らき☆ロワ @ ウィキ

OP 開演

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rakirowa

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OP 開演 ◆KuKioJYHKM



「……た……! ……なた! こなた、起きてよ!」

名前を呼ばれながら体を揺すられ、泉こなたはゆっくりと目を覚ました。

「むー……。おはようかがみん。で、なんで私の部屋にいるわけ?」
「あんたの部屋じゃないわよ! ちゃんと目を覚まして、周りを見なさい!」

自分を起こした少女……柊かがみに怒鳴られ、こなたは渋々辺りを見回す。
とはいっても、まだ納得はしていない。彼女には、確かに自分の部屋のベッドで寝た記憶があるのだ。
ならば、起きた時にいるのも自分の部屋に決まっているではないか。
それは当然の発想であったが、この状況においてだけは間違っていた。

「あれ、どこここ? 体育館?」

彼女の目に入ってきたのは、どう見ても学校にある体育館だ。
そこに自分やかがみだけでなく、大勢の人間が寝たり座ったりしている。

「私、なんでこんなところにいるの?」
「私に聞かれたってわからないわよ……。私だってついさっき起きたら……」
「お姉ちゃん! こなちゃん!」

こなたとかがみの会話に、近寄ってきたリボンの少女が割り込む。
彼女は柊つかさ。かがみの双子の妹であり、こなたのクラスメイトでもある。
その後ろには、同じくこなたのクラスメイトである高良みゆきの姿もあった。

「つかさ! みゆき! あんた達まで……」
「ねえ、私たちどうして集められてるの? これからどうなっちゃうの?」
「大丈夫……。大丈夫だから……」

恐怖と混乱で涙を浮かべる妹の手を、かがみはそっと自分の両手で包み込んでやる。
一方、こなたはみゆきと言葉を交わしていた。

「みゆきさん、いったいどういうことだと思う?」
「わかりません……。ただ、どう考えても日常生活であり得ない場面というのは確実です。
 認めたくありませんが、何か非合法な活動に巻き込まれてしまったとしか……」
「うーん、やっぱりそういうことになっちゃうのか……」

いつも陽気……というか暢気な彼女にしては珍しく、こなたは不安げな表情を見せる。

「誰かの夢でした、ってオチならいいんだけどなあ……」

こなたがそんな気休めを口にした、その直後。

「そろそろお目覚めかな、諸君」

スピーカーによって拡大された声が、体育館の中に響いた。続いて、ステージの上に二人の男が姿を現す。
一人は中央から白と黒に塗り分けられた仮面を付けた、いかにも道化師といった服装の男。
もう一人は全身を白で統一した、醜い顔の怪人。

「ピエモン!?」
「ジェネラルシャドウ!」

集められた人々のうち何人かが、男たちを見て声をあげる。

「なぜ貴様が生きている! 確かに貴様は、俺が倒したはずだ!」

パーマのかかった髪の青年が、群衆から一歩前に出て壇上の男に吠えた。

「落ち着け、村雨良。確かに俺は貴様との戦いに敗れて死んだ。だが、その後蘇ったのだ。
 俺だけではない。今回の俺のパートナーであるピエモンも、ここにいる参加者の一部も、一度は死んだ身なのだよ」

怪人……ジェネラルシャドウは、村雨良と呼んだ男に対して冷たい声色で告げる。

「待て、ジェネラルシャドウ。貴様は今、『参加者』と言ったか?」
「ああ、言った」
「まさか……」
「そのまさかだよ、村雨……仮面ライダーZXよ」

村雨の疑問に答えたのは、ジェネラルシャドウではなくその傍らの道化師……ピエモンだった。

「貴様らには、これより殺し合いをしてもらう! 見覚えがあるだろう! 貴様らの首にはめられた首輪に!」

わけのわからぬ話にしばし呆然としていたこなただったが、その言葉に反応し思わず首に手をやる。
確かに、違和感はあった。だが現状が飲み込めないために、その違和感の追求は後回しになっていたのだ。
手で触れてみて、はっきりと理解する。自分の首に、金属で出来た何かが巻き付いていることに。
寝ぼけ眼と明かりの不足で先程まではわからなかったが、周囲にいる友人たちの首にもしっかりと首輪が取り付けられている。

「ちょっと、殺し合いってどういうことよ……」

こなたの傍らで、かがみがまた違った反応を見せる。だが、こなたにはそれに反応する余裕すらない。
今は、あのピエロの言うことを一言一句逃さず聞き取らなければならない。他のことにかまってはいられない。
彼女の本能が、そう告げていた。

「この場にいる者の大多数は、すでに殺し合いを経験している。よって、面倒なルール説明など省きたいところだが……。
 あいにく、今回初参加の特別ゲストたちもいるのでな。そいつらのために、丁寧にルールを解説してやろう」

会場のざわめきをよそに、ピエモンはしゃべり続ける。

「まずは基本ルール。これは単純だ。参加者が一人になるまで殺し合え。
 手を組もうがひたすら逃げ回ろうが、反則にはならん。最終的に生き残りが一人になればいい。
 貴様らの首にはめられた首輪は、殺し合いからの逃走を防ぐための保険だ。
 首輪を外そうとしたり、会場の外に出たり、後で解説する禁止エリアに足を踏み入れたりすれば、首輪が爆発して貴様らの命を奪う。
 それで、その禁止エリアだが……」

ピエモンは、その後もルールの解説を続けた。
禁止エリアとはマス目で区切った地図上のエリアを一定時間ごとに指定し、そこへの進入を禁止するシステムだということ。
その禁止エリアは、開始から6時間ごとの放送でそれまでに出た死者と共に発表されるということ。
参加者には支給品として会場の地図や参加者の名簿、筆記用具、方位磁石、腕時計、懐中電灯、食料と水のセットが配られるということ。
またそれと合わせて、一人一人違う品が1個から3個配られるということ。
そして優勝した者には、どんな願いも一つだけ叶える権利が与えられるということ。
こなたと友人たちは、その説明を一言も発せずにじっと聞いていた。

「さて……説明は以上だ。愛媛、前に出てきてもらおうか」

説明を終えたピエモンが、誰かに呼びかける。それに応えて、一人の少女がステージの方へと歩き始めた。

「え?」

こなたは、我が目を疑った。藤色の短めな髪に、黄色いリボン。着ているのは、見慣れた陵桜学園の制服。
それはどう見ても、柊つかさだった。
だが、その少女がつかさであるはずがない。つかさは、確かにこなたのすぐ横にいるのだから。

「喜べ、今回の見せしめは貴様だ」

こなたの混乱などよそに、事態は進む。ピエモンは愛媛と呼んだつかさそっくりの少女に、下卑た笑みを浮かべながらそう告げた。

「それは、私が誰だかわかって言ってるのかな? かな?」

愛媛は、不敵な笑みを浮かべてピエモンに言い返す。

「ああ。貴様に関する情報は手に入れてある。もちろん、貴様だけでなくここにいる全員のものもな」
「そう……。それでも私を殺せると思うんだ……。格の違いって奴を見せてあげるよ、ピーちゃん!」

愛媛が、両手をピエモンに向ける。

「ニコニコ弾幕オールスター!!」

愛媛が叫ぶと同時に、彼女から無数の文字が飛び出した。

「( ゚∀゚)o彡゜えーりん! えーりん!」
「とかちつくちて」
「真っ赤な誓いいいいいいいいいいい」
「うううううううううううう」
「あぁん? あんかけチャーハン」
「ランランルー☆」
「きしめえええええええええええ」
「桑の実☆DA!」
「あっぷぷぷうぇぷうぇ\(〓ω〓.)/」
「おっくせんまん! おっくせんまん!」

多種多様な文字列が、弾丸となってピエモンを襲う。

「無駄だ!」

だがピエモンが両手に持った剣を一閃すると、全ての弾幕は弾かれあさっての方向に飛んでいってしまった。

「そんな……嘘だッ!」
「冷静に考えてみろ。見せしめが主催者に勝てた例など、過去にあったか?」

驚愕に表情を凍り付かせる愛媛を、ピエモンは鼻で笑う。その直後、それまで静観していたジェネラルシャドウがトランプを一枚放り投げる。

「うあっ!!」

それは、吸い込まれるように愛媛の心臓へ突き刺さった。
「ひっ!」と、かがみが短い悲鳴を上げる。同時に他の誰かが、、そっくりな声で悲鳴をあげたのをこなたは聞いた気がした。

「せいぜい……今のうちに調子に乗っておくといいよ……! 私が駄目でも……きっとお姉ちゃんやみんなが……」
「まだ息があったか。まあ、その方が好都合だがな」

セーラー服を血に染めながらしゃべり続ける愛媛に、ジェネラルシャドウは相変わらずの冷たい声で告げる。
そして、パチンと指を鳴らす。

ボン

小さな爆発音が、体育館に響く。愛媛の首が、床に落ちる。それを追うかのように、首を失った体もゆっくりと崩れ落ちた。

「こうなりたくなければ、せいぜい頑張ることだ。では、これよりバトルロワイアルを開始する。
 6時間後の定時放送でまた会おう、運がよければな」

ジェネラルシャドウが、再び指を鳴らす。すると体育館に集められていた人々は、一瞬にして一人残らず消え去ってしまった。
壇上の二人と、すでに息絶えた愛媛を除いては。


◇ ◇ ◇


「こちらピエモンだ。ルール説明、問題なく完了した」

数分後、ピエモンは誰かに電話をかけながら移動していた。ジェネラルシャドウも、すぐ後ろにいる。

『ご苦労様でした。これからの運営もよろしくお願いします』

電話の向こうの声は、ピエモンにねぎらいの声をかける。

「わかっている。仮にも生き返らせてもらった身だ。恩は返すさ。
 だが、一つ腑に落ちないことがある。聞かせてもらっていいか?」
『内容によりますが、何でしょう?』
「私とマルク、それにコイヅカが行ったような殺し合いは、他の平行世界でいくつも行われていたのだろう?
 その殺し合いを開催した存在の中から、なぜ私とシャドウを選んだんだ? 我々が今回の『テーマ』にふさわしい存在とも思えんのだが」
『ああ、それですか。Bさんはいろいろ残念なところがあったんで、名誉挽回のチャンスを与えてあげようかなと思いまして』
「……よけいなお世話だ」
『シャドウさんは同じ奇術師系キャラとして、Bさんと気が合うかなと思ったんですよ。
 まあ使いづらいようだったら、裏切るなりなんなりして殺しちゃってもかまいませんから』
「本人も聞いているんだぞ、これ。あと、Bと呼ぶな」
『そんなわけなんで頑張ってくださいね、Bさん、シャドウさん。影ながら応援してますから』
「だから、Bと呼ぶなと……くそっ、切りやがった……」


◇ ◇ ◇


「楽しみですね……」

ピエモンとの電話を切ったその人物――ひょっとしたら人ではないかもしれないが、ここでは「人物」としておこう――は、一人呟く。
彼――同じく、女性かもしれないが――の前に置かれたパソコンのモニターには、7人の女性の顔写真が並んでいた。


幾多の平行世界から殺し合いに参加させられ、そのほとんどで我が道を貫いた少女……泉こなた。
こなたとは逆に、殺し合いの度に違った顔を見せる少女……柊かがみ。
ある世界では漆黒の闇から這い上がって贖罪を成し遂げ、ある世界では愛に生きた少女……柊つかさ。
運を味方に出来ず、常に過酷な運命を強いられる少女……高良みゆき。
螺旋王の起こした殺し合いで、いち早く螺旋の力に目覚めた少女……小早川ゆたか。
混沌の世界である男に愛され、やがて自らもその男を愛するようになった少女……岩崎みなみ。
殺し合いの中で、教師としての熱き心を垣間見せた女性……黒井ななこ。


これまで幾度となく開かれた殺し合いで、彼女たちは幾多もの素晴らしいドラマを繰り広げてきた。
だが、彼女たち自身はそれを知らない。殺し合いが開かれるたびに、彼女たちはそれぞれ別の平行世界から連れてこられたのだから。
平行世界の自分が経験したことなど、知ることは出来ない。ほんの一部の存在を除いては。


「さあ……。今回はどんなドラマを見せてくれますか、LUCKY STARの皆さん?」


【愛媛の0RbUzIT0Toは大変な演説をしていきました@書き手ロワ2nd 死亡】
【バトルロワイアル 開始】


投下順 001:ロワ参加者として軸がぶれている
時系列順 001:ロワ参加者として軸がぶれている
泉こなた 015:既知との遭遇
柊かがみ 011:めぐりあう双星
柊つかさ 012:6/「俺三人とか多くね?」
高良みゆき 017:愛ゆえに
村雨良 018:激突!仮面ライダーゼクロスVSテッカマンエビル
ピエモン 077:第一回定時放送
ジェネラルシャドウ



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