中国に対する国連拷問禁止委員会の結論および勧告

文書番号 CAT/C/CHN/CO/4
2008年11月21日
原文:英語

拷問禁止委員会
第41会期
ジュネーブ 2008年11月3日~11月21日

条約第19条に基づいて締約国により提出された報告書の審査

拷問禁止委員会の結論および勧告

中国

1. 委員会は、中国政府による第4回報告書(文書番号 (CAT/C/CHN/4) )を2008年11月7日および10日に開催した第844回および846回会議 (CAT/C/SR.844 and CAT/C/SR.846) において審査し、2008年11月21日および18日に開催した第864回会議 (CAT/C/SR.864) において、以下の結論および勧告を採択した。



A: はじめに

2. 委員会は、中国政府の第4回報告書の提出を歓迎する。報告書は委員会のガイドラインに沿ったものであるが、具体的事例や統計を用いた分析に欠け、締約国内で、どのように条約諸規定が実際に適用されているかという詳細情報に欠けている。


3. 委員会は、同委員会が事前に提示した問題点についての中国政府による多角的な報告書 (CAT/C/CHN/Q/4) に対して、歓迎の意を表明したい。委員会が、審査期間中に提示した数多くの口頭質問に対して、政府代表団が提供した説明や解説に賞賛をもって注目する。



B: 積極的側面

4. 委員会は、締約国の継続的な法的枠組みの改革に対する以下の点を歓迎する。

(a) 明確に近親者による暴力を禁止する2001年の婚姻法

(b) 弁護士が容疑者に接見する権利を保障する2007年の改正法

(c) とりわけ公安機関が、人権保障の尊重の原則に忠実であることを求め、特に、中国政府の代表によると、違法収集証拠の排除の法則を、国内法に初めて取り入れた、2005年の治安および安全性のための行政処分法


5. 委員会は、以下の新しい規則の発布を評価する。

(a)  公安機関による行政訴訟および刑事訴訟の処理手続きに関する条項の2005年以来の修正

(b)  拘束中の虐待および不正捜査の抑止を目的とした、中国司法部による2006年2月14日の人民刑務所警察に関する6条項、労働再教育監視官に対する6つの禁止事項、および最高人民法院による2006年7月26日の職務怠慢からの権利の侵害を経た、起訴の基準に関する規則の発布

(c)  不当な有罪判決は死刑執行前に覆すことができる再調査システムの成立を目指す死刑システムの改正

(d) 学校および司法過程における子供に対する体罰の禁止


6. 委員会は、とりわけ自供を引き出すための拷問の行使を禁止する行政法の採用、全国的な警察官の訓練の提供、および取調室内の音声およびビデオ記録の導入を含む拷問の行使を撤廃するための中国政府による継続的な努力を、および、それらの規則の執行への適切な方法を、刑法あるいは刑事訴訟法の改正の不備はあるものの歓迎する。


7. 委員会は、中国が以下を受け入れたことを歓迎する。

 2001年の経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約

(b)  2002年の児童売買、児童買春および児童ポルノに関する子供の権利条約の選択議定書

(c)  2008年の子供が武力紛争に巻き込まれることに関する子供の権利条約の選択議定書


8. 委員会は、2005年の11月から12月にかけて、中国が拷問およびその他の残酷、非道あるいは品位を貶める処置、あるいは処罰の特別報告者の視察を招き、受け入れたことに関心を持っている。さらに、委員会は、中国政府がまた任意拘束の作業部会を二度受け入れたことを認識している。


9. 委員会は、2006年の11月に最高人民法院の法院長代理の Wang Zhenchuan が「近年のほぼ全ての不当な有罪判決は、非合法の取り調べによって生じた」と発言したことを認識している。この点で、委員会は、「役人および学者の間で中国の拷問問題を認識しようという意識が高まっていることは、重要な一歩前進である」という拷問に関する特別報告者の所見に関心を持っている。
1990年代後半に「The Crime of Tortured Confession(虐待による自供の罪)」が出版されて以来、とりわけ不当な有罪判決、不十分な捜査、警察の専門性の欠如、および拷問によって引き出された自供に取り組み、また最高人民法院が全ての死刑事例を再調査する権限を回復したことによって拷問の問題が認識された。(参照: E/CN.4/2006/6/Add.6, paras. 46-51).


10. 委員会は、国内および国際NGO団体による委員会への関連報告や情報提供の努力を歓迎し、また、中国政府が、条例の条項の実行に関して、それらの団体とのさらなる協力を強化することを奨励する。





最終更新:2009年01月20日 15:54