第31話「それぞれの価値観」



美結「先輩~!」

彰人「ちょ、どうしたの!? だ、抱きつかないでっ」

美結「FP2で通勤してたら、同期の子に『そんな自転車で通勤してたら、勿体ないんじゃない?』とか言われたんですー!」

彰人「いや、っていうかここ男子トイレの中だからさ、とりあえず外に出ようよ…」

美結「通勤に使う自転車なんて、個人の好みじゃないですかー!?」

彰人「いや、だから…」

涼子「そうよ!!」

美結「あ、涼子さん!」

彰人「またややこしいのが来やがった…」

涼子「どんなバイクに乗ろうが、どんな用途に使おうが、個人の趣味なんだから他人に口出しして欲しくはないわ!」

彰人「いや、こんなとこで堂々と言わんでも」

美結「そうですよね!?」

涼子「そう! いいバイクを買って、毎日眺めているだけの人もいれば、土砂降りの日に山で練習している人もいるわ! 大事なのはバイクのどこが好きかよ!」

彰人「いや、周囲に迷惑をかけないかどうかが大事だろが。安全第一だろ」

涼子「そこ! うるさいわよ!」

彰人「はい、すみません! って、何で俺が謝r」

涼子「自分のバイクをどうしようが、自分の勝手よ! 他人にどうこう言われる筋合いは無いわっ!」

美結「やっぱりそうですよね!! 自分のバイクですもん!」

涼子「それに、買ったのなら、毎日乗らなきゃ、それこそ損だと思わないの!?」

美結「そうですよそうですよ!」

涼子「結婚したのなら、毎日乗らないと損よ!」

美結「はいっ!」

彰人「気を付けろ! また奴のペースにはまるぞ!」

涼子「コンポを変えるもよし、ブログを書くもよし、写真を撮るのもよし、一緒に布団に入るもよし!」

美結「うんうん!」

涼子「自分のバイクは自分のものなのよー!!」

美結「そうですよねー!!!」

彰人「マジで何なのこいつら!?」

美結「あ、ちなみに涼子さんはどのバイクで通勤してるんですか?」

涼子「コルナゴ&フェラーリよ!」

美結「え?」

涼子「だからコルナゴ&フェラーリ!」

美結「えっ…。それは勿体ないです!!」

涼子「何でぇっ!?」

美結「他にないんですか!?」

涼子「王子様(プリンス)は駄目なのよ! レース用だから!」

美結「いやいや、通勤にはどちらも勿体ないですよ!!」

涼子「勿体なくない!」

美結「勿体ないです!」

涼子「勿体なくないってば!」

美結「勿体ないですってば!」

彰人「だぁあ! いい加減にしろお前ら! 何回言えば分かるんだ! ここは男子トイレの個室の中なんだから、とりあえず出てけよ!」

美結「あ、」

涼子「あら、そうなの」

彰人「そうなのじゃねぇよ! 3人も入るスペースないのに入って来やがって!」

涼子「でも、勿体なくないわよ!」

美結「いいえ! 勿体ないです!」

涼子「勿体なくない!」

美結「勿体ないです!」

彰人「俺の時間が勿体ねぇよっ!!」




第32話「ハンドシグナル」



涼子「でも、なんば突っ切った方が速いわよ」

彰人「いやいや、あっちは人も信号も多いから。高速沿いに走った方が別件でピックする可能性も高いだろ…」

涼子「それをするなら梅田の方がピック数上げれるわよ?」

彰人「いや、梅田は車線が多いのと、信号待ちに捕まったら死んでしまうだろ…。側道を併走した方が無難…」

美結「先輩~」

彰人・涼子「ん?」

美結「ちょっと今いいですかー?」

涼子「どうぞー」

彰人「何々?」

美結「この間バイクで走ってたらですね、男性のロードバイク乗りにピタリと横に付かれて、『引きましょうか?』って言われたんですよ。私そんなに疲れてる風に見えたんですかねぇ?」

涼子「え? 突かれたいように見えた?」

彰人「それはお前だろ。で、美結ちゃんは何て答えたの?」

美結「お願いしますって言いました」

涼子「あぁ、美結ちゃんの膜が…」

彰人「そかー。楽だった?」

涼子「いや、初めは痛いに決まってモゴモゴ…」

美結「先輩、手で鼻と口を塞いだら涼子さん窒息死するんじゃ…」

彰人「いいのいいの。で、どうだった?」

美結「二人だと楽に走れるのは分かりましたー。普段の空気抵抗って、結構すごいんですね」

彰人「うん。良かったねー」

美結「で、質問なんですけど、その時、前の男性が手信号みたいなのをするんですけど、意味があまり分からなくて…」

彰人「あー、交通法規で決まっているのもあるけど、ローカルルールもあるからねぇ…って、さっきから俺の手をベロベロ舐めるんじゃないっ!」

涼子「プハァッ! 死ぬかと思ったじゃないの! 私の絶妙な舌使いで乗り切ったけど」

美結「あははっ。舌のテクニックって何ですか?」

涼子「それはね、大きなウインナーを舌で…」

彰人「で、手信号の話だけど、止まる時は腕を下に伸ばして、右の手のひらを後ろに向けるね」

美結「はい。右左折は曲がる方向の手を差し出すとか、反対側の腕なら上に向けるとか習いました」

涼子「ところで、美結ちゃんはウインナーとポークビッツ、どっちが好き?」

美結「ウインナーですけど」

彰人「で、ロードバイク乗りの間では、それ以外にも多数のルールがあるんだ」

美結「そうです! それを知りたくて!」

涼子「美結ちゃんは大きくて固いのが好きなの?」

美結「あ、固くなくてもいいですけど、大きい方が食べた時にジュルジュルしてるじゃないですか」

彰人「気を付けろ、美結ちゃん。誘導されてるぞ。で、今から言うのはローカルルールだから、人によって違うこともあるというのを理解しといて欲しいんだ」

美結「はい」

彰人「大体は同じだけどね」

美結「はい」

涼子「で、美結ちゃんは、ウインナーから出たお汁はどうするの?」

美結「お汁ですか? 全部飲みますけど? え? どういう意…」

彰人「はいはい、まず、減速する時は、左手の甲を背中に当て、グーパーグーパーをする」

美結「はい」

涼子「いっぱいお汁が出て来る場合も、全部飲み干しちゃうの?」

美結「いえ、いっぱい出て来たら、口から溢れちゃいますね」

彰人「真面目に回答しなくていいから。で、障害物がある場合はそれを指差します。左下や右下に向かって指を差すといいよ」

美結「はい」

涼子「ところで美結ちゃんは、ウインナーを吸ったことある?」

美結「え、食べるんじゃないですか?」

彰人「何より一番大事なのは大きな声で言うこと。急ブレーキをかけてる時にハンドシグナルなんかできないからね」

美結「はいっ!」

涼子「吸った方がおいしいのよ。ジュルジュルって。ちょっと私の指で練習してごらん」

美結「えっ、え? は、はい」

彰人「他にも、右や左に寄れって言う時は、ペンギンのように腕を後ろに伸ばして、左右に動かしたりするね」

美結「ふぁい、じゅるじゅる」

彰人「あと、抜かしてくれって言う時は、腕を降ろして、人差し指と中指を地面に向けて、後ろから前に振ったりするよ」

涼子「抜いた時は、気持ちいいわよー」

美結「ふゃあい、にゃんか、べちょべちょひまふー」

涼子「はーい。もっと吸ってー。この方がお汁がいっぱい出るのよー」

美結「ふぁい。じゅる…」

彰人「だから何やってんだ馬鹿二人! いい加減にしろ! そういうサイトじゃねぇだろが!!」




第33話「保険と安全」



美結「おはようございまーす」

彰人「おはよー」

美結「あれ? 涼子さんは」

彰人「あ、今日は休み休みー。琵琶湖行って来るらしい」

美結「あ、そうなんですか」

彰人「うん」

美結「そういえば先輩」

彰人「ん?」

美結「この前、雨天の中走行してて、こけちゃいました」

彰人「えっ!? 大丈夫だった!?」

美結「はい。擦過傷ぐらいで何とか済みましたけど…」

彰人「そっか。気を付けなよー。保険は?」

美結「あ、やっぱり入った方がいいですか?」

彰人「そりゃ入った方がいいよ。保険があるから怪我していいわけじゃないけど、いざという時に助かるからね」

美結「でも、どんなのに入ればいいのかよく分からなくて…」

彰人「美結ちゃん車は?」

美結「AT限定免許はありますけど、車は無いですね。家の車を借りて走るって感じです」

彰人「実家暮らしだっけ?」

美結「はい」

彰人「お父さんが車の任意保険に入ってない?」

美結「入ってますよ」

彰人「自動車以外でも保険を扱ってる会社もあるから、ちょっと調べてみたらいいよ。僕は対人補償を無制限にしてあるから、自転車も対人補償は無制限なんだ。新しい保険に入るより、追加金だけで済む場合もあるから、確認してみたらいいよ」

美結「はい。ありがとうございます」

彰人「それが無理なら、単独で自転車保険に入るしかないけど、それは色んな保険があるから見てみるといいよ」

美結「はい」

彰人「それと、雨天時は特に気を付けた方がいいよ。それと同じぐらいに怖いのは、慣れた時だね」

美結「そうなんですよ。シティサイクルやクロスバイクを抜く時とか、他のロードバイクに抜かれる時とか、交通量が多いとヒヤッとしますよね」

彰人「確かに。っていうか、今日はあいつがいないからスムーズに進むよ…」

美結「何か安全な抜き方抜かし方とかあるんですか?」

彰人「うーん。まず、後ろに着いたら、大きな声で『すみませーん、抜かしまーす』って言ったらいいんじゃないかな。抜かれる時は、左に寄ればいいと思うよ」

美結「え、男の人は抜かせてあげた方がいいんですよね?」

彰人「え、何その偏った話は…」

美結「え、男の人は抜かせてあげたら喜ぶって涼子さんが…」

彰人「またあいつか…。涼子の言うことは信じない方がいいぞ。抜かせてもらっても、別に喜んだりはしないよ」

美結「え、そうなんですか? でも、抜く時は結構快感じゃないですか?」

彰人「確かに快感を感じるけど、そんなには感じないかなぁ」

美結「え、じゃあ先輩は私に抜かれるのと、自分で抜くのは、どっちが快感ですか?」

彰人「そりゃ、ってえ? 何の話?」

美結「抜く時の話です!」

彰人「だよね、何の話かと思った…」

美結「それに、私はあんまり抜くのは上手くないんですよ。何回か男性には抜かされてるんですけど」

彰人「そうなんだー」

美結「あ、そうだ。彰人さん、今度一緒にやる時、後ろで抜いてくださいよ」

彰人「ん? ん? 何か、俺の頭がおかしくなって来たみたいだ…。えと、後ろから抜けばいいんだよね」

美結「そうですそうです! 抜く瞬間の彰人さんの体の動きを見れば、私も抜くのが上手くなるじゃないですか?」

彰人「うん。(駄目だ! 違う意味にしか聞こえない! 落ち着け、落ち着くんだ俺!)」

美結「男性を上手く抜かす技術を身に付けたいんで、是非手伝ってくださいね!」

彰人「よし! 分かった! とりあえず今日はここでストップだ! また一緒に頑張ろうね!」

美結「はいっ!」

彰人「(何か天然の涼子がいる感じだな…。非常にまずい方向に訓練されてるし…。っていうか、段々自転車の話じゃあ無くなって来てる気がする…)」




第34話「放置自転車問題を考えてみる~その1~」



今回はロードバイクとはぜーんぜん、何も関係ない話です。
興味のある方もない方も、一度は見て頂けるといいかも知れません。


今日は放置自転車の話。

あ、水あめ買ってない人は見ちゃだめですよ。

さてさて、放置自転車とは、どういった状態を「放置」と言うのでしょうか。

それは、駐輪してはいけない場所に停めてあり、なおかつ所有者がすぐに動かせない状態にある自転車のことです。

で、ここで問題となっているのは、駅周辺に集まり出す放置自転車たちです。

なぜ、置いておいたらダメなんでしょうか?

景観を損ねるから? いやいや、そんなくだらない理由ではありません。

景観なんて個人の好みです。

駅前に行った時にずらりと並ぶ自転車に「萌え萌え~!」な人もおられるかも知れません。

マイノリティかも知れませんが。


で、何故だめかと言いますと、歩行者や車両、さらには緊急車両の通行を邪魔するからです。

放置自転車のせいで、救急車の到着が間に合わないということもあります。

これは困りますね。


で、何故だめか分かったところで、本題に。


何故、自転車を放置するのでしょうか?

そこに自転車と停めるスペースがあるからさ、と言ったそこのアナタ、私はそういう考え方が大好きです。

全然違いますが。

駅を利用する人や駅前のお店などに行く人が、駐輪場の場所が遠かったり、有料駐輪場の使用料金を払うのを嫌がったり、駐輪場の収容台数が足りないせいで、こんなことになります。

また、壊れたのでそこで乗り捨てたということもあるでしょう。

さらに、盗難された自転車が乗り捨てられている場合もあるでしょう。警察の方が防犯登録番号を確認して頑張ってますが、盗難されてもみんな「盗まれた!」って言いに来ませんし、防犯登録してないお馬鹿さんもいますし、シールが剥がされてたりもしますし、そもそも5年しか有効じゃないとかいうオチ。

あ、警察の方、お疲れ様です。

また、ロードバイクのように値段が高ければ有り得ませんが、シティサイクルは安価なので、没収や盗難に遭ってもまた買い換えればいいやと思っていることも関係があるかも知れません。

で、何で自動車のように違法駐車をある程度キチンと取り締まれていないのかといいますと、今までダラダラやって来たから、後手後手に回っているだけです。

現在も、全国の方たちが頑張って対策をしています。

また、結構みんな違法駐輪しちゃってますので、今さら本腰かけると国民が暴動起こしちゃいそうってのもあるかも知れません。

で、その対策ですが、

福岡県では駐輪場に止めることで割引クーポンが発行される制度を導入しているようです。

東京では、どんどん駐輪場を作っています。

大阪では、えらい勢いで撤去しています。
毎日してるみたいですね。あれ。

レンタサイクルをしているところも結構あります。


何故か長くなってしまったので、次回に私の感想とか対策を。




第35話「放置自転車問題を考えてみる~その2~」



前回の続きです。


以下は私の適当な感想と対策です。

結局、規制するだけでは無理かと。
あれこれしなきゃダメと言ったところで、良心的な人以外は誰もやりません。
で、そもそも良心的な人は自転車を放置しません。

なので、みんなが駐輪場に停めた~い! と思わせる方法を取りつつも、駐輪場に停めるしかない! と思わせる方法を導入する必要があります。前回言った、福岡と大阪みたいにってことですね。

つまるところ、アメとムチです。

その具体的な方法は土地に寄っても実効性が違うので、まだまだ議論を繰り返さなければなりませんが。

で、駐輪場は「お前らの自転車を安全に置いといてあげる」場所ではなく、「駅を美化していこうぜぃ!」という場所ですので、基本は無料じゃないとダメかと思います。

放置自転車対策のために、上限日数を設ける必要はありますが。

そもそも何で自転車に乗ってるかというと、お金が無いからです。

お金があれば、自動車で移動します。

どんな時でも出来る限り自転車で移動するのはロードバイク馬鹿と環境について真剣に考える人たちだけです。

だから、一般人はお金がかからないように自転車に乗ってんのに、なんで駐輪すんのに金がかかるんだと、そういう考えになってしまうかも知れません。

で、そんな適当な感想はさておき、具体的な対策を考えてみましょう。

まず、原因をつぶす方法を考えましょう。


1.自転車を無くす。
間違いなく暴動が起きます。いや、我々が先頭に立って暴動を起こすでしょう。彼女(彼氏)を取られては、生きては行けません。よって、却下です。

2.電車を無くす。
お! これは便利!
しかしながら、鉄ちゃんが暴動を起こしますね。え? そういう問題じゃない?
よって、却下です。

3.駅前を無くす。
駅前に集まるのなら、駅前を無くせばいい!
え? どこで電車に乗るのかですって?
飛び乗ればいいんですよ!!
HAHAHAHAHAHA!!

却下ですね。はい。

4.十分の収容台数を持った駐輪場を駅から近いとこに設置し、一日20円程度で利用できるようにする。
お、これいいですね! 地下に作るとかのスペースが無ければ、駅前の店に立ち退きして頂きましょう。
なんせ、緊急車両の通行という人命がかかっているんです。
ここまでしても駐輪場に停めない方の自転車は、一時保管した後、処分しちゃいましょう。

5.自転車のフレーム内へのGPS取り付けの義務化(防犯登録の電子化)。
壊れた自転車を破棄した人を取り締まる時や、盗難対策に有効ですね。
自転車の価格も高くなれば、盗られたりしてもいいやという発想にもなりにくいですし、一石三鳥です!!


ってな感じでしょうか。
どうでしょうか。これ結構いいんじゃないですか?

え? どれにしてもお金かかり過ぎ…?

しゃあないじゃん…。



最終更新:2013年05月01日 20:57