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10月09日17:33 聖書と賛美歌と飛行機につんで

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10月09日17:33 聖書と賛美歌と飛行機につんで


少し前に、「きけわたつみのこえ」を読みました。

一番印象に残ったのが、木村久夫陸軍上等兵の遺稿と、次に引用する林市造海軍少尉の遺書でした。
読み進むに連れて、「特攻隊員」というものについて持っていたイメージがどんどん崩れて行くけれども、私にとってはどの特攻隊員の遺書にも劣らず心にしみるものでした。

林市造  昭和20年4月12日 特別攻撃隊員として沖縄にて戦死 
京都大学出身 23歳

お母さん、とうとう悲しい便りをださねばならないときがきました。
親思う心に勝る親心今日のおとずれ何ときくらん、
この歌がしみじみと思われます。
ほんとに私は幸福だったのです。我ままばかりとおしましたね。
けれどもあれも私の甘え心だと思って許して下さいね。
晴れて特攻隊員と選ばれて出陣するのは嬉しいですが、お母さんのことを思うと泣けて来ます。

 母チャンが私をたのみと必死でそだててくれたことを思うと、何も喜ばせることが出来ずに、安心させることもできずに死んでゆくのがつらいです。[略]
 母チャン、母チャンが私にこうせよと言われたことに反対して、とうとうここまで来てしまいました。
 私として希望通りで嬉しいと思いたいのですが、
 母チャンのいわれるようにした方がよかったかなあと思います。
 でも私は技倆抜群として選ばれたのですから喜んでください。
 私ぐらいの飛行時間で第一線に出るなんかはほんとうは出来ないのです。[略]
 ともすればずるい考えに、お母さんの傍にかえりたいという考えにさそわれるのですけれど、 これはいけない事なのです。

 洗礼を受けた時、私は「死ね」と言われましたね。
アメリカの弾にあたって死ぬより前に 汝を救うものの御手によりて殺すのだと言われましたが、これを私は思い出しております。
 すべてが神様の御手にあるのです。 神様の下にある私たちにはこの世の生死は問題になりませんね。

 エス様もみこころのままになしたまえとお祈りになったのですね。私はこの頃毎日聖書をよんでいます。よんでいると、お母さんの近くにいる気持ちがするからです。
 私は聖書と賛美歌と飛行機につんでつっこみます。それから 校長先生からいただいたミッションの徽章と、お母さんからいただいたお守りです。

 私はお母さんに祈ってつっこみます。 お母さんの祈りはいつも神様はみそなわして下さいますから。

この手紙、梅野にことづけて渡してもらうのですが、絶対に他人に見せないで下さいね。やっぱり恥ですからね。もうすぐ死ぬということが何だか人ごとのように感じられます。いつでもまたお母さんにあえる気がするのです。あえないなんて考えるとほんとに悲しいですから。


コメント

2005年10月10日
12:20 gallery

いつでもまたお母さんにあえる気がするのです

キリスト教徒ならそう考えるのが普通なんですが、
実際のところ、彼も靖国神社に祀られておるわけです。
靖国に言わせれば御魂と一体化して不可分になっておるので、
魂を分けることは不可能なんだそうで。

敬虔なキリスト教徒の親子。死しても魂は離れ離れ。罪深いことで。
靖国って実は、「魂の牢獄」なんじゃないかと思えてきた。


2005年10月12日
21:53 ja2047

国家の行いのために命を落とした人を国家が慰霊するのは良いとしても、なにやら死んでまで人柱の一ブロックを勤めさせられているような仕掛けなのですね。

以前にね、テレビでピラミッド建設の話をやってたのですけど、解説者が、「皆さん方はピラミッドというのは奴隷を鞭で叩いて酷使して作ったと思ってる人が多いですが、当時の庶民というのは王様は神様だと信じてますから皆喜んで働いたのです。」と言うんですが・・・
私の場合はそれ聞いて余計にかわいそうになりました (ーー;



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