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ETERNAL DRAGON

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ETERNAL DRAGON ◆OGtDqHizUM



『……では次に会うときにまでごきげんよう』
『バイニ~』
「………」

テーブルクロスの上の料理を頬張りながら相羽シンヤは放送を黙って聞いていた。
名前を呼ばれたのは10人。シンヤは呼ばれた名前を名簿と照らし合わせて確認する。

(やはり名前は呼ばれたいないようだね兄さん。
 流石は僕の最大かつ唯一の目標…ここで死んでもらわれちゃあ困る。)

兄であるDボゥイこと相羽タカヤの名を呼ばれなかったことに歓喜を抱きつつ、テーブルクロスの料理を口に運んでいくシンヤ。
だが、彼にとってこの放送の内容は満足できるものではなかった。何故なら…

(何故だ…?何故あの男が生きている?)

シンヤはついさっきボルテッカで消し炭にしたはずのラッドを思い出し、顔を歪める。
下等生物の分際で前の殺し合いでさんざ煮え湯を飲まされ続けてきたあの男、思い出すだけで虫唾が走る。
その男を吹き飛ばしてやった時は胸がすくような気持ちだった。だが、さっきの放送がそれを台無しにしてくれた。

「どうしてあの男の名前が呼ばれないんだよ…」

確かに葬ったはずだった。ならば何故名前が呼ばれないのか。
やっぱり制限がかかっていたから?
制限という言葉に対しシンヤの怒りのボルテージがどんどん上昇していく。
制限さえなければ、村雨良を殺すことができただろうし、ここでエネルギー回復のために時間を浪費することもなかったはずだ。
あの下等生物の鬱陶しい女と出会うこともなかったはずだ。

「ちくしょう………」

制限さえなければ、ラッドを本当に殺すことができた。
そもそも前の殺し合いの時ラッドに邪魔されることなどなかった。
ラッドを殺すことが
ラッドに邪魔されることが
ラッドを殺すことが
ラッドに邪魔されることが
ラッドを殺すことが
ラッドに邪魔されることが
ラッドを(ry
ラッド(ry
ラッ(ry
ラ(ry

「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉォぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉう!!!」

ラッドの憎たらしい顔を思い出し、シンヤの怒りのボルテージは頂点をむかえ爆発した。
勢いに任せてテーブルクロスの上の皿を料理ごと地面に叩きつけ、ストレスを発散させる。
だが、シンヤはそれでも満足せず…懐からテッククリスタルを取り出す。

「いっそこの建物をテッカマンの力で跡形もなく粉砕してやる!!
ラダムこそ、テッカマンこそ最強。生物の頂点なんだよ!!クーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

ストレス発散というレベルではないほどのデストロイ行為を行うため、
彼は片手を挙げてシンヤの真の姿、テッカマンエビルに変貌するための禁じられたワードを高らかに

「テックセッ」
『うわーせっかくのステーキが…もったいねー』

今回も叫ぶことはなかった。
言い終わる瞬間ふざけた女の声に遮られ、その時彼の頭にやや冷静さが戻り我に返したからである。

(今思えば、自分はとんでもないことをやらかそうとしていた。
こんな建物を木っ端微塵にするために力をあたら行使してみるがいい。
時間とエネルギーが無駄に消費されていくだけではなく、その出来事によってきたラッドみたいな狡猾な奴に襲われたら目も当てられない。
これこそ屈辱的な最後。それだけは決して認めない。
そうだ、今は兄さんと会うことをを優先すべきだ。
ふざけた女の声がなければ…気付くこともなかったかもね…)

そのふざけた女の主とはシンヤの支給品のひとつレッドアイズブラックドラゴンのカードから発せられたものである。
一見禍々しい雰囲気の黒い竜の声とはとても思えない声だ。
シンヤはこの声の主も嫌いだった。空気の読めなさや失礼な態度はあの女、魅音と同レベルだと思った。

『そう言えば放送聞いてたか?もうすぐE-5、次にE-4 、その次にD-3が禁止エリアになるんだってー』
「分かってる。だから少し黙れ。」

レッドアイズブラックドラゴンの声に苛立ちを覚える。しかも自分が怒りのあまり禁止エリアを忘れかけていたから尚更だ。

『禁止エリアになっちゃうよ。どーすんのー?』
「うるさいな…時間はまだある。
 外の屋内プールに奴らを待たせてあるからそいつと合流することにするよ。」
『おう、急ごうなー』

一言多いレッドアイズブラックドラゴンこと南夏奈の声を鬱陶しく思いつつ百貨店を後にしようとした時、
――ドカン、という撃音と壁が崩れるような音と共にシンヤのいる百貨店の階層に振動が走る。

「何だ…?」
『おい、どうするんだー?』
「…フフ。少し興味が沸いてきた。ちょっと見てくるとするかな。」

そしてシンヤは下へと下る階段へ向かう足を止め、音が響いてきた方向へと進路を変える。






「…私ってバカアルか?」

百貨店の上層に自らの上半身を埋めつつ竜は呟いた。
その建物から起こった爆発を見て参加者を減らすチャンスと思い、奴らにインパクトを与えたいがため建物に突っ込んだのはいいのだが…
その結果百貨店に突っ込んだ上半身が抜けなくなり身動きが取れない状況に陥っていた。
頭を抱えたくなる衝動に駆られるものの、竜はその身体のため頭を抱えることすらできない。

竜はただ絶望していた。
何度身体を捻って足掻いてもこっから抜けることはできず、
建物を壊そうとして尻尾を建物に叩きつけてもさっきの戦闘で力を消費しているのか壊すこともできず、刻々と時間だけが過ぎていく。
この間に襲われたらどうなるだろうか?身動きできない状態で襲われたらいくら竜だってただではすまない。
何より竜は飛び続けなければ死んでしまうのだ。今は飛んでいる状況に含まれるのか分からないが、
いずれにしても今のままでは死んでしまう。もし死んでしまったら人間になれなくなってしまう。
そんなのは嫌だ――
そんなのは嫌だ――
でもどうにもならない――
きっと人間にもなれず死ぬんだ――
もうだめだ――

竜が全てを諦めたその時、竜の耳に見知らぬ女性の声が響いた。

『貴方が私のマスターですか?』(本当は英語です)
「ひぃっ!?」

敵だと思って怯えるのだが、辺りには誰の姿もない。
この空間にいるのは身動きの取れない自分の近くに落ちている杖だけ。
恐らく自分が突撃した衝撃でどこかから投げ出されたものだろうか。

「まさか…杖が喋っているアルカ?」
『はい、そうです。』
「杖が私に…何のようアル…」
『マスター。私なら貴方の願いを叶える為の力を授けることが可能です。』

目の前の杖が何を言っているのか分からなかったが、竜は藁にも縋りたい思いだった。

「わ…私は…」
『何でしょうマスター。』


「ニ  ン  ゲ  ン  ニ  ナ  リ  タ  イ」




一分後。もはや巨大な竜の姿はなかった。
そこには代わりにネコ耳と尻尾を生やし、メイド服を着た美少女がそこにいた。
そしてもう1人、その少女に近づく相羽シンヤの姿があった。






「何だあれは!?」

シンヤ百貨店の階段を急いで駆け上がっていた。
先ほどの大きな物音につられて近づいてみれば壁には何かが特攻したかのような大穴が空き、
そこには杖を持ち、ふざけた格好をした女が立っていたのである。
その女はシンヤを見つけたかと思うと、いきなり襲い掛かってきたのだ。
シンヤはテッカマンエビルに変身しようとしたが少女となった竜の放つ魔力球の弾幕が襲い掛かりシンヤへ変身する隙を与えない。
そして店内はとても狭く、戦うのには向かない。
自身の身体能力で襲い来る魔力球を辛うじて回避しながら百貨店の階段の上り口へと向かう。
この場において戦うのに一番適した場所、屋上へ向かって。



屋上へのドアを開けて相羽シンヤが姿を現す。
そしてテッククリスタルを取り出し、それを握った片腕を天へと突き出す。
口にするのは悪魔へと変貌するためのあのキーワード。
本当はタカヤ兄さんと戦うまであまり使いたくはなかったが仕方ないと思いつつ彼は口を開く。

「テックセッタアアアアアアアアア――!!」

テッククリスタルから放たれた赤い閃光がシンヤの身体を包み込む。
赤と黒の装甲に包まれシンヤは異形なる悪魔、テッカマンエビルへと姿を変える。

「逃がさないアルよ。」

そのテッカマンエビルを追って、屋上へと姿を現したのはメイド服姿のネコ耳少女。
杖型デバイスレイジングハートを携え、彼女は空へと浮かび上がる。
悪魔の仮面戦士テッカマンエビルと魔法少女リリカルドラゴンの戦いは幕を開けた。



魔法少女リリカルドラゴンこと竜はその身を歓喜に震わせていた。
自分の近くに偶然落ちていたレイジングハートによって与えられた人間の姿。
そして手に入れた魔法の力と不屈の心。
竜は人間を越えた人外の存在だったためにレイジングハートによって竜は多大なる魔力を与えられたのだ。
魔力ランクでいうならSSランクレベルではなかろうか。




「アハハハハハハハハこの力すごいアルヨ!!」

竜の高笑いと共に炎弾の弾幕がテッカマンエビルに襲い掛かる。
エビルは高速で飛行し、弾幕を避けきるが、過剰ともいえる炎の弾幕を前に接近が困難。
対する魔法少女リリカルドラゴンもまた、レイジングハートの性能と竜としての能力なのか、テッカマンエビルと同等の高速飛行能力を得ていた。
そして弾幕を掻い潜り接近したとしても…

「テックランサーー!」
「甘いあるヨ。フィールド展開アル!」
「ちっ…」

レイジングハートから発生した障壁がテックランサーを受け止める。
仮面の下で驚愕な表情を浮かべるシンヤ。対して竜は笑みを浮かべてテックランサーを払いのけ距離をとる。
そしてレイジングハートの先端部分をエビルに向け、魔力をレイジングハートの先へと集中し…

「ディバインバスター!!!」

竜の魔法…というよりは魔砲がエビルを襲う。

エビルは自身の能力で咄嗟にリリカルドラゴンの砲撃を回避する。
直撃してはただではすまないであろう一撃を辛うじて避け安堵するエビルだったが、リリカルドラゴンが予め発射しておいた炎弾が背後から数発接近していること事には気付かない。
目の前の少女リリカルドラゴンが浮かべる笑みに気付いた時には既にエビルは背後からの4発の炎弾をその身に受け、屋上へと落ちていく。


「くそっあの女…」

炎弾によるダメージと屋上に叩きつけられたダメージに耐え、自分の身体に鞭打つかのようにエビルは立ち上がり、上空のリリカルドラゴンを睨みつける。
対して上空のリリカルドラゴンは上空からエビルを見下ろしている。その顔は余裕そのものであった。

「女、お前ただの人間…虫けらじゃないな?」
「ふっ。よくぞ見破ったアルな。そう、ワタシは人間じゃないアル。
 ワタシは人間を超越した神話の存在…竜アルよ。今はこの杖の力で人間の姿を与えられているアル。」

リリカルドラゴンは笑みを浮かべてレイジングハートをエビルへ向ける。

「虫けらに成り下がった竜がこのテッカマンエビルを倒せると?」
「邪魔者は全部全力全開でぶっ飛ばすアル。ワタシはこの殺し合いで優勝して人間になるヨ!」

「分からないね。何故竜の姿を捨ててまで下等生物である人間になりたがる?」

竜の返答に対しシンヤはエビルの仮面の下で何を言ってるのか理解できないというように、竜に問う。


「お前にわかるはずないネ…竜だったために今までワタシがどれだけ苦労したか…」


問いに対し竜は笑みを崩して怒りをこめてテッカマンエビルを睨みつける。
竜は飛ばなければ死んでしまうという体質だったために今まで死の恐怖と隣りあわせで生きてきた。
そしてこの殺し合いで一時的とは言え手に入れた人間の姿、死の恐怖から逃れられたそのひと時。
竜はそれが恋しかった。



「ワタシハニンゲンニナリタイ!!!!」



竜の魂の叫びと共にレイジングハートの砲撃がエビルを襲う。
エビルは砲撃を回避し、屋上の一部が爆音と共に崩れる。
竜は間髪いれずに周囲に炎を纏わせた魔力球の弾幕を展開する。


「だからお前はさっさと死ぬアルよ。
ワタシは人間になるまでは死ねないネ!」

竜は魔力球の弾幕をエビルへ発射する。
エビルは向かってくる魔力球を避け、避けきれないものはテックランサーで打ち返す。

(好き勝手言いやがって…俺だってね…)

「兄さんに会うまでは死んでも死に切れないんだよ!!」

エビルは背部のバーニアを全開にドラゴンの元へと飛行する。
目の前から襲いくる数多の魔力球を全て回避し、テックランサーを握り締めドラゴンに切りかかる。
対してドラゴンはレイジングハートを構えてフィールドを展開する。





「「邪魔をするなッッ!!!」」




2人の咆哮と共にテックランサーとレイジングハートがぶつかり合い、周囲に大きな音を響かせる。
壮絶なぶつかり合いの末先に根を上げたのはテッカマンエビルの持つテックランサーだった。
テックランサーの刃部分に亀裂が走り、破壊される。エビルは咄嗟に後方へ距離をとる。
テックランサーは破壊されてもなお、殺気を魔法少女リリカルドラゴンへ向ける。

(連戦連戦で正直ヤバい…長引かせるわけにはいかない。さっさとボルテッカで蹴りをつける。)

そして両腕を広げてエビルはあの必殺技を放つ構えを取る。


「PSY―――」

テッカマンエビルの胸元から六つの光が輝きを放ちはじめた。
エビルの必殺技ボルテッカの標準は目の前の少女の姿をした竜、ただ一つ。
邪魔するものを全て蹴散らすため、この世をラダムの天下とするため…
そして自分の兄である相羽タカヤとの決着をいずれつけるため―――
エビルは声が枯れるほどに大きな声でその技を叫び、最強の極光を発射する。



「ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオルテッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」



そして一方のリリカルドラゴンもエビルがボルテッカのエネルギーが発射口に集まっているのをみてレイジングハートを構える。
テッカマンエビルに集結しているボルテッカのエネルギーはフィールドを展開してもそれごと自分を焼き尽くすのではないかというほど強大だった。


「だったらこっちも全力全開で迎え撃つだけヨ――」

レイジングハートの先をテッカマンエビルに向け、その先に魔力を集中させる。
先ほど放ったディバインバスターとは比べ物にならないほどの魔力を。
魔砲の標準は目の前の悪魔テッカマンエビル、ただ一つ。
全ての参加者を蹴散らし最後の1人となって優勝するため、
そして人間の姿を手に入れて本物の人間として生きるため――
竜は全力全開の魔砲攻撃をぶち込んだ。



「スタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアライトブレイカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」






ボルテッカとスターライトブレイカー。2つの魂の輝きは百貨店の上層部を飲み込み、
そしてやがて……輝きの主であるエビルとドラゴンもその輝きの中へと飲み込まれていった。















「……」


完全に崩壊した百貨店の上層部を既にテックセットを解除した相羽シンヤは上空で滞空している黒い竜の上から眺めていた。
相羽シンヤを乗せている黒い甲殻を持ち、赤い瞳を光らせるレッドアイズブラックドラゴン。それが彼を危険から救った。
ボルテッカとスターライトブレイカーのぶつかり合いにより発生した輝きに飲み込まれる前に召喚して離脱したのだ。

「…フ。危ないところだった。危うくラッドの奴と兄さんを殺す前に消滅するところだったよ。」
『本当だよ。私がいなかったら危なかったな~』
「支給品が無駄口を叩くな。屋内プールへさっさと飛べ。」
『へいへい。』

命令を受けてレッドアイズブラックドラゴンこと南夏奈は上空からシンヤと行動していた魅音を探すべく地上に目を走らす。
そしてシンヤは体力的にも腹的にも限界が近づいていることを感じてテーブルクロスを取り出して消耗したエネルギーを回復させるべくテーブルクロス上に現れた料理を食し始めた。
ふと時計を見ると7時になっていた。


(そろそろE-5エリアに入れなくなるか…放送局に行くとなると遠回りになりそうだな…)


 【E-4/上空/1日目-朝】



 【相羽シンヤ@アニ2】
 [状態]:疲労(中)、空腹(大)、全身に負傷(特に両腕に痛み有り)-手当済
 [装備]:ブレードのテッククリスタル@アニ2
 [持物]:デイパック、支給品一式(食料無し)、レッドアイズブラックドラゴンのカード(南夏奈)@カオスロワ
     :グルメテーブルかけ@ニコロワ残り19回、ヤクルト@ニコロワ、きしめん@ニコロワ、他食料
 [方針/目的]
  基本方針:Dボゥイとの決着をつける。
  1:食事をとる。
  2:屋内プールへ向かう
  3:合流した後は、魅音や他の人間を利用してDボゥイを探したり、村雨を陥れたりする。
  4:人間に正体がばれないように行動。ばれたり邪魔だと感じたら殺す。
  5:村雨、かがみを殺す。(現在、かがみは保留中。情報を聞き出してから殺す)
  6:Dボゥイの分のテッククリスタルを探し出し手に入れる。
  7;ゆたかと出合ったら……?



 [備考]
  ※参戦時期はアニ2、211話「The Incarnation of Devil」内でラッドに殺される前。
  ※力の制限、特にボルテッカに関しては大きな制限が掛けられています(威力低下、疲労感と空腹感の増加など)
  ※南夏奈のカードはテラカオスに殺される直前から参戦。制限はニコロワ準拠で問題ないかと。
  ※ラッド・ルッソを殺害したと思っています。
  ※現在召喚したレッドアイズブラックドラゴン(南夏奈)に乗っています。
  ※レッドアイズブラックドラゴンを解除した後24時間後使用不可能です。





「………っ」


閉ざされた真っ暗の意識の中から竜は意識を取り戻した。
竜が目を開けると上空から朝日が照らされ、竜は眩しそうに目を細めた。
気がつくと竜は上半身だけが川原に乗り出して下半身が川に浸かっている状態になっていた。
彼女は川から這い出て立ち上がろうとするがとたんによろけて地面に仰向けに倒れる形になった。


――私は……何を、していたアルか…………


竜は状況把握のために頭を働かせる。

「確かあの変な格好の男と戦闘になって……私はぶっ飛ばされたアル。」

恐らくボルテッカとスターライトブレイカーの強力なエネルギーのぶつかり合いによって生じた奔流で飛ばされ、川に落ちどんぶらこどんぶらこと流されて、川原の一部にひっかかって現在に至るのだろう。
そして、竜は生きている。竜の尋常ではない生命力のおかげであろうか。
さっきまで自分と戦っていた男、相羽シンヤはどうなったのか一瞬気になったがどうでもよくなった。
今はこうして生きているのだから。
竜はこの殺し合いで生きる限り私は人間になろうと他の参加者を殺し続ける。

竜が生きている限り竜に敗北はないのだ―――

「例えあの男が生きていたとしてもまたコテンパンにしてやればいいネ。
 ねえ、レイジングハート?」

レイジングハートからの返事はない。

「レイジングハート?」

竜は焦って辺りを見渡すが、さっきまで自分が持っていた魔法の杖レイジングハートの姿はどこにもなかった。
もしかして吹っ飛ばされた時にどこかへ飛んでいってしまったのか?
竜の顔は青ざめていく。竜が人間の姿を再び取り戻せたのはレイジングハートのおかげなのだ。それを失ったとうことは萌えもんバッジが奪われた時みたいに竜の姿に戻ってしまう。
また、人間の姿を得る重要なものを失ってしまうとは…何たる不運だろう。
だが、気づく。レイジングハートを失ってなお、美少女の姿を、人の姿を保っているということに。
人間になっているということに。

「あ…」

安堵したことで手足の力が抜けて竜は地面へと再び仰向けに横たわる。
さてこれからどうしたことか。人間になれたということはもう人殺しをしなくてすむ。
後は元の世界に帰って人間として暮らしていくだけ。
竜の頭の中に6/、柊かがみ、ロアルド・アムンゼンの姿が思い浮かんだ。
またあの4人で殺し合いから脱出するためにいろいろやるのもいいだろうと思った。かがみはうざいが。

途端に竜は急激な眠気に襲われる。
よく考えてみればある男に痛手を負わされた後百貨店に特攻して別の男と激戦を繰り広げていたのだから相当疲れているのは当然だった。
その後どうするのかはまた起きてからでいいだろう。




―――私は幸せネ












そんな中眠ろうとする竜の首輪からからアラームのような音が鳴り響く。






ただ無常に





ただ残酷に











「うるさいネ。これ何の音ア」





――――――――――――――ボォン





【竜@オールジャンルバトルロワイアル 死亡】

[備考]
※少女姿の竜@オールロワの死体はE-5の川原付近で頭部と胴体が離れ離れになっています。
※彼女が持っていたレイジングハート@カオスロワは先ほどの戦闘でどこかに飛んでったようです。レイハの行方は後の書き手にお任せします。



【レイジングハート@カオスロワ】
竜が百貨店で入手したもの。
おなじみの冥王の大量殺戮兵器デバイス。

以下はカオスロワの設定
最初から杖の状態で支給されている。
織田信長の意向により通常の機能に加えて「魔法少女変身機能」も搭載。
これによって、魔力がない者でも変身することで魔法を使うことが可能に。
一回の変身の持続時間は15分。(信憑性はほぼいい加減)
なお、変身後の姿はランダムで決定。
祈願型なので願うだけで大抵の操作はできるらしい。
性格は普段のレイハより少しアレかもしれない。(かみなりに『パンチラしてその隙にズガン』を奨めたほど。)

余談ではあるがカオスロワで「魔法老人リリカルかみなり」を生み出した支給品である。
そしてその話を書いた書き手はかの◆6/WWxs9O1s氏である。


086:想い紡ぐ者 投下順 088:HAL・スクリーミング・ショウ
086:想い紡ぐ者 時系列順 092:紅 kure-nai
060:誰かが死ぬのが怖いのか? 相羽シンヤ 089:Dawn(暁、夜明け)
072:いいぞがんばれ!ドラゴンズ! 燃えよドラゴンズ!!



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