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01/13 リワマヒ国の様子(1) 戦争前夜の経済戦

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01/13 リワマヒ国の様子(1) 戦争前夜の経済戦 (合作SS:原案/幻痛@わかば 作/室賀兼一)


「戦争前夜の経済戦」

(原案:幻痛@わかばさん
 「陸軍召集! ~僕らの国は自転車操業~」より)


 リワマヒ国。密林と沼沢を共とする南国人と猫士たちが住まう、
東京に位置する小藩国である。

 国政をつかさどる国民会議は、藩王の執務室、通称「おこたの間」にて行われていた。
この国、どういうわけか各施設には夏冬を問わずコタツが完備されている。

コタツ完備はリワマヒ国猫士たちの伝統である。
もともと猫士たちの住む土地に入植してできた国だけあり、
リワマヒ国民は皆、この土地の猫士たちがもつ伝統を墨守しながら生活していた。
他国民からすれば奇妙に思えるほどのコタツ信望も、そのひとつだった。

しかも、夏には夏用の保冷コタツをわざわざ開発して使用する念のいりようで、
藩王の執務室を訪れた観光客は一度は驚き、笑い話とともに冬用コタツを土産に持ち帰るのが常であった。


 さて、そのおこたの間。別名執務室では、一仕事終えた国民たちが三々五々、ぶっ倒れていた。
その日、にゃんにゃん共和国尚書省より、一枚の指令書が届いたからであった。


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 事は数時間前にさかのぼる。

その日は共和国からの公共事業、食料増産令をこなした次の夜であった。

イド 「食糧の増産、なんとかノルマ達成の目処たちましたね」
吏族イド。増産令では要求生産量をもとに必要な作業を計算していた。

蒼燐 「ですね。かなり余裕ができましたから」
摂政である蒼燐は、これで今日は書類チェックと申請書提出に領内を走り回らなくてすむ、と
胸をなでおろしていた。

コタツの反対側では、にゃああ。とえさをねだる猫姿の王猫に、
同じく吏族の平祥子(以下、平)が海苔をあげていた。
額を平に擦り付ける王猫。喉を鳴らす。
リワマヒ湾で取れるお城前海苔は、リワマヒの特産品のひとつだ。
王猫 タロ=ターマ=ハーナの好物でもある。

部屋の端、テレビの前ではすっかりリワマヒ国民として活躍中の幻痛が
白いコントローラーを手に、手術ソフトを使って遊んでいる。
目指せ名医の信念で、医師の練習に余念がない。



ぴー、じじじじじじじじじじじじじっ。ぴーー。 びりっ。

オフィスリース流れ品屋から購入した、古い型式の複合機から、
藩国宛のファックスが吐き出される。
まったりとした雰囲気のなか、送られてきたファックスを読むのは、藩王、兼一王。


藩王は、ファックスを読むと、藩王令をしまうキャビネット兼執務机、通称みかん箱から顔を上げた。
皆に声をかけた。


兼一王  「お疲れのところなんだけど、
      尚書省から次のイベントがきました」


今日は早いなあ、と思う一同。皆、尚書省からの命令には慣れていた。


兼一王  「今度は動員令だそうな。
     兵員を一個中隊送れと。数にして30人分。あしたの朝まで」

蒼燐   「リワマヒの猫士を全員出しても全然足らないですね。
     罰則はあります?」

兼一王 「不足一人につき2億にゃんにゃんだそうな」

天を仰ぐ一同。

イド  「用意できるのは20が限界ですし、国庫はパンクですね。
    ・・・取引しない限りは」

兼一王 「それだ。で、今余裕ある資材って?」

平 「今余裕あるのは
         ……食糧売るしかないです」

しーんとなる一同。
しかし、すぐに蜂の巣をつついたような騒ぎとなる。

イド 「ほ、他に何か余ってないんですかっ!? それに派遣する兵達の食糧は!?」
兼一王「それはまずい、それはまずいよーー」
蒼燐 「な、内職を。 それと、猶予の手配を」

リワマヒ国は美食にかけては全国有数の設定量をほこる国であった。
国民も、食にかけてはこだわりがある。
要は他の南国人国家同様、
リワマヒ国も食いしん坊の集うグルマン国家なのだった。


平 「残念なことに余裕があるのは食べ物だけで……兵糧を計算に入れても」


 一同の顔色が悪くなる。食にかけては倹約の好きでない国民たち。
今後延々と食卓に並ぶだろう食事を想像できてしまう。

昨日もおにぎり、具は塩のみ。今日もおにぎり、具は塩のみ。明日もおにぎりあさっても―――


兼一王  「ぬ、抜け道とかないかな?
      機動兵器I=D(アイドレスと読もう)は
      燃料かかるものの、戦力にして兵隊5人分に相当する。
      だから、燃料をなんとか工面すれば」

蒼燐   「あの、兼一王」
平 祥子 「我が国にはパイロットがいません」
兼一王  「えーと猫士をコパイにつけるとかしても」
蒼燐   「罰金モノです」

今度こそ、全員の顔色が悪くなる。脳味噌いっぱいの塩にぎり。

蒼燐 「すぐに中央市場へむかいます。他の国が増産した食糧を売りに出す前に」
兼一王 「おねがいします。値下がりもこわいけど、はやくしないと値が上がる。西国人系の国が参戦できなくなる」
平 「はい。急ぎましょう」
イド「指し値計算しますね」
兼一王 「幻痛さんとわたしは、市場取引の申請文用意します」

いそぎ市場動向を調べ出す三人。
各国の糧秣状況、注文の状況から、市場の動きを予測する。
幻痛と兼一王はふたり、執務机にて申請文を書き始める。




やがて共和国の食糧庫をまるごとを支えることになる(かもしれない)生産系藩国、
リワマヒ国の戦いはこの夜、このときから始まったのである。




(終わり?)



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