コラム～ 公共事業：リワマヒ国の交通事情
今回はリワマヒ国の交通事情を語る。リワマヒ国の主要な交通は車両、船艇が中心となる。今回はリワマヒで使われる舟を中心に語ろうとおもうが、そのためにまずこの国の地形的な情報の確認から入ろうと思う。
1.リワマヒ国の地形に由来する国内輸送の必要性
リワマヒ国の国土はその所領は３ｋｍ×１５ｋｍ、４５キロ平方メートルである。共和国所属藩国の中でも標準的な伯爵領を得ているが立国申請時が男爵領であった事、またかつてポケット藩国と呼ばれた面影を残すコンパクトな都市計画がなされている。領土における陸と水の比は８：２と圧倒的に陸地が多いが、リワマヒ河～リワマヒ湾・リワマヒ海は領土南北に連続し、所々領土を分割している。
地域の区分け的には、おおむね３色に分けられ、樹海または農地が多い北部、王城・学園・ツキジ市場、銀の街という商業施設が集中している中央部、南部はリワマヒ湾・リワマヒ海に面した工業地帯や遺跡、娯楽施設が多い。
北部の農作物を中央の市場や南部の加工工場まで持ち込む為の国内輸送能力が必要とされている。これらの需要を満たす、つまり北部での収穫物を中央のツキジ市場や工場へ持ち込む際には、トラックで荷物を積んで長城まで走るか河を行き来する船を利用をする事になる。
2.リワマヒ国の気候による制限
地形的には自動車による輸送も出来る事が判るが、あえて船が使われる理由はなぜだろう。それはリワマヒの独特の気候の問題が大きい。
極端に熱いか極端に寒いかという国ではあるが、年に一度は国土のほとんどが水浸しとなる洪水期、その後の熱帯性の気候の中で降雨が多く、未舗装の道などで水はけの悪い部分などは一雨あればあっという間に沼沢地などに早変わりしてしまう。 地図（図１）を見てもらえば判るが、高台になっており水はけがよく整備されている長城は北部の手前で途切れており、沼沢地に阻まれ地表を移動する大型の車両の使用が難しい状況にある。合わせて前述の洪水期では国土の多くが水に浸る為、車両は使いづらく、ゴムボートや底の浅い舟で移動をする方が融通が良いという状況が起きている。
また、厳冬の冬期には降雪が多く除雪が行われる一部を除けば雪がそのまま残っている場合も多く、また車両での移動が難しくしている。
図１
3.国民の足。
静かな海、穏やかな河を往く船たち。リワマヒにおいて水上を行き交う船は国民の足として愛用されている。
国内を観光するときに良く見かけるものをいくつか紹介しよう。
＜ゴムボート＞
現代でもレジャー用途などで使われている船底のカバーを付けた大型の物である。
各家庭の倉庫などに良く置かれており、洪水期などで各家庭の足として使われる。
オールで漕ぐ場合も多いが、日常利用するには水流や風によって移動が困難な場合も多いため、
船外機を取り付けるようにしてあるものも多い。
＜カヌー＞
オールで漕ぐ事で進むタイプの舟全般を指す。
荷物を載せやすく転覆防止のにも役立つ為、サイドフロートを付けたものなども多い。
リワマヒ名物の洪水期には各家庭から移動するのに必須の為、これかゴムボートが一家に一台はあるといわれる。
また、リワマヒの学校では伝統的にボート部かカヌー部があり、夕刻に夕日をうけて黄金に輝くリワマヒ河で練習している子供たちの姿を見る事もできる。
＜舟＞
船尾には小型の船外機を搭載している木造の舟で、船体自体は広く浅い形状で作られている。
１枚または２枚の簡易な帆を持つものもある。これらの形状はリワマヒ河からあまり浚渫が行われない遠浅の内湾を中心に使用される為で、夜明け前に北部の船着き場から挽きたての小麦や農産物を載せて流れに乗って河を下り、内湾に接するツキジ市場に荷物を届ける姿を良くみかける事が出来る。
午後には、南の海から北の陸へ吹く風変わった頃に帆を立て船を出し、荷物を下ろして軽くなった舟でリワマヒ河を遡上する。
4.まとめ
今回のコラムでは取り上げなかったが、現在リワマヒでは使われていないが、かつては流氷の流れ着くリワマヒ海を砕氷船が運行され、またその豊かな海で漁がなされるなど、リワマヒ国にとって水上を移動する船艇は常に生活に産業に密着した交通手段の一つである。
また、運用コストの安さや環境への汚染が少ないのも船舶の良い面で、国外との輸送は高速性を重視した輸送機が主力に変わりつつあり、また技術革新により新しい交通手段が確立されたとしても、国内においては船舶がその座を当面は維持することは間違いない。
- コラム：3400675：東 恭一郎：リワマヒ国
- イラスト：3400672：シコウ・アル・ナスライン：リワマヒ国
