2006年11月9日水星日面通過
撮影データ
2006.11.9 水星の日面通過
撮影/下地隆史
タカハシ TSA102 + エクステンダー1.4×
フジアセテート ND1.5 + 0.9
キヤノン EOS5D (ISO100)
露出 1/4000秒
2006年11月9日6時54分~9時4分(10分おきに15コマを合成)
疑問点
同じ日面通過を写した他の人々の画像と比べると、
- 宮城氏の画像で左側にある大きな黒点の形が、他の人々の画像と比べると裏返しになっている。(半暗部がとがっている方向に注目)
- 他の人の画像にある「薄い2つの黒点」が宮城氏の画像にはない。(大きな黒点を時計の12時の位置とすると、他の人の画像には6時半くらいの位置に薄い黒点が2つある。)
以上の2点から、宮城氏の画像は太陽が鏡像になっていることが分かる(鏡像になっているため、薄い黒点2個は画面外に出た)。にもかかわらず、水星の経路は他の画像と同じ位置(大きな黒点を時計の12時としたとき、水星がほぼ7時の位置)にあり、これは太陽が鏡像であることと矛盾する。
さらに、
- 「星ナビ」2007年1月号 p.41 に宮城氏の別の水星日面通過画像(連続写真ではなく1ショットのもの)が掲載されている。こちらの撮影データを見ると、撮影地は「和歌山県串本町橋杭岩」となっている。星空カレンダーのデータでは「6時54分からの合成」とあるが、この時刻の串本町での太陽高度はわずかに5度である。にもかかわらず、9時の第3接触まで水星の形がほとんど変わらない。(他の撮影者の画像では水星の像はかなり形がばらついている。)
- 太陽の縁がゆらいでいるのに水星がくっきりしすぎている。
といった不自然な点がある。
このことから、別人の画像を盗用して水星を合成したのでは、と仮定して元画像を捜索したところ、上記のアストロアーツギャラリーに特徴のよく似た画像が見つかった。
宮城氏の画像を裏返して元画像と重ねると、黒点や白斑、太陽表面の粒状斑、太陽の縁の揺らぎの特徴などが完全に一致する。
念のために「比較明」で重ねると、細かい特徴が一致していることが分かる。(大きな色ムラはスキャン画像に由来するもの)
なぜ鏡像にしたのか?
画像を鏡像にしてから一部をトリミングすることで、薄い黒点2個や元々写っていた水星を画面外に追い出し、盗用の証拠を隠そうとした可能性がある。あるいは、盗んだ元画像の水星をうまく消去(または利用)できなかったという理由も考えられる。
最終更新:2009年10月16日 09:09