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還元不可能な複雑さで、Beheは何を検証するのか


進化論サイドに立つ哲学者Elliott SoberはDr. Michael Beheのいう還元不可能な複雑さ(Irreducible Complexity)がインテリジェントデザインを検証するものではないと指摘する:

Defenders of ID often claim to test their position by another route, by criticizing the theory of evolution. Behe (1996) contends that evolutionary processes cannot produce “irreducibly complex” adaptations; since we observe such traits, evolutionary theory is refuted, leaving ID as the only position standing. Behe (1996) says that a system is irreducibly complex when it is “composed of several well-matched, interacting parts that contribute to the basic function, wherein the removal of any one of the parts causes the system to effectively cease functioning” (p 39). Before considering whether evolutionary theory really does rule out irreducible complexity, I want to note that this argument does nothing to test ID. For ID to be testable, it must make predictions. The fact that a different theory makes a prediction says nothing about whether ID is testable. Behe has merely changed the subject.

インテリジェントデザイン支持者は、インテリジェントデザインのポジションを、進化論を批判することで検証できると主張する。Behe[1906]は還元不可能に複雑な適応を進化過程ではつくれないと主張する。そのようなものが観察されれば、進化論は論破され、インテリジェントデザインだけが残ると。Behe[1996]は、適切に組み合わされ、相互作用して、ひとつの基本機能を実現する複数の部品によって構成され、そのひとつの部品を取り除いても機能を失うとき、システムが還元不可能に複雑だと呼んだ。進化論がほんとうに還元不可能な複雑さを除外するかどうか考える前に、この論がまったくインテリジェントデザインを検証しないことを言っておきたい。インテリジェントデザインを検証するためには、予測をたてないといけない。異なる理論が予測をつくるという事実は、インテリジェントデザインが検証可能かどうかについて何も言わない。Beheはただ話題を変えただけだ。


還元不可能な複雑さというコンセプトは、進化論を検証しようとするものであって、インテリジェントデザインをまったく検証していないとSoberは指摘する。Negative Argumentとして実装されたインテリジェントデザインそれ自体は検証不可能だとBeheは言っているに等しい。

さらに、Beheが検証しようとしている"進化論"は、現実に存在している進化生物学ではないと、Soberは指摘する:

One flaw in Behe’s argument is his assumption that evolutionary processes must always involve a lockstep increase in fitness. This ignores the fact that contemporary evolutionary theory describes evolution as a probabilistic process. Drift can lead to evolutionary changes that involve no increase in fitness and even to changes that lead fitness to decline. Evolution does not require that each later stage be fitter than its predecessors. At least since the 1930s, biologists have understood that evolution can cross valleys in a fitness landscape.

Beheの議論の欠点のひとつは、進化過程がフィットネスを常に増加させなければならないというBeheの仮定にある。これは現代進化理論が、進化を確率過程として記述しているという事実を無視している。浮動はフィットネスを増加させない、あるいは減少させるような進化的変化も可能とする。進化は先行者よりも次世代の方が適応度が大きくなければならないということを要求しない。少なくとも1930年代には、生物学者たちは、進化がフィットネスの谷を横断できると理解していた。

Beheが検証しようとしているのは、1930年代以前の、必ず適応度が上がっていくという"進化論"ということになる。

The most that can be claimed about irreducibly complex adaptations (though this would have to be scrutinized carefully) is that evolutionary theory says that they have low probability. However, that does not justify rejecting evolutionary theory or accepting ID. As noted earlier, many probabilistic theories have the property of saying that a body of observations has low probability. If we reject theories because they say that observations have low probability, all probabilistic theories will be banished from science once they are repeatedly tested.

これは慎重に精査されなければならないだろうが、還元不可能に複雑な適応から主張可能なことは、高々「進化論はそれらの確率が小さいと言う」ということ。しかし、これは進化論を破棄して、インテリジェントデザインを採用することを正当化しない。先述のように、確率論的理論は、「観測可能性が低いと言う」という性質がある。もし、「観測確率が低いと言う」ことを以って理論を破棄するなら、繰り返し検証すれば、すべての確率論的理論は破棄されることになる。

Beheの還元不可能な複雑さの論は、進化確率の小ささを主張するだけであって、それだけでは進化論を破棄することにはならないとSoberは指摘する。たとえ、破棄されたとしても、インテリジェントデザインが正しいことはまったく証明されない。