Avenger
「困った事……になったわね」
暗く狭い部屋。
その部屋の中にある椅子の上で国連軍治安維持局情報管理係、通称フラック第一小隊パイロット紫藤彩音は覚醒した。
未だに頭がくらくらするのを堪えながら現状の確認を行う。
辺りを見回した限りで、考えるにここはアパートの一室だろうか。
そう考えながら、端整な顔を歪めながらため息をつく。
その部屋の中にある椅子の上で国連軍治安維持局情報管理係、通称フラック第一小隊パイロット紫藤彩音は覚醒した。
未だに頭がくらくらするのを堪えながら現状の確認を行う。
辺りを見回した限りで、考えるにここはアパートの一室だろうか。
そう考えながら、端整な顔を歪めながらため息をつく。
困った事になったというのが彼女の第一印象であった。
まず、訳も解らず連れて来られて殺し合いを強要された件。
それ以前に彩音が此処までに拉致された経緯をよく覚えてない。
短く切り揃えられた薄紫の髪を触りながらそっと思い出していく。
自分は軍の訓練をこなしていた。
それが終わった後自室に戻ろうとしていたのだが……そこから先の記憶が曖昧だ。
まず、訳も解らず連れて来られて殺し合いを強要された件。
それ以前に彩音が此処までに拉致された経緯をよく覚えてない。
短く切り揃えられた薄紫の髪を触りながらそっと思い出していく。
自分は軍の訓練をこなしていた。
それが終わった後自室に戻ろうとしていたのだが……そこから先の記憶が曖昧だ。
それ故にどうやって拉致されたのかがまるで記憶にないのだ。
少なくとも此処が彼女が住む世界にある仮想世界で無い事だけは持ち前の感覚で何となく解る。
解る事はそれだけ。
誰が拉致したのかもわからない。
いくらなんでも軍の基地なのだ。
テロリストが襲撃したというのであれば直ぐにわかるはず。
なら、誰がと考えた所で思考が止まる。
少なくとも此処が彼女が住む世界にある仮想世界で無い事だけは持ち前の感覚で何となく解る。
解る事はそれだけ。
誰が拉致したのかもわからない。
いくらなんでも軍の基地なのだ。
テロリストが襲撃したというのであれば直ぐにわかるはず。
なら、誰がと考えた所で思考が止まる。
「……まぁよく解らないけど……拉致されたという事ね……軍人が何もせず拉致されるなんて……呆れるわ」
そう自嘲する様に彩音は言い、そして笑った。
兎も角拉致されて殺し合いの強要、そこまでは確かである。
ならば紫藤彩音がとるべき道は何なのだろう?
自問自答するも答えは出るわけも無く。
結局の所、最良である意味停滞の選択肢しか選べない。
兎も角拉致されて殺し合いの強要、そこまでは確かである。
ならば紫藤彩音がとるべき道は何なのだろう?
自問自答するも答えは出るわけも無く。
結局の所、最良である意味停滞の選択肢しか選べない。
「……現状把握かしら」
そう呟いた彩音は自嘲するような笑顔を浮かべる。
これが軍人の取るべき選択肢なのだろうか。
こういった有事であり、非常事態である時は一般の者を保護するべきなのだろう。
あのホールに集められた時、学生と見られる少年少女ばかりだった。
そして、その少年少女が命を散らしていった光景も。
その光景に怒りを覚えないわけでもない。
無辜の命を慈悲も無く奪うのは見るに耐えない。
これが軍人の取るべき選択肢なのだろうか。
こういった有事であり、非常事態である時は一般の者を保護するべきなのだろう。
あのホールに集められた時、学生と見られる少年少女ばかりだった。
そして、その少年少女が命を散らしていった光景も。
その光景に怒りを覚えないわけでもない。
無辜の命を慈悲も無く奪うのは見るに耐えない。
そう、あの時のように。
でも、だからといって自分から積極的に行動する気にはなれなかった。
それは軍人としては失格なのかもしれない。
だけれども彩音は誰かを救いたい、紛争をとめたいなどといった理由で進んで軍人になった訳ではない。
紫藤彩音にとって軍人はあくまで『目的の為の手段』でしかないのだから。
それは軍人としては失格なのかもしれない。
だけれども彩音は誰かを救いたい、紛争をとめたいなどといった理由で進んで軍人になった訳ではない。
紫藤彩音にとって軍人はあくまで『目的の為の手段』でしかないのだから。
「まあ、その目的もこんなのに巻き込まれたら……」
出来そうも無いという言葉を言わずに噛み締めて。
そういえば参加者名簿なんてあったなと思い返し名簿を取り出す。
沢山並ぶ名前達。
その中には親族かもしれない名前が幾つか見つかり、何となく居心地が悪くなってしまう。
親族で殺し合いというのは正直、彩音からみても下種な行為にしか見えなかったのだから。
その中で見つけた自分の名前を見て、嫌が応にも殺し合いに参加させられているのだなと思ってしまった。
それが不快で次に見えるのは「相馬透」、「八木澤宗次」の二名。
これは自身の所属する部隊の仲間。八木澤が隊長で透が同じ身分の仲間である。
そういえば参加者名簿なんてあったなと思い返し名簿を取り出す。
沢山並ぶ名前達。
その中には親族かもしれない名前が幾つか見つかり、何となく居心地が悪くなってしまう。
親族で殺し合いというのは正直、彩音からみても下種な行為にしか見えなかったのだから。
その中で見つけた自分の名前を見て、嫌が応にも殺し合いに参加させられているのだなと思ってしまった。
それが不快で次に見えるのは「相馬透」、「八木澤宗次」の二名。
これは自身の所属する部隊の仲間。八木澤が隊長で透が同じ身分の仲間である。
「相馬透……か」
その名前に彩音は少し突っかかりを憶える。
彩音は目的の為に軍隊に居る。
だから、余計な仲間との交流はしない。したくない。できない。
してしまえば、きっと苦しくなる。
それだけの事をしているのだから。
彩音は目的の為に軍隊に居る。
だから、余計な仲間との交流はしない。したくない。できない。
してしまえば、きっと苦しくなる。
それだけの事をしているのだから。
なのに、相馬透は最近自分に近づいてくる。
自分の心に入り込んでくる。
それが不快に思えて……何処か心地よくて。
自分の心に入り込んでくる。
それが不快に思えて……何処か心地よくて。
でも、それでも、それは目的には変えられない。
そう思い込んだ、その矢先。
見つけてしまった。
「―――――――ゲンハッ!!!」
その目的を。
自身が復讐すべき相手を。
見つけてしまった。
そう、彩音の目的は『復讐』
ゲンハという男への復讐だった。
それが彩音の生きる意味だった。
それが彩音の生きる意味だった。
「……いる……この島に居るっ!」
彩音が握っていた名簿がくしゃくしゃになっていく。
握り締めた手から血が滴り立っていく。
歯を強く食いしばって視線はこの島の何処かにいるであろう怨敵へ。
握り締めた手から血が滴り立っていく。
歯を強く食いしばって視線はこの島の何処かにいるであろう怨敵へ。
「……殺す、殺してやるっ!」
もう、方針など関係ない。
やるべき事、すべき事は一つ。
ゲンハへの復讐一つのみ。
全てを奪った人間に対して全てを奪ってやる。
やるべき事、すべき事は一つ。
ゲンハへの復讐一つのみ。
全てを奪った人間に対して全てを奪ってやる。
今まではゲンハは何処にいるか解らなかった。
だから、テロリストであるゲンハをしとめるために軍隊にいた。
しかし、今回は違う。
この島に確実に居るのだ。
しかも逃げられないこの限られた場所に。
だから、テロリストであるゲンハをしとめるために軍隊にいた。
しかし、今回は違う。
この島に確実に居るのだ。
しかも逃げられないこの限られた場所に。
これは見方を変えればチャンスである。
彩音の大切なものを奪ったゲンハを殺せるチャンスがめぐってきたのだ。
後はどうなろうが関係は無い。
そのために、その復讐だけに生きてきたのだから。
彩音の大切なものを奪ったゲンハを殺せるチャンスがめぐってきたのだ。
後はどうなろうが関係は無い。
そのために、その復讐だけに生きてきたのだから。
「……当たり……幸先いいわね」
ゲンハを殺す為の『当たり』の武器も支給された。
散弾銃一丁に拳銃一丁。
恐らくこの島では非常に当たりに位置するであろう部類。
彩音にとって幸先もいい。
ゲンハを狩る準備は整っている。
シュミクラムでない事に不安は覚えるが、それはゲンハも同様なのだ。
だから
散弾銃一丁に拳銃一丁。
恐らくこの島では非常に当たりに位置するであろう部類。
彩音にとって幸先もいい。
ゲンハを狩る準備は整っている。
シュミクラムでない事に不安は覚えるが、それはゲンハも同様なのだ。
だから
「殺してやる」
殺す。
何としてもゲンハ独りは絶対に殺す。
後は知らない。
大切なものを奪ったあの外道を。
何としてでもだ。
その為ならなんだってする。
その覚悟はとうにできている。
何としてもゲンハ独りは絶対に殺す。
後は知らない。
大切なものを奪ったあの外道を。
何としてでもだ。
その為ならなんだってする。
その覚悟はとうにできている。
「絶対に、殺してやる」
もう一度言葉にする事でさらなる決意を。
彩音にはもう復讐しか残されていない。
だからこそ、復讐にずっと囚われ続けている。
彼女の生き方、存在意義、その全て、骨の髄までに。
ずっと囚われて生きている。
それしか、縋るものが無いのだから。
「絶対に、殺してやる」
軍服の薄茶色のジャケットを羽織りなおして。
この島にいる憎き怨敵を殺す為に。
一人の復讐者は静かに動き出した。
【C-2 西部/1日目 深夜】
【紫藤彩音@バルドフォース】
【装備:H&K USP(16/15+1)Franchi SPAS 12 (9/8+1)】
【所持品:支給品一式×1、不明支給品(0~1)、予備マガジン×4、12ゲージ弾×36】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本方針:ゲンハ殺害
1:ゲンハを殺す。
2:他の事は気にしない。群れる気も無い。
【装備:H&K USP(16/15+1)Franchi SPAS 12 (9/8+1)】
【所持品:支給品一式×1、不明支給品(0~1)、予備マガジン×4、12ゲージ弾×36】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本方針:ゲンハ殺害
1:ゲンハを殺す。
2:他の事は気にしない。群れる気も無い。
SevenCurses/ヨルイロノヒトミ | <前 次> |