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~ザックセルVSスコープアイ~*②」


『シーア、逃げて!』
エイミが声を荒げて叫んでいた。 普段の落ち着きが一切見受けられないことから、かなり切迫した状況であることが容易に理解できた。
「こんな時に……!」
目の前には、自分が望んだ最強の敵がいる。
あともう少し、もう少しで決着がつく。
だというのに、体が動かない。
自分は、どうするべきなのか。
間違いなく、エイミは危険な状況にいる。
だが自分も敵と睨み合っている状況であり、迂闊に動けない。
自分は、どちらを優先すべきなのか。
答えは当然決まっていた。 それでも、それが正解なのか、自信がない。
迷っている時間はないとわかっているのに、身体は動かなかった。
堂々巡りの逡巡の中、目の前の敵が話しかけてきた。
『選べ、生死の選択だ。 お前はどちらを選ぶ?』
その言葉で、シーアは覚悟を決めた。
「言っただろ。 死に際はもう、見飽きたと……!」
機体を後退させながらグレネードランチャーを足元に撃つ。
「悪いが引かせてもらう。 それでも邪魔をするなら、殺す」
爆風でツエルブとの距離を離し、さらに爆炎で視界を妨げているうちに機体を反転してOBを起動。 機体が耐えられる限界の速度で戦線を離脱する。
「すまないエイミ、手間取った! 何があった!?」
先ほどから開いたままにしておいた通信回線からは、ノイズと衝撃音が漏れ聞こえるままで、呼びかけは一切なかった。
だがシーアの声が聞こえたことで、ようやくエイミが返事をした。
『ごめんなさい、シーア……こっちはもうダメだわ、あなただけでも逃げて』
若干の興奮を感じられるが、先ほどのようには狼狽していない。
だが、シーアはむしろ余計に嫌な予感がした。
「…輸送車が見つかったんだな? 勢力の詳細は?」
エイミの落ち着きを取り戻させるよう、できるだけ自分も落ち着いて状況を確認する。
『ステルスMT部隊、間違いなくナーブスの追跡部隊よ。 数は把握できてないけど、かなり多いわ。 だから逃げて』
ナーブスコンコード。 それはシーアにとって、仲間を殺し、自分を実験台にしようと弄び、機密を知るエイミを抹殺しようとした、最も憎い仇。
「何言ってるんだ、それなら俺は逃げるわけにいかないだろう。 すぐに行くから待ってろ」
『ダメよ、さっきの戦闘で消耗してるでしょう!? 私に構わないで早く逃げて!!』
一度覚悟を決めると、それを本当に貫き通そうとするのがエイミの良い所でもあり、短所でもある。
「ダメだ、あいつらに捕まれば君は殺されるぞ! 必ず助けるから、耐Gスーツを着て待ってろ。 絶対に外には出るなよ、いいな!」
『……わかったわ、待ってる』
こんなやり取りは、自分があの研究施設から脱走した時以来だろうか。
忌々しい記憶が、シーアの憎悪を誘発する。
「あのクズ共が……!!」
エイミを狙うのならば、容赦はしない。
近づく者は全員殺す。 それが、あの日誓った復讐。
「アルフ、ロック機能を元に戻してから狙撃モードを起動だ。 モニターに熱源フィルターもかけろ」
『了解。 ロック有効、狙撃用システムに切り替え完了。 モニター表示形式を切り替えます』
レーダーに反応しない敵が、熱源探知方式に切り替えた瞬間に一斉に表示される。
「多いな…数は?」
『現時点で確認できるのは30機です』
相当な数だ。 恐らく、ナーブスもここで自分達を捕らえるつもりだったのだろう。
それでも、対処できない数ではない。
残弾数が厳しいところだが、いざとなれば左腕のブレードがある。
もう1年以上も使っていないのが不安ではあるが、自信がないなどと言えるような状況ではない。
どんな手段を使ってでも、エイミを助ける。 それだけは絶対だ。
OBを起動したままの状態から、ほとんど姿の見えない敵を狙う。
スナイパーライフルのスコープによるズーム画面を覗き、敵機に照準を合わせる。
そしてレティクルの中央が敵機と重なった瞬間に、トリガーを引いた。
僅かに間を空けて、敵機が煙を噴き上げる。
素早く照準を動かし、エイミの乗るAC輸送車に近い敵から撃ち抜いていく。
次々と前方の味方が倒れていくのを見て、後続の部隊の動きが鈍る。
その後続の集団に向けて、グレネードランチャーを発射する。
着弾と同時に爆炎が舞い上がり、敵MTの数機が爆散し、その周囲の敵機も破片と爆風に吹き飛ばされる。 
いきなりの襲撃で敵部隊が怯んでいる隙に、ようやく輸送車まで辿り着き、その前に立つ。
「エイミ、無事か?」
『私は大丈夫よ。 でも気をつけて、このまま引き下がる相手じゃないわ』
「ああ、わかってるさ」
敵の性質はよく知っている。 自分を目にした以上、撤退することはありえない。
だが、敵はMTだ。 ACに対抗するには、数で圧倒するしかない。
それを考えて編成された部隊なのだろう。
だが、ただ数を揃えただけでは意味がない。
フィクスブラウが右膝を地につけて、耐衝撃姿勢を取る。
「アルフ、肩の武器の制御は任せる。 左を頼むぞ」
『了解です。 いつでもどうぞ』
アルフの返答と同時に、両腕のライフルのトリガーを引いた。
正面と右方向に展開している敵を次々に打ち抜く。
同時にアルフが肩のチェインガンとグレネードランチャーを制御して、正面と左方向に展開した敵を薙ぎ払っていく。
視界内の敵が次々に崩れ落ちて爆散する。 これではただの射的ゲームだ。
しかし、いくら倒しても次々に沸いて出てくる。  撃破数は既に40を超えていた。
まずい。 これ以上は対処しきれない。 弾が足りないのだ。
左腕にはブレードがあるが、これだけで捌ききるのは難しい。 ただ敵部隊を全滅させればいいだけではなく、輸送車を守りきらねばならないのだ。
これ以上は持ちこたえられそうにない。 危険を承知の上で、シーアはエイミに呼びかけた。
「エイミ、輸送車は諦める! フィクスブラウで逃げるぞ、こっちまで来れるか?」
『…仕方ないわね。 わかった、そっちに行くわ』
輸送車のドアが僅かに開き、エイミが外を窺う。
それを見てシーアが自機の前方にグレネードランチャーを発射して、爆炎で敵の視界を遮る。
「今だ、走れエイミ! アルフ、ハッチを開放しろ!」
『了解。 後部ハッチ開放。 機体の機動が制限されるので注意して下さい』
エイミが輸送車を飛び出し、フィクスブラウに向かって走り出す。
その間、敵には絶対に攻撃させてはならない。 吹き飛んだ岩や装甲がエイミに当たるとも限らないからだ。
フィクスブラウの持てる全ての火器で弾幕を張り、敵に攻撃する隙を与えない。
エイミがフィクスブラウに辿り着くまで、あと50メートル。
その瞬間、真横からの衝撃に、フィクスブラウが姿勢を崩して右に倒れてしまった。
「ぐっ……しまった、エイミは!?」
幸い、エイミに怪我はないようだった。 だがフィクスブラウの左200メートルほどのところに、1機のACが立っていた。
「ナーブスめ、レイヴンまで……!!」
敵ACは右腕にライフル、左腕にはブレードを装備し、肩にはロケットとミサイルという標準的な構成だった。
だが、その右腕のライフルは、フィクスブラウを向いていない。
その銃口は、フィクスブラウの50メートルほど後方を狙っていた。
「おい、やめろ……!」
トリガーに指がかけられる。
「やめろおおおおおおぉぉぉ!!」
ライフルが火を噴くその直前、青い閃光が敵ACに直撃した。
衝撃であさっての方向に弾が発射され、さらにライフルは壊れていた。
エイミの無事を確認しようと、後部ハッチから身を乗り出して外を見る。
「エイミ!」
エイミは無事だった。 だが、エイミの後ろには、信じられないものが立っていた。
「まさか……追ってきていたのか、お前……」
目の前に立っていたもの。
それは、つい先ほどまで戦っていた相手。 ザックセルの乗るツエルブだった。
『お前が守りたいものは、その子か。 ならば、最後まで守り抜け』
フィクスブラウの左に立ち、敵ACと向き合うツエルブ。
『こっちは俺が片付ける。 他は自分でなんとかしろ』
「言われなくとも、そのつもりだ」
ザックセルはそう言うと、EOを展開したまま敵ACへと接近していった。
的確にバズーカを命中させ、ショットガンで追い討ちをかける。
そこにEOからの青いエネルギー砲が加わり、一瞬にして敵ACはボロボロになっていく。
勝敗は既に見えていた。
「…エイミ、大丈夫か? 怪我は?」
「平気よ。 それより、こっちもじっとしていられないわ。 残りの敵を倒さないと」
「わかってる。 だが……」
わからない。 なぜ、ザックセルが自分を助けるのか。
助ける理由など、何もないはずだ。 何のメリットもない。
だというのに、なぜ自分達を助けたのか。 シーアには、それが何らかの意図があってのことではないかと疑うことしかできない。
「シーア、正面よ!」
「ちっ!」
ハッチを閉めてフィクスブラウを起き上がらせると同時、スナイパーライフルで正面の敵機の頭部を撃ち抜く。
敵MTのモニターがサブカメラの映像に切り替わる前に、チェインガンでとどめを刺す。
「敵MT、残り15!」
『残弾では対処しきれません。 ブレードの使用を提案します』
エイミとアルフが状況を分析し、最良の行動をシーアに伝える。
「仕方ないな…まぁいい、的当ての的を斬るだけだ。 問題ない」
残りの弾を全て撃ちつくして遠方の敵機を1機残さず撃墜し、残る敵MTは正面の3機のみ。
「エイミ、念のため酸素マスクをしておけ。 アルフ、ブレードとステルス以外の武装を全て解除しろ」
「わかったわ」
『了解。 武装をパージします』
背中の重い武装を降ろし、身軽になったフィクスブラウ。
「久しぶりだが、練習相手にはいいだろう……行くぞ」
ペダルを一気に踏み込んで、敵機へと急接近するフィクスブラウ。
今まで以上の速度に、敵機がまるで反応できない。
一瞬で横に回りこみ、右上段からの袈裟斬り。
「まず1機」
機体を後方に移動させながら旋回して、敵機の後ろから今度は左上段に構えたブレードを振り下ろす。
「次で終わりだ…」
フィクスブラウがブレードで斬り込んでくることを予想して、敵MTも左腕のブレードを現出させて構える。
その敵に、正面から向かっていく。
敵が踏み込んで斬りかかってくる、その瞬間。
フィクスブラウは敵機の左上に飛び上がっていた。
機体は当然、上から敵機を見据えていた。
「これで、終わりだ」
腕を水平に振り抜く。
そしてフィクスブラウが着地したとき、敵機の頭部は胴体から真っ二つになっていた。
『周囲に反応なし。 敵部隊の殲滅を確認』
「でもシーア、輸送車が……」
エイミの言葉で、後ろを振り返る。
そこにあるはずの輸送車は、破壊されて炎上していた。
フィクスブラウも冷却機能に異常があるため、長距離の移動は難しい。 完全に手詰まりだ。
「最悪だな……」
そこに、ザックセルからの映像付き通信回線のコールがかかってきた。
要求に答えて回線を開く。 両者の顔が、モニターに映し出された。
『そちらも片付いたか……まだ若いな。 お前、名前は?』
「……スコープアイ」
『なるほど、確か暗殺者と噂されていたな……歳は?』
「21だ。 それがどうした、関係ないだろう」
シーアはあくまでも冷たく、隙を見せなかった。
『いや、俺の予想以上に若く見えたものでな。 気になっただけだ。 その右目はどうした?』
はっとして、右手で右目を覆い隠した。
まただ。 戦闘になると、どうも自分の右目のカメラは紅く光ってしまう。
場合によってはまったく紅くならないときもあり、どんな条件で紅くなるのかは、自分でも把握していない。
言えることは、ズーム機能が付いているために非常に便利である、ということぐらいだ。
『……なるほど、それがお前の抱えているものか』
ザックセルが言い終わるや否や、シーアは怒りのあまりに叫んだ。
「黙れ、知った風な口を利くな! この程度で済んでいたなら、苦労はしないんだよ!」
『知人の死を見過ぎたか。 だから旧財団の関係者を追って、何らかの噂を聞きつけて俺に行き着いた、そうだな?』
そこまで見通されていては、黙っている意味もなかった。
「ああ、そうだ」
『そうか……確かにお前の言っていた通り、俺の過去とお前の知りたい事は関係している。 だが、全ては話せない』
「なぜだ?」
しばらくの沈黙の後、ザックセルが再び、ゆっくりと口を開いた。
『……11年前の、あの事件しか知らないからだ。 俺が知っているのは、お前の知りたい事のごく一部でしかない。 全てを知っている者はほとんどいない…いや、おそらくいないだろう。 お前の探しているものはそれだけ大きく、かつ断片化されている。 全てを知るには、数年はかかるだろうな』
その話を聞いて、シーアは全身から力が抜けていくような感覚に襲われた。
今回が一番重要な鍵で、これで目標まで一気に近づけると思っていた。 それなのに、希望が一瞬で崩れてしまった。
また、振り出しだ。
かつての仲間を殺した仇を討ち、エイミを抹殺しようとするナーブス上層部を、完全に壊滅させる。
それが、シーアの生きる目的だ。 
もちろん、傭兵斡旋を行っているナーブスを取り仕切っている上層部を壊滅させるのは、非常に難しいだろう。
だがそれを成し遂げなければ、エイミは命を狙われたままだ。
自分の命を救った引き換えに、仕事を止めることになり、家族とも連絡が取れず、その自由を奪われてしまった。
自分には、その償いをする義務がある。 だから、一生かかってでもナーブス上層部は壊滅させる。
だから、自分は強くなる必要がある。 ザックセルを倒せるほどの、最強のレイヴンに。
「……情報に感謝する、ザックセル。 さぁ、続きだ」
『……どういうつもりだ? まだ戦うというのか?』
どの道、この状況で逃げ切れるとは思えない。
ならば機体の残り稼働時間の全てを使ってでも、ザックセルを倒す。
「ああ。 お前を倒して、オレはもっと強くなる。 そしていつか、ナーブスを壊滅させる」
それしか、この先生きのこる術はない。
だが、次にザックセルの起こした行動は、シーアには全く想像できなかった。
『……これ以上、俺たちが戦う必要はないだろう、スコープアイ』
ザックセルが、ハッチを開けて機体から出てきたのだ。
ACの頭部の横に腰掛けている。
『確かにお前の言う通り、俺は戦争屋で人殺しだ。 だが、オレはそのことを後悔している。 偽善でしかないとわかっている。 それでも、自分の撒いた種の成長を、少しでも守りたいと思った。 だから今、こうして遊撃隊を率いている。 お前にもあるのだろう? 守りたいモノが』
信じられない。 敵を目の前にして、コクピットの外に出るなど正気ではない。
だが、それだけに説得力があった。
「……当然だ。 だからこそオレも、戦うと決めたんだ」
『なら、俺たちが戦う必要はない。 お前は一緒に乗ってるその子を危険な目に遭わせたくないのだろう?』
確かに、その通りだ。 相手に敵意がないのなら、こちらも戦う必要はない。
そもそも、ACに乗っていないザックセルを倒しても、何の意味もない。
「……レイヴンにしては、人が良過ぎるぞ、ザックセル」
機体の戦闘システムを解除して、輸送車で来た道を振り返る。
『待て、どこへ行くつもりだ?』
「アンタと戦う理由がないのなら、ここにいる必要もないだろう。 街に戻るさ」
『その機体の損傷状態では、どこまで持つかわからないぞ』
「それぐらいはわかっているさ。 途中からは歩くつもりだ」
『悪いことは言わない、俺達の母船で補給からにしろ』
もちろんそれは願ったり叶ったりだが、そこまで世話になるわけにも行かない。
「それは魅力的だが、流石にそこまで世話になるわけに……」
『断る前に、少し話を聞いて行かないか? レイヴンを募集している組織があるのだが』
ツエルブのコアに座りながら、右手の親指で後ろを指すザックセル。
『実はつい先程、ある戦闘中に母船の機銃などの防衛機能を破壊されてしまってな。 緊急で護衛の戦力を募集しているのだが、引き受ける気はないか?』
どうして、そこまで人がよいのだろうか。 正直疑問である。
「シーア、引き受けましょう。 責任はこちらにあるわ」
その選択には悩んでしまうが、エイミが言うなら仕方ない。
「敵わないな、全く……それでザックセル、仕事の期間は?」
ザックセルが、少し間を空けて言った。
『……お前が強くなるまでだ、スコープアイ』
自分が考え付く限り、最高の条件だ。
「了解だ、その仕事引き受けた。 世話になるぞ、サンドゲイル」
立ち上がりながら、ザックセルが問いかける。
『スコープアイ、お前の本名は?』
突如、後部ハッチが開放される。
『直接伝えるべき事項であると思います、レイヴン』
「確かに、アルフの言う通りね」
憎い演出をしてくれるな、と思いながら、エイミを連れてザックセルと同じように頭部の横に立つ。
「オレはシーア・ヘルゼン、職業はレイヴン兼AC整備士。 彼女はエイミ・ツザキ、オペレーターだ」
ニヤリと笑いながら、ザックセルが言う。
「シーア、そしてエイミ。 歓迎はするが世話はしないぞ。 君たちはもう、サンドゲイルの一員だからな」
激しかった雨脚は遠のき、空は明るみ始めていた―――



――今にして思えば、なかなか恥ずかしい話かもしれない。
だが、話を聞いていたイリヤは、意外にも感心して聞いてくれていた。
「そうか、そんなことが……それでシーアは、復讐は止めるのか」
あまり聞いて欲しくない質問だったが、それを言うことが、今の自分を認めるということなのだろう。
「……いや、復讐は止めないさ。 オレはどうしても仇を討ちたいし、エイミを守るにはナーブスを潰すしかないからな」
「でも、エイミはそれでいいと言っているのか?」
イリヤはいつも、ストレートに疑問をぶつけてくる。 シルヴィアが気を使って「そんなこと聞いちゃダメだよ!」なんて宥めているが、シーアはそのストレートな性格が気に入っていた。 エイミもどちらかというとそういう気質だからだろうか、慣れているのかもしれない。
「いいや、エイミには止めろと言われた。 だから、必要以上に固執することは止めにした。 シェルブやショーンにも、それに関してはしつこく言われたからな」
過去に囚われるな。 先を視ろ。 俺の辿った道を、お前まで通るな。
シェルブは何度も、そう繰り返し俺に言い続けてきた。 今でも言われることがある。
マイやシルヴィアにも同じように言い聞かせてきたのだろう。 普段の言動からも、サンドゲイルのメンバーの考え方の根本は、似ているように思える。
レイヴンにしては人が良すぎると、今でも思う。 自分にそれが似合うかと思うと、自信がない。
それでも、シェルブは言い続ける。 過去に囚われるな、と。
彼が抱えたモノの大きさは自分にはわからないし、知るべきではないとも思う。
それでも、深く後悔しているのは事実なのだ。
自分が辿るはずだった、復讐の道の先。
そこには、シェルブの過去が待っているような気がしてならないのだ―



―――その頃、リヴァルディ内のシェルブの自室。
「…そちらはターミナル・スフィアの代表室で間違いないか?」
「頃合いだと思っていたぞ、──シェルブ」
『その言草だと、既にコトは伝わっているらしいな。変らず、其方は業務熱心のようだ』
2年ぶりに、昔の友人と話すことができた。
もっとも、話題はあまり気の進まないものなのだが―――







外伝 ザックセルVSスコープアイ 
END


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