Claim CA215:
The theory of evolution is useless, without practical application.
進化論は、実用的な応用のない、役に立たない理論である。


Response:
1. 進化理論は生物学全体を統合しようとするフレームワークである。生物の類似性と違いや、化石や、生態生物地理学や。薬物抵抗や、クジャクの尾のような極端な特徴や、悪性の寄生や、そのほか多くを説明する。進化理論がなければ、生物学の多くを知ることはできても、理解はできない。

この説明フレームワークは実用的にも役立つ。まず、多くの孤立したトリビアよりも、互いに事実がむすび合わせれているので、統合理論は学びやすい。そして、そのような理論があれば、理論の隙間をみることができて、新たな研究分野を示すことができる。

2. 幾つかの分野で、進化理論は実用に使われている[Futuyma 1995; Bull and Wichman 2001]。たとえば:
  • 主として遺伝子シーケンスの比較により成り立つ、数十億ドル産業であるバイオインフォマティクス
  • 変化を伴う系統は、最も基本的な仮定である。
  • 病気や伝染病は、我々がそれらに対して使う薬物や殺虫剤への抵抗性を進化させる。進化理論は薬学及び農業における薬剤抵抗管理の分野で使われる[Bull and Wichman 2001]。
  • 養殖の効率向上管理に進化理論は使われる[Conover and Munch 2002]。
  • 人為選択は有史以前から使われている、しかし、定量的性質の遺伝子座マッピングにより、さらに有効なものになった。
  • 人間集団における寄生虫病原性の進化の知識は公衆衛生政策を導くのに役立つ[Galvani 2003]。
  • 進化論に基づく性配分理論は、絶滅危惧されたカカポが雌の子孫を多く生む条件を予測し、それにより絶滅の危機から脱した[Sutherland 2002]

進化論は、遺伝子操作穀物の脅威の評価から人間の心理まで、多くの分野に応用され、あるいは応用の可能性がある。

3. 進化論の原則たる共通祖先を使う系統解析は、その有用性が証明されている:
  • 既知の機能の遺伝子を追跡し、それら未知の遺伝子とどう関係しているか比較することで、未知の遺伝子の機能の予測をするのに役立つ。これは創薬の基礎となっている[Branca 2002; Eisen and Wu 2002; Searls 2003]。
  • 系統解析は疫学の基本である。これにより病原体保有動物の特定が可能となり、ときには感染経路のステップ・バイ・ステップの追跡も可能となる。たとえば、系統解析により、フロリダの歯科医が患者にHIVを感染させたことや、HIV-1とHIV-2がチンパンジーやマンガベイサルから人間に20世紀に感染したことや、ポリオがアメリカから根絶され、未知の病原体保有動物からの艦船がないことが確認された[Bull and Wichman 2001]。意図的にHIVを感染させた男の有罪を立証するのに使われた[Vogel 1998]。同じ原理が、生物兵器のソースの追跡にも使える[Cummings and Relman 2002]。
  • 系統解析による病原体の多様性の追跡は、特定領域での適切なワクチンの選択の選択に使える[Gaschen et al. 2002]。
  • リボタイピングは、生命の系統樹にリボソームRNAをマッピングすることで、生物の特定あるいは少なくとも最近接の既知の生物を特定する技術である。これにより、増殖が困難な生物や他の方法で認識できない生物にも適用できる。リボタイピングや他のジェノタイピングは、人間の病気の道の病原体を見つけるのに使われいた[Bull and Wichman 2001; Relman 1999]。
  • 系統解析はタンパク質の折り畳みの特定にも役に立つ。共通祖先から分岐したタンパク質は、その折り畳みを保存する傾向にある[Benner 2001]。

4. 進化分子工学により、分子そのものや、製品の作成や強化への分子経路の"増殖"が可能になる。
  • 酵素[Arnold 2001]
  • 生物色素[Arnold 2001]
  • 抗生物質
  • 香料
  • 生体高分子
  • 有害物質を分解する菌株
進化分子工学は天然酵素の折り畳みと機能の研究にも使える[Taylor et al. 2001]。

5. 自然選択・変異・組み換えという進化の原理は、航空工学や建築や宇宙物理やデータマイニングや創薬や薬物デザインや、電気工学や、金融や、地球物理や、材料工学や、軍事戦略や、パターン認識や、ロボット工学や、スケジューリングや、システム工学などの応用のある遺伝的アリゴリズムの基礎である。

6. 進化科学のために発展したツールには他の用途もある:
  • 分散分析と線形回帰など、多くの統計技術は進化生物学者たち、特にによってRonald FisherとKarl Pearsonによって、発展した。これらの統計技術は幅広く応用されている。
  • 生物学者によって発展した系統解析と同じ技術が、原稿の複数コピーの履歴の追跡[Barbrook et al. 1998; Howe et al. 2001]や、言語の歴史の追跡@Dunn et al. 2005]に使える

7. 良い科学は好奇心を満足させる以上の応用は必要ない。天文学や地質学や古生物学や自然史などの科学の多くは、実用がない。多くの人々にとって、知識はそれ自体に価値がある。

8. 現時点で応用がほとんどない、あるいはまったくない科学も、将来には応用があるかもしれない。特に分野が成熟し、知識が完璧なものになったときは。もともと適用可能ではないと思われてアイデアの上に、応用が築かれることが多くある。さらに、科学のひとつの分野の進歩が、他の分野の進展に寄与することがある。進化論は生物学にフレームワークを提供した。これは他の有益な生物学的発展をサポートできるかもしれない。

9. 反進化論お考えは1000年の長きにわたり存在しているが、実用になったことはない。

References:
  1. Arnold, Frances H. 2001. Combinatorial and computational challenges for biocatalyst design. Nature 409: 253-257.
  2. Barbrook, Adrian C., Christopher J. Howe, Norman Blake, and Peter Robinson, 1998. The phylogeny of The Canterbury Tales. Nature 394: 839.
  3. Benner, Steven A. 2001. Natural progression. Nature 409: 459.
  4. Branca, Malorye. 2002. Sorting the microbes from the trees. Bio-IT Bulletin, Apr. 07.
  5. Bull, J. J. and H. A. Wichman. 2001. Applied evolution. Annual Review of Ecology and Systematics 32: 183-217.
  6. Cherry, J. R., and A. L. Fidantsef. 2003. Directed evolution of industrial enzymes: an update. Current Opinion in Biotechnology 14: 438-443.
  7. Conover, D. O. and S. B. Munch. 2002. Sustaining fisheries yields over evolutionary time scales. Science 297: 94-96. See also pp. 31-32.
  8. Cummings, C. A. and D. A. Relman. 2002. Microbial forensics-- "cross-examining pathogens". Science 296: 1976-1979.
  9. Dunn, M., A. Terrill, G. Reesink, R. A. Foley and S. C. Levinson. 2005. Structural phylogenetics and the reconstruction of ancient language history. Science 309: 2072-2075. See also: Gray, Russell. 2005. Pushing the time barrier in the quest for language roots. Science 309: 2007-2008.
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  11. Futuyma, D. J. 1995. The uses of evolutionary biology. Science 267: 41-42.
  12. Galvani, Alison P. 2003. Epidemiology meets evolutionary ecology. Trends in Ecology and Evolution 18(3): 132-139.
  13. Gaschen, B. et al.. 2002. Diversity considerations in HIV-1 vaccine selection. Science 296: 2354-2360.
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  15. Marczyk, Adam. 2004. Genetic algorithms and evolutionary computation.
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  20. Taylor, Sean V., Peter Kast, and Donald Hilvert. 2001. Investigating and engineering enzymes by genetic selection. Angewandte Chemie International Edition 40: 3310-3335.
  21. Vogel, Gretchen. 1998. HIV strain analysis debuts in murder trial. Science 282: 851-852.







最終更新:2013年02月09日 01:55