合成写真の例

盗作とは別の問題ですが、宮城氏の写真に対する考え方やモラルの欠如ぶりを表す格好の例として、彼の手による合成写真の作例をここにまとめます。

注:
別撮りの天体と地上風景を合成して一枚の作品とする行為自体は、特に広告写真や商業用途などでは面白い絵作りのための「演出」の一環としてよく行われます。合成であることをキャプション等で明記していれば特に問題はありません。

守礼門と中秋の名月


撮影データ
タイトル: 「世界遺産沖縄守礼之門に昇る仲秋の名月」
撮影者: Riyuji Shimoji 下地隆史 
撮影日時: 2007年9月25日 19時45分00秒、露出 1秒
撮影機材等: タカハシ SKY90、フラットレデューサ(合成fl=407mm 合成F4.5)、富士フイルムFinePix S5Pro、ハーフNDフィルター使用
   FUJIFILM Hyper-Utility HS-V3 Photoshop CS3 RAW画像
その他: 露出差がありますので調整して濃いハーフNDフィルター使用 

疑問点

  • 彼自身はハーフ ND フィルターを使用して一発撮りで守礼門と月を撮ったと報告している。
  • しかし一発撮りでは決してこのような構図にはならない。2007年9月25日19時45分の沖縄県首里城での月の高度は29度である。この写真では地平線は月5個分ほど下にあると推定されるが、月の視直径は0.5度(30分角)なので、もし一発撮りなら月の高度は2~3度しかないことになり、実際の地平高度と矛盾する。
  • 同様に、守礼門の横幅は月6個分ほど(約3度)に写っているが、実際の守礼門の幅は約 10m である。10m の物体を3度の見込み角で写すためには、物体までの距離 d は d = 5(m)/ tan 1.5°= 190.9(m) となる。つまり守礼門から約 190m 後退しなければ、月と門とをこのサイズで同時に撮ることはできない。守礼門付近の地図を見れば、門から西方向に 190m 後退した付近でこのような写真が撮るのは無理であることが明らか。
  • 仮に月と門をこのサイズで同時に撮れたとしても、焦点距離 400mm のレンズで屋根のパースがこんなに広がることはありえない。
  • 「ハーフ ND フィルター使用」としているが、この位相の月を F4.5 のレンズでこのように撮るには最低でも 1/1000 ~ 1/2000 秒以上の高速シャッタースピードが必要。しかし撮影データでは「露出1秒」となっており、10~11段分(露出倍数100~200倍)もの輝度差がある。露出倍数100倍や200倍のハーフ ND フィルターは存在しない。仮に100倍のハーフ ND を使ったとすれば右の木の先端は真っ黒に落ちていなければならず、矛盾する。
  • しかも、この画像の背景(夜空)の階調をレベル調整で明るくしてみると、月の左側に不自然な跡が残っていることが分かる。元々ここに写っていた何か(おそらく本物の月)をスタンプツールなどで塗りつぶした可能性が高い。
  • さらに、レベル調整した画像を見ると守礼門上層の屋根の右側に虹色のゴーストが出ていることが分かる。このゴーストから画面中心を挟んだ点対称の位置を見ると、例の不自然な跡にたどり着く。つまり、「不自然な跡」の位置に元々明るい被写体(おそらく本物の月)があり、そのゴーストが点対称の位置に出たものと考えられる。

疑問点2


全く同じ構図で月の位置が異なるバージョンが朝日新聞に掲載されていた。

掲載元:2007年10月29日付 朝日新聞西部本社版 読者の新聞写真


ちょうどアストロアーツ掲載の画像にある「不自然な消し跡」の位置に月がある。ただ、パースと比較してこれでも月の大きさが実際より大きいため、やはりこの月も別撮りの月を貼り付けた可能性がある。

2008年8月17日部分月食


撮影データ
アダンの木の葉が揺れる海岸で、西南西の空に浮かぶ4分の3ほど欠けた部分月食
=17日午前5時40分、沖縄県・竹富島
(ISO400、レンズ300ミリF4で1秒、那覇市の宮城隆史さん撮影)

疑問点

  • 地上風景と月の大きさ、パースが不自然。月が大きすぎる。
  • 大気の向こう側にあるはずの月食の影の部分が周囲の空よりも暗いというのは極めて不自然。
  • 2008年8月17日05時40分の沖縄県竹富島での月の高度は8.3度。35mm判カメラで300mmのレンズを使った場合、写野角は 4.5×6.8 度くらいなので月と地平線は同一写野に入らない。APS-C サイズのデジタルカメラの場合には約450mm相当の写野になるため、なおさら入らない。
  • 仮に時刻データが間違っていたとすると、月がこの構図になるまで沈むのは06時00分ごろ。しかし日の出が06時19分なので薄明で明るすぎてこのような写真は撮れないはず。
  • また、この画像の等光度曲線を描いてみると、月の周囲で同心円状になっている等光度線の中心が月の位置と合っていない。本来なら月の欠けていない部分が最も明るいので、ここを中心とした同心円になっていなければおかしい。
  • これらの事実からみて、別撮りの月を広角の風景画像に貼り付けた可能性が高い。

2008年8月1日シルクロード皆既日食

掲載元:せんだい宇宙館 (http://uchukan.satsumasendai.jp/event/news/2009eclipse/pics/eclipics.html) 他多数
この写真は 2009年 JPS 展に出展された組写真「黒い太陽」の1枚でもある。(この作品は銅賞を受賞したものの、「22歳以下」として応募していた宮城氏の年齢詐称および写真が合成であるとの指摘があったため、受賞取り消しとなっている。)
皆既日食2009」(アストロアーツ)p.6,7 にも掲載されている。

撮影データ
この8月の中国シルクロード皆既日食の最新画像をお送りします。
ニコンD3, AF-S 24mm-120mm ED F3.5-5.6
18h06m00s~5分おきに,多重露出
中国ハミ地区
撮影:宮城隆史様(写真家/沖縄県那覇市)
Photographer Takafumi Miyagi 



疑問点1

風景に比べて太陽が大きい。位置もデタラメ。
  • 太陽の左上に写っている水星・金星を基準にして大きさ、位置関係を比べてみよう。この写真と同じ日食を同じ5分間隔の多重露出で写した別の作品↓では水星と金星の間に太陽が8~9個写っているのに、宮城氏の写真では6個しか写っていない。太陽の直径も不自然に大きく、位置も全く違う。
  • また比較画像↓を見れば分かるように、太陽を連続して写すと天球上を移動していくので軌跡が弧を描くのが普通。しかし宮城氏の連続写真はいつでも太陽の軌跡が直線になっている。これは極めて不自然。
  • このことから、別撮りの日食連続写真を風景に合成した可能性が高い。

比較画像:アストロアーツ画像ギャラリー(撮影者:豊田敏さん、撮影地:中国甘粛省金塔県)

疑問点2

そもそもこの観測場所は晴れなかったはず!
宮城氏が撮影したという三塘湖付近は「皆既の前後だけ曇られてしまった」悲劇の場所として有名。

比較画像:炎天下の皆既日食・観測編(撮影者:miyuさん)

この比較画像と重ねてみると、実際には曇られてしまった皆既付近の部分だけ雲を消していることが分かる。

このように、実際には雲によって見ることができなかったはずの皆既日食を別画像の貼り付けや雲の消去によって捏造した可能性が高い。

疑問点3

人物を水増ししている。画像を明るくしてみると、画面右のスーツケースの右側にいる二人やスーツケースの上方向にいる小さな人物の色が異常に白い。ここにいなかった人物を合成した可能性がある。


さらに、スーツケースのすぐ右にいる人物が使っている望遠レンズと三脚は、画面左端に立っているレンズ・三脚を鏡像反転して貼りこんだものである。

ここ三塘湖ではこれら合成された人物のちょうど向こうに山があり(疑問点2の画像参照)、この山の左裾に太陽が沈んでいったことが分かっている。このため、日没位置の食い違いを隠したいといった理由で、これらの人物を配置して右側の地平線を隠した可能性がある。



2005年10月3日スペイン金環日食


疑問点

これは検証をするまでもなく、見る側にとっても明らかに合成写真だが、作り方が稚拙。

写っている人物の視線は明らかに銅像を見ているもので、人物の影は右方向に伸びている、つまり光源である太陽は画面の左側(の写野外)になければおかしい。にもかかわらず、人物の視線のみを利用しようとして正面に太陽の連続画像を合成してしまっている。自称プロカメラマンとして絵作りのセンスを疑う。
最終更新:2019年09月15日 17:17
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