Nick MatzkeのSignature in the Cell批判




最新のインテリジェントデザイン支持者の不満は、Stephen Meyerの本"Signature in the Cell"のインテリジェントデザイン懐疑論者のレビューが少ないことである。もっとレビューがある方がいいということに私は同意するが、(a) 論は詰まるところ、少なくとも1960年代まで遡れる創造論者の論である、古い詭弁「偶然にスクラッチから機能するシーケンスを構築することの不可能性」であり、(b) 退屈で繰り返しであり、基本的に同じ支持されない主張が繰り返し、繰り返し、少しだけ異なる方法で提示されている。すなわち、情報はインテリジェンスに起因し、偶然では説明できそうになく、したがってインテリジェンスだ。非常に多くの遺伝的「情報」の実際に既知の起源である、DNA重複とこれにつづく突然変異と自然選択は、(1) ほぼ完全にMeyerによって無視されており、(2) 新規情報の既知の起源がインテリジェンスだというMeyerの主要な主張を直接に論破している。それが、Meyerの本のレビューがあまり多くない理由のひとつである。もし、インテリジェントデザイン論争を熟知しているなら、Meyerの自分史とインテリジェントデザイン運動史についての歴史修正主義な文献と、Meyerが自著に記した科学について面白い研究がある。しかし、これを紹介するのは大仕事なので、わたしか誰かがやるにしても、時間がかかる。

しかし、彼の本を読めば、本当に奇妙な論に行き当たるだろう。ここに、[インテリジェントデザイン支持ブログ]Telic Thoughtのチャレンジに反応した私がポストした例を示そう。

"Signature in the Cell"にある論には多くの問題がある。その一つがこれである。Meyerは、情報すなわち、シーケンススペシフィックな機能である「情報」は、DNAゲノムに稠密に集中していると述べた。

“Thus, far from being dispersed sparsely, haphazardly, and inefficiently within a sea of nonfunctional sequences (one that supposedly accumulated by mutation), functional genetic information is densely concentrated on the DNA molecule.” (p. 461)

疎に、無計画で、(突然変異によって集積されたとされる)非機能シーケンスの海の中に非効率に拡がっているというには、ほど遠く、機能する遺伝情報はDNA分子に稠密に集中している。

“Far from containing a preponderance of “junk” – nonprotein-coding regions that supposedly perform no function – the genome is dominated by sequences rich in functional information.” (p. 461)

ジャンク、すなわち、機能を持っていないとされる、タンパク質をコーディングしていない領域は、圧倒的多数と言うには、ほど遠く、ゲノムは機能する情報を多くもつシーケンスを持っている。

さらに、Meyer,は、これが確立された真理だと言うにとどまらず、インテリジェントデザイン理論の予測であり、さらには、インテリジェントデザイン支持者によって10年以上前に予測されていたと言う:

“The genome does display evidence of past viral insertions, deletions, transpositions, and the like, much as digital software copied again and again acumulates errors. Nevertheless, the vast majority of base sequences in the genome, and even the many sequences that do not code for proteins, serve essential biological functions. Genetic signal dwarfs noise, just as design advocates would expect and just as they predicted in the early 1990s.” (p. 461)

ゲノムは、過去のウイルスの挿入や削除やトランスポーズなど、何度も何度もコピーされたデジタルソフトウェアと同じくらいにエラーが蓄積している証拠を示している。しかし、ゲノムのベースシーケンスの圧倒的に多くの部分は、タンパク質をコーディングしていない多くの部分を含め、本質的な生物学的機能を果たしている。デザイン理論家が期待し、1990年代初頭に予測したように、遺伝的シグナルのノイズは非常に小さい。

しかしながら、本の多くの箇所で、Meyerは(正しく)反復シーケンスが情報をほとんど持っていないと書いている:

“Since information and improbability are inversely related, high-probability repeating sequences like ABCABCABCABCABCABC have very little information (either carrying capacity or content). And this makes sense too. Once you have seen the first triad of ABCs, the rest are “redundant”; they convey nothing new. They aren’t informative. Such sequences aren’t complex either. Why? A short algorithm or set of commands could easily generate a long sequence of repeating ABCs, making the sequence compressible.” (p. 107)

情報と起こりえなさは反比例するので、ABCABCABCABCABCABCのような高確率の反復シーケンスはほとんど情報(伝送容量またはコンテンツのいずれも)を持っていない。そして、このことも理にかなっている。ABCの繰り返しの最初の3文字を見たら、あとは冗長である。何も新しい情報を運んでいない。それらは有益な情報ではない。そのような情報は複雑ではない。何故か? 短いアルゴリズムかコマンドの組み合わせで、ABCを繰り返す長いシーケンスを容易に生成できるからであり、そのシーケンスは圧縮可能である。

Meyerには残念なことだが、人間のゲノムの40-50%(大半の動物のゲノムも同程度) がLINEs (long interspersed nuclear elements)やSINEs (short interspersed nuclear elements)やセグメント反復や他の反復要素であることをMeyerは認識していないようだ。 ここ で示されているように:

言い換えるなら、Meyer自身の論で証明されるように、ゲノム遺伝情報の「the vast majority (大多数)」は「densely concentrated (稠密に集中」してはいない。

QED.





最終更新:2013年11月12日 07:43
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