電力工学教室(2)電力会社の発電量

パート1 http://www24.atwiki.jp/free_nippon/241.html では照明器具をLEDに置き換えたくらいでは原子力発電の発生する電気には到底間に合わない。と言うお話をしました。

今日のパート2では、電気と国民の豊かさは比例する。と言うお話と、原子力発電を止めると何が起きるのか?と言う話を難しい計算式や専門用語は極力使わずに簡単にお話したいと思います。


まずこの表をご覧下さい。

これは1969年から2012年までの東京電力の年間総発電量を、発電手段別に表した物です。
1969年の原子力発電所の発電量がゼロなのは、まだこの頃は日本には原子力発電所が無かったからです。
このグラフで発電量が大きい順に
火力、原子力、水力、新エネルギーとあります。
火力の中にもその構造により、汽力発電所、内燃火力発電所汽力発電と内燃火力を組み合わせたコンバインドサイクル発電所。
水力発電所にも水路式、ダム式と様々な種類がありますが、これらを話すととても長くなるので割愛します。

一番下のゼロのラインすれすれの部分にある△のマークを付けた線。これが所謂新エネルギー発電所。
電力会社では太陽光、潮力、風力、地熱発電のことを示します。
脱原発!と叫ぶ人達やテレビに出てくる評論家さん達は「再生可能エネルギー」とも言うらしいのですが、抽象的過ぎて私には全く解らないの言葉。と言うことで新エネルギーで統一します。

この新エネルギーに関しては次回かそのまた次の回で詳しく説明しますのでひとまず個別の説明は後回しにします。

一番上の茶色の線は東京電力での年間総発電量です。
面白いことに「オイルショック」「ブラザ不況」「バブル崩壊」「小泉構造改革不況」「リーマン破綻」「民主党政権交代&無駄削減不況」。と大規模な経済規模の縮小。即ち不況が起きると電力発電量は僅かに下がります。
これは企業の経済活動が萎縮しそれによって、生産規模の縮小が発生しその結果電気の需要が減ってしまう事を表しています。

逆にバブルのような好景気の時には電力発電量は右肩上がりにどんどん伸びていきます。これは世の中にお金がどんどん回り、企業は生産をあげる為に生産ラインをフル稼働させ雇用も増えて、国民も電気を使う。と言う現象が起きていることが解ると思います。

余談ですが新聞テレビに評論家達が散々持て囃した、小泉純一郎政権時代に民主党政権時代は電力発電量は横ばい、若しくは長期下落傾向です。これは小泉に鳩山に管に野田が如何に国民に対して酷い政治を行ったのかが良く解ると思います。
駄目政権が長く続いたことがこの国の最大の不幸でしょう。
電気需要はその年の気候によってもかなり違うので直接結びつけるのはやや乱暴ですが。

グラフの説明に戻ります。「他社から融通」と書かれた黄色い線。これは何でしょうか?
実はこれは、電力会社は相互に電力を融通し合ってます。
これにより、突発的な需要が発生したときや大型変電所をメンテナンスで停止させる必要が有ったときに隣のエリアの電力会社から分けて貰う事でお互いに助け合っています。
これが「他社からの融通」です。
2003年の項目を見て下さい。この時は原子力発電所の発電量の水色の線が大きく落ち込み代わりに、火力発電所の赤い線と、他社からの融通の黄色い線が大きく伸びています。
この時何が起こったのか?
実はこの前年の2002年東京電力の原子力発電所の検査報告書のデーターの改ざんが発覚し、経済産業省から早急に東電が所有する原子力発電所を順次停止し、再度精密点検を命じられた。と言う出来事が有りました。
命令を受けた東京電力は電気の需要が年間で最も少ない春に原子力発電所の精密点検を行いました。
しかし電力需要が最低の春に止めたとは言え、全発電量の4割を占める原子力発電所を全て止めることは容易ではなく
火力発電所をフル稼働し例年よりも電気を余計に作り、それでも足らない分は電量の三割強を占めていた原子力発電所の発電量を補うことが出来ず東北電力や中部電力等から融通して貰い不足分を補ったのです。
これは東電以外の発電所は原発も含め全て正常稼働状態であったために東電以外の電力会社の余力も十分あり、、且つ停止期間は数ヶ月と短かった為に対応出来た。と言うことになります。

続く




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最終更新:2014年02月06日 02:42
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