奇眼藩国

№19:帰ってきたゲート探し

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kiganhankoku

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№19:帰ってきたゲート探し

○参加冒険: №19:帰ってきたゲート探し
○舞花:7800:北国人+犬士+歩兵
○猫神絵馬:5700:北国人+犬士+歩兵

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大規模な学園が存在しない奇眼藩国では、塔の地下に広がる大図書館がその代用となっている。
古くから存在し、増築が続けられるこの施設は大変に広い。
その中には建造されたものの、危険な為に封鎖された区画も存在する。

「そこにある……かもしれないゲートを探すのが今回の任務、冒険です」
年若い――少々若すぎる――宰相・水瀬悠は猫神絵馬という犬士(猫神という姓だが、犬士なのだ)にそう言った。
「ゲートが見つからなかった場合でも、『何か』持って帰ってくれればいいですよ」
「例えば、お金とか」
それは盗賊か何かではないのか、秘密の国庫とかにぶち当たったらどうしろというのだ。
などと猫神が頭を抱えていると、勢いよくドアが開け放たれた。

「遅れました!」
そう言って入ってきたのは舞花という女性である。彼女の姿を見て、宰相は首を傾げた。
軍で採用されているシュトラウス製のスコップを背負い、歩兵銃を携帯した姿。
奇眼藩国では雪原演習で多用するためか、或いはスコップは最強という信仰の為か、多くのものがスコップの扱いに習熟している(※詳細はイグドラシル参照)
だが、そこは(さほど)問題ではない。
彼女は何故か……控えめに言って、少々布地面積の少ない格好(※注釈:本人の希望による)をしていたのである。

「…………その、装備は?」
目線を逸らす宰相。天を仰ぐ猫神。

「?……任務は恋人探しではないのですか?」

その言葉に、何かを諦めて猫神は一人溜息をついた。
「……人生大抵の事はなんとかなるさ。……きっと」
見上げた頭上には、灰色の天井しか見えない。

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どーん、と辺りに響き渡る爆発音。
ダン、ダン、と断続的に響く射撃音。

「防衛機構が生きてるなんて聞いてないですよ!」
遮蔽物の影から銃撃を続ける猫神。
「まあまあ。慌てるとお茶が冷めてしまいます」
柱の影でお茶を飲む舞花。
「……っ何をしてるんですかあなたはー!?」
弾丸がすぐ隣を通り過ぎていくのを感じながら、猫神は叫んだ。

何とか落ち着き、渡された地図を見直してうなだれる。
「ここを突破、しないと駄目か……」
何とかなる何とかなる、と自分に言い聞かせるように呟く猫神。
弾倉をリロード。

舞花はゆっくりとお茶を飲み終えると、静かに目を閉じる。
「――では、攻勢に転じます」
そう言って再び開いた彼女の片目の色が、『文字通り』に変わる。
<奇眼の猟犬>と呼ばれる、感覚力を高める技が発現した証である。
思考が引き延ばされていく感覚を確かめると、銃を握り直す。

猫神とうなずきを交わし、揃って躍り出た。

――Show time!

背中合わせに、二人の犬士は銃撃を開始。

とぎすまされた感覚と遮蔽物で、見事に射線をかわす。

生まれる空隙を縫って放たれる銃弾は正確無比に貫く。

崩れた壁を、倒れた防衛機体を、あらゆるものを盾に踏み台に。

踊るように舞うように、二人は戦場を支配する。

瞬く間に敵は数を減らし、残る目標は一つ。

これが止めと、舞花は引き金を引く。が
――弾切れ!
咄嗟に銃を放り出すと、背負った最終兵器、スコップを構える。
そして壁を蹴り、華麗に跳躍。

弾丸がすぐ傍を通り過ぎる感覚を肌に感じつつ、スコップを思い切り振り下ろす。

遠心力と重力が、動力部を叩ききる。

尚も動こうとする目標に猫神が連続的に弾丸を叩き込み、やがて周囲は完全に静かになった。

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一つ息を吐いて、猫神はゆっくりと辺りを見渡す。
「……ふう、これでゆっくりと調査がd「わん!」ます」
む、と首を傾げる猫神。
声の主を捜してみれば、隅の方に二人の犬士が隠れていた。

「一体、どこから……」

震えながら頭上を仰ぐ犬士。
どうもちょっとした隙間の穴から落ちてきたらしい。人型ではちょっと通らないサイズ。

「大変でしたね、でももう大丈夫」
小さい方の犬をぎゅーっと抱きかかえる舞花。もふもふである。

彼らのことを任せ、猫神は調査に取り掛かる。が
「とにかく、ここを調査して何か持って帰らないと……」
ビー、ビー、ビー。
手近な操作卓に触れた途端に鳴り響く警報。

二+二の犬士はおそるおそるモニターをのぞき込む。
「えっと……『機密保持の為、この設備は自動的に爆破されます。範囲は不明です、はーと』…………」

一瞬、理解が追いつかない。
が、次の瞬間ばっと顔を見合わせ、2+2は全速力で走り出した。


そして爆発。

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その日、少しだけ塔が揺れた

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シュトラウス・ニュース、一面記事より
『星見塔、謎の爆発!』
先日未明、国の中心である奇眼の塔で謎の爆発事故が……
……図書館の機能には現段階では深刻な影響が出ていないとの発表があり……

同、三面記事
『施設点検中の兵士、迷い犬を保護』
設備点検中の兵士2名が迷い犬を発見し、これを保護した。
……藩王はこれに賞状を送り、彼らの功績を評した。……

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○冒険結果: 大成功 :得たお宝: B 21犬士2匹 :ユニークな結果:なし
コメント:迷い犬2匹を見つけました。

(文士・水瀬悠)

(絵師・木曽池春海)
(絵師・舞花)

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