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猫士設定文(仮)

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鍋の国の猫士 仮設定文

 にゃんにゃん共和国南国の島国、鍋の国。この国に暮らしている猫士は国民達の大事な友であり、お隣さん。そして和みであった。


 猫士は一見すると普通の猫であり、毛色に統一性はないため、いわゆる雑種に見える容姿をしている。しかし、厳密には猫ではない種族だが、猫を祖先とする種族であるため、容姿はほぼ猫である。大きさは最大でも1m程度のサイズであり、猫と共通点もあれば猫とは全く違う特徴も持っていた。

 まず、猫士は二足歩行ができる。そして猫と同じにくきゅうでありながらもその手で箸を持ったり、ハサミで紙をチョキチョキ切ったりする事ができる。また四足歩行も自由にする事ができ、個体によっては四足歩行を好む者、二足歩行を好む者など個人差がある。

 性格も人のように多種多様。それこそ趣味がお買い物に料理となれば手に物を持つ為に常に二足歩行という者もいれば、四足歩行でノッシノッシお散歩大好きといった者もいる。
 また、猫士は人の言葉を理解する知性がある。人の言葉を話すには訓練が必要な為、猫士によっては喋ることができたり、反対に微妙に舌足らずなどの理由によりできない者もいる。お買い物をするならば人との会話は必須ではあるが、ただお散歩するだけならば人の言葉は特に必要ではない。生活スタイルによって習得スキルが違うという事である。このように、料理や裁縫、スポーツに読書など猫士によって趣味、特技、嗜好は変わってくる為、生活模様は人のように複雑である。なお、猫士同士の会話には猫語を使用しており、その為、互いの意思疎通は容易に行える。



 そんな猫士達は猫の様なかわいさを持っている。それもそのはず、見た目はもふもふの猫なのである。その為か、鍋の国で時々見られる猫士の姿に鍋の国国民はメロキュン。猫士の姿を見ると今日もニコニコ和やかに過ごせる、猫士は見ているだけで癒されるといった大多数の意見があり、色々な食材を試食する鍋の民においてはあの子達は観賞用であり、また隣人であり、共に国を支える大切な人類の友であるという認識があり、無闇に食用として狙われたり扱われるようなことはない。



 鍋の国の猫士の公務は多岐に渡る。警官、医師、パイロットなど……。そんな様々なお仕事をスムーズにこなす為に各猫士には専用の装備アイテムが支給されている。服のサイズは人と同じ物では大きすぎる。それと同じ様に各種装備においても猫士が使うのに向いている大きさのモノを用意しているのだ。医師の医療道具や海兵隊の銃、警官の警棒など、様々なアイテムが猫士サイズ、また猫士の手にジャストフィットするように特注で用意されており、職場で使用できるように保管されている。こういったアイテムは鍋の職人さんが一つ一つオーダーメイドで作ったものであり、猫士達がスムーズに公務を行う事ができるようにと随所に工夫が込められている。

 そんな専用アイテムは服や手持ち道具だけでなく意外な所でも用意されている。それはI=Dや装甲兵員輸送車の収納ハンガーにある。それは猫士用シートである。
 鍋の国が作成しているI=Dは共和国共通I=Dな為、人や猫士も想定した上で開発が行われており、ある程度の身長差といったものはカバーできるように設定が行われている。しかし、人と同じく猫士にも身長、体重には個人差がある。公務でI=Dや装甲兵員輸送車に乗る機会が多い猫士達により安全に、より快適に乗ってもらう為に調整した猫士用のシートが猫士ごとに用意されている。また、報告書を作る際に使用するキーボードなども猫士の手(にくきゅう)でも使いやすいようにサイズを調整した物が用意されている。
 猫士達が行う公務は国の重要なライフラインや人を守る仕事が多い。だからこそ、日常の不便さでストレスや疲れがでないように、より快適に公務が行えるように用意されている。

警官や医師として警察署や病院に配置される猫士達においては、人と共に立派に仕事を務めている姿が一般国民の目に触れやすい。また、猫士ということを最大限に活かした仕事をこなしたり、そんな猫士達を見ている国民は国のライフライン、生活の基板を人と共に守っている彼ら彼女らに対してメロキュンだけではなく、感謝の気持ちを持っている者も多い。猫士用装備を用意した政庁や職人達はそんな猫士達への感謝と敬意を込めて、今日も専用装備のメンテナンス、管理を行うのであった。
猫士達の公務は様々な勤務がある。警官、医師、パイロット、海兵隊。編成勤務もあれば、国有施設(警察署や市民病院)への勤務など活動範囲は広い。そんなそれぞれの部署の装備品や支給品が個別各種用意されているという事、またいつでも使用できるようにメンテナンス保持されているという事から自分達への信頼の気持ちを感じている。


 そんな猫士達にも共通の嗜好がある。それは鍋料理である。鍋の国だからゆえか、鍋の国だから当たり前なのか、猫士達の食事においても主食は鍋である。鍋といえば猫が食べてはいけないネギなどが食材としてあるが、猫士は猫ではなく、猫士である。人と生活様式が近い種族だからなのか、ネギを始めとする猫が食べられない食材も猫士は摂取する事が可能であり、また猫士によっては自分で料理をして食べている者もいる。(もちろん本人の性格もあるので料理が苦手な子もいる)。また彼らも食べ物の大規模科学研究結果を参考にしており、猫士自身も周囲の人も、猫士の食べる物には気をつけながら食生活を送っている。


 また彼らは猫を祖先にもち、猫に近い種族だからなのか、身体は柔軟にできており、鍋の国特殊部隊のような飛び蹴り、でんぐり返しや高所から飛び降りたときの衝撃吸収、聴覚が人より優れており、バランス感覚に秀でているなどの猫の特徴を備えている。
 反対に猫の弱点も一部持っているのか、猫舌である。その為、鍋の国主流の熱い鍋は食べられない。冷ました上で食べるか、お椀に入れて冷めるまで待つかである。最近では料理のできる猫士は自分が食べられる適温の鍋を作るコツを覚えたらしく、そのレシピ本を出した者もいる。このレシピ本は鍋の国国民の中に少数とはいえ存在する猫舌持ちの人々の中で称賛の拍手を持って迎えられ、ちょっとしたブームとなっている。




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SS:猫士先輩と学生の交流会(仮題)




「今日が天気で良かったぁ。課外授業なのに雨降ったりしたら悲惨だもんなぁ」

「そうか? 雨は雨でいいと思うけどな、というか課外授業と雨関係あるか?」

 猛の疑問に先頭をスキップして歩いていた雷太が振り向いた。

「何いってるんだ? 雨に濡れるとにゃん……もとい、猫士の皆様が嫌がるじゃないですか」

「あ、そうなの」

 力説する雷太にちょっと引き気味の猛。

「一般的に猫が水に濡れるのを嫌がるのはわかるが……猫士の方々までそうとは限らないんじゃないか?」

 僕の言葉にチッチッチと指を降る雷太。

「わかってない、わかってないねー真人君は。にゃんこにとって水は大敵なんだよ大敵。不機嫌になるにゃんこ様はそれはそれでスバラシイけど、不快にさせちゃぁいけないなぁ」

 環境によっては水を嫌がらない場合もあるわけだが……とか思いつつも、あえて反論はしない。雷太は猫に関係する事柄になると話が長くなる。どうやら猫士の方々についても愛すべき存在という認識のようだ。

「……ああ、でも水もしたたるにゃんこ様はそれはそれでスバラシイ」

「……ほっとくか?」

「同意だな」

 雷太を置いて、僕と猛は待ち合わせ場所である鍋の国メガネ公園へと向かった。







「メイ、チャオ。はやくするにゃお」

 玄関からネネの声が聞こえる。いつものコトではあるけれど、もう少し落ち着きを持って欲しいものね。

「にゃー」(了解)

 靴を履く私の前を通り過ぎるメイ。あの子は靴も履かないし、四足歩行を好む。まぁもう少しオトナになったらおシャレにも目覚めるのかもしれない。

「ちょっとまってー。まだ最後のチェックが」

 ネネに一声かけると、私は最後のチェックと荷物の中身を点検する。折りたたみのカサに座るためのシート。水筒にニボシ、ウメボシも忘れてはいけない。天気が良い時は水分塩分お忘れずにというヤツだ。

「チャオはにゃにやってるの?」

「にゃーお」(出かける前の忘れ物チェック、毎度の事だけどね)

 呆れるメイとネネ。友人待たせても荷物の確認は大事。事前準備は入念に。カバンが終わったら今度は服のポケットを確認、確認し過ぎて悪い事はない。

「ハンカチとハナカミOK。カメラもOK。お茶代……相手オトコノコなのよねぇ。お茶代ぐらいは出してもらえるとは思うけど……一応持っていくかなぁ。」

 ちなみにカメラはまぁ、記念写真? と思うかもしれないけど、これは公務。証拠写真は必要です。パイロット候補生の人と一緒に写真とって今日の報告書にテンプするのが今日のお仕事。メガネ公園の遊具を撮るのにも使うけどね。公私混同ではなく、臨機応変、それこそレディは寛容でなくっちゃ。

「チャオー、早くいかにゃいと遅刻するにゃ」

「にゃーにゃー」(チャオ、入念な準備は別にいいけど三回もする必要はないと思うわ)

「ハイハイ、準備OK……さ、行きましょうか」

 最後にカメラをカバンに入れて出発進行。メガネ公園に行くには歓楽街……って写真の撮りがいのありそうな場所……。観覧車とかもあるしなー。

「ねぇねぇ、ネネ、メイ。寄り道しない? メガネ公園に行く途中にお店とか一杯あるし」

「にゃーお、にゃーお」(あの当たりは観光客も多いから見るだけでも楽しいわね)

「駄目にゃ! 寄り道にゃんかしてる暇はないにゃ。相手が待ってるんだから急ぐにゃよ」

「ふにゃー」)(正論ね。お仕事終わってからの方が時間はあるわ)

 正論なだけに攻略の余地なしか。仕方ない……。

「じゃあ、帰りによりましょ ね?」

「にゃにゃーん」(賛成、ちょっとした気晴らしになるわね)

「まったく、仕方にゃいわねぇ」









「まだかなまだかなー」

 待ち合わせ場所に着いた途端に雷太は騒ぎ始めた。

「楽しみにするのはいいけどよ。落ち着いたらどうだ? そんなんだと質問しようと思った事だって忘れちまうぜ?」

 猛の言葉に雷太はブツブツと呟き始めた。

「……そうだな。どんな事を聞くか……趣味を聞いて今後交流する機会を持つか……いやいや、むしろ写真を一緒にとってもらうとか……」

 雷太の反応はパイロットとして活躍する事もある猫士の方々から実戦等の体験談を聞くという気がまったくないように思える。ある意味予想通りではあるが、今の雷太は鍋高パイロット科の雷太ではなく、猫士ファンククラブ会員としての雷太といった所であろうか。

鍋の国国内には猫士ファンクラブがある。実際に所属した事はないが、雷太の言葉によると「ファンは理由もなくみだりに猫士に会いに行ってはいけない」といったような決まりがあるらしい。その為、公然と猫士の方々に会いにいけるという機会を皆待ち望んでいるらしい。
今回のような猫士の方々との交流の為の課外授業というのは立派な理由に当たるという事であろう。交流の為の課外授業は猫士の方々とだけ行われるわけではない。様々な職業の方と実際に交流を行い、知識を深めるという目的のあるこの授業は代表生徒が話を実際に聞き、発表する形になっている。各生徒かならず一度は交流する形になっている。そんな交流授業の中でも猫士の方々との交流会の代表選出の競争率はとても高い。
授業という面で見ると鍋の国の生活、軍事面で活躍する猫士の方々と実際に交流し、生徒の発表会を通じて生徒たちに猫士の方々を身近に感じてもらうという趣旨もあるが、鍋高、特パイロット科の学生にとっては現役パイロットの体験談を聞くチャンスでもある。

「雷太、少しは落ち着いたらどうだ……」

 雷太は猫士達との交流会の代表生徒に選ばれる事を望んでいた。皆、いずれかの交流会に参加する事が決まっており、交流生徒は立候補で決まる。しかし、人気のある交流授業の代表選手は枠より多くの生徒が集まる。その時はクジやジャンケンで代表選手が決まる。ある意味運次第ではあるが、パイロット科においては運も大事だとそういう方法が取られている。(調理科だと味勝負をするらしく、それが一つのイベントになっているらしい)
そういう意味では運で勝ち取ったとはいえ、あと数分もすれば実際に会えるという意味で緊張になるのも仕方ない。自分や猛も目指しているパイロットでもある猫士の方々に会うという意味で少なからず緊張しているからだ。

……そういえば、もうすぐ会うという意味では身だしなみにも気をつけないとな。先程まで歩いていた事もあり、少し眼鏡がズレていたので指で調整を行う。服は普段から気をつけているので問題はなし。猛にも注意した方がいいだろうか? 身だしなみを気にしない……というわけではないが、今回会う方々は資料によると猫士のメス、つまり女性である。女性の前にだらしない格好を見せるというのは常識を考えるとあまり喜ばしくはない。

「なぁ、真人。その眼鏡サイズ合ってないのか?」

 猛に注意を促そうとする前に向こうから話しかけてきた。しかし、なぜ急に眼鏡のサイズ?

「? なぜ急にそんなことを?」

 この眼鏡は普段からしており、猛も見慣れた物である。まぁそこまで注意して見ているかどうかまでは知らないが……そういえば、以前美影さんが舞踏子の証であるガーターベルトを身につけた時も一ヶ月程気付かなかったが……もしかして眼鏡を買い換えたとでも勘違いしたのだろうか?

「癖になってんの?」

「???」

 癖? 眼鏡を買い換えるような癖はないぞ? まぁ予備の一つや二つは所持しているが、猛の前ではいつもこの眼鏡を使用していたはずだ。

「……猛。気のせいかどうも勘違い、というか方向違いな事を考えてないか?」

 猛の思考はトキドキ読めない。そこが面白い所でもあるが……。

「大丈夫だって、内緒にしておいてやるからよ」

 ここで素直に理由を聞ける性格ではないというのが自分でも欠点だというのは自覚している。わざわざ内緒にしてやると言われたのだ。何か自分にとって内密な事でも知られたのだろうか? どうやら、今夜も猛の言動を考えて寝付けない夜を過ごす事になりそうだ

「おおー!」

 思考の渦に飲まれようかとしていたその瞬間、雷太の大声が響き渡った。雷太の視線を追うと、まぁ大声を出す原因はわかった。公園の入口に猫士の方々の姿が見えたからである。授業である以上、思考を切り替えよう。猛の事はあとで考えるのみである。









 結局寄り道もせず、待ち合わせ十分前に公園にたどり着いたと思った瞬間の事であった。

「おおー!」

 公園の奥から大声が響き渡る。声の先には人間の男の子が三人。資料によると今日会うのは三人組の男子生徒である事、朝に公園に来る学生ぐらいの若さの三人組。恐らくは彼らが待ち合わせ相手の生徒であろう。

「なんだか、元気少年がいるわねぇ」

 あえて、口に出したくなるほど……大声を出した少年が飛び跳ねるように、というか本当に飛び跳ねるとこちらに向かって走りだした。顔を真っ赤にし、全速力でこちらに走ってくるその姿は好ましいものである。時々こういった顔を真っ赤にして私達猫士に話しかけてくる人達がいる。彼ら彼女らは緊張したり感動していたりするのでこっちも照れるが、まぁ好意を向けられるのは悪い気はしない。

「なんだか、元気にゃ子がいるわねぇ」

 ネネが私のマネをする……まぁ、それだけ元気っ子だと思ったのだろうけれど。

「それ、私が今言ったセリフなのだけれど……」

 一応つっこんでおく。そんなやりとりをしているうちに元気少年が目の前にやってきた。

「は、はじめまして。オ、僕は鍋国雷太と申します。本日はよろしくお願いします」

 敬礼をしつつ行った挨拶にピクっと反応した私を他所に、ネネがまず口を開いた。

「これはご丁寧なのにゃね。にゃーは岩鍋 音祢にゃ。」

 ネネの挨拶に雷太君が目を輝かせる。が、私の返答でさらに輝くんだろうなぁっとこっそり微笑みつつも、挨拶をかわした。

「私は鍋国 茶緒。同じ名前とは奇遇ね。わかりにくいだろうし、私達の名前は下の方で読んでくれていいわ」

「は、はい!」

 これぞ、ハイテンションとばかりに浮き足立っている雷太君。というかこの子わかりやすい子だね。

「にゃー」(初めまして、私は岩鍋 芽衣。本日は宜しくお願いします。ってことで誰か翻訳してあげて。)

「あ、この子は人の言葉話せないのよ、メイって言うのよろしくね、だって」

 メイの挨拶を簡単にする。あまり畏まっても相手緊張するだろうしね。不満そうなメイには後で言っておこう。メイは人の言葉を喋るのが苦手であり、代わりに読み書きを重視しているので人の言葉を話さない。というか練習もしていない。まぁ、よっぽど不便なら覚えるだろうしね。

「は、はい、今後ともよろしくです」

 雷太君の挨拶が終わった頃には残りの二人の男の子もこの場へとやってきた。どうやら雰囲気的には自己紹介をしあっているのは聞こえていたようだ。

「声は聞こえていたので今度は僕達が自己紹介しますね。自分は鍋木真人です。同じくこちらも下の名前で呼んで頂ければ、と思います」

「オレは火鍋猛。よろしくな!」

 ふむ、この二人はわりと落ち着いている。今回はパイロット科の生徒との交流会なのでおそらくはパイロットとしての話を聞きたいといった所なのであろう。しかし、火鍋猛に鍋木真人……友人から聞いた事ある名前と同姓同名ってことは……。

「にゃーにゅにゃ」(それじゃあ、確実に話は長くなるだろうという事が想像できる事を踏まえて、そこにある喫茶店にでも行ってみたらどうかって提案してみるのはどうかしら?)

「それはいい考えね、ねぇ、メイが言ったのにゃけれど、詳しい話はそこの喫茶店でおこにゃわない?」

 メイの言葉を今度はネネが翻訳する……というか私も人の事は言えないけど、結構アバウトな翻訳ね。

「ああ、それはいいですね。こちらとしても発表を行わなければならないのでメモ帳等を置けるテーブルがあるのは助かります」

 真人君が代表して返答した。向こうとしても同じような考えだったようだ。うむ、わりと計画的な子達だ。私達は公園の前にある喫茶店へと場所を移した。








「にゃー」

「そうね。頼んだ飲み物も来たことだし始めましょうか、じゃあまずはあなた達の本分、パイロットに関連するお話から……でいいかしら?」

「「宜しくお願いします」」

 メイさんの言葉はよくわからないが、猫士の方々……今回のお三方は全員女性なので彼女達ではあるが、彼女達の中ではわりと提案、参謀的な位置づけなのだろうか?

「ひとまずはパイロットの話」という切り出し方から彼女達がこういった交流会に慣れていることが伺える。猛が質問をメモしたノートを取り出したのを横目に僕はメモ帳を取り出した。雷太がどうせ役に立たないであろう事は予測済みである。質問は猛に任せ、その返答や気づいた事とかを僕はメモるつもりである。パイロット候補生という小さいグループの中ではあるが、僕は猛のパイロットとしての実力を評価している。役割分担は重要である。

「では、最初の質問なのですが……」

 猛の言葉とそれに答えるネネさん。ネネさんは今回、パイロットとして編成されているらしく、軍務上、現在の作戦内容は言えないが、当たり障りの無い最新のパイロット事情や現在の整備環境等を教えてくれた。補足はメイさんとチャオさん。交流会の代表の資料は予め渡されている事を考えるとチームワークの大切さを思わせてくれる。
こっちはといえば、猛と僕はともかく、雷太は彼女らにいわゆるメロキュン状態といって差し支えはないだろう。まぁ、もっとも、パイロット科の交流会だからといってパイロットの話だけを聞く……というわけではなく、他の話も聞かなければならない。僕や猛はパイロット関連の質問をするだけでめいいっぱいであろう。そういう意味では雷太がその他の質問を担う事により、こちらもまたチームワークを発揮している……という風に見える……のは難しいか、どちらかというと無理やり自分で納得しているだけのようなものだし……。










「そういう展開もあったりするにゃ、最近導入された狼群戦術においてもそういった事に気をつけた方がいいにゃね」

「なるほど、実戦ではそういう事も起こりうるのですね」

「すっげー参考になったぜ」

 ネネが実際に演習で運用された狼群戦術を説明している。編成されているといっても出撃だけでなく、時には演習も行う。鍋高のパイロット科でもシミュレーションは行うだろうが、本職のパイロットだからこそ気づく面、ちょっとしたコツといったものもある。そういった部分も大事であるし、どんな事でもいつも同じであると思うのは危険な事でもある。

「そうね。同じ名称の機体でもちょっとした癖がついていたりするからそのあたりは要注意ね」

 パイロットとして訓練しているならば、こういった事も承知している事であろう。しかし、話が一段落したその時だからこそ、当たり前な事にも気をつけてとメッセージを送る。彼らはその想いを受け止めたのか、しっかりと頷いた。

「あ、あの! 御三方に質問があります!」

 話が一段落したからだろうか、今まで発言していなかった雷太君が声を出した。

「にゃ?」(唐突でいきなりね)

「あら、にゃんかしら?」

「どうぞ、って別に畏まらなくてもいいですよ」

 メイの言葉は理解できていないとは思うが、それでも聞き方によっては嫌味にも聞こえる言葉なのでフォローとして質問しやすいように声をかける。

「は、はい。ご趣味はなんでしょうか?」

 今までパイロットとしての話をしていた所にこの質問。微笑ましいといえば、微笑ましい。折角の交流であることだし、こっちから聞きたい事もあるので丁度良いといえば良い。でも、微妙にまだ、緊張しているわね……。

「にゃー」(なんだか、色んな意味で面白い子ね)

「趣味ねぇ、私は散歩かにゃぁ。あ、メイは読書だっていっているのにゃ」

 答えていないメイ……まぁ答えるつもりだったというよりは、ある意味呆れた言葉が出ただけかもしれないけど……それをフォローするネネ。まぁ、それはともかく、私は良いタイミングだし、聞きたい事を聞いておこう。

「私は……そういえば、猛君と真人君?」

「はい?」

「なんでしょう?」

 唐突に名前を出した事もあり、キョトンとする猛君と真人君。ちょっとすねる雷太君には少し待ってもらおう。

「あなたたちの知り合いに美影ちゃんって子はいる?」

「美影? チャオさん美影の知り合い?」

 猛君は私の予想通りの火鍋猛君のようである。美影ちゃんというのは鍋乃坂美影という名前のやはり同じく鍋高のパイロット科の生徒である。

「ああ、やっぱり知り合いなのね」

 私の趣味はコイバナである。いわゆる人の恋に興味津々。惚れた腫れたといった話の展開大好きっ子といえる。
以前、猫士の友人の鍋山 トラちゃんに彼らの事を聞いた事がある。トラちゃんはウワサ話が好きでメルトモ一杯、情報通な子。私の好きな恋の話にも乗ってくれる子でもあり、彼女から色々と得る情報も多い。そんな情報の中に火鍋猛、鍋乃坂美影、鍋木真人の三角関係という話があった。同じく鍋高のパイロット科という話だったので確実であろう。これはさりげなく状況を聞けるチャンスか?

「えーっと、チャオさん? 美影さんとお知り合いですか?」

 溜息をつく真人君。なかなか勘が良い。というか、私の態度的に読んだといったところだろうか? しかし、この三角関係は火鍋猛君が鈍いという事からなかなか進展しないという事だしなぁ。あまり私の手によって急激な変化というのは好まないのだけれど……。

「え、ああ、えーっと知り合いに聞いたというか、まぁ貴方達の関係というか、まぁなんというか……」

本人達に言うことじゃないしなぁ、どう説明しよう……

「つまり、美影の知り合いの知り合いなのか」

 私が悩んでいると猛君が結論を出した。っていうか、私、トラちゃんとは知り合いだけど美影ちゃんとは知り合いじゃないよ?

「つまり、チャオさんの趣味はコイバナ……ですね。お知り合いの方も同じく」

 溜息をつく真人君。彼にとってはきっと三角関係はもどかしいけど、親友と恋の板挟み状態……きっと、急激な変化は好まないのだろう。

「う、うんそうなの」

 真人君にバレるのだけなら問題はないのだけれど、猛君に気づかれるのはなぁ……どうしようか?

「コイバナ? ああ、チャオさんだけでなく美影の奴もコイバナが好きなのか」

 は?

「いや……まぁ、それでいいよ。今はまだ……」

 猛君の言葉に深く溜息をつく真人君。いや、まぁ話の流れを勘違いしてくれる事に関しては感謝だけど、そういう風に勘違いする?


「チャオさん。その知り合いの方というのは? もしかしてその方も……」

 横にいた雷太君は真人君と同じく真実というか答えに気づいたのか、こっそりとこちらに話かけてきた。しかし、トラちゃんの事を聞いてくるとは彼もコイバナ大好きっ子なのだろうか?

「え、ああ。そうよ、私と同じ猫士友達のトラちゃん。ウワサ好きなのよ」

「じゃ、じゃあ、三人の事、報告するので今度一緒に会いませんか?」

 どうやら彼もコイバナ大好きっ子だったようだ。うんうん、コイバナに男も女も関係ないものね。趣味が通じる相手というのは楽しい。なんといっても共通の話題で盛り上がれるのだから。

「あら、いいわね。じゃあ、これ私のメールアドレスね。彼女にも連絡しておくから詳しくお願いね♪」

「はい!」

 雷太君も共感したのかとても良いお返事を返してきた。これはなかなかに楽しい友人ができそうだ。



 交流会も無事終わり、私達は雷太君達と別れ、帰りの道を急いでいた。わりと話し込んでいたからか、既に夕方であり、寄り道は断念せざるを得なかった。まぁ私はトラちゃんに今日の事をメールしたかったので寄り道しなくなったのはいいことなんだけどね。しばらくメールのやりとりするだろうし……。

「そういえば、明日のお仕事はニャンだっけかにゃ?」

「にゃーお」(商店街の集会への参加だね。警官として警察署で勤務する事もある事から、商店街等での交友は必要不可欠。)

「商店街ならおやつはきっと乾物屋のおじさんがニボシを用意してくれているはずにゃ。楽しみにゃねぇ」

 トラちゃんと一緒に暮らしているブチちゃんとタマちゃんもコイバナにはわりと乗ってくれる方だから……これは雷太君の報告会は楽しみになりそうだ。私ははやる気持ちを抑えつつメールを送信した。後で報告を合わせた帰った後に報告書を作成しなければいけないにゃとネネにつっこまれるまでホンワカナゴナゴ今後の癒しタイムを想像して楽しんだのである。



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