科の専門家の助言によってのみなされることを保証せねばならず、かつ、そのような決定に対する抗告を保証せねばならない。



警察の職員および医療関係者のトレーニング

27. 職務を開始する際、昇進する際、あるいはその分野に就任した際に、拷問抑止のための警察の職員、司法官ならびに民間職員を対象とした人権トレーニングを提供する努力に関する中国政府代表からの情報を歓迎はするが、提供された情報からは、トレーニングが効果的であるかどうかが判然としない。委員会は、警察の職員対象の実習のレベルが条約の条款に照らし合わせると不十分であることを遺憾に思う。委員会はまた、拘束施設の医療関係者を対象にした拷問および虐待の兆候を読み取るための具体的なトレーニングの欠乏を問題視する。(項目10)

中国政府は、NGO団体との合同トレーニングを含めた全レベルの警察職員対象の拷問の絶対禁止についての既存のトレーニング・プログラム、および拡大の努力を強化しなければならない。

中国政府はまた、拷問および虐待の兆候を読み取る医療関係者対象の適切なトレーニングを行い、1999年のイスタンブ-ル・プロトコル(拷問および残酷、非人道および品位を傷つける処置および処罰の効率的調査に関するマニュアル)をそのようなトレーニングに組みこまなければならない。

さらに、中国政府は、拷問および虐待の事例に関するトレーニング・プログラムの効果と影響を評価する方法を作成、および実行しなければならない。
最終更新:2009年01月20日 16:07