電力工学教室(3)老朽火力発電所に頼る危険な状況

前回http://www24.atwiki.jp/free_nippon/pages/243.htmlは電力会社の発電手段の内訳のお話をしました。復習すると一番多いのが火力で約半分。次が原子力で約三割強、その次が水力で約一割。一番少ないのが地熱とか脱原発の人達やマスコミが大好きな太陽光とか風力とか・・・
日本で地熱発電があまり普及しないのは原子力利権だ!と無知を晒してるテレビ・ラジオタレントを見かけますが、これは違います。評論家という肩書きであってもあまりにも不勉強なのでこれらの人達はタレントで十分。学者も居たっけな。日本で地熱発電が普及しないのは、温泉資源の枯渇の懸念。これが一番の理由です。

さて本題です。日本の場合、火力発電所は海の近くにあります。何故でしょうか?昔は炭坑の近くに有りました。
理由の一点目
火力発電所、原子力もそうですが、真水を沸かして高温高圧の蒸気を作り、その蒸気で発電機を回して電気を作ります。発電機を回し終わった水蒸気はまだ熱を持っているので捨てません。復水器と呼ばれる装置を使って水蒸気から高温の熱湯にまで一旦温度を下げて再びボイラーで高温高圧の蒸気にします。この復水器を冷やすために大量の水が必要となるからです。
理由の二点目
火力発電所は大量の原油や石炭や液化ガスを消費します。これらの燃料はトラックでは到底運びきれませんし、陸上輸送は事故や渋滞環境問題とリスクが大きすぎる。だから一度に安全に安価に大量の燃料を運ぶことが出来るタンカーが入港できる港の近くに作られます。これも漁業関係者と補償の利権が!と言っている自称学者や評論家が居ますが彼らは知らずに言ってるだけなのでそのまま信じ込むのは止めましょう。
さて、ここで二枚の表を貼ります。



実はこれ非常に怖い表です。
火力発電所は一般的に寿命は四十年とされています。火力発電所は大変な量の機械の集合体です。私が経験あるのは小規模(といっても物凄くでかい)内燃火力の管理者だけですが、その素人に毛が生えた様な経験しかない私が思いつくだけでも、各種電動バルブ、配管、ポンプ、冷却器、主機とされるボイラとタービンと発電機、排ガス浄化装置、純水製造器、燃料ポンプ、灰処理装置、各種制御電子機器。制御用予備電源類・・・・これらの膨大な機器のどれか一つでも調子が悪いと故障したり大事故を起こしたりもします。
この為、運用開始から四十年を目安とし古い物から逐次予備機となり、第一線を外れ運用休止機として災害や他の発電機の故障や緊急点検の時にも使えるように残しておきます。そしてそこから数年経過した物から逐次廃止されていく。
これが火力発電所の生涯です。
ところが、2011年。当時の管直人政権が不適切かつ無責任な対応を行ったために事故になったとされる、福島第一発電所の一件の煽りで、二年・・・・三年目か。の長期に亘り日本中全ての原子力発電所が停止してしまっています。その結果本来ならば予備役、若しくは退役となってしまっている筈の古い火力発電所も運転して、足らない電気を賄っている状況。問題のある発電所の建造年と出力の項目を赤くしてあります。この表で良く解ると思います。

火力発電所は建設に数年。計画立案から用地買収、建設地域住民との折衝など含めるとその数倍の年月が掛かります。その間にいつ壊れても事故を起こしてもおかしくない発電所がどんどん増えていきます。脱原発も結構ですが、こうした危険な老朽発電所どうするのか対案を出さないのは極めて無責任。特に小泉さん!細川さん!宇都宮さん!貴方がたは一体何を考えているのでしょうか?

そして問題点の二つ目。関東の電力を賄っている東京電力の火力発電所は上の表でも解るように東京湾沿いの京浜・京葉工業地帯に密集しています。国土交通省のプレス発表でもあるように、数年以内に首都直下型大地震の発生の危険性が高いとされている昨今。これらの発電所が地震の直撃で破壊されてしまった場合、日本の中枢の電力が長期に亘って失われる可能性が懸念されます。
先の東日本大震災で被災した火力発電所は復旧までに短くて数ヶ月。長いものは一年近く掛かっています。それまで電気無しの生活を送れとマスコミは言うのでしょうか?冬期であれば死者も続出するでしょう。責任が取れるのでしょうか?


続く





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最終更新:2014年02月05日 02:32
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