Claim CB200.1:
Bacterial flagella and eukaryotic cilia are irreducibly complex, Since nonfunctional intermediates cannot be preserved by natural selection, these systems can only be explained by intelligent design.
バクテリアの鞭毛と真核生物の睫毛は還元不可能な複雑さを持つ。自然淘汰では機能しない中間形態は存在し得ないので、これらのシステムはインテリジェントデザインのみで説明できる。

Source:
Behe, Michael J. 1996. Darwin's Black Box, New York: The Free Press, pp. 59-73.

Response:
  1. 還元不可能な複雑は自然の過程で進化できるので、これは"argument from incredulity"[訳注: 「***は自然の過程が起源とは信じられないので、創造された」]の例である。バクテリアの鞭毛と真核生物の睫毛のタンパク質は互いにも、また別の機能のタンパク質とも類似している。それらの起源は、一連の遺伝子重複イベントとそれに続く変化やコオプションによって容易に説明がつき、鞭毛の最終形態より単純で別な中間形態を経て段階的に進化した。
    鞭毛のもっともらしい進化経路は次の基本的なステージを経ている。
    (真核生物の鞭毛あるいは波動毛と呼ばれる)真核生物の睫毛は、バクテリアの鞭毛と基本的に異なる。それはおそらく、(両方の構造は、スライドするmicrotubuleとdyneinsを使う)プリミティブな真核生物の有糸分裂スピンドルの結果として始まったと思われる。Cavalier-Smith (1987; 2002)はこれらのシステムの起源について幾つかの場合を論じた。
    (以下は概要であり、主なコオプションイベントに続いて、長い時間をかけた段階的な機能の最適化が進む):
    • 受動的な、特化していない孔は、ゲート制御タンパク質の追加によって、より特化した受動的な孔に進化する。受動的な輸送機構は、ATP加水分解と結合して輸送能力を強化するATPアーゼの追加によって、能動的な輸送機構に変わる。この複合体がプリミティブなtype-III輸送機構を形成する。
    • "type-III輸送機構"は"the type-II分泌機構"からの外膜孔タンパク質の追加
により、"type-III分泌機構"に変わる。これらはいつしか、鞭毛のPリングとLリングをそれぞれ形成する。type-III分泌機構は、鞭毛のロッドとリング構造に非常によく似た構造を形成する(Hueck 1998; Blocker et al. 2003)。
    • type-III分泌機構は幾つかのタンパク質を分泌する。そして、その一つはadhesinであり、これは細胞を、他の細胞やサブストレートに刺すタンパク質である。このadhesinの重合は、プリミティブな繊毛を形成する。これは細胞の付着力を強める。type-III分泌機構の繊毛の進化のあとに、遺伝子重複と部分機能化によって、繊毛は様々な特化した仕事をするものへと多様化する。
    • 細胞のもう一つの機能をもつイオンポンプはたまたま、分泌機構構造の基部とつながるようになる。そして、繊毛をプリミティブなプロト鞭毛に変える。プロト鞭毛の最初の機能は、改善された散布である。モータータンパク質MotAとMotBの相同物が、鞭毛とは別に、多様な原核生物で機能することが知られている
    • 信号形質導入タンパク質を分泌機構の基部につなげることで、細胞の代謝性健康に従い、回転の速度を制御できるようになる。これにより、好ましいところへ向かって、そして(過密な生息地のような)栄養分の少ないところから離れるように、動くようになる。これは、走化性運動性の始まりである。
    • おおよそ機能する鞭毛の起源のあと、数多くの改良が続いた。特に、遺伝子重複やpilinやプリミティブな鞭毛の軸構造の部分機能化により、多くの異なった軸タンパク質(rod, hook, linkers, filament, caps)が出現した。これらのタンパク質は、軸のタンパク質族を形成することになる。
  1. バクテリアの鞭毛は還元不可能ではない。幾つかのバクテリアの鞭毛はLリングやPリングがなくても機能する。さまざまなバクテリアによる実験で、いくつかの部品は、役に立つものの、絶対的に不可欠ではないことがわかった(Matzke 2003)。鞭毛の497のアミノ酸のうち1/3は、その機能を失わせることなく切り離すことができる(Kuwajima 1988)。さらに、標準的な、よく研究されているE.coliで見つかった鞭毛には必要ではないが、多くのバクテリアが独自の鞭毛のために追加のタンパク質を持っている。異なるバクテリアは、異なる数の鞭毛タンパク質を持っており(たとえばヘリコバクターピロリは、機能する鞭毛のためにわずか33このタンパク質しか必要としない)、Beheの大好きな還元不可能性の例は実際には、必要な部品の数において、変わりやすさを示している。

    真核生物の睫毛は200以上の異なったタンパク質によって構成される。しかし、それでも"還元不可能性"は錯覚に基づく。睫毛の"common 9+2 tubulin"構造は事実上、単純化不可能だとBehe(1996)は暗示し、Denton(1986, 108)はあらわに主張した。しかし、多くのmicrotubuleやdynein linkerを欠落させているが、機能する 3+0 ciliaが存在することが知られている (Miller 2003, 2004)
  2. 真正細菌の鞭毛や古細菌の鞭毛と睫毛は、同じ機能についての全く異なるデザインを使っている。これは独立に進化したとすれば予期されることだが、同一のデザイナーによるものであれば意味をなさない。

Links:
  1. Matzke, N. J. 2003. Evolution in (brownian) space: a model for the origin of the bacterial flagellum. (PDF? (see also Background to "Evolution in (Brownian) space" , other URL )
  2. Dunkelberg, Pete. 2003. Irreducible complexity demystified
  3. Musgrave, Ian. 2000. Evolution of the bacterial flagella.

References:
  1. Blocker, Ariel, Kaoru Komoriya, and Shin-Ichi Aizawa. 2003. Type III secretion systems and bacterial flagella: Insights into their function from structural similarities. Proceedings of the National Academy of Science USA 100(6): 3027-3030.
  2. Cavalier-Smith, T. 1987. The origin of eukaryote and archaebacterial cells. Annals of the New York Academy of Sciences 503: 17-54.
  3. Cavalier-Smith, T. 2002. The phagotrophic origin of eukaryotes and phylogenetic classification of Protozoa. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 52: 297-354.
  4. Denton, M. 1986. Evolution: A Theory in Crisis. Bethesda, MD: Adler & Adler.
  5. Hueck, C. J. 1998. Type III protein secretion systems in bacterial pathogens of animals and plants. Microbiology and Molecular Biology Reviews 62: 379-433.
  6. Kuwajima, G. 1988. Construction of a minimum-size functional flagellin of Escherichia coli. Journal of Bacteriology 170: 3305-3309.
  7. Matzke, N. J. 2003. (see above)
  8. Miller, K. 2003. Answering the biochemical argument from design. in: Manson, N. (Ed.), God and design: the teleological argument and modern science, Routledge, London, pp. 292-307.
  9. Miller, K. 2004. The flagellum unspun. In Debating Design: from Darwin to DNA, 81-97, eds. Dembski, W., and M. Ruse, New York: Cambridge University Press.
  10. Ussery, David. 1999. A biochemist's response to "The biochemical challenge to evolution". Bios 70: 40-45. http://www.cbs.dtu.dk/staff/dave/Behe.html?




最終更新:2009年08月16日 21:29