お野菜スウィーツ専門店ポタジエの焼き菓子

2009年6月21日 (日)


昨日買った生ケーキはもう1個も残っておりません。

学校で習うフランス菓子と比べると、甘さは半分くらいでしょうか。

私はビーツとレモンのタルトが一番好きでした。

写真は焼き菓子。
パウンドケーキのカットは、味噌バターコーン、ゴボウとココア、カボチャと小豆、人参とオレンジ、紫芋とさつま芋。どれも2つの味のマーブルです。

さつまいもガレット、トマトガレット。
人参&マンゴーのマドレーヌ、かぼちゃバー。

この手の焼き菓子は、私も得意分野なので、つい自分が作ったら…と比較してしまいますが、自分で作った物より確実に美味しいお菓子だわと思える物はなかったように思います。

でも、すべてのお菓子に必ず何らかのお野菜が入っていますから、贈り物には珍しくて良いですね。
ギフト用のラッピングもしてくれるようです。

オーナーパティシエの柿沢さんは、日本の食育や農業への関心も知識も高く、とてもお綺麗な方で、講演を聞いて、直接お話しする時間もあり、すっかりファンになりました。
私のお野菜スウィーツについての見方も変わりました。

野菜パウダーについての認識が特に変わりました。
風味も栄養も落ちてしまうのでは?と思っていましたが、
最近は技術が進歩して、粉砕するときに熱が出るので冷やしながらできるだけ栄養素が飛ばない工夫をされているそうです。
焼き菓子には生の野菜よりもたくさん量が入れることができるとのこと。

そしてなにより、パウダーをつくるために使う野菜は
廃棄野菜を利用したりしている、ということ。

野菜の旬は短いですから、まだ食べられるのに、出荷できずに捨てられている野菜がたくさんあります。
そんな野菜を見た目を気にしないスイーツにしたり、
日持ちがするようにパウダーにしたり。

柿沢さんには以前から興味があって、色々な媒体でインタビューなどを読んだことがありましたが、ご本人の口から聞くと全然違う印象になるから不思議です。
それだけ柿沢さんという人の魅力が大きかったのでしょう。

フランスのリッツエスコフィエで料理の勉強をし、最初はフランス料理から入ったものの、肉がもともと好きではなく、一生の仕事にするには向いていないのではないか、
と思い始めたころ、マクロビオティックに出会ったそうです。
でも当時マクロビはあまり世間に知られていない存在で
理解を得るのは難しく、一緒に続けていた友達もどんどんやめてしまったそうです。

2年半ほどマクロビの生活をしたあと、もうすこし無理をしない形でフランス料理で学んだ食を楽しむ、ことを長く続けないだろうか、と思って良質な卵や乳製品、バターなどは摂取することにしたそうです。

おいしいだけでなく、食べた人が健康になれる料理やスイーツを提供するお店を志すようになり、
そして栃木県宇都宮で野菜が主役のレストラン『オーガニックベジカフェ・イヌイ』を開店。その時初めて畑に足を踏み入れたそうです。

そのお店でデザートメニューとして出していた野菜スイーツが評判となり、野菜スイーツ専門店「パティスリー ポタジエ」を東京に開店。

レストランを開いたことで、都会暮らしの柿沢さんは、食べ物が発注すれば当たり前に届く、むしろ届かなければ怒られる、野菜をモノとしてしかみていない世界にいたことに初めて気づき、野菜も命であり、それをいただいて暮らしているんだ、ということを畑に行き体感したそうです。

農業人口は昭和35年に1454万人だったものが
平成20年には300万人に激減し、さらにそのうち180万人は65歳以上で、後継者問題は深刻です。
私も、農家を応援したい、とは思っても実際農家に嫁げるか、と言われたら話は別かもしれません。

柿沢さんの講演があったイベントでは、野菜の食べ比べもしました。にんじんとズッキーニをそれぞれ、慣行栽培(規定内の農薬を使って育てたもの)と無農薬・無化学肥料を食べ比べしました。

オーガニックについての講演会や研修には何度か出席したことがありますが、こうして慣行栽培のお野菜との比較をするところは少ないので、この姿勢はとても気に入りました。
どんな食べ物も、1種類だけを与えられても、よくわからないこともあるのです。
悪い物や自分が気に入っている物、美味しいと感じている物と食べ比べてどう違うのか、と実感することが大切です。
その食べ比べで、本当に美味しいと感じるかどうかが選択基準になります。

そんなことをしてくれるな、と言う人は、自分の作った物に自信がないか器が小さい人なのだと思います。

私は、自宅で料理するお野菜は、ほとんど有機栽培のものを使い毎日食べているので、味の違いはわかっているつもりでしたが、こうして生でかじり食べ比べしてみるとより深く理解できました。
あの淡白な味のズッキーニでさえ、味の濃さが全然違うことに改めて驚きました。

でも戦後、農薬や化学肥料が普及したことで収穫量が激増し、
食べられなかった時代から食べ物に困らない時代になった、というのも事実で、農協が悪者にされることも多いですが
その時代では必要だったこともあり、過去を責めるのではなく
これからは農薬や化学肥料を減らしていこう、と皆が思う姿勢が大切なのだと思います。

柿沢さんは講演で、今はいろんなものが選べる時代だから、
食べ物は未来の自分への投資だと思って良い物を選び、自分で作って食べることが大切だ、とおっしゃっていました。

長く健康で過ごせること以上の幸せはありません。お薬のように即効性はないけれど、今自分が選択し、食べた物が確実に自分の身体となります。
心身が健康で豊かな生活を送るために、是非良質の物を口にする大切さを考えて実行していきたいと思っています。
特に子育てをしているママさんたちには、お子さんのために無農薬のお野菜でお料理やお菓子作りをしてあげてほしいです。

やはり人の魅力って大きいですね。野菜スウィーツを毛嫌いしていた私をお店に足を運ばせ、東京の夏の蒸し暑い日に数十人の行列に並ばせるのですから。

柿沢安耶さんは、自分の想いを人の心に響く言葉にして伝えることができる、素敵な女性です。
皆さんも機会があれば是非柿沢さんのお野菜スウィーツを召し上がってみてください。



おいしいもの



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最終更新:2009年12月05日 00:19