Claim CD013:
Potassium-argon dating of rocks from lava flows known to be modern gave ages millions to billions of years older.
現代のものであることが既知である溶岩流の岩石についての、カリウム・アルゴン年代測定は数百万年~数十億年前という結果を出す。

Source:
Morris, Henry M., 1974. Scientific Creationism, Green Forest, AR: Master Books, pp. 146-147.

Response:
1. アルゴンは岩石形成時にカリウムと混合する場合がある。これは本当に問題だが、年代測定対象の試料を注意深く選択するか、K-Ar年代測定ではなく40Ar/39Ar年代測定を用いることで克服できる。

最近の溶岩流が数百万年~数十億年前と推定される事例について、H.M. Morris[1974]は、Funkhouser and Naughton [1968]に記載された"異常な"年代に関する事実に言及していない:

  • 年代測定されたのは溶岩ではなく、そこに含まれていた"捕獲岩"と呼ばれるカンラン石である。これらが異常に古い年代と推定されたのは、溶岩にはない過剰なアルゴンを含んでいたからである。
  • Morrisは、捕獲岩を含まない溶岩マトリックスロックの年代推定が行われ、K-Ar法では測定できない若い年代であること判明したことを述べていない。 (Funkhouser and Naughton [1968, 4603]は「マトリックスロックが測定誤差範囲内の、計測不可能な微量のAr放射性同位体しか含んでいない場合があると述べている。)これは最近の溶岩と、当時のK-Ar年代推定の技術状況と合致する。過剰なアルゴンの存在は捕獲岩についての問題であり、それを含んでいる溶岩そのものについての問題ではない。

Morrisは、過剰なアルゴンによる異常な年代測定の例を参照しているが、それをK-Ar年代推定のユニバーサルな問題だと偽って主張している。問題はユニバーサルなものではなく、多くの鉱物や岩石は過剰なアルゴンを含んでおらず、K-Ar法により年代推定可能である。過剰なアルゴンが問題になる場合は、Dalrymple[1969]やRenne et al.[1997]が示し、Dalyrmple[2000]が論じたように、40Ar/39Arにより正確で信頼できる年代推定が可能である。

2. Morrisの苦情の大半は、1974年当時に使われていたK-Ar年代推定技術についてのものだが、今では地質学者たちはK-Ar法を使っていない。K-Ar年代推定の大半は、40Ar/39Ar年代推定技術に置き換わっている。これにより、Morrisが自らのK-Ar年代推定技術についての論で述べた問題も解決している。それらの苦情とは:

  • Claim: K-Ar年代推定技術は、ウラン-鉛年代推定によって較正しなければならない。

Response: U-Pb及びK-Arの較正を行っていたのは1940年代及び1950年代初頭である。異なる放射性同位体の崩壊率がすべて1%以内の誤差で既知となっており、異なる年代推定法を独立に使えるようになっている。

40Ar/39Ar年代推定では、たとえば、紀元79年8月24日のベスビオ火山[Renne et al. 1997]のような、歴史時代の火山噴火による火山堆積物を使って年代推定方法を較正できる。さらに、40Ar/39Ar年代推定は、U-Pb年代推定法以外に、たとえば、K-Ar, Rb-Sr, Sm-Nd年代推定法などの絶対年代推定方法と比較できる。これはコンドライト隕石[Dalrymple 1991]や、テクタイトや、ユカタン半島Chicxulubの隕石衝突の噴出物や堆積物[Dalrymple et al. 1993]によって自称されている。

Claim: K-Arは開放系である。

Response: Morrisが引用した論文は、この点について調査していない。第1の論文は、単に風化によって置換された岩石の年代推定は不可能であることを示したものである。これは学問の基礎として地質学者が常識的に理解している結論である。置換されていない鉱物の年代を、K-Arや40Ar/39Ar法や他の方法で推定できることとは、何の関係もない。最後の論文は、隕鉄からカリウムが蒸留水によって容易に溶け出すので、カリウムのは非常に移動性が高いと主張している。しかし、K-Ar年代推定は、水に溶けにくく、風化に強い、カリウムのケイ酸塩鉱物に対して使われる。カリウムはK-Ar年代推定で使われる鉱物から大量に溶出することはない。また逆に、大量のカリウムが溶出するような鉱物は、K-Ar年代推定では使われない。

Claim: カリウムの崩壊率は変更されることがある。

Response: これは正しくない。

Claim: 岩石形成のときにアルゴンにカリウムが混入していたかもしれない。

Response: 上記参照。

Claim: K-Ar法による年代推定結果は非常に大きくぶれる。

Response: 上述のように、年代測定方法を適切に使えば、K-Ar法と40Ar/39Ar法はとても合致した結果を出す[Dalrymple 1991; 2000]。Morrisが引用した論文のひとつ[Engels 1971]だけが、明確に、測定対象の鉱物の中に不純物による結果のばらつきについて述べている。

年代推定対象の鉱物が、純粋に一つの鉱物だけでできているなら、それらについてのK-Ar年代推定結果にばらつきはでないだろう。

Links:
  1. harlequin2, 2001. Ar-Ar dating assumes there is no excess argon?
  2. harlequin2, 2001. 200 year old lava dated 2.96 billion years old?
  3. Lindsay, Don, 2000. Fresh lava dated as 22 million years old.
  4. Stassen, Chris, 1999 (Jan.). Feedback response. (4th response down)

References:
  1. Dalrymple, G. Brent, 1969. 40Ar/36Ar analyses of historic lava flows. Earth and Planetary Science Letters 6: 47-55.
  2. Dalrymple, G. Brent, 1991. The Age of the Earth. Stanford, CA: Stanford University Press.
  3. Dalrymple, G. Brent, 2000 (May/Jun). Radiometric dating does work! Some examples and a critique of a failed creationist strategy. Reports of the National Center for Science Education 20(3): 14-17.
  4. Dalrymple, G. B., G. A. Izett, L. W. Snee and J. D. Obradovich, 1993. 40Ar/39Ar age spectra and total-fusion ages of tektites from Cretaceous-Tertiary boundary sedimentary rocks in the Beloc formation, Haiti. United States Geological Survey Bulletin no. 2065.
  5. Engels, J. C., 1971. Effects of sample purity on discordant mineral ages found in K-Ar dating. Journal of Geology 79: 609-616.
  6. Funkhouser, J. G. and J. J. Naughton, 1968. Radiogenic helium and argon in ultramafic inclusions from Hawaii. Journal of Geophysical Research 73(14): 4601-4607.
  7. Morris, 1974. (see above.)
  8. Renne, P. R., W. D. Sharp, A. L. Deino, G. Orsi and L. Civetta, 1997. 40Ar/39Ar dating into the historical realm: Calibration against Pliny the Younger. Science 277: 1279-1280.

Further Readings:
  1. Attendorn, H.-G. and R. N. C. Bowen, 1997. Radioactive and Stable Isotope Geology. London: Chapman & Hall.
  2. Faure, G., 1986. Principles of Isotope Geology, 2nd ed. New York: Wiley.
  3. McDougall, I. and T. M. Harrison, 1988. Geochronology and Thermochronology by the 40Ar/39Ar Method. Oxford Monographs on Geology and Geophysics no.9. New York: Oxford. (technical)
  4. Thompson, Timothy, 2003. A radiometric dating resource list.
  5. Wiens, Roger C., 1994, 2002. Radiometric dating: A Christian perspective.








最終更新:2013年03月10日 02:58