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Slezafの悲劇

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lupinduke

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Slezafの悲劇
The Tragic Tale of Slezaf
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DRGEpicクエストの途中で手に入ります。
http://eq2.wikia.com/wiki/Dirge_Epic_Weapon_Timeline

 Slezafの悲劇と
マエストロの交響曲
著:不渇のクィルのAshe Boderra

…… 昔々、ドリニアルとラクリンが、我々の夜空を彩っていた時代。まだ世に名前を知られておらず、しかもいささか忍耐に欠けるバードがいた。この男は、「マエストロ」という人物が書き下ろしたという、唯一その事実でのみ知られる交響曲を探し、あてのない旅を続けていた。バードは名をSlezafといった。これはそのSlezafの物語だ。
 音楽史には通暁していたSlezafだが、いかに記憶の糸を手繰っても 作曲者の名は思い出せなかった。だがこの作曲家が 音楽の道を極めた人物であることは 想像に難くなかった。なぜならそれは、並ぶものなき卓越した楽曲だったからである。

 偉大な芸術作品とは、人の心の奥底に眠る 何らかの感情を呼び覚ますもの。芸術とはすべからく それを目的にしていると言っても過言ではないだろう。もちろん、マエストロの交響曲もそんな力を持っていた。だが事はそれだけでは終わらない。なんとこの楽曲は、聞き手がこれまで抱いたこともない、そんな感情まで呼び覚ますことができたんだ。しかも、当事者たちの理解を超えるやり方でね。

 さて、楽曲探しのこの旅における 唯一ともいえる障害は、楽譜に数ページぶんの落丁があることだった。すべての楽譜がそろわなければ この曲の力は完全なものにはなりえない。それを見抜いていたSlezafは 遺失ページを探すことにしたが、熟練の冒険者でもあった彼は、長く険しい旅の末 楽譜をそろえることができた。そのいきさつも語れば長いが、ここでは割愛させてもらう。この話の肝は経過ではなく、交響曲が完成したあとの顛末だからね。

 Slezafはこの曲を 人々の前で演奏する運びとなった。聴衆は、優れた指導者や芸術家、冒険者など各界の著名人たちである。読者にも想像していただけると思うが、この曲の力に関する噂は 瞬く間に全土に広がっていた。誰しもが、この曲の最初の聞き手とならんと先を争ったと言う。事件を生き延びた人物は、後にこの時の経験についてこう記した。「それはまるで深い霧の中で起きたことのように思える。唯一思い出せるものといえば、爪でかきむしったかのような感情の断片だけである。しかもそれらは 追えば逃げていくようなものだった」と。

 生き延びた人物。そう表現していいだろう。いざSlezafが交響曲を奏でると、聴衆はまるで野生に返ったかのような状態に陥った。ある者は絶望の奈落に沈み、またある者は 髪の毛をかきむしりながら泣き叫んだという。さらにある者は、コントロールが不可能なほど激しい怒りに突き動かされ、周りの者を、手当たりしだいに、素手で引きちぎった。  いや……Slezaf自身も この結果には肝をつぶしたそうだ。聴衆がそんなことになるなんて、Slezafは考えてもいなかった。一説によると、彼は後に罪の意識から、あるいは曲の魔力ゆえか、クナークの大岩に身を投げたそうだ。また、精神崩壊した聴衆に八つ裂きにされたという説もある。いずれにしても、ひとつだけ確かなことがある。それはSlezafが死んだこと。そして問題の交響曲も、Slezafの死と共に消失してしまった。


魔曲をめぐる一人のバードの物語でした。
 

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