30 :つまみな :2007/01/07(日) 00:06:01.51 ID:im0KE3TD0
「いいことでもあったか?」
妹「なんで?」
「何年お前と兄妹やってると思ってんだ。それくらいの変化はわかる」
妹「久々に兄らしいこと言ったね」
「馬鹿、俺は常に兄らしいっつうの」
妹「全然兄らしくないよ。人のことバカにしてばっかり」
「お前もだろ」
妹「まあね」
「…何があったにせよ、よかったな」
妹「…うん」

妹「でもね」
「なんだ」
妹「おかずはあげないよ」
「バレたか」




33 :つまみな :2007/01/07(日) 00:18:33.26 ID:im0KE3TD0
妹「ねえ、お兄の友達ってどんな人がいる?」
「俺の友達?聞いてもつまらんと思うが」
妹「教えてよ」
「…暇と金さえあれば飲みに行く連中が大概だな。
この間の先輩も、ここに含まれる」
妹「他は?」
「同じ趣味の奴と…あとは熱い絆で結ばれた同士だな」
妹「あ、熱い絆…?同じ趣味の人、っていうのとどう違うの」
「エクスカリバーとエクスカリパーくらい違う。あいつらとはなあ、
人には言えない苦楽をともにしたんだ」
妹「…怪しい関係?」
「どうしてそういう発想をする」




35 :つまみな :2007/01/07(日) 00:28:47.58 ID:im0KE3TD0
「だがどうして俺の友人関係なんて聞くんだ?」
妹「突然聞きたくなっただけ」
「わからんやつだな」
妹「わかるって言ったりわからないって言ったり、大変だね」
「わかることとわからないことが半々なんだよ」
妹「お兄は、私のこと何でもわかってると思ってたけどな」
「血が繋がってるから多少はわかるとこもあるかもしれんが、
俺は基本的に他人のことはよくわからねんだよ」
妹「鈍感、って言われたりとか?」
「そうそう。よくわかったなお前」
妹「そんな感じ、するから」




72 :ふき :2007/01/07(日) 08:13:43.30 ID:im0KE3TD0
妹「じゃあそろそろ寝るね」
「おう。あ、妹」
妹「?」
「友達は大事にしろよ」
妹「…えっ」
「できたんだろ?友達って呼んでもいい奴が」
妹「…うん」
「なら、お前はもう大丈夫だ」
妹「うん…おやすみ」






75 :ふき :2007/01/07(日) 08:28:30.77 ID:im0KE3TD0
妹「おはよう二人とも。朝早いんだね」
男「…おはよう」
女「ああ、おはよう。こいつが人込みを嫌うからな、必然的に早くなる」
妹「でも早く来て、暇じゃないの?」
女「勉強を教えているからな、むしろ足りないくらいだ」
妹「そんなに勉強してるのに…」
男「それ以上は言わないで…これでも少しは成果が出てる」
女「長い目で見ればな。考査の前にぎりぎり範囲に追いつく程度で
  毎回進んだら意味ないだろ」
妹「き、厳しいんだね…」
女「将来役に立たないだとか屁理屈捏ねて、目前の問題から目を逸らす
  ような奴だからな。私がこれくらい心を鬼にしなければ、進歩はない」
男「…常に鬼」
女「…二ページ追加。予鈴が鳴るまでにできなかったら、…わかるな?」




78 :ふき :2007/01/07(日) 08:40:17.37 ID:im0KE3TD0
妹「結局できなかったみたいだけど、どんなペナルティが待ってるの…?」
女「軽いことさ。放課後どこかで奢らせるんだ」
男「…軽い軽いと言いながら、毎回確実に四千円以上かかるんだけど」
女「それくらい厳しく行けば、反省して、少しは勉強に身を入れるだろ?
  言わば愛の鞭だ。悔しかったら私に飴を差し出させてみせろ」
男「大食らい」
女「妹さん、こいつは君にも奢ってくれるそうだ」
妹「そ、それはちょっと酷いんじゃ…」
女「気にするな。友達じゃないか」
男「それって僕のセリフじゃない?」
女「言うつもりだったのか、太っ腹だな」
妹「絶対違うと思うよ」
女「親睦を深める為の尊い犠牲だと思えばいい。行こう」
男「やっぱり僕のセリフじゃ」
女「言うつもりだったのか、太っ腹だな」
男「もうそれでいいよ」




80 :うど :2007/01/07(日) 09:03:55.76 ID:im0KE3TD0
女「しかしお前、私がほぼ毎日必死になって勉強を教えてやってるのに、
  どうして身に付かないんだ」
男「その時問題を解く、ということと、それを記憶する、ということは別」
女「そういうバカなことを言える能を勉強に回せ」
妹「やっぱり、私も教えるよ」
女「…お願いする。二人がかりでやればなんとかなるかもしれん」
妹「私に教えられることは少ないと思うけどね」
女「謙遜するな。妹さんは学年上位じゃないか」
妹「…え、そうなの?」
女「ああ、一時期はトップだったこともある。なんだ、自分のことなのに
  知らないのか」
妹「試験の順位なんてあんまり気にしてなかったから」
女「君がとても眩しい」
男「…同じく」




83 :うど :2007/01/07(日) 09:19:42.54 ID:im0KE3TD0
妹「でも、勉強ばっかりできてもしょうがないと思うよ」
女「早速男のやる気を挫くようなことを言わない」
男「最初からそんなものない」
女「言い切ったな。放課後覚えておけ」
男「…妹さん」
妹「わ、私?私が悪いの?」
女「悪くない悪くない」
妹「男さんのその無表情で声だけ悲しそうに言われると、
  物凄く悪い気がしてきて…」
女「申し訳ない、と言うよりは怖いがな」
男「ねえ女、君は僕を扱き下ろすために毎日を生きてるの?」
女「何を言う。これも一つの愛情表現だ」
男「なんという愛情表現…。明らかに嫌がらせにしか思えない、
  女は間違いなくS」




85 :うど :2007/01/07(日) 09:44:03.56 ID:im0KE3TD0
妹「つ、疲れた…」
女「こんなところか」
男「公式と英単語と文法が頭の中で禁断のフュージョン…」
女「ほら、疲れた脳に糖分だ」
男「マラソンの水分補給ポイントにしか見えない」
女「まだ昼なんだ、当然だろう」
妹「私、お昼食べてる…」
男「じゃあ僕も」
女「お前はダメ」
男「僕に何の恨みがある」
女「お前は常に夏休み最終日なんだ、勉強意外のことを
  している時間が惜しい」
男「…妹さん」
妹「わ、私もお昼後でいいや…あはは」




115 :レタス :2007/01/07(日) 18:39:16.68 ID:im0KE3TD0
グキュルルル…
妹(お昼も食べず、放課後になってしまった)
女「…よし、では行こう。昼抜きだからいくらでも入りそうだ」
男「財布の中身、そんなにない…」
妹「奢り、っていうのはわかるけど、何処に行くの?」
女「ふふ、うら若き乙女の放課後、と言ったら一つしかあるまい」
妹「色々あるんじゃないかな」
女「男みたいなことを言うな」
男「僕だったら、『君はアマゾネスだろ』って言ってる」
女「…オーケー、貯金ごとジェノサイドだ」




119 :レタス :2007/01/07(日) 18:49:32.68 ID:im0KE3TD0
妹「なるほど、ケーキか」
女「軽食も頼めるから、昼も兼ねられる」
妹「へえ…、知らなかったな、こういうお店があるなんて」
女「知名度は然程ないが、味は保障しよう」
妹「自信あるんだね。これでも私、ケーキには厳しいよ?」
女「ふふん、すぐにでも唸るさ」
妹「…あの、ところで男さん、財布と向かい合って何を…」
男「さようなら、皆。短い間だったけど、僕、皆と一緒にいられて楽しかったよ…」
妹(財布の中身全てにお別れを!?)




120 :レタス :2007/01/07(日) 18:58:37.29 ID:im0KE3TD0
男「…妹さん」
妹(あーっと本日三回目の『…妹さん』コールーーーッ!その縋るような声が何
  もかもを物語っている!私に救済を、救済を求めているようですッ!!)
男「……」
妹(しかし私にできることは少ない!女さんを止めることはまず不可能と
  見ていいー!ならば私が取るべき選択肢はーーッ!?)
妹「わ、私の分は自分で払うよ…」
男「あ、うん…。ありがとう…」
妹(期待していた答えとは違った模様!落胆を隠せないーーーーーッ!!!)
女「何をしている、こっちだ」
男「…行こう」
妹(人生に疲れきった中年サラリーマンの如き哀愁!!今、今!
  男さんの背中には間違いなくドナドナが似合うーーーーーッ!!!)




123 :こねぎ :2007/01/07(日) 19:07:01.78 ID:4bITkjvD0
この妹、実にノリノリである




125 :サニ-レタス :2007/01/07(日) 19:20:20.85 ID:im0KE3TD0
妹「ふわ、凄く美味しい」
女「そうだろうそうだろう。ここのケーキの素晴らしさを
  分かち合える友ができて嬉しい」
妹「男さん、ケーキ苦手?」
男「甘いものは全体的にダメ」
女「こいつは少し砂糖を多くしてしまった卵焼きも突っ撥ねるからな」
妹「じゃあ、辛党?」
男「辛いものも全体的にダメ」
女「少し胡椒が入ったラーメンも突っ撥ねるからな」
妹「…ちなみに、女さんは?」
女「どっちも余裕」
男「余裕でばくばく食べるね」
妹「そんなに食べそうには見えないけど…」
女「太りにくい体質、というやつだな」
妹(違う…これは間違いなく全て胸とお尻に行っている。特に胸、胸、胸!)
妹「くやしいっ…」
女「?よ、よくわからないがすまない」




127 :サニ-レタス :2007/01/07(日) 19:32:33.29 ID:im0KE3TD0
妹「うう、食べ過ぎた」
女「見かけ通りに小食だな、妹さんは」
妹「女さんみたいのは例外だよぅ、お皿が塔になってるじゃん」
男「回転寿司じゃないんだから…」
女「うむ、流石に食べ過ぎた」
男「僕は女を見てるだけで腹一杯になれたよ」
妹「私が一つ食べてる間に二つくらい行ってたよね」
女「昔からゆっくり食べる、というのが苦手でな。
  妹さんみたいな可愛い食べ方には憧れるよ」
妹「普通に食べてるだけだよ」
女「ふふふ…妹さんの小さい体が一生懸命にケーキを頬張っているんだ。
  あまりの可愛さに、思わず食べる手も緩んでしまったよ」
妹「ち、近い内に大きくなりますっ」
男「何を言う!」
バン!
妹「え、え?」
男「小さいことはいいことなんだ!わかる!?」
妹「は、はい?」
男「いつまでもそのままの君でいて!」
妹「は、はあ…」




129 :サニ-レタス :2007/01/07(日) 19:40:37.25 ID:im0KE3TD0
女「さて、そろそろ出ようか」
妹「うん」
男「お札達…」
女「安心しろ。流石にこれだけ食べて、全て男に負担させようとは思わん」
男「え…」
女「いつもの二割増しくらいだからな、私もいくらか出す」
男「お、女…!」
女「ほら」
チャリン
男「…女」
女「ん?百円じゃダメだと?欲張りだな、ほら、もう百円やろう」
チャリン
男「……」
妹(まさに外道…!)




131 :サニ-レタス :2007/01/07(日) 19:52:32.97 ID:im0KE3TD0
妹「…た、ただいま」
「お帰り。俺がお前にこれを言うの、久し振りだな」
妹「う、うん、そうだね」
「いや、なに、別に怒ってるわけじゃない。むしろ嬉しいぐらいだ」
妹「でも、お兄」
「皆まで言うな、俺が悪いんだ。お前は悪くない、ちっとも悪くないとも」
妹「…ご、ごめんなさい」
「何で謝っているんだお前は」
妹「だってお兄…、鼻水」
「そりゃそうさ!家の鍵を持ってないんだから、
家には入れないさ!鼻水も出るさ!」
妹「ご、ごめんなさい」




132 :サラダ菜 :2007/01/07(日) 20:03:59.65 ID:im0KE3TD0
「へくしっ!」
妹「ど、どうぞ、ホットミルクです…」
「余計な気を使わせて悪いな…っくしょん!」
妹「夕飯は野菜たっぷりのうどんにするね!」
「サンキュ、温まるな……っくしっ!」
妹「さっき急いでお風呂沸かしたから!早く入ってきて!」
「おいおい、大袈裟だろ。こんなんホットミルク飲んじまえば
瞬く間に…へぶばっ!」
妹「ああっ!ふ、ふきん!はいティッシュ!これで顔を!」
「悪いな。風呂行ってくるよ」
妹「ゆっくり温まってね!倒れないでね!」
「大丈夫、大丈夫」
妹「フラフラしてるって…」
「いや、これは眠いだけだ」
妹「間違いなく風邪の兆候!」
「大袈裟だろ、ぶえくしっ!」
妹「と、とにかく気を付けてね!」
「へいへい」




133 :サラダ菜 :2007/01/07(日) 20:15:45.18 ID:im0KE3TD0
「熱はないぞ、ほれ」
妹「本当だ…よかった……」
「大袈裟だって言ってるだろ。俺は今まで風邪なんて引いたことねーの」
妹「そうだけどさ、やっぱり心配じゃんか」
「いらんいらん、そんな心配するくらいだったら、その歳で彼氏の一人も
できないことを心配しろ」
妹「うっ……そ、それを言うなら」
「お兄だって、っつうのはなしな」
妹「なんで!」
「お前が一人前になるまでは、彼女なんかに現を抜かしてる余裕なんざない」
妹「それは過保護ってもんじゃないのー?」
「うっせ。大事にしてるんだよ」
妹「またまたご冗談を」
「腹立つやつだなあお前!」
妹「あんまし怒ると本当に熱が出ちゃうってば」
「出るかアホ!」

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最終更新:2007年01月10日 20:57