Leaving the Wrong Impression

誤った印象を残さない


すべてがうまくいったと思ったときに、生徒が核心をつく質問をしてきて、実は話が全然、通じていなくて、がっくりくるかもしれません。不注意にある種の用語や表現あるいは行動が、生徒たちに間違った印象を残してしまうかもしれません。

Evolution as improvement
発展としての進化

進化を進展や改善やより洗練されることとして言及すると、生命の歴史に実際には存在しない方向性があることを意味してしまいます。

Survival of the fittest
適者生存

この考えをよりよく表現すると「十分に適応したものが生存する」です。生物が競合相手と生と死をかけて戦う場として、自然を「弱肉強食」の場として描写すると、実際に起きていることを過大に単純化したことになります。他の生物が適応していないニッチに存在することで、多くの生物は安住します。たとえば、ブラインシュリンプ( アルテミア )は潜在的な水生の敵にとって不都合な塩水中に生息していて、彼らには明らかな食物をめぐる競合者がいません。

Time lines
時系列

細菌-クラゲ-三葉虫-恐竜-マンモスといった時系列が教室の壁によく掲げられています。これらの時系列は、異なる形態の生物へと進化したという印象を与えるかもしれません。明らかに、これらの時系列は、地質年代に繁栄した生物を表示することを意図していますが、誤解を招きくかもしれません。コンセプト的には、移行形態も書き込まれていて、置換ではなく進化であることを示すものが、より適切な時系列でしょう。

The tentative nature of science
科学の暫定性

科学者たちは自分たちの結果が暫定的なものであることをわかっています。暫定的なのは、科学者の考えが証拠に支持されていないからではなく、科学が新たな情報が得られれば、修正あるいは棄却されていくものだからです。暫定的であるのは、正直かつ開放的な研究態度の表れであって、論の弱さの表れではありません。

Misunderstanding of the time involved in the Cambrian explosion
カンブリア爆発の時間に関する誤解

カンブリア「爆発」は誤解を招く不運な名称です。というのはカンブリア爆発は、完全に形成された生物が事実上瞬間的に湧き出してきた例ではないからです。カンブリア紀初期の化石には、硬い部品を持ち、よく保存された多くの動物が記録されています。これは何百万年もかけて進化した動物相の初期のよい記録です。これはとてもゆっくりした爆発です。

Names like silverfish, starfish, jellyfish, crayfish
セイヨウシミ(西洋紙魚)やヒトデやクラゲやザリガニといった名前

地球上の生物の初期の発見者たちは語彙を使い果たしたようです。戸棚の中に生息しているセイヨウシミ(西洋紙魚)以外は、水の中に生息するものは何でも魚(フィッシュ)です。幾つかの用語は使いまわされていて、生徒たちや他の人々の心を混乱に導きます。この問題に対する答えは2つ考えられます。ひとつは"jelly"とか"sea star"とか"crawdad"と呼ぶことです。もうひとつは科学用語を使うことで、刺胞動物や棘皮動物や甲殻類と呼ぶことです。これは問題であり、あなた次第です。

Apes without humans
ヒトを含まない類人猿

ヒトとチンパンジーは600万年前に共通祖先を共有しています。これはヒトとチンパンジーの祖先がゴリラと枝分かれした後であり、さらにそれはヒトとチンパンジーとゴリラの祖先がオランウータンと枝分かれした後です。なので、ヒトを除外してチンパンジーとゴリラとオランウータンだけで「類人猿」とするのは、作為的なグルーピングです。


Kumicitのコメント

セイヨウシミ(西洋紙魚)やヒトデやクラゲやザリガニといった名前は英語特有の問題。すべて silverfish, starfish, jellyfish, crayfishと"fish"がついているが、魚類ではない。

なお、カンブリア爆発はまさにインテリジェントデザイン運動の宣伝に対する対抗。これは創造論者の主張> CC301 カンブリア爆発は進化論的ツリーパターンと相反する にもあるネタ。

これはバークレーの How to Avoid Potential Pitfalls の訳です。



最終更新:2009年09月27日 16:46