盗作検証画像その6

マックノート彗星

(このページには多数の画像が貼られているため、環境によっては一部の画像が表示されないことがあります。画像が飛んでいると思われるときはページの「再読み込み」を行ってください。)

2007年1月に地球に接近した大彗星・C/2006 P1 マックノート彗星の「宮城氏撮影」とされる画像が書籍や web に多数掲載されているが、現在の検証では12枚中10枚が海外からの盗作である(残り2枚のうち1枚も盗作の可能性が高い)ことが判明している。

以下、区別のために(自称)撮影時刻順に並べます。(カッコ内は識別用に付けたニックネームです)


A. 1月11日18時06分@渡嘉敷島(鳥)


盗用先3:星の広場

撮影データ
お正月もやっと終わり新春の宵のマックノート彗星の撮影に成功しました。透明度が、珍しく良かったので、
コントラストの高い、ポジのイメージに近い芸術性の高い作品に出来たと思います。500mmでも彗星が明るいが、
みかけの大きさ小さ過ぎるので、見栄えする大きさに原版より、トリミング編集しています。 125分の1秒露出の
18コマを、コンポジェットして、トリミングの荒れを、滑らかにしました。 大きい覇画像は高橋製TOAー130F 1000mm
  露出30分の1×16コマコンポジェット     

【データー】 2007.1.11 18h06m00s~  
高橋製 εー180 D=180mm f=500mm F2.8 高橋製ニ軸改造P2-Z赤道儀
キャノンEOS KISS X ISO 200
露出125分の1 ×18コマ 合成
フォトショップ CS2 沖縄県渡嘉敷島 気温 19度   
那覇市 下地隆史  RIUGI SHIMOJI  m1 -2.5 

盗用先4:「天界」2007年2月号 表紙

盗用先4:「天界」2007年2月号 カラー1




両者を重ねてみると完全一致する。雲や稜線を加筆・改竄していることが分かる。


B. 1月11日18時06分@渡嘉敷島(レインボー)


撮影データ
夕空に輝く金色の彗星(下)/下地隆史
2007年1月11日18時06分 高橋製 TOA130F
ペンタックス645NII フジクロームプロビア100F
露出1/15秒 沖縄県渡嘉敷島にて

元画像:spaceweather


両者を重ねてみると、彗星と雲の配置、空のグラデーションが一致する。ただし宮城氏の画像は元画像より大判のため、彗星の尾や雲など足りない部分は描き足したものと思われる。

矛盾点

  • カーブしているはずの彗星の尾が不自然にまっすぐ。描き足したせいか。
  • たなびく雲が水平方向を表すとすると、彗星の尾が立ちすぎている。元画像のノルウェー・Sortland(北緯68度)では彗星は没した太陽のほぼ真上にあったため、元画像のようにほぼ垂直の尾になるが、緯度の低い沖縄では彗星は太陽の右斜め上に位置していた。彗星の尾は太陽の反対方向に伸びるので、たなびく雲に対して右斜め45度程度の角度にならなければおかしい。


C. 1月11日18時12分@渡嘉敷島(靴下)

この画像は盗作であることが確定していませんが、地平線が不自然にぼやけている、レベル調整を行うと背景の空に靴下型の不自然な跡が見える、画像 A. の元画像と同じ作者によく似た画像が存在する、などの疑問点が挙がっており、検証が進められています。


撮影データ
タイトル:「21世紀の大彗星 -3.5等級」
撮影者: 下地 隆史
撮影日時: 2007年1月11日 18時12分00秒~、露出 60分の1秒×18枚
撮影地: 沖縄県渡嘉敷島
撮影機材等: タカハシ TOA 130F(D=13cm fl=1000mm)F7.7 f1=600mm相当、
             キヤノンEOS Kss Digital X(ISO 200)、タカハシ ニ軸改造P2-Z赤道儀
             フォトショップCS2にて、トリミング、コンポジット
その他: デジタルカメラ版TPフィルムの様な解像力の高い新発売のキャノン機種で撮影。しかし、水平線が
クッキリ見える素晴らしい透明度と、良いシンチレーションに恵まれないと致命的に、明暗を分ける画像になります。
コメント: 良い条件で撮影された18コマものコンポジェットで、NSとコントラストが高くなるのと、トリミングしても
滑らかさをうしなわず、ポジフィルムに近い色調に画像処理しました。この後16日~21 日オーストラリア南部方面に
移動予定。星ナビ、本誌、年鑑などに、載りました、近年の金環・皆既日食、水星・金星日面通過、など過去ログに
投稿しますので、しばらくしたら、そちらの方もご覧下さい。

疑問点1

レベル・コントラストを上げると左上の空に靴下のようなL字型の不自然な跡が出てくる。

疑問点2

画像 A. の元画像の撮影者である Alessandro Dimai 氏の画像に、B.と構図がよく似たものが存在する。画像を回転させることなく自然に重なる。

元画像(?):ASSOCIAZIONE ASTRONOMICA CORTINA - Comet McNaught (2006P1)(撮影者:Alessandro Dimai 氏、撮影地:Monte Lagazuoi(イタリア・ラガツォーイ山))


D. 1月11日18時18分@渡嘉敷島(1000mm)


盗用先1:星の広場
撮影データ
①下地隆史 (沖縄県那覇市)C/2006 P1 眼視・画像 添付   1/14 21:12

TOA130Fでもう少し薄明が、暗くなったショットの 画像処理です。
透明度が、素晴らしく、シンチレーションも良いので、超低空でも、新春の宵の空に金色に輝く姿を、とらえました。
 
【データー】 2007.1.11 18h18m00s~ 
高橋製 TOA 130 D=130mm f=1000mm F7.7
キャノンEOS kiss X ISO 400 1600mm相当
露出3秒×18コマコンポジェット合成 トリミング 
フォトショップCS2 高橋製 ニ軸改造P2-Z赤道儀
-3等級  
沖縄県渡嘉敷島  下地隆史 RIYUGI  SHIMOJI 沖縄県那覇市 


盗用先2:「天界」2007年2月号 カラー2



両者を重ねてみると彗星の特徴が完全一致する。やはり稜線を加筆・改竄している。


E. 1月13日13時40分@那覇市(昼間)


撮影データ
昼間のマックノート彗星
1月13日13時40分00秒 
高橋製 TOA 130F (D=130mm f=1000mm F7.7)
キヤノン EOS Kiss Degital X
露出1/2000秒を8枚コンポジット
撮影:下地隆史 撮影地:沖縄県那覇市



重ねてみると彗星が完全に一致する。右側の雲の一部はそのまま利用し、大半を消去する改竄を行っている。


F. 1月17日20時25分@パース南部(水平線)

この画像には明確な特徴が少ないため、これまで 2ch 住人による検証で元画像と思われる画像が見つかっているものの、盗作であると「断定」するには至っていません。しかし数多くの状況証拠から、この元画像からの盗作である可能性が非常に高いと言えます。少なくとも撮影地が宮城氏の主張するオーストラリア・パースではありえないことは立証されています。「星ナビ」編集部の発表でも「盗用が強く疑われる画像」とされています。


掲載先1:「星ナビ」2007年3月号 p.21
撮影データ
金色の巨大な火の鳥大彗星(左ページ上)/下地隆史
2007年1月17日20時25分 キヤノン EOS 5D (ISO200) EF85mmF1.2 絞りF2.8 
露出1/30秒×18コマコンポジット オーストラリア・パース南部にて
●西オーストラリアのパースから100kmほど南に離れた水平線が見える高台に、カメラレンズと小型赤道儀を据える。
そして、期待に満ちた17日日没後、宵の空に-3等級はある金色の太い彗星が現れた。右側には嫌な薄雲があって、
早く移動してくれないかとヤキモキしたが、よく見るとそれは彗星から遥かに伸びるダストの尾だった。

掲載先3:星の広場
撮影データ
①下地隆史(沖縄県那覇市)南天から火の鳥彗星 状況・画像添付  1/19 20:26

オーストラリアから家のPCに送信、家族が、転送で事務局に、送信します。
余りに我ながら凄い!画像です。薄明のうちからいやな薄雲だと思っていたら、それは私が生まれる前に出現した、
写真でしか見たことありませんが、ウエスト彗星と、ベネット彗星を、ブレンドしさらにドナチ彗星にも似た、
巨大な火の鳥の様な彗星でした。
撮影時2007 .17 頭部の光度は -2等級でしたが、百武、へール・ボップを遥かに超えて、21世紀の大彗星となりました。
薄雲のまったくない画像はこれだけですが、他のサイト見てみると、薄雲などが、かかった画像が多く、大変貴重だと思います。
キャノンEF85mm F1.2 と200mm F1.8 
2コマモザイク合成など いろいろ撮影しましたが、あっと言う間に薄雲が、かかり、すぐに核が、沈んでしまいました。
取り急ぎ、転送メールにて、失礼いたします。21日正午に帰宅します。     

データー
2007.1.17 オーストラリア パース南部  
キャノンEF85mm F1.2→F2.8 キャノンEOS 5D ISO 200
露出30分の1秒×18コマコンポジェット合成  高橋製ニ軸解像P2-Z赤道儀 
下地隆史 RIYUGI  SHIMOJI 

元画像候補:spaceweather.com


両者を重ねてみると、彗星の大部分と背景の恒星(けんびきょう座α星・γ星)の位置が完全に一致する。

盗作の証拠

  • 南アフリカで撮られた元画像と恒星の位置が完全に重なっている。両者の撮影場所と撮影時刻はそれぞれ以下の通り。

(1) 宮城氏
撮影場所: Perth南部
撮影時刻: 1/17 12:25(UT)
彗星位置: 20h24m04s, -32°41'58"
Perth(東経115度50分24秒, 南緯31度57分36秒)における高度: 46'

(2) K. Crause氏
撮影場所: Mossel Bay (東経22度8分4秒, 南緯34度10分57秒)
撮影時刻: 1/17 18:51(UT)とすると彗星の高度は52'となり、ほぼ同じ。
彗星位置: 20h25m17s, -33°26'51"
彗星核-けんびきょう座αの離角: 約5°09'=309'
(けんびきょう座αは尾の中で明るく写っている星)

(1)と(2)では撮影時刻が6時間以上異なる為、彗星の位置が角度にして約47'異なる。これは彗星核-けんびきょう座αの離角の15%にも達する(星図参照)。

南アフリカ・Mossel Bay とオーストラリア・パースでのマックノート彗星の位置

以上より、(1)の撮影場所で撮影された写真が、(2)の写真と見事に一致することは有り得ない。したがって、宮城氏の画像はオーストラリアのパースで撮影されたものではありえない

  • 元画像と宮城氏の画像が回転させることなく重なってしまう。
  • 元画像と宮城氏の画像の最大の違いである「彗星右側の尾の切れ込み」部分の色が暗すぎる。同じ高度にある左側の空の青色と比べても濃すぎる。(コントラストを上げた下の比較画像を参照。)この部分は元画像にはない部分のため、足りない部分を描き足した可能性が高い。
  • 彗星のコマ周辺の空もグラデーションが乱れている。(右の元画像の自然なグラデーションと比較のこと。)

コントラストを上げた比較画像

  • 宮城氏の画像で水平線と山の間に、水平線より一段濃い青色の稜線らしきものがある(アニメGIF参照)。このラインは Crause 氏の元画像にある地平線(雲の下にある一段濃いライン)と同じ位置にある。元画像の地平線をそのまま使った可能性が高い。

以上の事実から、Crause 氏の画像を盗用して足りない部分を描き足した盗作である可能性が極めて高い。


G. 1月18日20時25分@パース南部(コンポなし)


盗用先:星の広場
撮影データ
①下地隆史(沖縄県那覇市)南天彗星観測状況・画像添付  1/21 01:07帰国後

1月18日の夕刻のマックホルツ彗星の画像です。これはコンポなしです。ダストの尾が、まるでオーロラの様です。
肉眼でも薄雲の様に確認できました。ここは、光害の無い場所ですので、光害があると淡い部分はおそらく見えなでしょう。
頭部の光度は-1.5等で17日より少し暗くなっているようです。曲がったダストの尾は、淡い部分まで含めると肉眼で
25度ぐらい見え、デジカメの画像ではもっと長く写っていると思います。
町から車で移動して海辺の高台で観測しました。下に写っているのは水平線です。周辺には100人ぐらいの
一般の見物人が来ていて、携帯や小型のデジカメで彗星を写していました。(写るのかな?)皆既日食の時のような騒ぎは
まったくなく、静かに見物して帰っていきました。
データ
2007.1.18 20h25m   オーストラリア パース南部にて
m1 = -1.5 DC= 9 25°度以上のダストの尾 
キャノンEOS kiss DEJITAL X 85mm F1.2→F2.4  露出20秒  ISO 800
下地隆史   沖縄県那覇市

元画像:flickr


両者を重ねると、彗星・背景の恒星・雲が完全一致する。手前の木立を消去する改竄を行っていることがわかる。


H. 1月19日20時45分@パース南部(flickr)

  • 元画像:flickr.com(撮影者:mhines 氏、撮影地:オーストラリア・ニューサウスウェールズ州 Jugiong)
  • 盗用先:星の広場

盗用先:星の広場
撮影データ:
①下地隆史(沖縄県那覇市)南天C/2006 P1 画像添付  1/22 01:10帰国後
オーストラリア  パース南部にて
2007.1.19 20h45m  キャノンEOS kiss DEGITAL X 50mm F1.2→F2.4
露出40秒  ISO 400  
 
2枚目は キャノンEOS 5D 85mm F1.2→F2.4
露出 40秒 ISO400 下地隆史   沖縄県那覇市


元画像:flickr.com


重ねてみると彗星・背景の星が完全一致する。雲と稜線を加筆・改竄している。


I. 1月20日20時32分@パース南部(天ガ)


撮影データ
2007年1月20日20時32分32秒~(現地時)
キヤノンEF85mm F1.2L USM(絞り開放)
キヤノン EOS 5D (ISO800)
露出10秒 撮影:下地隆史
撮影地/オーストラリア・パース南部



両者を重ねてみると、彗星・背景の星が完全に一致する。また稜線を改竄している。

さらに、画面上部の星の一部を鏡像にして複製している。(赤線を挟んで上下の星が鏡像になっている。)


J. 1月20日20時38分@パース南部(月と金星)


撮影データ
マックノート彗星と月(左ページ下)/下地隆史
2007年1月20日20時38分 露出10秒 キヤノン EOS 5D (ISO 400)
EF16mm-35mmF2.8L (20mm 絞りF3.3)

元画像:flickr


両者を重ねると、彗星・月・地平線が完全に一致する。手前の稜線の木立を消去して描き換えていることが分かる。

さらに、両画像のガンマ値を変更して暗い部分の輝度を上げると、元画像の右下(月の真下)に人物が立っていることが分かる。この人物が宮城氏の画像にもはっきり残っている。

さらに矛盾点

月の東(左側)に金星が写っているが、1月20日20時38分にオーストラリアのパースから撮影した場合、金星は月の西(右側)のもっと離れた位置にあるはず。しかもこの日のパースでの月の入りは20時28分頃なので、実際には月は沈んでいなければならない。したがって、少なくとも「パース南部」で撮られた写真ではありえない。


K. 1月20日20時45分@パース郊外(天文年鑑)


盗用先1:「天文年鑑」2008年版
撮影データ
1月20日20時45分00秒(現地時刻)
キヤノン EF24mm F1.4(絞りF2.0)タカハシP2-Z赤道儀
キヤノン EOS 5D ISO400 露出1分20秒
西オーストラリア・パース郊外にて
撮影/下地隆史(沖縄県)

撮影データ
キャノンEos 5D EF24mm F1.4→F2 ISO 200 P2-Z赤道儀。
撮影者コメント:このマックノート彗星は2007.1.20オーストラリアパース郊外のも ので90秒の露出の合間に
10秒程モデルの同行の方に三脚カメラを移動して黒い厚紙で露出再開したものです。星ナビ2008年星空カレンダーの
めくり最初の大彗星画像の人物の居ない方の、居る方の画像です。多くの日本人の方が見そこなって超大化けした彗星です。
この日はマイナス4等級で金星並みに孔雀の尾とオーロラを合体した様な何とも言えない素晴らしい光景でした。



両者を重ねると、彗星・背景の星、稜線が完全に一致する。また、Lovejoy 氏の元画像に写っている湖面が塗りつぶされている。

盗用先3の画像も同様に完全一致する。


L. 1月20日20時45分@パース(本家)


撮影データ
撮影:下地隆史
(右)2007年1月20日20時45分~ 露出60秒
EF85mmF1.2L USM キヤノンEOS 5D
撮影地:パース



両者を重ねると彗星・背景の恒星・雲が完全に一致する。

彗星の核の下にある低層の雲も一致している。


このことから、マックノート彗星の発見者である McNaught 氏本人の撮影画像からも盗用を行っていたことがわかる。


その他の疑問

画像の撮影時刻を見ると、宮城氏はオーストラリア・パースで1月20日20時45分(現地時間)頃まで彗星を撮影していたことになっている。しかしながら翌1月21日01時07分 (JST) には「星の広場 HAL-News ML」に写真 G. を添付したメールを「日本から」送信している。


パースの時差は UTC+8 時間なので、パースでの最後の撮影から写真 G. のメールを送信するまで約3時間20分しかない。3時間20分でパースから沖縄まで帰るというのはきわめて無理がある。

このことから、上記の画像のほとんどが盗作であることと合わせて、宮城氏はそもそもパースに行っていないのではないか? という強い疑念が生じる。
最終更新:2009年12月14日 01:01
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