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兼一王の戦争準備(軍港の整備)「兼一王といとぐるま」篇

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兼一王の戦争準備(軍港の整備)「兼一王といとぐるま」篇


 エジプトに九年間不作が続いた時、キュプロスから来た予言者プラシオスが、
「異邦人を殺して毎年ゼウスに捧げれば、不作はやむだろう」と言った。
ところが、予言者プラシオス自身が「異邦人」という条件に該当したので、
エジプト王ブシリスはまず最初に彼を殺した。
 (『ギリシア神話』(アポロドロス)第2巻第5章 )


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リワマヒ国 お台場地区。 
今は観光名所である「サカサコタツ遺跡」と
古い大きな観覧車が目立つ娯楽要素の強い地域だが、
昔は軍事施設の集まった地域でもあった。


もともとは鍋の国防衛戦(「アプローの涙」時)の頃、
防衛設備として集められた砲台、見張り台などを
リワマヒ湾のリンクゲートを介して打ち上げるための、
物資集積所として用いられた場所であった。
が、同盟の関係でそれら物資は結局、使われることもなく、
またゲート通過の関係で夏期に移行したため、放置されたままだった。

当時はにゃんにゃん共和国から派遣された猫士、また調査に訪れた技士などで
にぎわった軍港だったが、
今は見る影もなく、蔦や茨に覆われている。
よく言えば、リワマヒ川の氾濫にもよく耐え、
国土を守る礎たらんと今もその姿をとどめている、と言えなくもない。


蔦と茨に阻まれたその軍港入り口では、
学生兵士の制服を羽織った猫士が、長い柄のついたハサミを王錫のように振るい、
周囲の国民たちに号令をかけていた。

兼一王 「共和国の他藩国に、みせつけようでありませんか。
     そう、わが国は貧乏には、ことのほか強いということを!
     ……作業、開始!」
猫士たち 「にゃー!」


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ことは数時間前にさかのぼる。

 リワマヒ国。藩王の居室。

今日も今日とて、リワマヒ国の国民は
涼しい藩王の居室で、それぞれ思い思いの格好でごろごろしながらだべっていた。
一見、他国のものから見れば、だらけているだけに見えるが、
その実は、、、 やっぱりだらだらしながら会議していた。

決めることのさほどあるわけでもない、ポケット藩国ならではの風景であろう。

「まあ、うちの国の会議は、
 みなでこたつに足を突っ込んで思うことを言い合っているようなものですから」
というリワマヒの気風に従い、
藩王以下、思い思いの格好で意見を言い合っている。

これをして藩国名物、おこた会議という。
他藩からは笑い話で通っている。


そんな中、尚書省からの連絡に目を通していた国民から声が上がった。

「大絢爛更新きました」

名をイドという。
この人物、無気力な発言ばかりという自己紹介だが、
実はゲームと遊ぶための余暇を作るためには努力を惜しまない。
時に流星号のパイロット、時に学生歩兵としていち早く活動を開始する、など、
じつは藩国内でも貢献度が高い。

イドの指摘に、みなで尚書省からの連絡が記されたディスプレイを覗き込む。

兼一王 「ふむふむ。 戦争準備にかからないといけない、みたいだね」

薊 「あー。またキツイ事を。
   戦争準備ってことは、やっぱり内職ですか?」汗を拭きつつ薊は藩王に尋ねた。
この人物、リワマヒ国ウォッチャー歴が長い分、リワマヒの過去の事例にも詳しかったりする。
(ちなみに内職していたというのはこちら 
 http://ninjagames.at.webry.info/200612/article_23.html

イド 「期日は明日の23時まです」

うへえ、という顔をする一同。

尚書省の通達は時間をずらして複数発令されており、
戦争準備の為の戦費と燃料供出、新たな陸戦兵装の開発要求、などが挙がっていた。

イド 「足りないのは資金が1億、燃料が6万tですか・・・」

兼一王 「不足分を解決しようとするならば、
     金で10+12億積む必要があり、合計22億必要。
     うち わが国の金庫には10しかなく。。。かあ」
薊 「今更ですけど3回目の冒険での燃料消費がでかいですねぇ。」

うなだれる一同。が、回復はことのほか早かった。

蒼燐 「とりあえずは特産品ほかで稼いで行く方向ですかねぇ」
シコウ 「とりあえず、稼げるところで稼ぎましょう」
平 祥子「私も挑戦してみます。」
兼一王 「私もやってみます」

早速どんどん財政再建案を打ち出すリワマヒ国国民。
皆、貧乏にはことのほか、強いのだった。

藩王以下、戦争準備に必要な作業を探り出し、我先に飛び出していく。

 幸い、リワマヒ国は尚書省から派遣されてきた猫士たちのほか、
居場所なく居ついた子供猫士、伝統行事を見物してそのまま藩国に入った猫士たちなど、
人(?)的資源には事欠かなかった。
新しいホテル建設に従事していた猫士、 国歌の練習をしていた猫士たち、
リワマヒホウセン樹の実でキャッチボールしていた猫士などを見かけては、
声をかけ、それぞれの作業に引っ張っていく。

何をするにも密林が行く手を阻む夏のリワマヒ国では、
人手が何よりも物を言うのだった。

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リワマヒ国藩王 兼一王と手勢の猫士たちは、
茨に埋もれた兵装を回収にお台場地区に向かった。
皆々の手には途中、今は民生品の組み立て工場と化しているリワマヒ生産工場から
http://ninjagames.at.webry.info/200612/article_16.html
回収した「高枝切りバサミ」と「ネコ車」があった。
後ろからは納品前の品を持っていかれたことに怒る工場長(猫士)が何か叫んでいる。

猫士 「勝手に持ってきて、いいのかにゃあ?」
兼一王 「リワマヒ国の興亡やここにあり! …というと、ちょっと大げさですが、
    できるだけの事はしましょう、ということで。
    あとで工場長にはみんなで謝りましょうね」
猫士 「にゃァー」

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高枝切りバサミで武装した兼一王一行だったが、
茨の城と化したお台場地区は難攻不落の要塞と化していた。

蔦はお互いに絡み合い、高さ10mにもならんかという巨大構造物になっていた。
藩王の指示の元、高枝切りバサミでざくざくと蔦を切り外す猫士たち。
切り落とした蔦は束ね、結んで、太い綱にしていく。
切り取った蔦を運ぶネコ車が資材置き場を何周もすると、
皆の顔に疲労が浮かび、尻尾もだんだん垂れてくる。

猫士 「これって、ホントに終るのかニャあ」
兼一王 「あきらめてはいけません。
     いまだひかりはみえませんが、のぞみはあります」
猫士 「鉄道ネタは分かりづらいニャあ」

イルカ知類並のギャグセンスであった。うなだれる兼一王。
とほほ。 と思いつつもねぎらいと次の指示を矢継ぎ早に繰り返す。

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日も暮れようとする頃、茨はその大部分が片付き、
いよいよ最後の大ヤマ、名物でもあるリワマヒウラジロの大群落を
遺すのみとなった。

リワマヒウラジロ。葉は互いにより掛かり合って、絡み合い、高さ10mを
越える純群落になる、つる植物のような巨大シダ植物である。

リワマヒウラジロの群生地を抜けようとするならば、
上にのって歩くか、中にもぐりこんで這うかしかない。
密生した葉の層の上を歩くのは、体重が軽いものに限られ、
また、葉の裂け目から落ちれば、10mもの高さから落ちた時の安全は確保できない。
かといって中にもぐりこめば、
古くなった枯れ葉のたまり場に突き当たり、
細かくなった枯葉がつぎつぎと喉や鼻に入る。まことやっかいな、大藪であった。

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猫士 「観覧車の準備、完了したニャ」
猫士 「蔦同士の結びつけ、完了ニャよ」
猫士 「根切り部隊、準備完了ニャ」
兼一王 「巻き取り開始!」
一同 「ニャー!」

兼一王の号令にて、お台場地区の遊園地、
リワマヒランドの観覧車がぎしぎしと動き始めた。
芥藩国防衛戦時に立てられたものだが、すでに老朽化し、
今は使われていなかった観覧車である。
http://ninjagames.at.webry.info/200612/article_17.html
http://ninjagames.at.webry.info/200612/article_18.html

その一端には蔦で編まれた太い綱が固く結ばれ、
その蔦はウラジロの根元に、つながっていた。
糸車のように長い長い蔦のロープを巻き取っていく観覧車。
勢いよく巻き取られていく蔦。
やがてウラジロの大群落が蔦に引きずられて、その姿をたわめていく。
高枝切りバサミで蔦をトリミングしていく猫士たち。

兼一王 「いいぞ! その調子にゃ!」

やがてリワマヒウラジロは長い長いロープと化し、
同じく巨大糸車となった観覧車の周りでは、歓声を上げる猫士と兼一王の姿があった。 

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イド 「で、軍港は無事に?」

兼一王 「うん。これでいつでも出撃が出来るようになった、というわけ。
     ついでに建築に必要な足場を組む用のロープも大量に手に入った」

平 祥子 「それはいいんですが藩王。
      生産工場から苦情がきてるんですけども」

兼一王 「え、えーと」 

汗をかきだす兼一王。ハンカチを取り出し、額を拭く。

蒼燐 「藩王。リワマヒランドは観光資源として再建する約束じゃありませんでしたっけ。
   見てきましたが、観覧車はボロボロ。あれじゃつかいものになりませんよ」
イド 「その場にあるものを使うのはいいです。 でも、先の事ももっと見越して」

リアル小さくなる兼一王。

兼一王 「にゃ、、にゃー」


薊 「いい年して、可愛くしてもダメです」
兼一王 「やっぱダメか」
シコウ 「さ。これから整備にいきますよ。」
兼一王 「ふぎゃーー!」

皆チームワークいいなあ。 怒られながらもそんなことを考え、
嬉しくなる兼一王で、ありましたとさ。 

おしまい。


(このお話の教訓:逆境(貧乏)は人を強くする)




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