30 :たかな :2007/01/04(木) 01:22:06.42 ID:D6pQXmSm0
「諭吉がどうとかってレベルじゃねーぞ」
妹「いえ、ついつい」
「衝動買いは自分の金でしろ」
妹「だって他人のお金を無駄遣いするのって最高じゃない?」
「無駄遣いさせればさせるほど、今月の生活水準が下がるんだがな」
妹「今を楽しく生きられれば十分」
「根っからのキリギリスだな」
妹「快楽主義者って言ってよ、虫扱いしないで」
「けっ、お前なんぞキリギリスで十分だ」
妹「何それ、もっと妹を慈しんでよ」
「慈しんだら慈しんだ分、お前のダメ度は上がっていく。
甘えられる年代は終了だ」
妹「甘えさせてくれたことなんてないくせにー」
「そう思ってる時点でお前はかなりダメだ」
妹「人のことをあんまりダメダメ言わないでよ」
「流石に怒るか?」
妹「自覚してるんだから」
「自覚して尚それか!救いようがないな!」




31 :たかな :2007/01/04(木) 01:31:09.88 ID:D6pQXmSm0
妹「ところで、何処に向かってるの?」
「本屋。どうせここまで来てんだから、ちょっと見てこうと思ってな」
妹「………」
「期待の眼差しで俺を見るな」
妹「………」
「今日はもう何があろうと金は出してやらん」
妹「おーねーがーいー!」
「ダメだ」
妹「そこをなんとか」
「ならん」
妹「欲しい本が…」
「自分の金で買え。自分の金で」
妹「今月ピンチで……」
「今月はまだ始まったばっかだろうが!」
妹「ともかくおねがい!」
「ダメだったらダメだ。世界はお前の思い通りにはならねんだよ」
妹「私を中心に回ってるって」
「お前は幼児か」
妹「買ってくれなきゃ警察に突き出してやるんだから」
「泣いて喚くより酷い脅しだな!」
妹「この人痴漢です!って言われたくなかったら
  私にも本を買ってあげなさい!」
「満員電車じゃねえんだからよ……。何が欲しいんだ?」
妹「ハードカバーの」
「帰るか」




32 :たかな :2007/01/04(木) 01:47:23.88 ID:D6pQXmSm0
妹「本当に帰るんだ」
「これ以上たかられてたまるか」
妹「貧乏人!」
「はいはい貧乏人ですよ……お、あそこに見えるは」
妹「し、知り合い?」
「昼食った店を教えてくれた先輩。……おーい!」
先輩「おっ、奇遇だねえ」
「そうですね。俺、あんまり出かけたりしませんし」
先輩「相変わらず無趣味だな。そうだ、またそこら中連れ回してやるよ」
「丁重にお断りさせていただきます」
先輩「つれないな、こっちは本気で心配してやってるのに」
「もうこりごりですよ。手加減してくれるっていうなら付き合いますけど」
先輩「はっはっは、そりゃ無理だ。……ところで、そっちの子は?」
「あ、妹ですよ。いつも話してる」
先輩「ああ、この子が。本当に小さくて細いね。初めまして、妹ちゃん」
妹「……」
先輩「兄妹だねえ」
「俺もこいつも、人見知り激しいですし。ほれ、頭下げるだけでもいいから」
妹「……(ペコリ)」
先輩「うん、よろしく。それじゃ、あたしはもう行くよ。
デートのお邪魔にはなりたくないし」
「そんなんじゃありませんよ!」
先輩「はっはっは!必死になって否定するのはやめた方がいいよー!」

「ったく、相変わらず言いたいことだけ言って去ってく人だ」
妹「綺麗な、人だったね」
「ん?ああ、見てくれだけはな」
妹「……帰ろ」
「おう」




33 :たかな :2007/01/04(木) 01:54:14.52 ID:D6pQXmSm0
「急に静かになったな」
妹「久し振りにはしゃいだから疲れちゃった」
「……そっか」
妹「うん。……夕飯、おねがいしていい?」
「不思議な物が出来上がっても文句言わないなら」
妹「言わずに捨てる」
「一口くらいは食えよ!」
妹「食べてほしかったらまともな料理を作ること」
「立場が下だということを自覚してないらしいな」
妹「はいはい、何ができても毒喰らわば皿までの精神で挑みます」
「俺を一体何だと思ってんだ」
妹「……ゲテモノの作り手?」
「絶対美味いって言わせてやるかんな!」




34 :たかな :2007/01/04(木) 01:59:46.12 ID:D6pQXmSm0
妹「また手の込んだもの作ったね」
「やりすぎた。自分でもアホだと思う」
妹「見た目は合格、と」
「やめろよ、品評すんなよ」
妹「匂いもまあ問題なし」
「お前は何様だ。ったく、それじゃ、」
「「いただきます」」
妹「……どうしてこれだけのものを作れるのに、玉葱は上手に切れないの?」
「目が潤んで手元が狂う」
妹「拭いながら切りなよ……」




35 :こまつな :2007/01/04(木) 02:08:19.38 ID:D6pQXmSm0
妹「うん、美味しかった」
「当然だ。俺の料理の腕を甘く見るな」
妹「そうだよね。少し前までは、お兄の料理を食べてたんだしね」
「おうとも」
妹「よく謎の物体Xを食べさせられたけど」
「う、うるせえな、俺だって好きであんなの作ってるわけじゃねえよ」
妹「どうやったらあんなのができるの?私、一度もあんなの作ったことないよ」
「何処かで何かを間違えちまうんだよ」
妹「目測ばっかしてるから」
「いちいち測りながらやるのは嫌いなんだよ。
食べれるものだってできるんだから、いいだろ」
妹「そうだね。今は私が作ってるんだし」
「大いに助かってる。けど、どうして料理しようなんて思ったんだよ」
妹「花嫁修業」
「お前みたいなチビを貰ってくれる男がいるのか」
妹「むしろこういうのがいい!っていう人もいるんだから」
「……いや、絶対そういう男のとこには嫁がせねえ」




36 :こまつな :2007/01/04(木) 02:16:48.19 ID:D6pQXmSm0
妹「お兄」
「ん?」
妹「なにかデジャ・ヴュを感じます」
「奇遇だな。つか無駄に発音いいな」
妹「こういう時はどうすることにしたんだっけ?」
「言ったろう、公平にジャンケンだ」
「「ジャン、ケン、ポン!」」

妹「……納得できない」
「今回ばっかりは公平に決めたんだから、文句の付け所はないからな」
妹「また水風呂に変えてやろうか」
「逆恨みか!やめろよ!」
妹「しないよ、しない」
「本当だろうな」
妹「神に誓います」
「神、信じてるのか?」
妹「まさか」
「………」
妹「しませんってば」






37 :こまつな :2007/01/04(木) 02:25:31.31 ID:D6pQXmSm0
「普通の風呂って素晴らしい」
妹「だからしないって言ったでしょ」
「いつもそれくらい素直なら俺もストレス溜めずに済むのにな」
妹「溜まるの?」
「今日だけで、平日二日分は溜まった気がするな」
妹「カルシウムが足りないんだ。カルシウムを摂りなさい」
「牛乳は毎日欠かさず飲んでるっつうの」
妹「お兄の飲み方って親父臭いんだよね」
「バッ、おまっ、腰に手を当てて飲むのは最早義務だろ!」
妹「普通に飲んでよ。あとラッパ飲みもやめて」
「へいへい、そういう余計な一言が日々俺のストレスに……?」
妹「どうしたの?」
「おや?」
妹「……」
「牛乳のパックが妙に軽い。今朝飲んだ時はまだ半分以上あったってのに。
これは一体どういうことでしょうか、解説の妹さん」
妹「思うに、妹さんが風呂上りに飲んだんでしょう」
「おーっと、嫌がらせがないと思ったらこんなところに思わぬ伏兵ーっ!
兄、茫然自失、かける言葉も見付からないー!」




40 :こまつな :2007/01/04(木) 02:34:30.10 ID:D6pQXmSm0
「いいか、お前」
妹「またしても既視感」
「牛乳はな、俺の活力なんだよ」
妹「毎日飲んでるもんね」
「風呂上りに牛乳を求めるままに飲む。これは最高の快感なわけよ」
妹「お兄が腰に手を当てながら飲む理由が心で理解できたよ。あれはいいね」
「うん。だから、飲むなとは言わん。だが教えろ、どうしてあんな暴飲をした」
妹「チビとか言われたんでカルシウムを」
「引っ張るなよ。あんな軽口を引っ張るなよ」
妹「真剣に悩んでたんだよっ!!」
「え、そ、そうなんですか」
妹「だからね、お兄にとっては軽くても、私にとっては漬物石くらいに重たいの!」
「そ、そうなんですか」
妹「だから私はカルシウムを摂取しました!
いつか憧れのナイスバディになるために!」
「は、はい」
妹「お兄!」
「な、なんでしょう」
妹「明日から牛乳は二パック買ってきて!」
「わ、わかりました」




41 :こまつな :2007/01/04(木) 02:42:11.30 ID:D6pQXmSm0
「さて、妹や」
妹「その呼びかけキモい」
「うるせ。とりあえずこっちこい」
妹「んー」
「こら、コタツに潜らずに普通にこっちに来んかい」
妹「結果は変わらないんだから気にしない」
(……暖かくなったらすぐにしまってやる)
妹「で、なに」
「俺の膝に頭を乗せろ」
妹「ん」
「レッツ耳掃除」
妹「さようならブラザー」
「逃がさん」
妹「やめて!自分でやるからやめて!」
「前は見逃してやったが、今日はダメだ。お前に任せたら、
お前の耳は汚くなる一方だ」
妹「くぅ、膝に頭乗っけた時点で気付くべきだった……不覚」
「というわけだ、大人しく耳掃除されろ」




42 :こまつな :2007/01/04(木) 02:46:25.22 ID:D6pQXmSm0
妹「ん……あ、やっ」
「……」
妹「ふぅっ、あ、はぅぅ」
「……」
妹「あ、ん、ぁぁあっ!」
「……ほーれ、大きいのが出てきた」
妹「やぁ、そんなの見せちゃやー……」
「まだまだ出るぞー」
妹「んっ、くっ、ゃ、は、ぁっ」
「はいもうかたっぽー」
妹「おねがい、もうゆるして……」
「片方だけやっても気持ち悪いだけだろ」
妹「やぁぁ!!」

「……お前の耳掃除は疲れる」
妹「あー、スッキリ」




43 :こまつな :2007/01/04(木) 02:55:51.92 ID:D6pQXmSm0
「さて、寝るか」
妹「ういー」

「……お前の部屋は向こうだ」
妹「わかってるー」
「だから、お前の部屋はここじゃない」
妹「しってますー」
「それはお前のベッドじゃない」
妹「……」
「寝やがった」
妹「……」
「よい、せっと。こういう時は、こいつが軽くてよかったと思うな」

「よっと。明日は休みじゃねんだからあんま手間取らせるなっつの」
ギュ
「うわ、人の服握ってやがる。放せっての」
妹「うー……!」
「どんな夢見てんだよ、このちんくしゃ」
妹「……」
「……」
妹「……ふふ……」
「んっとに、どんな夢見てんだかね……」

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最終更新:2007年01月10日 20:54