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斉藤奈津子(ACE)

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riwamahi

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だれでも歓迎! 編集

斉藤奈津子(ACE)


イラスト製作:和子


iデータ

L:斉藤奈津子 = {
 t:名称 = 斉藤奈津子(ACE)
 t:要点 = ネコヒゲ,背が高い
 t:周辺環境 = 月光
 t:評価 = 全能力12
 t:特殊 = {
  *斉藤奈津子のACEカテゴリ = ,,,逗留ACE。
  *斉藤奈津子のみなし職業 = ,,,{<医師>,<狙撃兵?>,<歩兵>}。
  *斉藤奈津子の着用資格 = ,,,着用可能(ウォードレス)。
  *斉藤奈津子の治療補正 = 治療行為,,,治療、自動失敗。
  *斉藤奈津子の特殊能力 = ,,,<芝村英吏>の傍にいる間暴走しない。
 }
 t:→次のアイドレス = 芝村英吏(ACE),マルトク兵器(ACE)


使用可能な特殊

  • 医師の治療行為補正 = 治療行為,歩兵,任意発動,治療、評価+3、燃料-2万t。
#治療判定
((器用+知識)÷2)

  • 歩兵の近距離戦闘行為補正 = 近距離戦闘行為,歩兵,任意発動,(近距離での)攻撃、評価+1、燃料-1万t。
  • 歩兵の中距離戦闘行為補正 = 中距離戦闘行為,歩兵,任意発動,(中距離での)攻撃、評価+2、燃料-1万t。
  • 歩兵の遠距離戦闘行為補正 = 遠距離戦闘行為,歩兵,任意発動,(遠距離での)攻撃、評価+1、燃料-1万t。

  • 斉藤奈津子の治療補正 = 治療行為,,,治療、自動失敗。
  • 斉藤奈津子の特殊能力 = ,,,<芝村英吏>の傍にいる間暴走しない。

※)狙撃兵の特殊は不明

設定


 昔はポケット藩国とも呼ばれる小国であったリワマヒ国もいまではアイドレス界でトップクラスの食糧生産と高度な医療技術を保有する国へと発展し、国民たちが集まるコタツの間では以前のような塩にぎりのみという見るものの涙を誘う食事ではなく、おいしいおかずのついた食事を味わえるようになった。
 国が豊かになってくるとそろそろ誰かを自分たちの国に招待してみたいという話がではじめる。自慢というわけでもないのだが誰かに自分たちの国を訪れてもらって喜んでもらえたら、と思ったりするわけである。

 リワマヒ国が招待する事に決めた人の名は斉藤奈津子。背が高く、声がかわいく、元気のいい女の子である。彼女は争いごとが嫌いらしく、争いごとより食事やごろごろするのが好きなリワマヒのイメージとちょうどあっているし、たまにほっぺからネコヒゲが出ていたりしてもここは猫妖精のいる国なので全く問題ないのである。

 奈津子ちゃんは周囲に迷惑をかけることも多いようで、特に医療行為については殺人的医療技術のせいでみんなに恐れられているようであるが、彼女は決して悪意を持っているわけではない。包帯を巻くのに失敗して首を絞めてしまったとか、点滴用の栄養剤と間違えて消毒液を注射してしまいそうになったとかの恐ろしげな逸話もあるが、それはけっして人に対して悪意があったのではなく人を助けたいという思いがほんの少しから回りしているだけなのだ。

 国内には彼女の善意がもっと平和な形で周囲の人に伝わるようにどうにかしたいと考える者もいる。特訓によって料理ができるようになるのならば、特訓によって医療行為ができるようになることも可能のはずである。都合のいいことにリワマヒ国は戦闘力に関しては不安があるが、食糧生産と医療に関しては他国と比べても引けをとらず、医療の知識や技術について指導する事のできる人材は国内に多くいる。もし斉藤さんにその気があれば、リワマヒ国に伝わる医療知識を伝授し、さらに技術特訓をすることによって彼女を一人前の医療兵に鍛え上げ、彼女の人を助けたいという思いが周りの人に伝わるようにする手伝いをできるのではないかと、特別医療特訓がひそかに計画されているという噂である。(またこの計画には周りからの評価アップ、恋愛の障害除去による彼女自身を幸せへ近づけるという働きを目指す動きでもあるという話もある)

 リワマヒ国民たちはこのようにいろいろな思惑を抱きながら、広島偵察に行った幻痛さんが奈津子ちゃんを連れて帰ってきてくれるのを首を長くして待っており、歓迎のための料理やイベントも企画されている。
(文:平 祥子)

SS(作:室賀兼一)


 斎藤 奈津子はまたなにか失敗したらしい。


いつもの単純な任務、
県南部の国有林を定期パトロール--食料採集ともいう--をしていたところ、
どういうわけだか南国風の、密林といっていいような場所に出てしまった。

これまたどういうわけだか無線も通じない。

 遠くに見える遺跡に沈みゆく太陽に照らされた沼沢沿いに出れば、
そこは広島でも見たことがないような、豊かな植物相が広がっていた。


目を木々にやれば、ツバメが木々にたかるハチめがけて、何度も旋回している。
分校の昆虫図鑑で勉強したとおりなら、そこには……。

常人では目にとどめることすらできないだろう野鳥の動きを捉え、
音もなく目標の木に忍び寄る奈津子。 
ツバメにわび、ハチをそっとはらいのけ、

“ハチやハエの力を借りて受粉する果物、マンゴーの実がなっているはずだ。従姉妹殿の受け売りだが”

そう言う英吏の言葉を思い出しつつ、黄色く目にうつる実を幾つか、もぐ。
「ごめんなさい、マンゴーの木さん」


 背負った狙撃銃の位置を直し、
スカートの前を広げて夕日にもつややかな実6~7個を抱えもつと、
文字通りはずむ足取りで、斉藤奈津子は沼沢のふちを歩く。
歌いながら。

「奈津子ー奈津子ー最強の子ー」

「……だれ?」


沼沢のふち、今にも崩れそうな高床式の廃屋から、声がした。
少女の声は震えていた。


/*/


 迷子の少女はハルミといった。
勅令による陸軍動員から戻る途中ではぐれ、
ここ数日、藩国にもどる道をさ迷っていたという。

背は低く、奈津子のへそほどもなかった。
耳は猫のように上付きでとがり、だぶついた服の下からは尻尾がのぞく。
首には金属の環がはまっていた。


 奈津子おねえちゃんが必ずおうちに連れて帰るからね、と約束したのが、小一時間ほども前。
酸味あるフルーツで腹を満たした奈津子とハルミは、
南国といえど冷え込む夜を、廃屋でやりすごすことにした。


遠く、なまずの跳ねる音がたまに響くころ。

ハルミはひとり、つぶやいた。
「ねむれないよ」

「どうしたんですか?」目をつぶったまま答える、奈津子。

「まぶしくて」
薄目をあければ、板屋の隙間から月の光がさし、少女の顔に当たっていた。
ハルミは目を患っていた。まぶたが閉じられない、ようだった。

奈津子は、にっこり笑った。
「これなら、どうですか?」
自分のセーラーを脱ぎ、頭にかぶせてやる。

「……しょーどくえきのにおいがする。おねえさん、おいしゃさま?」
「たはは。
 まだ見習い、です。失敗ばっかりだから」


「……おかあさんとおんなじだ。」
「?」

「……」

奈津子は猫士の少女を抱き締め、あやすようにゆすぶり、また背中を撫でてやった。
芯のあるひげが、少女の頬をそっと突いた。

少女は一層深く奈津子の胸に顏を埋め、しがみつくようにして肩で息をし、
それからなおしばらくの間、すすりなきをつづけた。


「諦めちゃ駄目です。
 お母さんは、きっとどこかの国にいて、おなじように、あなたを探しています。
 それに今日、一生懸命がんばったなら、
 明日は、きっといいことがありますよ」 

「ほんとう?」

少女はぐずるのをやめ、奈津子を見上げた。

「ええ。
 じゃあ、いいことの、ひとつめ。 お話をひとつ、してあげます。

 それはお馬のお話。
 白い馬のエクウスが、まだその王子と出会う前のお話です……」



 やがてすやすやと、二人は眠りに落ちた。


/*/

 リワマヒ国王宮。
密林よりやや小高い丘に立てられたレンガ造りの古い建物の中央、
エントランス前で、軍機大臣 東 恭一郎は捜索隊からの連絡を待っていた。

藩王 室賀兼一がリワマヒ陸軍医科大学にてスパルタ教育を受け、倒れている間、
参謀 平 祥子とともにリワマヒ陸軍をやりくりしていた、漢である。


 そこに走りこんでくる兵士。
太陽系総軍の制服を着崩した上に日よけの羽織りを着た女性。
技族の和子である。
高位南国人の証たる冠が光る。彼女もまた、漢であった。

「東さん、行方不明の猫士1名、見つかりました!
 旅行者1名と一緒に湿地帯で往生していたようです」

手にしたラムをぐびり、と飲み込む東。

「すぐに救助隊を送りましょう。 うにさん、さやさんさんは病院までのルート確保。
 蒼燐さん、シコウさんは学生兵士を率いて客人の歓迎準備を。
 幻痛さん、イドさんは医師団を率いて現地に移動、治療の準備にあたってください」

軍配代わりのラム瓶で矢継ぎ早に指示を出す軍機大臣。

ラメ入りのキラキラ衣装とあいまって、実に絵になる。
リワマヒ国内外でも、中高年のお嬢様方からの人気は赤丸急上昇中であった。


「それはいいんですが……」言いよどむ平祥子。

「なにか?」首をかしげる東。

「客人の人相が変わってまして。その、唇が」

「???」


/*/


のちに帰還したうんちく大好き藩王、室賀兼一は宮廷医局より、
以下の勅令を発したという。


「マンゴーは、ウルシオールという
 接触性皮膚炎(かぶれ)の原因となる物質が含まれており、
 若い実は高い確率でかぶれを引き起こす場合があります。

 野生のマンゴーを食べる際は、なるべく昼間に採取し、熟し度合いには十分に注意しましょう」



どっとはらい。





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