行政刷新会議の内容 8.農林水産省

11/11
▽国交省、農林水産省
【港湾、漁港、海岸、河川環境整備事業】
バレーボール場や広場などレクリエーション施設の整備などに批判が集中し、予算の削減を求めた。


▽農水省

【農道整備事業】
都道府県の農道整備を国が補助する事業で、10年度の概算要求額は168億円。
農水省は中山間地での農業生産性向上のため必要だと主張したが、「一般道と一体的に整備するべきだ。国が補助する根拠が不明だ」といった意見が相次いだ。
11人中で廃止が6人、自治体の判断に任せるとの意見が1人、予算削減が4人だったが、最終的には廃止と判定された。

 【里山エリア再生交付金と田園整備事業】
約90億円を要求。森林や用水施設、遊歩道など居住環境の整備を助成する里山エリア再生交付金と、都市と農村の交流目的で施設整備などを行う田園整備事業はいずれも廃止
重複する事業が多いことや効果が不明だとの指摘が多く出た。

 【農業農村整備事業】
農村集落の下水処理施設の整備を進める農業集落排水事業は「自治体に財源を移譲し、判断を任せるべきだ」と、国が補助事業として行う必要はないとの意見が大勢を占めた。
農業に使う水利施設の整備や維持を行うかんがい排水事業は「予算要求の削減」と判定。
1774億円を要求しているが、20%程度の削減が適当との声が多かった。

11/12
▽農林水産省

 【耕作放棄地再生利用緊急対策】
農地所有者に利用する意思がない「耕作放棄地」を再び耕す際にかかる費用を国が補助する制度だが、9月末時点の執行率は約3%。
農水省は「食料自給率向上に欠かせない」と主張したが、結論は「今ある基金の範囲内でも来年度の執行に支障を来さない」。農水省が10 年度に求めていた70億円の基金積み増しは見送るべきだと判定した。

【農地集積対策(1)食料安定供給特別会計農業経営基盤強化勘定】
同勘定には、剰余金が382億円、積立金が153億円滞留している。
「いったん国に返して有効な使い道を考えるべきだ」として判定は国庫返納農地集積関連の融資は「国からの支援は利子補給までに限るべきだ」、補助金は「少なくとも半減させるべきだ」との結論に。

【農地集積対策(2)担い手支援貸付原資基金等】
地方自治体の公社などが離農する農家から農地を買い取る際などに無利子資金を貸し付ける事業。
事業そのものの必要性が低いとする意見が大勢を占めた。他の2基金を合わせて計823億円を国庫に返納するべきだと判定。

 【農地の保全】
農業用の水利施設の保全を国が補助する事業(10年度要求額40億円)については「自治体の判断に任せる」と判定。
土地改良事業関連の普及啓発活動(2億円)と、フードバンク活動を行う民間非営利団体(NPO)などへの補助(4億円)は「廃止」とした。いずれの事業も仕分け人からは「国がそこまでやる必要はない」との意見が出された。

【農村振興関係(1)】
都市部の若者が農村で働く際に、研修手当などを補助する農村活性化人材育成派遣支援モデル事業(概算要求5億円)は「自治体に判断を任せるべきだ」という意見と「要求通り計上する」が同数だったため、両論併記
新たな農山漁村コミュニティ・マネジメント創造支援事業「国が行うべきではない」。「農山漁村地域力発掘支援モデル事業」も「国の事業としての必要性を感じない」と結論付けた。

【農村振興関係(2)】
農山漁村活性化プロジェクト支援交付金など農水省の都市農村交流関連の三つの交付金は、いずれも「削減するべきだ」と判定。削減幅は半分から3分の1が大勢だった。
都市と農村の交流を促進させるために必要だとする農水省に対し「そば打ち道場などのハコモノが農村の活性化に本当に役立つのか」といった疑問が出された。

【基金(1)】
燃油高対策として設けられた水産業燃油高騰緊急対策基金など水産庁所管の4基金について「10年度の所要額を除き、国庫に返納すべきだ」と判定。
4基金は単純合算で1269億円。事業自体については評価する声が出たが、基金の方式では実際に資金が漁業者に届くまで時間がかかりすぎるとの指摘があった。

 【基金(2)】
土地改良事業に対する農家の負担の軽減を目的とした土地改良負担金対策資金など4基金について、10年度の所要額を除いた全額の国庫返納を求めた。
多年度にわたる資金を保有する必要がないと判断した。4基金の09年度末残高見込みは計2千億円を超える。

11/16
▽文科省、農林水産省

 【食育の推進】
文科省が5億円、農水省が17億円をそれぞれ概算要求。
子どもの食生活を改善するための教材配布など重複する事業が目立ち、いずれも「予算の削減」と判定。仕分け人は「縦割り行政の整理が必要だ」と指摘した。

▽農水省

【国産農産物の消費拡大・販売促進関係】
テレビCMによる広報活動など普及啓発を目的とする四つの事業(総額35億円)がいずれも「予算削減」となった。
農水省は「自給率向上のために必要」と訴えたが、仕分け人からは「シンポジウムや試食会、メニュー開発などは業界に任せるべきではないか」といった意見が出た。

 【農産物の流通・加工】
大都市の中心部で農産物を直売する「マルシェ・ジャポン」の事業(要求額6億円)は廃止と判定。
フランスのマルシェ(朝市)をモデルにした事業で、仮設直売所を設ける事業者に補助金を出す。仕分け人からは「国があえてやる必要はない」「民業圧迫だ」といった厳しい指摘が出た。
食品加工業者が国産農産物を使って新商品を作る際に機械の購入費を補助する事業(要求額11億円)は「融資で足りる」などとして「3分の1程度の削減」となった。

【食品産業向け支援】
食の信頼を向上するため、食品業者が守る重要項目の整理などを行う「食への信頼向上活動促進事業」(要求額1億円)は、「業者が自ら取り組むべきだ」として「廃止」と判定。
乳業メーカーの再編を促す目的で工場の統廃合などを進めた業者に補助金を出す「乳業再編整備等対策事業」(要求額8億円)は実績がほとんどあがっていないことなどから「予算を削減」とした。

【輸出促進・食料輸入安定化】
食料の輸入先を多角化するために海外調査を行う輸入安定化対策事業(要求額3億円)は廃止。
農水省は「国際的な食料争奪が起きる中、安全保障のために必要」と訴えたが、「商社などがリスクを取ってやるべき分野だ」として退けられた。日本の農産物を海外向けにPRする 22億円の経費は「削減」「輸出に取り組んでいる果物などは、民間が市場原理の中でやればいい」などの意見が出た。

【水産基盤整備事業】
漁場の造成や漁港整備を行う事業で概算要求額は1015億円。
水産庁は「老朽化した漁港の改修費や高度な衛生管理ができる施設が必要だ」と主張したが「全国の漁港を一律に整備する必要はない」、「水産資源回復のための漁場整備に絞るべきだ」などの声が上がり、「10%程度削減」と判定された。

11/24
▽農林水産省

【基金(農畜産業振興機構)】
畜産農家の借入金返済を支援する基金など畜産関連の4基金で、いずれも同機構が公益法人などにつくった。
作業グループは、こうした公益法人が農林水産省などの天下りを受け入れている点を問題視。10年度所要額を除き、同機構に返納すべきだと判定した。

【森林整備への支援】
森林・林業・木材産業づくり交付金のうち間伐作業道公的整備モデル事業など5事業(同計99億円)が対象。
目的とする林業や山村活性化に肯定的な意見が多かったが、「モデル事業で行う必要はない」「09年度補正予算で計上された同様の事業と重複する」との批判が強く、廃止と判定された。

【森林所有者向け支援(森林整備地域活動支援交付金)】
森林の所有者が、森林の手入れに必要な調査を行う場合の経費を負担する。
林野庁は間伐などの森林整備や林業経営の集約化に不可欠と、事業の必要性を強調。作業グループは、事業量を過大に見積もったため、基金残高が約98億円に積み上がっており、新たに予算計上しなくても残高の範囲内で実施できると指摘した。

 【鳥獣被害防止総合対策事業】
侵入防止柵の設置や捕獲した鳥獣の加工施設整備といった市町村や地域協議会の取り組みを支援するため30億円を概算要求。
多くの小規模な取り組みを対象としており「基本的には市町村の仕事。国は広域的な対策や調査研究に特化すべきだ」との意見が大勢を占め、「自治体の判断に任せる」と判定された。

【モデル事業】
地産地消の促進や有機農業の振興など、地域を限定して試験的に実施する六つのモデル事業は、いずれも廃止判定となった。
概算要求額は計23億円。
農水省は「優良モデルを全国に公開し、広げるために必要」と主張したが、仕分け人からは「民間でやる気のある事業者は自力で成功事例を作ったり探したりしている」と反論が続出した。

 【農業共済等】
農業共済では、事務費の国庫負担金(同455億円)と、共済掛け金の2分の1を補助する国庫負担金(同543億円)について、いずれも3分の1程度を削減
「人件費の割合が高い」などの指摘が出た。
日本政策金融公庫の業務補給金(同330億円)も「融資実績に比べ担当職員が多い」と、3分の1の削減に。

 【漁業共済】
災害などによる収入減少に備える漁業共済に国が上乗せして補てんする漁業共済「積立ぷらす」(同51億円)は削減
大災害に適応した共済の掛け金を補助する漁業共済経営環境変化特別対策事業(同13億円)は、農水省としては初の「要求通り」判定となった。
燃油価格の高騰や大型クラゲの発生に苦しむ漁業者を支援する点が評価された

11/27
▽農林水産省

 【各種の施設・機械関係補助金(1)】
農産物の集荷施設などを整備する際の経費を補助し、強い農業づくりを目指す交付金など計5事業(同計368億円)。
仕分けでは「他の事業と重複している」と指摘、融資に切り替えるべきだとした。強い農業づくりなど3事業を「2分の1から3分の1程度削減」、2事業を「削減」と判定した。

 【各種の施設・機械関係補助金(2)】
新規就農者に農業用機械や施設の整備費を補助し農業経営を支援する「経営体育成交付金」など計7事業(同計267億円)。
同交付金など3事業は3分の1程度を削減。牧草などを生産する組織を育成する「国産粗飼料増産対策事業」など4事業は「事業のやり方を見直す必要がある」として、判定は「削減」

 【各種の農業経営体育成等】
農地データベース化や、農協や市町村などでつくる団体が農家に経営診断といった研修を行う際に補助する事業など計6事業(同計37億円)。うち3事業は「廃止」、1事業は「見直し」、残る二つの基金事業は「既に契約した分を除き国庫に返納」と判定した。

 【小規模農家に配慮した補助金】
耕作放棄の防止に取り組む集落を支援する中山間地域等直接支払制度(同265億円)は事務費削減以外は予算要求通り。
地域による農地や水路の保全活動を支援する農地・水・環境保全向上対策(同232億円)は「1割程度の予算要求の削減と事務費削減」と判定した。削減対象の事務費は両制度を合わせて計21億円。

【漁業者向け生産コスト補てん型事業】
漁船用の燃油価格や養殖用配合飼料価格の高騰の際に補てんを行う計22億円の新規事業は削減
システム開発費の中に、約1200ある全国の漁協すべてにパソコンを配るための費用が含まれていることが批判を集め、仕分けでは「制度設計を大幅にゼロから見直していただきたい」と注文がついた。

【水産物の流通・加工】
漁業者団体が漁業者から魚を買い取り、量販店に販売するという直接取引などを推進する「国産水産物安定供給推進事業」(同 12億円)と、販路開拓や新商品開発を支援する「水産物産地販売力強化事業」(同12億円)を取り上げた。
いずれも民間で担うべき分野で「国費で補助する必要はない」として半額程度の「削減」と判定した。

【漁村振興関係】
水産物の荷さばき施設建設などを補助する「強い水産業づくり交付金」と、離島の集落での清掃活動などを補助する「離島漁業再生支援交付金」の計90億円は、いずれも3分の1程度の削減。
仕分け人からは「使われていない漁港施設も多く、効果の検証をしっかり行わないといつまでも補助金漬け体質から抜け出せない」といった指摘が出された。

 


 

最終更新:2010年01月13日 00:34
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。