名古屋大学


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名古屋大学6年生からのご意見です。

どのような医師養成のプロセスを望むのか


【卒前教育について】
  • PBL(少人数教育での症例検討)の形式統一化をする。
  • 臨床実習は、参加型実習にすることが必要です。
  • 1診療科の実習期間を長くする必要があると思います。
  • きちんとした評価システムを構築することが重要です。
  • 教員の増員と育成が必要です。

医学部低学年での教育

現在の卒前教育では、上のグラフのように医学部6年生までは与えられる責任が低い状況です。
それに伴い学生の能力も十分ではありません。
にもかかわらず、初期研修医になると、能力に合わない責任を背負わせられるため、
救急疾患の見逃しや初期研修医の抑うつ状態が生じています。


現状:現在の医学部低学年における教育は、ほとんど機能しておりません。
学生は、4年生までに身につけるべき技能が身についていないため、
5年生以降の臨床実習もレベルの低いものになります。これを解消すべく、
多くの大学でPBL(小人数参加型教育)が取り入れられていますが、
診断・議論の定式化がなされていないため、目立った成果は上げておりません。


目標:診断に必要なプロセスを身につける。

提案: 診断は以下のように、ある程度決まった「基本的な型」があります。
その「基本的な型」を全国的に統一し、
学生はその枠組みで思考するよう教育するのはいかがでしょうか?

【私案:学生実習にて重点的に学ぶべきこと】

1.病歴を漏れなく取る
2.鑑別診断を挙げて疾患確率を見積もる
3.身体診察を(入院患者の場合はフルで、救急外来では焦点を絞って)取る
4. 検査をオーダーし結果を解釈して鑑別診断で挙げた疾患確率がどのように変化したか見積もる
5.治療目標・指標を決める
6.標準的な治療を選択する
7.治療効果判定をする
8.予後を推測する


参加型実習に関して

5年生での臨床実習は、もっと参加型にするように教育を変えるべきです。
現在の見学中心・講義中心の臨床実習では、1年目に医師として働くにあったって
必要とされる能力が養われないからです。

具体的に参加型とは?
医療チームの一員として扱って、病棟患者を数人受け待たせ、その患者の1st physicianとする。
毎日最低2回の回診とカルテ記載。指導医からきちんと指導を受ける機会を持つ。
最低週2回のチーム回診で、上級医にpresentationをする。
当直もカリキュラムに入れる、など。


現在このような実習が行われない原因は3つ考えられます。
1.日本の医学生は勉強していないので患者を任せられない
2.医学生のモチベーションが低い
3.教官の数が少ない

最初の2つに対しては、学生を4年間できちんと教育すればいい、というのが回答です。
そして、4年間も教育して、なぜ使えない学生が多いのか、ということを先生方は、真剣に考え、
反省するべきです。私の考えでは、まず第1に、学生の評価をしっかりとするのが重要だと思います。
頑張れば、頑張るほど評価される。そのような当り前の評価システムがないことが、
学生のmotivationの低下の原因の一つだと思います。
また、やる気が無く、できの悪い学生は留年させればよいと思います。


2つ目に、4年生までの教育において、臨床技能実習・PBLと呼ばれる少人数グループによる症例研究、
模擬患者を使った医療面接実習・身体診察実習を取り入れることが効果的だと思います。
臨床実地に近い教育をすることによって、医学生としての自覚も出てきますし、
評価されることによってmotivationも保持されると思います。

教員の増員や育成については後述します。
6年生でも、参加型の実習を行うのが重要だと思います。
特に5年生の実習と違いをもたもたせる必要はないと思いますが、
よりintern(resident)に近い実習を行えるようになるとよりよいと思います。


実習期間に関して
私の大学では、5年生は、1診療科あたり1から2週間という短い期間で実習します。
なかには4日というものもあります。これでは、継続して患者さんをfollowすることはできませんし、
それぞれの診療科に対して中途半端なまま実習を終了することになってしまいます。
2週間から4週間の長さのrotationを取り入れるとより良いと思います。
小刻みに全科をrotationする意義は薄いように思います。
必修科(内科・外科・小児科・産婦人科)を決めて、
その他はelectiveにするというのもいいかもしれません。


きちんとした評価システム

そしてなにより重要だと私が考えるのは、この2年間のperformanceをきちんと評価し、
それを就職試験の時に、考慮するようなシステムを作ることです。
現状では、臨床実習は非常に適当に評価され、就職のときも、基本的には、
大学で何をしてきたか、大学でどのような成績であったか、というのは考慮されません。
国家試験の成績やCBTの成績も全く関係ありません。
国家試験に至っては、就職試験より半年あとに行われています。
数日の見学と1日の試験で、将来の働くことが決まる、
というのは不公平かつやる気のある学生のmotivationを下げる要因になると思います。


より良いstudent doctor制度のための提案

学生のうちは「手技をすること」だけを考えがちですが、
もっと大切なことは「いかに考えるか(clinical problem solving)」の訓練だと思います。
学生実習で重要なのは、問診・身体診察などを通して、
A/Pを上級医にプレゼンテーションする機会を与えられるということです。
そういう観点からもstudent doctor制度を充実させていってほしいと思います。


教員の増員と育成

現在の臨床実習では、実際にはベッドサイド教育はほとんど行われていません。
例えば本学では学生5人に対し、毎日異なる教官が担当の講義をするほか、
週1回の教授回診があるのみです。しかし、上記のような参加型実習・評価システムを確立するには、
同じ教官が学生を毎日指導する体制が必要であり、現在の教官の数は少ないと思われます。
また、教官の質を確保するために、指導医の育成プログラムが必要と思われます。


【初期臨床研修について】

私は、最低2年間の初期研修を必要だと考えます。必修科目は削減していただきたいです。
きちんとした臨床研修病院で研修を受けたいと思います。
なので、しっかりとした(今より厳しい)研修病院認定基準を設けていただきたいと思います。
 現在臨床研修を短縮しようという動きがありますが、
当初の臨床研修の目的を忘れてしまっている議論が盛んに行われているように感じます。
初期臨床研修は、全ての医師に必要とされる「総合的に」患者を診る能力を養成するために開始した、
と理解しています。強すぎる専門思考への反省だったと思います。
しかし、最近、初期研修制度によって「地域医療が崩壊した」や「大学離れが起こった」
などという理由で、初期研修を短縮しようとしています。
初期臨床研修制度の導入後に医療崩壊や大学離れが加速した、という事実は存在しますが、
そもそも医師が足りない、大学病院や地域の病院に魅力がない、といった根本的問題があります。
それを無視して、臨床研修制度を悪者として扱うことは、不当であり、
上に立つ先生方に都合の良い解釈だと思います。

期間
 期間は、2-3年必要だと考えています。
 地方大学の先生方が主張している、「卒前教育を充実させれば、研修は1年間で十分」、
という考えは、全く賛成できません。まず、卒前教育を充実させることは、
少なくとも短期的には現実的ではありません。
日本の大学病院には、教育を大切にするという風土は一部の診療科を除いて全くありません。
大学の教官になることに金銭的メリットはありませんし、名誉職でもなくなってきています。
さらに、出世するには、研究でimpact factorを取ることが重要で、
教育が評価の対象になる大学は、私は聞いたことがありません。
少なくとも、私の大学ではそのようなことはありえません。
また、大学病院は超低価格で医局員を働かせており、そのような状況を改善せずに、教育もしろ、
と圧力をかけたところで、医局員たちが、学生教育に力をいれるようになるとは思えません。
また、自分たちがそのような教育を受けてこなかった人たちが、
きちんとした教育をできるか、も甚だ疑問です。

 教官の待遇の改善、評価制度の見直し(つまり教育も評価に組み込む)、指導者の育成、を行わずして、「卒前教育の充実」と言っても、机上の空論です。
まず、そのような基盤を作ってから、臨床研修期間の短縮の話を開始すべきと考えます。


さらに、仮に卒前教育の2年間が充実したとして、それと研修医1年間で
十分primary care physicianとして、臨床能力をつけることができるか、という検証は、
先生方のなかで、されていないように思います。
 今、厚生労働省でいろいろ発言されている先生方は、
彼らが若かった時代と今の違いを認識するべきです。

第1に、医学の進歩により医師に必要とされる知識・技能が大幅に増加していることです。
第2に、患者さんの医療に対する要求性が比較にならないくらい大きくなっていることです。
第3に、医療訴訟のリスクが高まっています。

先生方と同じようにやっていては、今の若手医師は、
求められる医療を行うレベルに達しないのではないでしょうか。

ちなみに、多くの先生方が参考にされているアメリカ合衆国の制度では、
充実した2年間のclinical clerkshipのあと、3年間の内科研修が行われます。
外科では5年、小児科は3年、救急科は3年の研修です。
これを見ても、合計3年間で総合的に患者を診る力、が日本で育つ、とは考えにくいと思います。

プログラムについて  
特に変更をしていただきたいことは、
1.必修診療科を減らすこと
2.内科コース、外科コース、というようにコースをいくつか設けること
3.臨床研修病院の認定施設基準をしっかりとしたものにすること
4.定員の削減  です。

必修診療科が多いことは、非常によいことのように思いますが、ロスが大きいことも事実です。
たとえば、内科医志望の医師が、麻酔科や外科系診療科を半年くらい回るのは、
ロスが大きすぎます。一方、内科系診療科のローテンションが短くなっています。
肝心の内科の能力がいまいち育たない、外科系は将来に影響しないし、適当にやる、
というのが現状のように感じます。
また、自分の診療科に進まない研修医を教えたがらない指導医が多いもの事実です。

一部の病院では行われていますが、いろいろなコースを作成することは、
必修診療科の削減と同時に行っていただきたいことです。
 臨床研修を充実したものにするには、きちんとしたプログラムが必要です。
しかし、このプログラムの質は、病院によって質の違いがとても大きい現状があります。


臨床研修とは名ばかりで、2年間ただ時間を無駄にしているだけだ、という指摘をどこかで聞いたことがあります。しかし、だから臨床研修制度が必要ない、
というのはあまりに短絡的かつもともとの理念を忘れてしまっています。
広く患者を診ることのできる医師を育成するには、臨床研修制度は必要です。
ただ、現状では、それをうまく使えていない。
これが問題で、廃止・短縮するのではなく、改善していく必要があります。
そのために私が必要だと考えることは、ある一定の研修プログラムの確保のため、
しっかりとした臨床研修病院の認定施設基準を作り、その基準を満たさない病院は、
認定を取り消す、ことです。


定員の削減は、必須と考えます。完全な売り手市場となっており、
学生は、なにも努力しなくても、そこそこのところに就職できてしまいます。
それにより、大学は遊ぶところ、試験に通りさえすればいい、
と公言してはばからない学生が量産(?)されます。
これらは、学生の質の低下につながると私は考えています。



【後期臨床研修について】

現状:現在の専門医教育の大きな問題点は以下の2つあります。
1.最低限度の質の保証がなされていない。
2.平均的なレベルが低い。

最低限の質の保証がなされない理由は、専門医資格取得要件があまりに簡単過ぎる点です。
平均的レベルが低い原因は、一度専門医資格を取ってしまうと、
一生涯専門医であり続けることが可能なのが原因です。

この2つが容認されている理由は、医師にとっては、
専門医は名誉職に過ぎず何のメリットもないからであり、
学会にとっては多くの専門医を合格させることは学会の財政上メリットがあるためと考えられます。

目標:専門医のレベルを世界最高の水準にする

提案:最低限の質の保証と平均レベルの向上には、
専門医取得の難化と専門医の日々のトレーニングが必要です。
私としては、ある年度以上の専門医合格者には専門医診療報酬を加算すれば良いと思います。
そして、これまでの専門医には標榜医(加算なし)の資格を与えれば良いと思います。

例.
2008年以降専門医取得した医師には、診療報酬加算+標榜医。
それ以前に取得した医師は標榜医のみ。


【Q&A】

Q.地域医療が崩壊した原因は、臨床研修制度であるか?また、臨床研修制度は必要ないか?
A.いいえ。地域医療は、以前から崩壊しており臨床研修医制度によって顕在化しました。
しかし、臨床研修制度は医師の質を確保する上で重要なシステムで、若手医師・医学生からは歓迎されています。慢性的な医師不足、医師の刑事裁判、大学生の価値観の変容(医局に縛られたくない)、などがより大きな原因だと思います。

Q.研修医が地方の病院に集まらないのは、最近の若者特有の無責任さが原因であるか?
A.研修医は教育システムの確立した病院に集まる傾向にあります。
地方にあっても、北海道・沖縄にたくさんのやる気のある学生が集まるのは、
教育システムがしっかりしているためです。
残念ながら、研修医が集まらない病院は自助努力に欠けると言えるでしょう。


Q.最近の研修医は労働のラクな科に好む傾向にあるか?
A.研修医が専門科を志望する理由は、やりがいが最も大きなファクターであると
アンケートで答えられています。しかし、労働条件によっては、
自分が真に興味のある科を選べないことがあります。


Q.CBT、国家試験、卒後教育は内容が重複しており、効率的ではないか?
A.内容はかぶっていません。CBT・国家試験のようなペーパー試験で問われることと、
卒後教育で学ぶことは、全く異なります。現場で働いたことがある人ならわかると思われます。


Q.臨床研修を1年間に短縮すれば、実動医師が8000人増える。よって2年間の臨床研修制度は1年間にすべきか?
A.実働医師が増えるのは、初年度だけのため全くの無意味と思われます。
さらに、そもそも研修医を実動医師として使えていないその施設に問題があります。
また、仮に研修医が医師の数に入らない存在だとすると、そのような能力のない医師をより早く
(1年間)、第一線の現場に出し、一人前と扱うことはより危険なのではないでしょうか?


Q.医師が足りない。医学部の定員が600-700人くらい増えたことに関してどう考えるか?
A.医師が足りず、困っていることはわかります。増員の必要性も感じます。
しかし、増やした分だけ、教員を増やしたり、施設を拡大したりした、という話は聞きません。
また、学生のmotivationを高める教育改革を行った、という話も聞きません。
学生の質の低下につながる可能性はないのでしょうか?
女性医師が増えてきています。保育所の設置、産休・育休を充実させ、
職場復帰を支援する必要があります。こちらも同時に進めていくべきことだと思います。
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