Claim CB601.2.2:
In rural East Anglia, where there were lichen-covered trees, and typical light moths seemed better camouflaged than melanics, the latter reached a frequency of 80%. In rural areas of northern Wales the proportion of melanic moths was higher than expected, and in southern Wales, where melanics were better camouflaged, they comprised only 20% of the population. This is inconsistent with Ford and Kettlewell's explanation for the spread of the dark moths in terms of selective visual predation.

East Anglia田園地帯では、苔に覆われた樹木があり、典型的な明色の蛾が暗色の蛾よりもカモフラージュになると思われるが、後者の頻度が80%に到達している。Wales北部の田園地たちでは、暗色の蛾の比率は予期されるよりも大きく、Wales南部では暗色の方がカモフラージュになるが、その比率は20%でしかない。選択視覚捕食に対する暗色の蛾の広がりに関するFordやKettlewellの実験と、これは矛盾する。

Source:
Wells, Jonathan, 1999. Second thoughts about peppered moths. or OtherURL
Wells, Jonathan, 2000. Icons of Evolution, Regnery Publishing Inc., Washington DC, pp.144-149.

Response:
1. East Anglia及びWales北部の暗色と明色の蛾の比率は、視覚選択捕食と、視覚以外の選択と、遺伝子流動の組み合わせて整合している。この説明は、FordやKettlewellの詳細の幾つかを具体化したものであり、それと完全に整合している。

実際、視覚選択捕食と視覚以外の選択はともに、暗色のオオシモフリエダシャクの広まりについての、FordとKettlewellの元々の説明の一部を構成する。Ford[1937, 487]は、蛾や蝶の多くの種で暗色形態の方が非暗色よりも頑強であることを知っていた。Creed et al.[1980]は、これがオオシモフリエダシャクの場合に正しいこと示す強い証拠を見出した。したがって、暗色のオオシモフリエダシャクを選好する視覚以外の選択は、観察されたデータを説明するために作られたJust-so story(お話作り)ではない。実際、これを支持する強い実験的証拠がある。

暗色の蛾の広まりについてのFordとKettlewellの説明では、遺伝子流動の効果について特に取り上げられていないが、彼らの説明から、彼らがその影響を熟知していたことは明らかである。

East Angliaやウェールズ中部など英国の汚染されていない領域と、イングランド中部及び北西部の高度に汚染された工業地帯の間の、広大な領域では、非汚染地帯からの明色の蛾と、汚染地帯からの暗色の蛾が、明確に混在している。そのような領域では、同一種の2つ以上の異なる形態の比率が場所により異なっており、それは連続変異現象(cline)と呼ばれる。そのようなクラインに沿って、汚染されたイングランドの工業地帯から汚染の小さい田舎へと移動すると、暗色の蛾の比率が明かに減少し、クラインの両端で仮定された値の中間の値となる。

これらのクラインに、明色と暗色の蛾が等しくカモフラージュになる場所と、明色と暗色の蛾の比率が等しくなる場所が正確に一致すると期待する理由はまったくない。したがって、カモフラージュの悪い方が良い方より数が多い場所がクラインのなかに存在していると予期できる。視覚以外の選択が暗色の蛾を選好することを示す良い証拠があるので、明色の蛾よりもカモフラージュのよくない場所で、暗色の蛾の数が多くなっていることがあると予期するのが自然である。これがまさにウェールズ北部とEast Angliaで観察されたことである。

クラインの中の任意の場所における明色の蛾と暗色の蛾の数の比率は、その場所での一方の蛾が選好される強さと、その場所と隣接する場所の明色の蛾と暗色の蛾の数の比率と、移動率に依存する。実験で得られた移動率と視覚選択捕食の強さと、視覚以外の選択の強さについての多くの仮定を使って、Mani[1982, 1990]は、イングランドとウェールズの3つの色のオオシモフリエダシャクの比率を予測する数理モデルを作った。フィールドデータを使って視覚以外の選択の強さ(各色の蛾ごとの仮定する定数)を推定したところ、イングランドとウェールズの多様なクラインで、モデルの予測と観察された蛾の数の比率が一致した。

Maniが推定した、暗色のオオシモフリエダシャクを選好する視覚以外の選択の推定値は、Creed et al.[op. cit.]よりも有意に小さいものだった。しかし、Creed et al.が調査から得られた結果は、実験室で培養された標本についてであり、野生の蛾に対する視覚以外の選択が、実験室傳培養された蛾と本質的に違っていたと考えるに足る理由がある。

したがって、ウェールズとEast Angliaにおけるオオシモフリエダシャクの色の違いによる相対頻度に影響している全要因に適切なウェイトを与えれば、KettlewellとFordの説明にしたがって予測は、観測データと見事に一致することがわかっている。

2. Wells [2000, 146]の主張である「melanics in south Wales seemed better camouflaged than typicals, yet they comprised only about 20% of the population (ウェールズ南部の暗色の蛾は典型的な蛾よりも良いカモフラージュになっているのに、その比率は20%程度でしかない)」は、誤っている。Wellsはこの主張を支持するとして、1999年のエッセイで引用した文献の一つにあった文を誤読している。参照された文献で、Steward[1977a, 232]は次のように書いている:

... experiments in 1973 and 1974 at Tongwynlais in south Wales (Steward 1977b) showed that carbonaria was at an advantage to typical in this locality, and yet was only present at a low frequency (c.20%).

ウェールズ南部のTongwynlaisでの1973年と1974年の実験[Steward 1977b]は、この地域の典型的な蛾(typica)よりも暗色の蛾(carbonaria)が生存により有利だが、その比率は低い(20%)。

Wellsは文中の「this locality(この地域)」をウェールズ南部を指していると思っているようだが、これは明らかに、より限定されたTongwynlaisのことを指している。しかし、Stewardの文献の2ページ後の表からは、Tongwylnaisについて彼が報告した条件が、ウェールズ南部全体に一般化できないことは明らかである。

Wellsの議論のさらに破壊的な点は、(彼は言及していないが)Tongwynlais周辺では、中間的で、それほど暗色ではないオオシモフリエダシャクであるinsulariaがcarbonariaよりも良いカモフラージュになっていて、数が最も多いという事実である。実際、このinsulariaは44%を占めていて、carbonariaとinsulariaを合わせると62%となっている。carbonariaとtypicaに対するinsulariaの選択的優位を考えれば、carbonariaの20%という比率は何ら驚くことではない。typicaの比率hがcarbonariaの2倍であることは、一見驚くことである。しかし、typicaの比較的高い頻度は、周辺の田園地帯からの流入の結果として容易に説明がつく。実際、最善のManiの数理モデル[Mani 1982]では、そのような流入を考慮しており、ウェールズ南部のオオシモフリエダシャクの3つの変種の比率を正しく予測している。したがって、Wellsによる、これらの比率がオオシモフリエダシャクの変種の分布についての古典的説明と矛盾しているという仄めかしは、精査に耐えない。

References:
  1. Creed, E. R., D. R. Lees and M. G. Bulmer, 1980. Pre-adult viability differences of melanic Biston betularia (L.) (Lepidoptera), Biol. J. Linn. Soc. 13: 251-262.
  2. Ford, E. B., 1937. Problems of heredity in the Lepidoptera, Biol. Rev. 12: 461-503.
  3. Mani, G. S., 1982. A theoretical analysis of the morph frequency variation in the peppered moth over England and Wales, Biol. J. Linn. Soc. 17: 259-267.
  4. Mani, G. S., 1990. Theoretical models of melanism in Biston betularia -- a review. Biol. J. Linn. Soc. 39: 355-371.
  5. Steward, R. C., 1977a. Industrial and non-industrial melanism in the peppered moth, Biston betularia (L.). Ecological Entomology 2: 231-243.
  6. Steward, R. C., 1977b. Melanism and selective predation in three species of moths. J. Anim. Ecol., 46, 483-496

Further Readings:
  1. Grant, Bruce S., 1999. Fine tuning the peppered moth paradigm. Evolution 53(3): 980-984.







最終更新:2013年05月02日 07:41