21 :あしか♀:2007/01/09(火) 23:57:25.55 ID:P9SwaiTu0
妹「でも女さんが小さかった、っていうのは想像付かないな」
女「私は生まれた瞬間からでかいのか」
妹「そこまでは言わないけど、どの世代でも大きかったんじゃないかって思ってたから」
男「昔の写真、一枚だけあるから今度見せてあげるよ」
女「なっ、いつのだ!?」
男「ほら、姉がカメラで遊んでたあの時の」
女「アレが現像されていただと…ダメだ妹さん。絶対に見てはいけない」
妹「えー、いいじゃん」
女「いや、私にも恥ずかしい過去というものはあるんだ」
男「明日持ってくるよ」
妹「楽しみだなぁ、女さんの昔の写真」
女「妨害してやる。朝会った瞬間ボディチェックだ」
男「いつもやられてばっかなんだから、偶には僕がやり返したっていいだろ」
女「…そうかそうか。なら私も、お前の昔の恥ずかしい写真を持ってきてやる」
男「そう言えばそっちにも何枚かあったね…」
男・女「「ふふふふ……」」
妹「そんな火花が散りそうな睨み合いをするくらいなら、持ってこなくても…」


28 :イノゴン♀:2007/01/10(水) 00:06:31.07 ID:fkG5QKR20
女「妹さんもどうだ?いっそのこと、恥ずかしい過去暴露大会でもしよう」
妹「二人と何か計画すると、よく趣旨が変わるよね」
男「流石に昨日のはわざとじゃないよ」
妹「信じるよ?わざとだったら屋上から叩き落すからね?」
女「…あの大人しかった妹さんが懐かしいよ」
男「…落とされたら恨むからね、女」
女「わ、私か?私がいけないのか?」


34 :プテラノドン♂:2007/01/10(水) 00:22:27.63 ID:fkG5QKR20
妹「…でも、楽しいからいいんだけどね」
女「妹さん?」
妹「高校入ってから過ごしてきた今までより、二人と知り合ってからの日々の方が長く感じるの。やっぱり友達って、いいよね」
男「……」
女「…ただ騒いでるだけで、感謝されるなら、いくらでも騒ごうじゃないか」
男「騒いでるのは君だけ」
女「ほう、そういうことを言うのはこの口か」
男「いひゃい、いひゃい!」
妹「あはは、そうそう。こういうのが、私の毎日を楽しくしてくれてる」
女「…そんなストレートに感謝ばかりされると、照れるな」
妹「精神的な、おしくらまんじゅうなんでしょ?」
男「意外な押し方だね」
女「ああ、提唱した私も驚きだ」

女「そうだな。こうして、一緒に妹さんと保健室で騒げる時間は短いが、精一杯騒ごうじゃないか」
男「僕も。騒ぐのは好きじゃないけど」
妹「―――え?」


37 :プテラノドン♀:2007/01/10(水) 00:28:29.70 ID:fkG5QKR20
妹「時間が、短いって?」
女「…ふむ、妹さんには説明してなかったか」
男「君、クラスメイトにだって言ってないだろ」
女「あんな奴らは別にどうだっていい」
妹「学校の授業時間のこと、だよね?」
女「いや、違う」
男「一緒にいられる期間が、そんなに長くないってこと」
妹「え、そんな…どうして?」
女「私達はな、こうして保健室登校を始める前から、決めていたんだ」
妹「…なに、を?」
男「僕達は、一年が終わったら、違う学校に編入するんだ」
女「通信制度を実施している、○○高校にな」


89 :のらぬこ♂:2007/01/10(水) 07:58:54.84 ID:fkG5QKR20
妹「○○、高校?」
女「そうだ。この辺で通信制度があるのは、あそこしかないからな」
妹「どうして?」
男「これは僕の意思なんだ」
女「自分の力で、友人を作りたいらしい」
妹「…女さんは?」
女「男のいるところ、常に私ありだ。若気の至りなのは重々承知だ」
男「君は若気の至りがありすぎ」
女「うるさいな!全部お前に関わることなんだ。悪いのはお前だからな」
男「あれ?僕が悪いの?」
女「ふんっ……」
妹「…本当なの?」
女「…ああ。嘘じゃない」
妹「そっか」


90 :雷鳥♂:2007/01/10(水) 08:09:00.36 ID:fkG5QKR20
妹「そうなんだ…。寂しくなるね」
女「会えなくなるわけじゃないさ。休日になれば、いつだって会える」
男「ただ、毎日こうして話をしたりするのは、もう無理だけど」
女「君とはずっと友でありたい。だから、笑って見送ってくれ」
妹「大丈夫。二人がこんな学校もう二度と来ない、って思いたくなるようなお見送りをしてあげる」
男「それって見送る、じゃなくて追い出す、って言わない?」
妹「うるさいな!」
男「うわあ…、妹さんが女に毒されてる」
女「影響されている、なら許すが、毒されている、というのは許せんな」
男「ふぐぉっ!?」
女「そんなことを考え付く頭には酸素供給ストップだ」
妹「さ、酸欠になる前にやめてあげなよ…?」
女「…大丈夫だ」
妹「間を空けないでよ、不安になるってば!」
女「…死にはしない?」
妹「やめて!疑問系はやめて!」


91 :カンムリワシ♂:2007/01/10(水) 08:22:08.38 ID:fkG5QKR20
男「いい加減あっちの方にも顔を覚えられてきてるからさ。同情すらされてるんだよ」
女「本当にあったというなら、あっちの方々は大分フレンドリーなんだな」
妹「ていうか毎回何事もなく帰ってくるのが凄いね…」
男「責任者に見付かる前に、早く帰りなさい、って送り返してくれる人がいるんだ」
妹「どうでもいい人情物語だね…」
女「案外、そっちの方が簡単に友人が見付かりそうだな」
男「やめてよ、縁起でもない」
妹「あはは…、あ、ちょっとトイレに行ってくる」

ガラッ

妹(笑って見送ってくれ、か…。できると、いいけど。でも、今のままじゃ、きっと)
妹(私の周りは変わっていくのに、私だけは置いてけぼり)
妹「いかないでよ…、はなれるのは、もういや…」


93 :カンムリワシ♀:2007/01/10(水) 08:34:02.44 ID:fkG5QKR20
妹(涙の跡を拭いて、保健室に戻ったけど。今日一日、上手く笑えなかったと思う)

「ただいま」
妹「お帰りなさい」
「…なんだ、その人生が終わってるみたいな暗すぎる顔は」
妹「え、そう?」
「今から飛び降ります、って言われても違和感抱けない」
妹「失礼だなあ、元気だってば、ほら、にっこり笑顔」
「引きつってるぞ」
妹「…作り笑顔は得意じゃない」
「知ってるっつうの」
妹「なんでもないから、お兄は気にしないでよ」
「…ははあ、さてはお前」
妹「…なに」
「生理だな?」
妹「…お兄」
「正解だろ」
妹「デリカシーのない外し方をするお兄はカップ麺でも食ってろ」


95 :わし♀:2007/01/10(水) 08:44:24.58 ID:fkG5QKR20
「本当にカップ麺出しやがる」
妹「いいじゃんカレーなんだし、明日食べれば」
「ぷんぷんカレーの匂いがするのに、俺は味噌ラーメンとかどんだけだよ」
妹「妹に向かって『生理だろ』って聞くのはどんだけなの」
「や、それは、……すいません」
妹「お兄って、鋭いのか鋭くないのかよくわからないから嫌い」
「嫌いっておまっ…、せめてそこはいや、くらいで頼むよ」
妹「嫌い」
「…お前、機嫌悪い?」
妹「悪くありません」
「嘘吐け。今日なんかあったんだろ」
妹「何もないです」
「じゃあなんでそんな、泣きそうな顔してんだよ」
妹「何もないんだってば!」
「あっ、おい!」


97 :のらぬこ♂:2007/01/10(水) 08:55:11.09 ID:fkG5QKR20
コンコン
「出て来いよ」
妹「やだ。絶対やだ」
「さっきは悪かったよ。謝る」
妹「…そういうことじゃないの」
「何が」
妹「わからない?」
「わかんねえからこうしてるんだろ」
妹「馬鹿お兄」
「馬鹿とはなんだ!たしかに馬鹿だけど!」
妹「部屋の前でうろちょろしないで」
「ったくよ…、一応、心配してんだからよ、なんかあるなら言えよ?部屋にいるから」
妹「…馬鹿お兄」

104 :カンムリワシ♀:2007/01/10(水) 09:21:16.37 ID:fkG5QKR20
妹(馬鹿なクセに、勘だけはいいんだよね…)
妹(…あの時、お兄は私を怒らなかった。私がどうするべきかも言わなかった。ただ、自分の希望を言ってただけ)
妹(でも、それでも。お兄が言ってくれなかったら、私は保健室に行くこともしなかった)
妹(…言おう。全部)

コンコン

「遅かったな」
妹「…来るって思ってたわけ?」
「いや、ごめん、言ってみたかっただけ」
妹「…かえる」
「あー悪かった悪かった。ほれ、なんか言うことあるんだろ?」
妹「…うん」
「話してみろよ」
妹「あのね―――」


105 :わし♂:2007/01/10(水) 09:31:38.07 ID:fkG5QKR20
「俺が次にどんな言葉を言ってほしいかわかるか?」
妹「…ごめんなさい、今まで、嘘吐いてて」
「よし、偉い」
妹「偉くないよ、ずっと黙ってたんだし…。あと頭撫でるのやめろ」
「時折お前は酷い言葉遣いになるな…」
妹「あとでならいくらでも撫でていいけど今はダメ。お兄に撫でられると眠くなる」
「母さん直伝だからな」
妹「嘘おっしゃい」
「嘘じゃねえよ。こうしてこの辺をこうすると、お前はいつも泣き止んでた」
妹「…二人のお葬式の日も、そう言えばこうしてくれたね」
「あの時は、泣き止むっていうより寝ちまってたけどな」


106 :わし♀:2007/01/10(水) 09:40:05.00 ID:fkG5QKR20
妹「ねえ、お兄」
「ん?」
妹「私、頭の中がパニックでどうしたらいいのかわかんない」
「そうだろうな」
妹「このままじゃきっと後悔すると思う。でも、何も考えられないの」
「突然できた友人に慣れて、楽しい、ずっと一緒にいたい、って思った瞬間の不意打ちだしな、無理もない」
妹「どうしたらいいのかな…」
「さあな」
妹「相談に乗る気あるの?」
「ある。ただ、どうすればいいのか?なんて聞かれて、俺が答えを出してたら意味ないだろ?人によってそれぞれ答えが違うのに、一つにしたらダメだ」
妹「意地悪」
「前もそんなこと言ってたな」


107 :のらぬこ♀:2007/01/10(水) 09:49:36.54 ID:fkG5QKR20
妹「相談に乗るとか言ってるくせに、突き放すようなことばっか言うんだもん」
「しょうがないだろ。これが俺のやり方なの」
妹「相談とか絶対されないタイプだよね」
「案外されるぞ」
妹「そんなに面倒見よかったっけ?」
「主に金銭面で」
妹「こいつはお人よしだから、とか思われてるんだ」
「だから最近は貸してない」
妹「昔は貸してたの?」
「全て回収したらちょっとした値になるだろうな」
妹「典型的なカモ…」
「うっせ」


110 :カンムリワシ♂:2007/01/10(水) 10:07:05.34 ID:fkG5QKR20
「お前こそ相談に乗ってほしいのか?」
妹「何のためにお兄の部屋まで来たと思ってるの」
「そうだったな」
妹「また前みたいに関係のない話に逸れてるじゃん」
「逸らしてるのはお前。深く考えたくない話題に移った時に話逸らすの、悪い癖だぞ」
妹「…自覚してるよ。そういうことして、痛い目にあってるし」
「そういうことばっかしじゃ、この先大変になるぞ」
妹「うん…」
「ま、俺も昔は似たようなもんだったけどよ」
妹「そうは見えなかったけど」
「昔のお前にはわからなかっただけだ。今考えれば、ああ、そうだな、ってわかる」
妹「ふうん…」
「いかんな、俺も話を逸らしてしまった」
妹「お兄も人のこと言えないんじゃん」


111 :カンムリワシ♀:2007/01/10(水) 10:14:20.38 ID:fkG5QKR20
「…そうだな、一つ教えてやろう」
妹「何を?」
「少し前に、先輩と会ったの覚えてるか?」
妹「うん」
「あの人と俺にも、昔同じようなことがあったんだ」
妹「昔、っていつからの知り合いなの?」
「そうだよ。何だと思ってたんだ」
妹「てっきり単なる仕事の先輩かと思ってた」
「あん?俺と先輩は全く違う仕事をしてるんだが」
妹「そうなの?」
「中学の頃からの縁でな、その時ちょっとした罰ゲームで『あたしのことは一生先輩と呼べ』って言われてんの」
妹「そんなのを律儀に守るお兄もお兄だよ…」
「あの人も、多分忘れてるだろうな」


114 :わし♀:2007/01/10(水) 10:30:38.40 ID:fkG5QKR20
妹「…それで?」
「俺あの人に惚れてたもんで、同じ高校に行ったんだ」
妹「そういう衝撃的な話をさらっとしないでよ」
「間違えた、今も惚れてる」
妹「いらないよ、そういう訂正…」
「まあそうしたわけだ。先輩が『やっぱり来たか』って言ってくれたのは嬉しかったな」
妹「そういうところはさらっと流してよ」
「で、またつるんで遊び回ってたんだけどな、ある日先輩が、誤解からとある事件の犯人にされたんだ」
妹「お兄達、不良だったの?」
「馬鹿言え、真面目に勉強してたぞ、お互い。羽目を外せる時に、目一杯外しまくってたが」
妹「お祭り好きってこと?」
「そんなところだ。教師連中には、不良と同じように見られてたけどな。だから、先輩も誤解された」
妹「ふうん…」
「まあ誤解だから証拠があるわけでもないし、結局先輩は無実ってことになったんだけどな…」


117 :のらぬこ♂:2007/01/10(水) 10:41:18.33 ID:fkG5QKR20
妹「変な噂が立って居辛くなったとか?」
「まあ、そんなところだ。意外と傷付きやすいとこがあったからな、先輩は別の学校に行くことにした」
妹「過程は違うけど、似たような話だね」
「だろう。その時俺がどうしたか、わかるか?」
妹「…お見送り?」
「バカモノ。惚れた女がどっか行きそうになったら、追っかけるのが男だろ」
妹「そうかなあ…」
「とにかく、俺は一緒に転校しようとしたんだ」
妹「あ、そう言えば叔父さんに何か頼み込んでたね」
「そう。その時のことだ」
妹「でも転校なんてしなかったじゃん」
「そうだよ。止めろ、って言われたんだ、先輩に」


118 :ももんが♂:2007/01/10(水) 10:49:25.10 ID:fkG5QKR20
妹「ストーカーみたいでキモかったから?」
「ちげえよ!失礼だな!」
妹「じゃあ迷惑だったから?」
「…まー、多分そうだろうな。お前は金魚のフンか馬鹿、って言われたし」
妹「やっぱキモかったんじゃ」
「そのキモい奴にべたべた引っ付いてたら、キモいのが移るぞ」
妹「私だって世間一般からしたら、キモい性格してるよ」
「お前はな、可愛いけどオーラが地味なんだ。どんな美人でも常に暗かったら、全然そうは思えないだろ?」
妹「物憂げそうな態度がいい、とかあるんじゃないの」
「儚そうな印象と、いっつも地味で下向いてる暗さを一緒にするな」
妹「う…」


119 :カンムリワシ♂:2007/01/10(水) 11:02:57.57 ID:fkG5QKR20
妹「そ、それで?先輩に馬鹿にされただけで引き下がるお兄じゃないでしょ?」
「まあな。そしたら、先輩に言われたんだよ」
妹「なんて?」
「何が変わるんだ?ってな」
妹「……」
「『ちょっと違うとこに行く程度で、お前との付き合いは変わらない。どっちかが死ぬわけじゃないんだから、お前はお前で生きてろ』だとさ」
妹「乱暴な人だね」
「で、その言葉にわかりましたって頷いたわけだ」
妹「そっか」
「本当に仲が良ければ、離れても関係は続くんだ。まして学校が変わる程度じゃ、離れたとも言えない、ってことらしい」


120 :カンムリワシ♀:2007/01/10(水) 11:07:07.91 ID:fkG5QKR20
「そして俺と先輩の関係は未だ続いているということだ」
妹「片思いのお兄が追っかけてるっていう一方的な?」
「どうしてお前は俺を貶めようとするんだ!友人関係だよ!自分で言ってて悲しいけど!」
妹「学校が変わった程度じゃ、離れたとも言えない、か…」
「まあ、大学は先輩と同じとこに行ったんだけどな!」
妹「うわあ台無し」


121 :わし♀:2007/01/10(水) 11:22:34.63 ID:fkG5QKR20
「それで、お前はどうするんだ?」
妹「…ちょっと考えてみる」
「そうしろ。別に何がよくて何が悪いって話じゃないんだ」
妹「ありがと」
「俺はただ喋ってただけだ」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2007年01月10日 21:03