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09月18日20:59 痩我慢の美学

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09月18日20:59 痩我慢の美学



前回、「ソ連の軍歌は強そうだ」などと書きましたもので、今回は日本の軍歌のお話しなど。

日本の軍歌というのはあんまり強そうでないところが好きです (^^;

「勇ましく堂々と戦って勝つ」という歌はほとんどなくて、「男らしく、堂々と、堪え忍んで、恥を掻かないように、死にたい」という歌ばっかりなんですね。

そういう中で、非常に完成度の高いもの、特にこの「武人としての痩せ我慢の美学」みたいなものが色濃く出ていて、しかも日本の伝統的な短詩の持つ叙情性をきちんと品よく受け継いでいるものとして「討匪行」の右に出るものはありません(一発変換すると「逃避行」と出るんだものな)。

これは優れた「戦場短詩集」であると思います。

嘶く声も絶えはてて 倒れし馬のたてがみを 
かたみと今は 別れ来ぬ

ひずめのあとに乱れ咲く 秋草の花 雫して 
虫が音ほそき 日暮れ空

既に煙草はなくなりぬ 頼むマッチも濡れはてぬ 
飢せまる夜の 寒さかな

さもあらばあれ 日の本の 吾はつわもの かねてより 
草むす屍 悔ゆるなし

ああ東の空遠く 雨雲ゆりてとどろくは 
わが友軍の 飛行機ぞ

通信筒よ カンパンよ こえもつまりて仰ぐ眼に 
溢るるものは 涙のみ

今日山狭のあさぼらけ ほそくかすけくたつけむり 
賊馬は草を 食むが見ゆ

露冷えまさる草原に 朝立つ鳥も慌し 
賊が油断ぞ ひしと寄れ

面かがやかし つわものが 賊殲滅の一念に 
焔と燃えて 迫る見よ

山こだまする砲の音 忽ちひびくときのこえ 
野の辺の草を朱に染む

賊馬諸共たおれ伏し 焔はあがる山の家 
さし照れる日のうららけさ

仰ぐ御稜威の旗の下 幾山越えてきょうの日に 
あう喜びを語り草

敵にはあれど遺骸に 花を手向けてねんごろに 
興安嶺よ いざさらば


オリジナル歌唱の音源付のリンクということでこれを紹介しておきます。
http://kaga226.hp.infoseek.co.jp/08/tohiko.html

フラッシュを作られた方には申し訳ないですが、こういう堂々たる大部隊の行軍やら、北京や南京のような大都市への入城はこの歌には似つかわしくありません。

ここはやはり、小部隊で、人家もまばらな山中を、あるいはどこまでも続く高粱畑を、降り続く雨の中、「泥水すすり草を噛み」状態で進撃してくれなくては、「日本の軍歌の美学」に反すると思うのです。


コメント

2006年09月18日
21:43 gallery

マイミクさんの掲示板でも話題になったんですが、
どうも日本軍…というか日本人に顕著な特徴として。
マイナスベクトル指向で、妙に感情が昂る癖があるようで。
「滅びの美学」とか。


2006年09月19日
06:54 ja2047

最近の戦争映画というのが敗戦直前の追いつめられた姿ばかり。
「大和」に続いて、このあと「回天」「陸軍特別攻撃隊」と続きます。

日本がきちんと自らの責任と判断で戦争をし、成功した映画というのは、とんと見ません。
どうも、「好戦的」にならないようにという思想がマイナススパイラルを引き起こしているような気がします。

日本が自らの責任と判断で「立派に」戦争を行った事実を語ると「自虐史観」と呼ばれ、ひたすら他国の意志に翻弄され、いじめ抜かれて、自らの意志でなく戦争したという思想が、「日本の誇りを取り戻すこと」になるという最近の風潮には、歴史の事実以前に、なにか人間観が根本的に狂い始めているような気がして頭を抱えます。


2006年09月20日
09:12 Nuts

「ここはお国を何百里」ていう軍歌とか、日本の軍歌は
寂しげなものがありますね。
寂寥感で心を慰めるのは日本人独特の意識なのかもしれません。


2006年09月20日
15:18 じんつぁー

自分も討匪行好きですねぇ
もっと悲壮感が強い「ああ我が戦友」も好きです。


2006年09月21日
17:27 ja2047

もっと悲壮感が強い「ああ我が戦友」も好きです。

ああ、出だしの漢詩調がいいですね。
あとの方になるとどんどん情緒的な展開になっていくのは
私としてはちょっと。

「軍歌」と一纏めにしますけど、士気を鼓舞するために歌われた「表の軍歌」、兵士達が自らを慰めるために歌った「裏の軍歌」、
銃後で戦時歌謡として歌われた流行歌と色々あるのでしょうね。

私は空挺部隊が自分で「空の神兵」を歌っているところを想像できません。
ここが、「降下猟兵の歌」と違うところです。
http://members.tripod.com/andreas_hofer/deutschesoldatenlieder/fallschirm.html


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