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零崎人識の人間関係

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零崎人識の人間関係 ◆LxH6hCs9JU



 【零】


 「鏡に映したように同一でありながら逆反対であった『あいつ』と俺との絶対とも言える唯一の違い――
  それは『あいつ』がどうしようもなく救えないほど『優しかった』ことに尽きるだろう。
  『あいつ』はその優しさゆえに、自身の『弱さ』を許せなかった――つまりはそういうことだ。
  だから『あいつ』は孤独にならざるをえない。
  『あいつ』の間違い、『あいつ』の間抜けは、その『優しさ』を他人にまで適用したことだ。
  素直にてめえだけを愛していればそれでよかったのにな。
  無論俺が言うまでもないように『優しさ』なんてのは利点でも長所でもなんでもない――
  むしろ生物としてはどうしようもねえ『欠陥』だ。それは生命活動を脅かすだけでなく進化をすらも阻害する。
  それはもう生命ではなく単純な機構の無機物みてえなもんだ。とてもとても、生き物だなんて大それたことは言えない。
  だから俺は『あいつ』のことをこう呼んだ――『欠陥製品』と」


 【0】


 「対して――きみは全然優しくなんかない。優しさのかけらも持ち合わせていない、それがきみだ。
  だがきみはその『優しくない』という、自身の『強さ』がどうしても許せない――
  孤独でもまるで平気であるという自身の『強さ』がどうしても許すことができない。
  優しくないってのはつまり、優しくされなくてもいいってことだからね。
  あらゆる他者を友人としても家族としても必要としないきみを、どうして人間だなどと言える?
  生物ってのはそもそも群体で生きるからこその生物だ。
  独立して生きるものはその定義から外れざるを得ない、落とされざるを得ない、生物として『失格』だ。
  こいつはとんだお笑い種だね。きみと『ぼく』は対極でありながらも――出てくる結果は同じだっていうんだから。
  まったく同じ、同一だ。辿るルートが違うだけで出発点も目的地も同じ――実に滑稽。
  きみは肉体を殺し『ぼく』は精神を殺す。他人どころか自身をすらも生かさない、なにもかも絶対的に生かさない。
  生物の『生』の字がここまでそぐわない人外物体にして障害物体。
  だから『ぼく』はきみのことをこう呼んだのさ――『人間失格』ってね」


 ◇ ◇ ◇


 【壱】


 ■《戯言遣い》からの出題
 「零崎人識が死んだそうなんですが……どう思います?」


 【1】


 その時間、テレビをつけてみると決まって陽気な音楽が流れてくる。正午とはそんな時刻だった。
 人によっては食事を取ったり休憩を挟んだりする一種の節目でもあるし、人によってはそろそろ起きようかなという目安でもある。
 では今回の登場人物、涼宮ハルヒと、彼女から『いー』と呼ばれる戯言遣いの少年にとってはどうかというと、吸収と把握の時間だった。

 知識の吸収。
 現状の把握。

 誰が脱落し誰が残ったのか、たった一つの椅子を巡る上で競争相手はいかほどに残っているのか、全体像を知る唯一の機会。
 人類最悪の独り言はちょっとした添え物、オードブルにもならないハッピーセットのおまけ的な扱いと言える。
 メインはやはり、誰にとっても脱落者の読み上げだった。境遇を同じくする縁者が数多くいるこの状況、ここだけは聞き流せない。

 涼宮ハルヒは、それを心して聞いた。
 結果、戯言遣いを置いて一人別の場所に移動してしまった。
 結果を受けて、一人になりたくなったのだろう。

 一人になってしまった戯言遣いはというと、涼宮ハルヒを追うこともなく劇場のスクリーンに目をやっていた。
 劇場には、地図が表示されている。戯言遣いが滞在している世界の全体図、極めて小さな世界地図だった。

 時計の針が12の数字を回る頃、地図上の【A-6】の座標が黒く染まる瞬間を、戯言遣いはしっかと目に焼きつけた。
 戯言遣いはここ、映画館でスクリーンに表示される地図を見つけて以降、とある疑問を胸に抱き続けていた。
 今、【A-6】の座標が黒く染まったことで、その疑問に対する一種の解答が提示されたわけだが、しかしここでまた別の疑問が生じる。

「結局これは、動画だったのか静止画だったのか……それともまた、ぼくのまったく知らない技術ってことなのかな」

 それは地味ではあるが、地味であるがゆえに、高等すぎる技術であるとも取れた。
 フィルムという構造を無視、あるいは超越した完全リアルタイム更新。
 ER3システムの端くれであるところの戯言遣いが疑問に思うだけの、限りなく微妙な辻褄の合わなさ。
 それは考えたところで詮なきことなのかもしれないが、しかしどうだろう、ここで切って捨て置くべき問題だろうか。

 もうすぐ、戯言遣いは映画館を発つ。
 そうなれば、この謎の地図とも縁切りになるのだろう。
 つまり考える機会は今回のみとなるわけだが、戯言遣いはここで考えるのはやめておくことにした。

 単純に、時間がもったいなかった。
 メインはやはり、脱落者の読み上げ。
 まさかの人物がこの競争より脱落した。
 事の重大さはそちらのほうが重い。

 ゆえに戯言遣いは、シートに深く腰を埋め、シアターの天井を仰ぎながら頭を抱えるのだった。


 ◇ ◇ ◇


 【弐】


 ■《殺人鬼》――零崎双識の答え
 「なんだって!? おいおい、そいつはまたとんでもない話を持ってきたものじゃないか。
  いや、皆まで言わなくてもいい。それが冗談にしろジョークにしろ、口にした時点できみは『不合格』だ。
  しかしそこで早まってはならない。落ち着け双識。これは私に対しての、『早まってはならない』だよ。
  たとえばきみが子荻ちゃんのような可愛らしい女子中学生で、私のメル友になってくれるような萌えっ子だとしよう。
  『合格』だ。それは一切の躊躇も考慮もなく百点満点『合格』を言い渡せるほどの逸材だ。わーい、素晴らしい!
  とまあ試験の合否はともかくとして、この問答には零崎が長兄であるところの私、零崎双識として答えるべきだろう。
  零崎人識といえば私の不出来な弟でね。いつになっても放浪癖が抜けない上に、これが性悪で小生意気な奴なのさ。
  特に私が遺憾に堪えないのはファッションセンスだな。聞いておくれよ。顔面に刺青だよ? 顔面に、刺青。
  いやいやそれはいったいどこのチンピラなのさ。まったく親からもらった身体をなんだと思っているのか。
  その上アクセサリーの趣味も悪い。耳にはつける飾り物といえば普通はなにが思い浮かぶ?
  当然、ピアスかイヤリングだろう。ところがどっこい、人識くんは携帯ストラップをつけるのさ。なぜか!
  本人はあれで格好いいつもりなのかねえ。いや格好いいつもりなんだろう。だからこそ、呆れて物が言えない。
  ああいや、すまんすまん。これは私個人の愚痴であって、別に家族仲が悪いというわけではないんだ。
  なにしろ――零崎。私たち家族には血の繋がりがなく、その代わり流血で繋がっている。
  零崎人識が死んだ。人識くんが死んだ、ねえ……しかしピンとこないな。兄である私がピンとこないとはおかしな話だ。
  おっと、気を悪くしないでくれよ。別にきみの言うことを疑っているというわけではないんだ。
  私は弟が簡単に死ぬようなタマじゃないなんてお決まりの妄言を吐くつもりもなければ事実を否定したりもしない。
  ただ問いたいのは信憑性だな。きみはどうやって人識の死亡を知った? 死体は確認したのかい?
  とと、質問される側が逆に質問してしまっては意味がないな。失敬、きみが女子中学生かと思うとつい興奮して。
  まあ、でも、そうだな……答えなんてわかりきっちゃいるんだけどねえ。零崎を始める以外に――なにがあるってのさ」

 ■《戯言遣い》のコメント
 「はぁ……ところであなた、どちらさまですか?」


 【2】


 朝比奈みくる。

 北高の二年生であり、涼宮ハルヒの上級生にあたる。
 彼女曰く、SOS団のマスコットキャラクター。とても可愛らしい少女ということだ。

 戯言遣いは特に、メイド服が似合うという部分にいたく興味を惹かれた。
 部室ではメイド服でいることも多く、彼女の淹れるお茶は極上だと聞いてさらに心揺さぶられた。
 しかし悲しいかな、女子高生。同じメイドといえば、鴉の濡れ羽島で出会った年上の魅力漂う三姉妹にはかなうまい。

 それはそれ。これはこれ。

 朝比奈みくるのメイド服姿はぜひこの目で拝んでおきたかったと、戯言遣いは落胆するほかなかった。
 欲をいえば、典型的な『黙っていれば美人』タイプの涼宮ハルヒにも、そういった一面が欲しかった。

 欲は内に留めておくに限る。

 本題。
 朝比奈みくるの名前が、先の放送で脱落者として読み上げられた。
 人類最悪を名乗る狐面の男、西東天の口から、十一人の内の一人としてさらりと告げられた。

 その結果、涼宮ハルヒは戯言遣いに一人になりたいと弱音を零し(実際はもっと気丈な台詞だったが)、
 二人で行動していた団長と平団員(仮)は、それぞれ別々に、放送後の精算を済ませることとなったのだ。

 長門有希に続き、朝比奈みくる。
 SOS団の団員が、二人続けての脱落。
 それ自体はどうでもいい。
 戯言遣いにとって、二人はその他でしかない。

 戯言遣いが懸念するのは、涼宮ハルヒの動向である。
 十二時間という短いスパンで縁者を二人も亡くした他称神は、事態をどう運ぶのだろうか。
 長門有希のときは、落ち込むばかりだった。
 落ち込んだ結果、一人の少女が死んでしまったが、それは涼宮ハルヒのみが要因となったわけではない。

 しばらく行動を共にしてわかったことだが、涼宮ハルヒは破天荒なようでいてその実かなりの現実主義者でもある。
 虚構を虚構と捉え、真実を真実と断定するだけの確か目を持っている。死は死、別れは別れと、割り切れるほどに。
 だからこそ涼宮ハルヒは、長門有希の退場――死亡を否定しなかった。縁者だからこそ、否定しなかったのだろう。

 朝比奈みくるもおそらく、同様の結果となるに違いない。
 この場合の同様の結果とはつまり、どうにもならないということだ。
 彼女は朝比奈みくるの死を受け止め、前に進む。
 方針も変わらず、方向転換もしない。
 しいて言えば、プラス一人分の悲しみを背負うだけ。
 それが涼宮ハルヒという少女なのだ。
 あくまでも、戯言遣い個人の見立てではあるのだが。

「となると気をつけるべきは、彼女への対応か……今回は穏便に、神経を逆なでないよう注意する必要があるな」

 今回、戯言遣いと涼宮ハルヒ以外に登場人物は存在しない。
 ので、あのような蘇りも起こりえないと仮定できる。
 ともなれば、戯言遣いが特に戯言を弄する場面でもないということ。
 このまま無難に流れよう。ページを捲る手を止めてはならない。

 しかしそれは――脱落者が朝比奈みくる一人だった場合の話だ。

 前回は、長門有希一人だった。
 厳密には甲賀弦之介という名も物語に関わってきたりなどしたのだが、あの少女のような第三者はこの場にはいないため割愛する。
 今回名を呼ばれた十一名の中には、涼宮ハルヒの縁者だけでなく、戯言遣いの縁者も含まれていた。

 問題はそこ。
 戯言遣いにとってはまさかの展開。
 予想外のところで足止めを食らうことになろうとは。

「ああ、いやまあでも、こういうのこそ……って感じなんだろうな」

 戯言遣いは、あと一時間と数十分ほどは変わらないであろうスクリーン上の地図を眺めつつ、一人ごちた。

「ホント、笑えない傑作だよ」


 ◇ ◇ ◇


 【参】


 ■《殺人鬼》――無桐伊織の答え
 「いやいや、はたしてそれはどうなんでしょうね。だって人識くんってば、健康優良児そのものでしたよ?
  大きな病気にかかってたって話も聞きませんし、まさか不注意で車に轢かれちゃうようなお間抜けさんでもないでしょ。
  そういや、これは学校の授業で習ったことなんですけどね。人間の死因って、悪性新生物が一番多いらしいです。
  要するに、ガンですよね。あとは心疾患とか脳血管疾患とか。いずれにしろ健康が大事って話になりますか。
  いやまあ、家族が揃って皆殺しにされたり、殺人鬼だとか殺し屋だとかいう人と関わった後となっちゃ、信じられませんけど。
  世の中ではもっとこう、『殺し』が渦巻いている感じがするんですよね。病死とか老衰とか、比べりゃ超健全ですよ。
  ……ん。あれれ。ああ、そうかそうか。人識くん、別に病気や事故で死んだってわけでもないんですか。
  もしかして、誰かに殺された? まあ、零崎ですからね。零崎単位で考えれば、死因なんて他殺十割でしょうし。
  はぁ。いやまあ、しかし……うなー。ですよ。人識くんがいなかったら、誰が伊織ちゃんの世話をしてくれるっていうんです?
  食事とかトイレとかお風呂とか、家族以外の誰が、可愛い可愛い女子高生のプライベート事情に介入できるっていうんでしょう。
  わたしはもう――人識くんなしでは生きられない身体だっていうのに! 性的な意味で!
  なんて、本人いたらどつかれるんでしょうけど。ああ、そうでしたそうでした。人識くん死亡についてでしたね。
  どう思います? って訊かれてもまあ、二、三思いあたるふしがあるがないわけでもないんですけど……。
  たぶん人識くん、あの赤い人との約束を守ったままなんじゃないですか? それくらいで殺されるような人じゃないですけど。
  でも納得はできますよ。あの赤い人か、もしくはあの人と同じくらい強い人が相手なら、人識くんでも墜とされちゃうでしょ。
  ああ、今のは別に性的な意味でとかじゃないですよ。女子高生は年がら年中思春期だとか淡い幻想抱かないでくださいね。
  はあ、それにしてもそうですか。そういう事態になりましたか。人識くんの家族になって幾数ヶ月、いよいよですか。
  未だに無桐伊織なわたしですけど、それでも零崎には違いありませんし……そうですね。そうなんでしょうね。
  お兄ちゃん……双識さんだったらどうするかなあ。うふふ……いえね、わかりきっちゃいるんですけど、想像するのが楽しくって。
  ところで、人識くんを殺した人ってどこの誰なんですか? わたしも約束は守り中なんですけど――零崎を開始してみたくなって」

 ■《戯言遣い》のコメント
 「はぁ……ところであなたも、どちらさまですか?」


 【3】


 零崎人識。

 それが今回の放送で脱落を告げられた、戯言遣いの縁者にあたる人物である。

 縁者。
 縁ある者。
 縁が合った者。

 零崎一賊の申し子にして、零崎の中の零崎。
 零崎同士の近親相姦によって生まれた、血統書つきの殺人鬼。
 『殺し名』七名、『呪い名』六名を見ても、例外中の例外であり規格外中の規格外。

 顔面刺青。
 ナイフ遣い。
 殺人鬼。
 人間失格。
 背が低い。
 仲良し。
 ジェイルオルタナティブ。

 吐き気を催すほどに似ていて。
 己とは対照的なまでに笑い、喋り。
 まるで鏡写しのような不愉快さが。

 戯言遣いにとっての零崎人識――なのだろう。

 零崎一賊唯一の――生き残りだったか。
 橙色の暴力によって殲滅された、零崎一賊の。
 いや、実際は唯一ではない。妹がいるんだったか。
 詳しくは、戯言遣いの知るところではないのだが。
 零崎人識と玖渚友の関係も、知るところではない。

「……っていうか、いたのかおまえ」

 放送を聞いた戯言遣いがまず得たものは、悲しみではなく驚きだった。
 そもそも配られた名簿の中に、零崎人識の名前は刻まれていない。
 名前を伏せられた十名の内の一人が、零崎人識だったわけだ。
 十名の中に自分の知る人物がいないとまでは思わなかったが、それでも。

 まさか、だった。

 この椅子取りゲームに零崎人識が存在したということもそうだが、
 その零崎人識が戯言遣いとなんら縁を合わせることなく退場したということが――まさかだった。

 零崎人識の名前が耳に飛び込んできたときには、びっくりするあまり危うくずっこけてしまいそうになった。
 同じく朝比奈みくるの名前を耳にした涼宮ハルヒの手前、さすがにそのような失態は起こさなかったが。
 それでもやはり、まさかだ。まさかあの人間失格にして二度も戯言遣いの窮地を救ってみせた零崎人識が――死ぬなんて。

「……いや、実はそれほどまさかって事態でもないのかな」

 考えてみれば――零崎人識という存在はそうそう、戯言遣いの物語には関与できないようになっているのだ。
 そうできているのだ。
 そういう風に配置されたキャラクターなのだ。
 だから今回の一件にしてみれば、あいつは脇役で、こっちは主役だった、そういうことなのかもしれない。

 それが、わずか十二時間。
 早々と言える期間で、脱落してしまった。
 こんな番外編のような物語の端っこで、死んだ。
 それは零崎らしい最期と、人によっては評価するのかもしれない。
 けれど、戯言遣いには――

「本来無関係なはずのセリヌンティウスが、一番酷い目にあってしまったってことなのか……」

 戯言かなぁ。
 そう呟いた。

 ただ――
 戯言で済ませるわけには、いかないのかもしれない。
 そんな風に、考えてもみる。
 考えてしまう。

 ここに零崎人識がいたということは確かな事実として、戯言遣いはその物語に関与することができなかった。
 同様に、戯言遣いが涼宮ハルヒを中心として描いている物語にも、零崎人識は関与することができなかった。

 この結果ははたして、全体の物語としては――どうだったのだろうか?

 戯言遣いの物語でもなく、零崎人識の物語でもなく、全体の物語。
 人類最悪を含めた現段階での登場人物六十一名、全員を主役と考えた生き残りの物語。
 そういった大きな観点でもって、戯言遣いと零崎人識の接点が皆無だったという結果は、幸か不幸か――という問題。

 戯言遣いは零崎人識の代用品であり、代替品だ。
 本来なら、涼宮ハルヒの隣にいたのは戯言遣いではなく零崎人識のほうだったのかもしれない。
 傍観者と殺人鬼のコンタクトは、赤き征裁と橙なる種に掻き回されたあの一件以来になるはずだったが――それもなかった。

「ここでも一度、誰かに殺されかけておくべきだったのかもしれない。朧ちゃんみたいなのじゃなく、本気でぼくを殺しにかかるような相手に」

 出会えなかったのが、戯言遣いの失敗だったのかもしれない。
 欠陥製品は人間失格に助けてもらうべきだったのかもしれない。
 そうしなければ、縁が合わなかっただろうから。
 無理矢理にでも、縁を合わせておくべきだったのかもしれない。

 同じ舞台にいながら、結局どちらがどちらと顔を合わせることもなく、また間接的にも関与することなく、欠け落ちた。
 浅く考えればそれまでの縁だったということなのかもしれないが、深く考えれば致命傷のようにも思えてしまう。

 致命傷――目には見えない、この段階では痛みも苦しみも伴わない、恐ろしい傷だった。
 後々、戯言遣いは後悔するのかもしれない。または、後悔しないのかもしれない。
 もしくは、本当は零崎人識は死んでいないという可能性だって零ではないのかも。

「狐さんだって、一度は勘違いしていたはずだしな……今回も、ってことはないかな」

 なんにせよ。
 この物語において、戯言遣いと零崎人識の縁が合うことはなかった。
 この結果が物語の全体像にどう影響するのかなど、一登場人物の戯言遣いにはわからないし、読み手にすぎない人類最悪もまた同じくだ。

 要は、激流に身を任せるしかない。
 本当に、笑えない傑作だ。
 戯言遣いは笑みなど一片も纏わずに、帰ってきた涼宮ハルヒを出迎えるのだった。


 ◇ ◇ ◇


 【肆】


 ■《殺し屋》――匂宮出夢の答え
 「んっんー? 零崎人識が死んだ? そいつはまた――おかしな話じゃねーかよ、お兄さん。
  あんたは僕の妹の理澄から、こう聞いているはずだぜ――零崎人識はとっくのとうに死んでるってな。
  いや、でも確かその後に、僕は言ったんだっけ――零崎人識は生きているぞって。ぎゃはっ。言った言った。
  こいつぁ傑作だ。二人で一人、一人で二人であるところの匂宮兄妹がそれぞれ別のことを言ってやがる。
  調査(フィールドワーク)担当の理澄は死んでいるといい、殺戮(キリングフィールド)担当の僕は生きていると言う。
  はたしてこれ、どっちが正解なのかねぇ。って、お兄さんはだから正解を知ってるんだったな! ぎゃはははは!
  うん? なによその疑いの眼差しは。お兄さん、僕を誰だと思ってるのさ。僕を誰だと思っちゃってるわけ?
  殺戮奇術集団、匂宮雑技団が団員№18、第十三期イクスパーラメントの功罪の仔(バイプロダクト)、匂宮出夢だぜ?
  標的が無関係でも関係なく標的が無抵抗でも抵抗なく標的が没交渉でも交渉なく、貪るように喰らい尽くす。
  殺し屋の中の殺し屋、人食い(マンイーター)の出夢なんだぜ? その僕が零崎人識を語るんだ――正解は正解だよ。
  あ、っていうかお兄さんは別に、人識の生死が信じられるかどうかってことを訊いているわけじゃないのかな?
  これが単なる意見問答だっていうんなら、そうだな。僕は殺し屋として、こう答えておくべきなのかもしれないねぇ。
  ――零崎人識が誰かに殺されたっていうんなら、匂宮出夢はその誰かを殺す。
  ぎゃはっ。なんつー顔してんだよお兄さん。ああ、そっかそっか。お兄さんは僕と人識の関係とか知らなかったもんな。
  まああいつとは結構古い仲でさ。それなりに親しかったんだぜ。どれくらいそれなりかってーと、べろちゅーするぐらい。
  裸で絡み合ったりもしたっけな。もちろんベッドで。僕ってこんなナリだから、いろいろお世話されちゃったりもしてたんだぜ?
  愛ゆえに殺し合って候、みたいな!? 僕としちゃ、ぜろりんが僕以外の奴に殺されるなんて信じたくもねえけど!
  勘違いするなよ。おまえを殺すのは僕だ――簡単に言やあ、そういう関係? 違う違う、愛し合ってたよ僕たち。
  どうした? 笑えよベジータ。ここは笑うとこだぜ。ぎゃは、ぎゃははははははははははははははははははははははははっ!」

 ■《戯言遣い》のコメント
 「はぁ……ところでそういうきみも死んだはずじゃ?」


 【4】


「ねぇハルヒちゃん。ちょっと話したいことがあるんだけど、聞いてくれないかな?」
「なによ、改まって」
「さっきの放送で、ぼくの友達の名前が呼ばれたんだ」
「えっ……あんた、友達なんていたの」
「その反応はちょっと酷すぎると思うんだけど」
「思わず本音が零れちゃったのよ。で、いったい誰?」
「零崎人識って奴。ぼくの親友でさ。同じ釜の飯を食った仲なんだぜ」
「へー」
「なんていうのかな、マブダチってーの? 拳と拳で語り合う関係、みたいな」
「露骨に嘘くさいわね……それよりもさ、あの放送って不親切だと思わない?」
「狐さん……人類最悪の放送が?」
「名簿に載ってない人の名前が呼ばれたけど、あれ放送で聞いただけじゃどういう字を書くかわからないじゃない」
「ああ……確かにそうだね」
「ゼロザキヒトシキだっけ? あんたの友達って、どういう字を書くの?」
「漢数字の零に長崎の崎、人間の人に良識の識で、零崎人識だよ」
「あからさまに偽名っぽい名前よね。あんたみたいにあだ名とかじゃないわけ?」
「さあ……そういえば、汀目俊希なんて呼ばれてた時代もあったって聞くな」
「そっちもそっちで、漫画かなにかに出てきそう」

「そういやハルヒちゃん。今更でなんだけど、零崎って名前には覚えはない?」
「あるわけないでしょ、そんなおかしな名前」
「だよね。ふむ、そうか。まあ、それがあたりまえか……」
「なにぶつぶつ言ってんのよ。友達っていうんなら、もうちょっと悲しむなりなんなりしたらどうなの?」
「ああ、いや。ぼくとあいつはそういうのじゃないんだよ。泣くよりかはそうだな、うぇーいって言ってひっくり返るほうが正しい」
「あんたってつくづく変な奴よね」
「その侮蔑の眼差しをぜひとも零崎の奴にぶつけてやってほしかったよ」

「で、なに? あたしにそれを話してどうしようっての? 傷心中だから慰めてほしいとでも言いたいわけ?」
「それはハルヒちゃんらしからぬジョークだね。もしぼくが、『うん、慰めて慰めて!』なんて言ったらどうするのさ」
「とりあえずぶん殴って捨てていくわ」
「その正直さにはある種の清々しさを覚えるよ」
「まったく……揚げ足取りはいいから、さっさと本題に進みなさいよね」
「じゃあ、そうさせてもらう。これは弱音なんだけど……ぼくはひょっとしたら、取り返しのつかないことをしてしまったんじゃないだろうか」
「……唐突すぎてなにがなんだかわかんないんだけど。なに? それは零崎人識くんがなんか関係してるわけ?」
「まあ、そうだね。あいつは、そう――鏡みたいな奴でさ。ずっと見ていると気持ち悪くなるような、そんな存在だった」
「友達に対しての発言とは思えないわね……」
「ぼくとあいつは――そうだな。言ってしまえば、もう一人の自分ってところか。分身した片割れ、みたいな?」
「みたいなって言われても……分身なんてしないから、わかんないわよ」
「そりゃそうだ。ざっくばらんに、似たもの同士って認識で構わないよ」
「ふーん。だからこそ、悲しんだりもしないってことなのかしら?」
「え?」
「いーのそういう仕草って、想像できないし。少なくとも、自分がいなくなったからって悲しむようなタマには思えないわ」
「そりゃ、自分がいなくなったら誰だって悲しめないでしょ」
「半身みたいなのがいなくなったって話でしょ。でも、平然としてる。この冷血漢」
「そうは言うけどさ。ぼくがここで泣いたり嘆いたりしたら、あいつはきっとビビって生き返っちゃうと思うよ」
「……わかんないわね。結局、あんたにとっての零崎人識ってなんなわけ?」
「だから言ってるじゃないか。親友さ。メロスにとってのセリヌンティウスくらいにはね」

「……ま、いいけど。それで、取り返しのつかないことってのはなに? もっとわかりやすく言いなさい」
「ぼくはこの物語に、零崎がいることを知らなかった。知らないまま、あいつ会う機会を棒に振るってしまった」
「それが失敗だったって? そんなの、今更言ったところで――」
「でもよくよく考えれば、それはありえないんじゃないかと思うんだよ」
「はぁ?」
「ジェイルオルタナティブ――すべてのものには代わりが用意してある。ぼくがいなくても、あいつがいればいい」
「…………」
「逆にあいつがいなくても、ぼくがいればいい。だがどうだろう。ここには最初から、二人揃っていた。これじゃ代替えは効かない」
「……今回の話は特にわけわかんないわね」
「まあ聞いておくれよ。これが狐さんの語るように物語だっていうんなら――ぼくと零崎が同じ舞台に立っていたことには、やっぱり意味があると思うんだ」
「ねぇ、狐さんって誰のこと?」
「狐のお面を被っていたから狐さんさ」
「安直なネーミングセンスねぇ」
「人類最悪とどっこいどっこいだろ」
「はいはい。それで?」
「思うに、ぼくと零崎の縁はまだ切れたわけじゃない。あいつがどんな退場の仕方をしたかはしらないけれど、なにかしらの残滓が、きっとある」
「その零崎くんが、いーに向けてなにか残したってこと? 遺言とか遺品とか」
「さて、そこまでストレートなものではないと思うけど……でもやっぱり、この先ずっと意味のないままってことはないと思う」
「その自信はどこからくるのかしらねぇ」
「自信なんてないさ。あるのは信頼だよ」
「あんたには似合わないわね、その手の言葉」
「よくわかってるじゃないか」
「否定しておきなさいよ、そこは。っていうか、それをあたしに話してどうしたいわけ?」
「現状、ぼくと縁が合っているのはハルヒちゃん、きみだけだ。だからだよ」
「だから?」
「そう――だから」


「だからハルヒちゃん――きみにも覚えておいてもらいたいんだ。ぼくという欠陥製品の対に、零崎人識っていう人間失格がいたことを」


 ◇ ◇ ◇


 そして――

 戯言遣いと涼宮ハルヒは、劇場を出た。
 二人が脚としているサイドカーつきのバイクに乗り、次なる目的地として、温泉がある西へ向かおうとしていた。

「確認するよ。まずは温泉に寄って、その次に学校。進路はそれでいいね?」
「オッケーよ。そろそろあんたとの二人旅にも飽きてきたし、誰か別の人と出会いたいところでもあるんだけど……」
「ここでの出会いは危険も孕むってことを、ハルヒちゃんは理解しているのかな?」
「わかってるわよ、そのくらい。人を平和ボケした若者みたい言わないでくれる?」

 涼宮ハルヒはどこか不機嫌な様子だった。
 いつもどおりといえばいつもどおりなので、戯言遣いも特に言及はしない。

「この映画館を訪れることは……もうないかな」
「どうかしらね。そんなの、今後しだいでしょ」

 午前と午後の境目を過ごした映画館に別れを告げ、戯言遣いはバイクのエンジンをかける。
 出発の準備は整った。あとはこのまま、目的地に向けてサイドカーつきのバイクを走らせるだけ。
 放送が流れ、二人分の縁が途切れても、彼と彼女の物語にさしたる支障はなかった。
 いや――実際には支障はあったのかもしれないが、少なくとも現段階では、表に出ていない。
 後々の後悔など、後々に体感するからこそ後々の後悔となるのだ。

 今は。
 戯言遣いと涼宮ハルヒの二人で、温泉に向かう。

「さて、それじゃあ――殺して解して並べて揃えて晒しに行くとしますか」
「は? なにそれ」
「戯言だよ」



【E-4/映画館/一日目・日中】

【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:健康
[装備]:弦之介の忍者刀@甲賀忍法帖
[道具]:デイパック、基本支給品
[思考・状況]
 基本:この世界よりの生還。
 1:次に温泉へと向かい、その次に学校へと向かって校庭に書かれた模様を確認する。
 2:放送で示唆された『徒党を組んでいる連中』を探し、合流する。
 3:↑の為に、地図にのっている施設を回ってみる。


【いーちゃん@戯言シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:森の人(10/10発)@キノの旅、バタフライナイフ@現実、クロスボウ@現実
[道具]:デイパック×2、基本支給品×2、22LR弾x20発、クロスボウの矢x20本、トレイズのサイドカー@リリアとトレイズ
[思考・状況]
 基本:玖渚友の生存を最優先。いざとなれば……?
 1:当面はハルヒの行動指針に付き合う。
 2:↑の中で、いくつかの事柄を考え方針を定める。
 ├涼宮ハルヒの能力をどのように活用できるか観察し、考える。
 └玖渚友を探し出す方法を具体的に考える。
 3:一段落したら、世界の端を確認しに行く? もう今更どうでもいい?
 4:零崎人識との『縁』が残っていないかどうか探してみる。


 ◇ ◇ ◇


 【伍】


 ■《請負人》――哀川潤の答え
 「ふーん。
  それよりもさ、ここってなに? どういうシステムになってんの?
  なんか、いろんな奴がやたらめったら登場してるけどよ。こいつら全員、正規の登場人物じゃないんだろ?
  ああ、そういうあたしもそうだな。気に入らないことにあたしもそうなんだよな。
  ったく、このあたしを差し置いて物語を進めようとは、シナリオライターはどこの間抜けだ?
  んなもん、承太郎抜きでDIO倒しに行ったアヴドゥルみたいな話にしかならないぜ。盛り上がりに欠ける。
  でもまあ、あたしってばいろんな意味で規格外だから。ほら、主役は遅れてやってくるとも言うし。
  バランスとしてはちょうどいいのかもしれねえな。ライターは間抜けでも構成作家は優秀ってわけか。
  ふんふん。なるほど、わかってきたぜ。つまりあたしがこうやって問題解いてんのも、伏線なわけだ。
  たぶん、ここへの出演回数如何よって終盤登場する新キャラが決まる! みたいな仕組みなんだろ?
  あたしの情報網によると、なんだ、蒼崎橙子とかいうやつが今一番ポイント高いんだって? 目下のライバルはそいつか。
  こつこつ営業しているみたいでなんか癪に障るが、そうだな――そういうことなら、一つこんな話をしてやろう。
  これはいーたんには直接関係しない話だし、そっちの物語にもたぶん影響ない話なんだろうが、まあ、戯言だと思って聞いてくれ」


 ◇ ◇ ◇


 世界が灰色に染まっていた。

 空は暗灰色の雲に閉ざされ、切れ目のない平面的な空間がどこまでも広がり、周囲を陰で覆っている。
 雲の隙間から漏れる薄ぼんやりとした燐光だけが、世界を暗黒から救う唯一の照明だった。

 立ち並ぶビル群の中心に、青く光る巨人の姿が見られた。
 三十階建ての商業ビルよりも頭一つ高く、くすんだコバルトブルーの痩身は内部から光を放っている。
 輪郭がはっきりとせず、目鼻立ちといえるようなものもなく、目と口にあたる部分が暗くなっている他は、まるでのっぺら坊だ。

「なんだありゃ。ジブリ映画に出てきそうな化物だな」

 青く光る巨人は、緩慢な動作で腕を振り、周囲のビル群をなぎ倒している。
 咆哮も慟哭もない、ただの破壊音だけが響く様は、赤ん坊が積み木を崩す光景に似ていた。
 そんな様子を――灰色の世界に存在するには異彩すぎるほどの《赤》が、離れた場所にある交差点から眺めていた。

「――あれは我々が《神人》と呼称する存在です」

 巨人の破壊活動を見て怖じ気づきもしない《赤》に、一人のメイドが説明した。

「哀川潤さまですね」

 哀川潤と呼ばれた《赤》は、訝るようにメイドの姿を見やる。
 いつの間にかそこにいた存在に、しかし驚きを表に出すことはなかった。

「確かにあたしさまは哀川潤さまだが、そういうあんたはなにさまよ?」

 メイドに対して飄々とした態度で接する、哀川潤。
 一方のメイドも、従者が主人にそうするような教科書どおりの対応を取った。

「わたしはさまづけされるほどの者ではございません。見てのとおりのメイド――森園生と申します」

 名乗りを上げるメイド、森園生。そこで、哀川潤は合点がいく。

「ははん。なるほどなるほど――今回の依頼人はあんたで、今回の依頼は後ろのあれってわけだ」
「飲み込みが早いようで助かります。さすがは人類最強の請負人といったところでしょうか」
「おう、そのとおり。あたしは人類最強の請負人さ。けれども、後ろのあれはどう見たって人類とは呼べねえよな」

 人類最強はあくまでも人類における最強であり、非人類であるところの《神人》と強さを比べることはできない。
 もっとも、そんなことは森園生も哀川潤本人も知ったことではないという風だったが。

「おっしゃるとおりでございます。それを承知で、哀川さまのお力添えをいただきたく思いまして」
「おいこら。あたしを呼ぶなら苗字じゃなく名前で呼べ。あたしを苗字で呼ぶのは敵だけだ」
「失礼しました。では潤さま。改めてあなたさまに請け負っていただきたい仕事の説明をさせていただきます」

 そう言って、メイドは哀川潤により詳しい説明をした。
 神やら閉鎖空間やら涼宮ハルヒやら、哀川潤の知らない専門用語がたびたび飛び出したが、特に気にしなかった。
 請け負う依頼の内容は至極単純なのだから、その背景などどうでもいい。

「ふん――要はあの《神人》と遊んでろってことね」

 森園生が人類最強の請負人に期待することといったらやはり――人類最強。
 買いたいのは《神人》を撃退するための腕前であり、彼女は十分にその力を有していると言える。
 少なくとも、森園生――もしくは彼女が所属する組織は、そう判断しているようだった。

「いいね。四月バカがマジネタになるってのもよくある話だし、実は伏線でしたなんてご都合主義も大歓迎だ」
「なんの話でしょう?」
「他愛もない戯言さ」

 哀川潤は一笑して、暴れ狂う《神人》を睨みつける。

「この断続的な閉鎖空間が崩壊し切るまで――彼女の精神が安定するまで、潤さまにはご尽力いただくことになるかと思います」
「オッケーオッケー。今から本編への登場が楽しみだ。前哨戦の相手としちゃちょうどいい。張り切って伏線張ってやるよ」

 そうして、駆け出した。
 これは、本編(メイン)のための外伝(サブ)。
 語り継がれることはないが確かに存在する裏の物語。
 涼宮ハルヒが人知れず形成してしまった閉鎖空間に、今、死色の真紅が挑む。

 人類最強、哀川潤の激闘が始まった――!


 ◇ ◇ ◇


 「……ってのを考えたんだが、どうだ? 傑作だろ?」


 ■《戯言遣い》のコメント
 「エイプリルフールはもう終わりましたよ」



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